いないいないばぁ。   作:Gasshow

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今回、文章が雑です。申し訳ありません。所詮、作者の文章力はこんなものです。

この話の難易度は一応、新Lunatic.ver2改と言うことです。と言っても、Nominalの話を、文章表現で無理矢理難易度上げただけなんですよね。だから思ったより簡単かもしれないです。

恐らくですが誤字、脱字が多いと思うので、よければご指摘をお願いします。


哀々傘

《欲求》と呼ばれる物は大きく別けて三つあるとされている。一つは《睡眠欲》。生きている物は皆、寝なければいけない。それは常識だ。いや、常識以前の問題だ。昔、誰が決めたも無しにいつの間にかそうなっていた。睡眠を必要としない例外の種族もいたりするが、それはそれだ。 生きている者は皆が寝る。寝なければ生きてはいけない。だから人はそれに大きな欲求を感じるのだ。

二つ目は《性欲》。これも種族を残すために必要なこと。概念から生まれた妖怪は、男女のまぐわいで生まれた物ではないが、それでも妖怪とて生き物だ。祖先を残したいと、そう無意識に思うのが普通のこと。これも勿論、重要なこと。しかし。それでも私はあえて言わせてもらおう。大きく別けられた《欲求》の中で、それらは最たるものではないと。ここまで色々と言ってきたが、取り合えず一言でまとめよう。

 

 

 

 

 

 

私は空腹である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私こと多々良小傘(たたらこがさ)は人を驚かす事によって空腹を満たす妖怪だ。詳しく言うと、人間に関するものでと言う方が正しい。だから別に人間の肉を食べても私のお腹は膨れるのだが、幻想郷ではそれをするのが難しい。人間の死体などなかなか手に入れられるものではないのだ。よって私は人間を驚かす。驚かそうとしているのだ。しかし今や人里の人間は子供ですら私に驚いてくれなくなった。駄目だ、このままでは私は空腹に耐えきれず飢えて死んでしまうかもしれない。そんな悩みを抱えながら日々を生きていたそんな時、命蓮寺の住職である聖白蓮(ひじりびゃくれん)が声をかけてきたのだ。曰く、お寺で少しばかり修行をすれば、人間を驚かせる何かが見つかるのではないかと。私一人では行き詰まりを感じていたのも事実。だから私は聖の話を承諾する事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私は命蓮寺の内観を見ながら、その縁側を白蓮と歩いていた。 自分が歩く木製の床は 、毎日きちんと掃除がされているようで太陽の光を反射して綺麗に輝いていた。

 

「小傘ちゃんが命蓮寺の境内に入るのなんて、本当に久しいですよね?」

 

私の右を歩く聖が、ふと私にこう問いかける。

 

「う~ん、そうかもしれない。私が普段いるのは命蓮寺にあるお墓だからね」

 

あそこは墓地と言うこともあり、人間を驚かすのに最適な場所なのだ。だから私はよく命蓮寺の墓地へ足を運ぶ。そのせいで、私は聖から命蓮寺の一員として認識されているのだが、私自身はそう思っていない。

 

「でもこうして本道の周辺を歩いてると、結構な数の妖怪が命蓮寺にいるんだね」

 

「そうですねぇ。お陰さまで退屈しない毎日を送れています」

 

「まぁ色んなことやってるしね」

 

命蓮寺では人間の墓の管理、葬式、住職が弟子や一般人へ仏法を説く事、逆に人間の話を聞く事や、月一の『夜通し読経(どきょう)ライブ』など様々な事を行っている。命蓮寺に滞在するほとんどが妖怪と言っていいのだが、ここは人里にも大きく関わっているのだ。だから実は人間の訪問者は意外にも多くいる。これは住職である聖が持つ『人妖の平等』と言う理念に命蓮寺全体が従っているからだろう。

 

「さて今日やることですが、まずはお庭掃除、それから写経をして、最後には皆で結跏趺坐 (けっかふざ)をしましょう」

 

「え~面倒くさい」

 

「何を言っているのですか、小傘ちゃん。これくらいは当たり前ですよ」

 

聖がにっこりとした笑顔を私に向ける。

 

「まぁ自分でやるって言ったからにはしっかりやるよ」

 

「偉いです小傘ちゃん」

 

「んにゃ~!頭をわしわししないでよぉ!」

 

聖は私の頭に手を乗せて、そのまま優しくなで回す。なぜだが私は聖のこれがあまり好きにはなれなかった。なぜだかは分からない。ただ子供扱いされているのが、癪に触るのかもしれない。私は少しだけ乱れた髪を手で直し、少し先を行く聖を追う。こうして私の命蓮寺での一日は始まったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私が命蓮寺に来て初日の夜。私を含めた七人は大きな卓子(たくし)を囲んで、様々な料理に箸を付けていた。

 

「それにしても小傘が、私たちと一緒にご飯食べるのって本当に久しぶりじゃない?」

 

私の正面に座るぬえがこちらを覗き込むようにして視線を向ける。

 

「うん、そうかも。と言うか、ぬえと会ったこと自体が久しぶりじゃない?ぬえってば命蓮寺にいないことが多いからさ」

 

ぬえは一応は寺住まいなのにも関わらず、命蓮寺にいないことがほとんどだ。はっきりとした住所は不明。それは『(ぬえ)』という彼女の種族にピッタリだなとそう思う。

 

「そうだなぁ~。本当は今日もここに来る予定は無かったんだけど、なんとも無しにたまたま気が向いたから立ち寄って、そしたら小傘がいたんだよね」

 

「ならこうして私たちが二人して出会ったのは奇跡と言ってもいいのかも」

 

私が命蓮寺でご飯を食べるのが半年ぶり、となると一週間に一度か二度しか帰ってこない、ぬえと同じ日に命蓮寺で出会う確率は相当低くいはずだ。なんとも運が良い。

 

「私も小傘が来るのは久しぶりだと思ってね。今日は張り切って夕飯を作ったのさ」

 

私とぬえの会話に割って入り、ナズーリンはそう言う。

 

「ありがとう、ナズーリン。確かに今日はやけに豪勢だと思ってたんだ」

 

卓子を埋め尽くすほどの皿に、料理が乗っかっている様は、何とも意外にも迫力があるように感じた。前にここで夕食をした時は、もっと質素な精進料理だったのだが、今はそんなの関係なしとばかりに肉料理さえ並んでいる。いや、だがこれは……。

 

「…………お寺なのに肉料理って大丈夫なの?」

 

寺で修行をする身であるならば、酒池肉林(しゅちにくりん)とまではいかなくとも、なるべく酒や肉を口にするのは控えた方がいいのではないか?そんな疑問を私は言葉にして発した。

 

「うむ。まぁたまにはいいんじゃないか?のう、村紗」

 

「…………まぁそうだね。私は絶対に食べないけど」

 

マミゾウにそう返す村紗は、苦味を含んだ笑みを浮かべていた。意外だ。村紗はもっと適当な奴だと思ってたのに、真面目なところもあるのだと少し彼女を見直した。まぁでも代理とは言え、本尊であり毘沙門天様を司る虎丸星(とらまるしょう)が大酒飲みなのだ。今更、肉を食べるなと言われても説得力は無いだろう。そもそもな話、私はここの門徒ですらないのだから、そんな事を気にしていても仕方がないのだ。それに、私の為にナズーリンがこんな豪勢な料理を作ってくれたのに、それを食べないと言うのはかなり失礼な話になってしまう。

 

「じゃあいただくね」

 

「うん。始めはその煮物をなんかどうだ?これは私の自信作なんだ。是非とも食べてほしい」

 

ナズーリンに指された場所を見ると、黄土色の小皿に野菜と肉がバランスよく取り入れられた、煮物があった。私はナズーリンに言われた通り、手前にあった肉の煮物を箸で摘まんでパクリと口の中に放り込む。

 

「お、美味しい!」

 

なんだこれは。こんな美味しい料理は久しぶりかもしれない。いや、もしかすると今まで食べたどんなものよりも美味しいかも……。

 

「それは良かった」

 

ナズーリンは満足そうに微笑みながら、私が食べたものと同じ料理に箸を伸ばした。

 

「ナズーリン。いつの間にこんなに料理が上手くなったの?」

 

「ふむ。まぁ努力したからね。それに今日はいい食材ばかりを使っている」

 

「そうなの?」

 

「ああ。その肉もさることながら、野菜も良いものばかりなんだ。これも聖の人望のおかげさ」

 

そう言えばそうだった。命蓮寺で出される食事のほとんどは、聖が人里から貰ってくるもので作られているのだった。聖は人里でも非常に人気がある。それは聖が人里で多くの慈善活動をしているのからだ。聖が貰う物が、売れ残りや価値の低いものではなく、質の高い上等な物だと言うことが、それをしっかりと裏付けていた。

しかしナズーリンの言葉の通りなら、私がこうして美味しいご飯にありつけるのは聖のお陰と言うことになる。そう言う意味では聖に感謝だ。そうして聖に視線を向けようとしたところで気がついた。

 

「そう言えば聖は?」

 

聖がいない。よく見れば星もいない。

 

「聖は星と少し用事があるからってちょっと前に出掛けて行ったわ」

 

私にそう返したのは雲居一輪。入道といつも一緒にいる妖怪だ。

 

「一輪は何か知ってるの?」

 

「いや、知らない。でもどうせ大した用事でもないわよ」

 

勿体無い。せっかくこんなに美味しい料理なのに。温かい内に食べれないなんて。

 

「まぁいいではないか。聖がいたら面倒な事だしの」

 

「私はよくお行儀が悪いって怒られます」

 

「響子だってがんばってるのにね~」

 

少し愚痴っぽい会話が交わされる。でも私は知っている。ここにいる誰もが、聖を好いてここに集まっているのだと。

 

「……………………私も含めてね」

 

「ん?何かいったのかい?」

 

「なんでもな~い」

 

こうして私は、半年ぶりの賑やかな食事を再開した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

命蓮寺の朝は早い。私はそれを改めて実感した。日が昇ると同時に起床して、井戸から汲み上げた冷水で顔を洗う。そこから朝食を食べて、修行を始める。いつもならまだぐっすりと眠っているであろう時間帯。しかしそれでも何故か妙に力がみなぎっているそんな朝に、欠伸(あくび)を噛み殺しながら庭の掃除をしていた時だった。

 

「小傘ちゃん」

 

ふと急に私は後ろから声をかけられた。反射的に振り向き、その人物を確認する。それは私が命蓮寺に行く切欠を作った人物だった。

 

「どうしたの聖?」

 

振り向き様に見た聖の顔は、いつもの優しい笑みの裏に、何か固さを感じさせた。

 

「少し頼みたい事がありまして。よければ着いてきてくれませんか?」

 

「別に良いけど……」

 

何があるのだろうか?聖がこうして私に直々、頼み事をするなんて初めてだ。ちょっとした疑問を抱きつつ、私は聖の後を追って歩き続ける。そして途中で気が付いたのだが、どうやら聖は命蓮寺の外へと向かっているらしい。と言うことは人里にでも用事があるのだろうか?とも思ったが、しかし命蓮寺の外には出たものの、向かう方向は人里ではなかった。

もしかして聖の用事がある場所って……。

 

「ここで少し待っていて下さい」

 

聖の言葉で立ち止まって、辺りを見渡す。そこは間違えようもなく、私が普段、人間たちを驚かす為に足を運んでいる命蓮寺の墓地だった。

 

「…………ここで何をするの?」

 

「……………………………………。」

 

聖は何も言わずに、目線を下へと落とした。そこには何か謎の物体に、大きな白い布が被せられていた。

 

「これは何?」

 

真っ白な布が不自然な盛り上がり方をしている。もしかして私にこれを見せるために、ここまで連れてこられたのだろうか?聖は私の質問にしばらく答えなかった。しばしの沈黙がこの場に流れる。そして、聖は唐突に口を開いてこう言った。

 

「…………これは人間の子供のご遺体ですよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それからは私の知らない光景が続いた。私たちが墓地に着いて、三十分後に人里の人間が十人ほど来たのだ。そしてそのまま葬儀と言うよりは、供養に近い事をした。聖が念仏を唱えて、遺体を土に埋める。ただそれだけ。私はてっきり骨だけを埋めると思っていたのだが、それは人間、一人一人の考え方によって違うらしい。命蓮寺が供養する場合は、燃やさないで埋めるのだとか。そして聖が私にしてほしかった事は、それの手伝いだった。と言っても私は特に大した事は、何一つとしてしていないが。しかしそれでも少し堅苦しい雰囲気に疲れたのは事実なのだ。そんな私が一旦落ち着けるようになったのは、人里の人間たちが皆、帰った後だった。

 

「聖がこう言う事をしてたのは知ってたけど、実際目の当たりにするのは初めてだったよ」

 

全ての行司が終わり、私は息を吐きながら地面に腰を下ろしてそう言った。

 

「小傘ちゃんは、もっと古いお墓に行ってますもんね」

 

そう。私が普段、通っているのはもう何年も前に埋められた人間がいる墓地なのだ。だから新しい墓地で行われているこの供養は、事実初めて見ることになる。

 

「もしかしてさ、昨日の夜、しばらく聖と星がいなかったのって、これの準備をするため?」

 

昨日は私たちが全員、食事を終えた頃に、聖と星が帰ってきた。しかしそれからもまだ用事があったらしく、星と交代するようにマミゾウを連れて、また聖は出ていってしまったのだ。なにやら忙しそうだなと思っていたが、こう考えれば十分に辻褄(つじつま)が合う。

 

「そうですよ。昨日は遺体をこちらで預からせて頂いて、念のためにと防腐の術をかけていたりしてましたからね。そのせいで小傘ちゃんと一緒に食事をすることができませんでした」

 

聖は残念とばかりに自分の頬に手を当てた。しかし今日、供養された子供は三日前に亡くなった子だ。何でも階段から落ちて、頭を強く打ってしまったらしい。三日前に死んでしまった子なら、少し防腐の術をするには遅かったんじゃないだろうか?しかしそれは私の考えが及ばない何かの理由があるのだろう。この疑問はそうひとまず置いておけるが、私がずっと思っていたもう一つの疑問は置いておけるものではなかった。

 

「でも何で私をここに連れてきたの?」

 

他にも手の空いている者はいたはずだ。しかも私より場馴れしているに違いなかった。なのにわざわざ私を呼んでここに連れてきたのだろうか?

 

「だって、最近は小傘ちゃんとこうして接する機会が少なかったので……。」

 

「…………それだけ?」

 

「はい。それだけです」

 

思わず乾いた笑いが溢れる。

変なところで我がままで子供っぽい。本当におかしな住職だ。

 

「まぁいっか。じゃあ今日はもうこれで私のやることは終わりだよね」

 

「何を言っているのですか?さっきの読経(どきょう)、所々間違えてましたよ。帰ったら私と一緒に覚え直しましょう」

 

「………………………………。」

 

うわ、最悪。と心の中で思ったりもしたのだが、口に出すとまた聖から説教を食らいそうなので、ここは自分の中に(とど)めておく。

 

「はぁ……。じゃあさっさと昼食を食べて、すぐに終わらせよう」

 

「はい。小傘ちゃんと食事をするのは久しぶりなので楽しみです」

 

「私はナズーリンの料理が楽しみ。本当にナズーリンは料理、上手になったよね。特に肉料理は絶品だった」

 

「もう。本当は駄目なんですよ」

 

「いいじゃん。たまにはさ」

 

私たちは笑い合って会話をする。こうして聖とちゃんと話したのはいつ以来だろうか?笑い合ったのはいつ以来だろうか?一緒に歩いたのはいつ以来だろうか?そして、聖の前で素直になれなくなったのはいつ以来だろうか?本当はもっと話したい。本当はもっと甘えたい。しかし私はなぜかそうできないのだ。それは段々と態度にも表れて、そして命蓮寺に行く機会もめっきり減った。でも本当に、たまにならーーーー

 

 

「また顔を出してみるのもいいかな?」

 

「小傘ちゃん、どうしました?」

 

「何でもなぁ~い」

 

そうして私たち二人は、並んで命蓮寺への道を共に歩いて帰った。

 

 

 

 

 

 

 




さて、先ずはこんな稚拙な文章を読まさせてしまい申し訳ありません。取り合えずそれが言いたかったです。本格的な直しをする時間があまりとれなかったのもので……。理系じゃなくて、文系脳に生まれたかったです。

話は変わりまして、今回は私が一から百まで考えた話ではなく、ある東方の漫画さんからアイディアをとって使用させていただきました。と言っても少し参考にした程度で、パクりではないのでご安心下さい。あとこれに騙されないで下さいね。同人作品の漫画なので、《鈴奈庵》とかじゃありませんよ。だからもしかすると、その漫画を知っている方はすぐに解けるかもしれませんね。

ヒントは二つだけ出しましょうかね。







ヒント1 今回はタイトル、話に関係ないですよ。












ヒント2 登場人物の能力を把握していないと解けません。


以上で。かなり軽いヒントですが、まぁ解けると思います。返信はゆっくり返していきます。

あと数回でこのシリーズも区切りをつけようかなと思います。他にも書くべき話がかなりあって、そちらに時間を割かなければならないので。あと作者の頭では、この数の話しか思い浮かばないんですよ。つまりはネタ切れです。これ以外出すと、話のクオリティーが下がるので、それだけは止めたいんですよね。


あっさり解かれてしまったので、【解】の投稿を早めます。

週明けくらい?



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