いないいないばぁ。   作:Gasshow

19 / 26
今回が一番、回答率が低かったです。あれ?そんな難しくは作ってないと思っていたのですが……もしかしてそれは作者だけがそう思っていたのでしょうか?思ったより複雑だったのでしょうか?感想欄を見てみると、考えれば考えるほど、どつぼにはまっている感じがしました。と言うか感想を見てて正直、もうこれだったとしても全然問題ないと思える回答がいくつかあったんですよね。もう正解扱いにしたいところではあって、非常に迷っております。




かえるのうた【解】

行ってきますと、そう少女は言う。それは相手に今から出かけると、そう伝えるための言葉。しかしそれに返す者は誰一人としていなかった。いや、言葉を返す者はいないが、視線を送る者はいた。その人物は唐突に現れ、ゆっくりと地面に足をつけた。

 

「あれが現人神になれる器を持った人間ねぇ……」

 

地面に降りてすぐ、その人物はそう呟く。女性特有の、高く透き通った綺麗な声。だがそれは何の感情も無いような、そんな真っ白な声色だった。

 

「あそこまで()()()いたら、幻想郷に招くのは少し危険かしら」

 

眉間にシワを寄せて、そう呟く。

 

「でもこれ以上、あの娘を人目に晒し続けるのも良くはない。まだはっきりとは気が付いてないようだけれど、もう腕力ですら人間のそれとは比べ物にならないほど強くなっているはず」

 

彼女は少女が消えていった道を見る。その道に人影は無く、ただ真っ直ぐな通路が延々と続いているだけだ。

 

「まぁ取り合えず。二人共に会ってみないことには始まらないわね」

 

そう言って彼女は右手に持っていた布袋を持ち上げる。それからそっと、その布袋を開き、中身を取り出した。それは日数が経ち、赤黒く変色した血によって染められた女子制服。血の付いていない部分が無いと思えるほど、その制服は本来あった色合いを失っていた。

 

「これが落ちていたのは彼女が通っている学校の裏の林。そんな無造作に捨てられたのにも関わらず、よくもまぁ半年も見つからなかったものだわ」

 

自覚はあるのに無意識だと言うのが尚更たちの悪い。小さな事ではあるが、物事が彼女の都合の良いように動いている。

 

「奇跡と言うよりは、運が良いと言った方が適切かもしれないわね」

 

これは言わば、コイントスをして十回連続で裏が出たのと同じような現象だ。決して不可能ではない。十回のコイントスで、十一回も裏が出せるような。そんなかぐや姫が出した無理難題を解決(クリア)する力は無い。本当に小さな力。それでも、ただの人間にとっては充分大きな力となり得た。

 

「他にも探したら、色々と出てきそうね」

 

まぁ探す気はないのだけれど。彼女はそう言うと最後。その姿はどこかへと消えてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

緑の髪のかえるの少女は、三つの虚像(うそ)と共にいる。一つは自分の良識を乗せて。自分を支え、自分を押し上げ、自分を正す。そんな大きな柱を一本。それを彼女の右側に。もう一つは自分の願いを乗せて。自分を癒し、肯定する。優しく包み込んで、覆い尽くす、そんな小さな帽子を一個。それを彼女の左側に。最後の一つは感情を。押し留めず、溢れ出す。流し流され抵抗せず。あるがままに生き続け、自分の裏に居続ける。そんな深い影を一つ。それを自分の裏側に。

 

四人が歌う、四重奏(しじゅうそう)。だけどよく見て聞いてみて。それはホントにカルテット?小さな小さな合唱は、はたまた何の叫びなのか?

 

淋しい淋しい、かえる(ソロ)のうた。

 

 

 

 




皆様が苦戦しておられたので、あえて【解】も分かり難いように書きました(そっちの方が面白いと思って)。でもそれだとあまりにも不親切なので、この話はシリーズが終わった後にでも解説を載せようかなと思います(たぶん)。

あと『哀々傘』の【解】の投稿を早めます。週明けくらいに。しかしなにかと急なので、もう少し待ってと言う方が一人でもいらっしゃれば、延長します。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。