いないいないばぁ。   作:Gasshow

16 / 26
なんか感想欄で無意識に連繋して私をフルボッコするの止めてもらいたいですね(涙目)。

くそ~今回は行けると思ったんだけどなぁ~。
いつかリベンジします。



盃に映る月夜 【解】

何も無いその空間。あるとしたらならば、大きく円を描くように削られた細長い月から降りる明かりと、耳に心地よく流れる甲高い虫の()だけ。そんなどこにでもある陳腐(ちんぷ)な場所に、ふと一本の細い隙間が姿を表した。それは段々と広がるようにして大きくなっていく。開けた隙間の中には無数の目玉が(うごめ)いており、その一つ一つはどうにも生気を失っているように見えた。そしてそこからひょっこりと顔を出す金髪の女性。彼女の名は『八雲紫(やくもゆかり)』。妖怪の賢者と呼ばれている大妖怪だ。

 

「…………ここに来るのは久々ね」

 

紫はゆっくりと隙間から降りらポツリとそう呟いた。辺りは何処までも暗く、そして静かだった。緩やかな風が吹き、紫の髪を撫で上げ、舞い上がらせた。透き通った虫の音と、風の(むな)しい音だけが耳へと届く。そんな中で紫は、風化して今にも崩れそうな神社の前に立っていた。大きく縦に亀裂が走った柱に、雨風によって磨り減った屋根。そのどれを見ても、かなり古いものだと一目で推測できる。紫は無言でそんな神社の縁側へと腰を降ろす。ギシリと不気味に軋む音が鳴ったが、規則正しく組まれた木々は、紫の体重をしっかりと支えていた。

 

「…………こんな所に来ようと想うだなんて、もう私も年かしら?」

 

最近、独り言が増えたと紫は自分の頬へと手を添える。しかしそれは仕方がない事。なにしろ喋り相手が昔より少なくなったのだ。そうなれば、独り言が増えるも道理と言える。そう無理矢理に自分を納得させ、紫は隙間から朱色の盃と、小さな徳利(とっくり)を取り出す。しばらくそれを眺めてから、盃に酒を注ぎ込む。空から射す弱々しい月明かりを、盃の中が反射して紫の目に入る。自分の手元には、ゆらゆらと揺らめく、小さな月が握られていた。それを見てふと気がつく。

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーそう言えば、あの時もここに座っていたわね。

 

 

 

大きな切り傷がある柱の近く。別に故意にここに座った訳ではない。自然と、そして無意識に私はここに座った。いや、もしかすると何かしらの因果が働いているのかもしれない。そんな根拠もない考えが、紫の頭に思い浮かぶ。馬鹿馬鹿しいと思いながらも、全てを否定できない。こんな事を思うなんてやはりもう年だなと思いながら、紫は盃を傾けた。

思い出す、あの時の事を。

思い思い()せる、あの存在を。

思いめぐらす、あの幻想を。

 

 

そうして紫はそっと酒を煽った。

 

 

 

 

 

 

 

 

それはそう、焦がれ恋したあの日のこと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




それと、ここから投稿はしばらくお休みするのですが、もし皆様の中でも自分がやっているような感じの短編を思い付いて、私に力を貸してもいいといってくれる人はそのアイデア教えて下さいませんか?設定に無理が無ければ、受験明けに是非とも投稿したいと思います。それを小説になおせるかは分かりませんが……一応。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。