凡才錬金術師と天才錬金術師   作:はごろもんフース

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風邪ひいて暇で読んでたら書きたくなった


外伝
if・烈風の騎士姫


  人が多い。王都の門をくぐったときに少年? が最初に思った事だった。

何処を見ても人、人の波。辺りを見渡せば、人々が少年? を見つめた。

本来であれば人をそれも貴族をじろじろと見るのは失礼にあたる。

しかし、少年? の格好や容姿がそんな常識を忘れさせていた。

 

 その少年? は一昔前に流行った衣装に身を包んでいた。

王都でそんなダサい格好をしていれば、道行く人の嘲笑をかうものだが、この少年? に送られたのは感嘆であった。

色鮮やかな桃色がかった長いブロンドと、幼いながらも綺麗な顔立ちが衣装とのギャップを生みだしている。

そんな美少女にも見え、美少年にも見えるその若い貴族に道行く人は興味津々で眺めていった。

 

「……あっ!」

 

 そんな人々の注目を一身に浴びていた少年? だが、辺りを見渡しとある場所に目を向け嬉しそうに微笑んだ。

少年?の目の先には銀色に輝く綺麗な甲冑を着込んだ騎士達が巡回をしているところであった。

それを見て少年? は緊張した面持ちで見つめた。

 

 この少年? 、いやこの少女の名前は、カリーヌ・デジレ・マイヤールという。

彼女が王都に来たのには理由があった。彼女には夢があるのだ。

故郷で通りすがりの騎士に助けられてから、ずっと夢を見ていた……騎士になる 夢を。

 

どうせなら、国一番の騎士……。

この国で一番の騎士と言えば、王様を警護する近衛の魔法騎士団しかない。

その騎士団に入るため、こうして男性の格好をしてまでカリンはここにやってきた。

そして目の前にはその夢見た騎士団が居た。

 

「よしっ」

 

 カリンはこれはチャンスだと思い、左手に勇気と言う言葉を書き込み舌を少し出して舐めた。

これはカリンの癖であった。昔助けてもらった騎士に怖くないのかと聞いた事がある。

その時にその騎士がこうすれば怖くないんだ……と呪いを見せてくれた。

それ以来この呪いを行なうと体の底から活気があふれ出し、自分は無敵だと思えるほどの勇気が湧いて来る。

 

「何が何でも入れてもらわなければ……」

 

 カリンは勇気が湧いてくるのを感じしっかりとした足取りで騎士団へと足を進める。

そんな様子をカリンを見ていた人々が心配そうに見つめた。

それでもカリンは止まらない、止められない。

本来であれば父親から紹介された人物の元に行ってからのほうが良かったのだろうが、見てしまったのだ。

自分が憧れ続けた人々を……。

 

「すいません」

「……」

 

 カリンが声を掛けると巡回をしていたであろう騎士がカリンを見た。

じっと無言で見つめてくる騎士に少しばかりカリンは怯むも用件を少し口早になりながらも告げる。

 

「私は……カリンと申します。田舎者でありますが、騎士団に入団したくて参りました」

「……」

「どうか上の人にお取次ぎお願いできませんか?」

 

 ドキドキと胸が鳴る中、カリンはしっかりと頭を下げ言葉を待った。

 

「……?」

 

 

 一分待ち、二分待ち、三分が経過した頃になりカリンは顔を上げる。

ずっと待っているが特に言葉も相手が動く気配もない。

それを不思議に思い顔を上げれば、さきほど同様の視線を騎士はずっとカリンに向けていた。

 

「……あの?」

「……ざーい」

「は?」

 

 不思議に思い声を掛ければ、ようやく騎士が何かを発した。

小さい物であったが為に聴こえなかったが、確かに何かを言った。

カリンは首を傾げ、ほかの騎士のほうに視線を向けるも他の騎士は辺りを見渡して警邏を続けている。

仕事の邪魔をこれ以上する訳にもいかず、イライラを溜めながら待っていれば騎士が大声をいきなりあげた。

 

『ウイル様バンザーーーーイ!!』

「ひぅ……」

『カリオストロ様一番可愛い!!』

 

 それはあまりにも大きな声でカリンは思わず身を竦ませた。

騎士は、ウイルとカルオストロと言う人物の名前を連呼して両手を上げては降ろす動作を繰り返した。

 

「なっなっなっ……!?」

「あぁ……三時か」

「早いなーもう三時か」

 

 目の前の騎士の行動にカリンが驚いていれば、道行く人はカリンから目を離し我に帰るとそう言って去っていく。

あまりな出来事にキョロキョロとカリンが辺りを見渡すと辺りの人も慣れたような態度ですごしていた。

この騎士の行動に驚いていたのはカリン一人であった。

 

「……あっ、失礼。魔法騎士団入部希望者ですね?」

「え? あ……はい」

「騎士団に入るには軽い面接と入団テストをして、合格すれば晴れて騎士習いとして入っていただきます」

「そう……なんですか」

 

 先ほどの事など何もなかったように振舞う騎士にカリンは薄ら寒い物を感じた。

それでも逃げ出さなかったのは急な事と夢に一歩近づいたためだ。

教えてくれた騎士が案内しますね、と言って隊長格の人物に抜ける事を言ってカリンを案内する。

そんな騎士にカリンは先ほどの事を思い出し、本当に付いていってもいいのかと自問自答するも結局は付いていくことにした。

 

 

 

 

 

 

 カリンがテストに合格してから三ヵ月後、王城の執務室で二人の男性が椅子に座りテーブルに齧りついていた。

ガリガリと音を立て、あるいは幾つもの書類に目を通し判子を押していく。

二人の作業はこれの繰り返しである。

 

「なぁ……」

「なんだ」

 

 暫く二人の男性がそんな事を続けていれば、片方の男性が言葉を発した。

その男性は、二十前半かそこらと思われる男性でスラっとした体つきでありながらも腕などは筋肉が付いていた。

髪は夜を思わせるほど黒く、少しばかり伸びた髪が所々だらしなく跳ねている。

十人に十とはいかないが、そこそこのハンサム顔で女性受けも良さそうな男性、ウイル・ツチールが目の前の同僚へと声をかける。

 

「王様が、戦じゃー!!! とか言ってさっき走って行ったぞ」

「ふ~ん……はっ?」

「王様が嬉しそうに戦の準備をしていた……OK?」

「聞いてないぞ!!!!」

 

 何気なくウイルが言えば、もう片方の男性は机を力いっぱい叩き、怒りを表す。

その男性もウイル同様の年齢と黒髪であった。

ウイルと違い、その男性は黒髪を後ろに撫で付け切れ長の鋭い目をしている。

トリステイン王国の若き大公のエスターシュだ。

若いながらも宰相を務めており、トリステインの政治・経済を一手に引き受けいる人物だ。

この二人は同じ魔法学院出身で友人同士であり、今現在同じ職場で頭を悩ます仲であった。

 

「あんの戦馬鹿! 戦にどれだけの人と金と時間が掛かると思っている!」

「あっはっは、大変だな!」

 

 荒々しく立ち上がったエスターシュであったが、すぐに力なく椅子に座り込むとそのまま項垂れた。

そんなエスターシュをウイルは笑い、自分の書類を片付けていく。

そのウイルの余裕そうな態度にエスターシュは一縷の希望を持った。

 

「……なぁウイル」

「なんだ?」

「俺達……親友だよな」

「そうだな」

 

 そんなことを言ってくるエスターシュにウイルは遠い目となり、昔を思い出す。

様々なことをして馬鹿騒ぎして争って……実に楽しかったなと思い出に心を馳せた。

 

「頼む! 書類を手伝ってくれ!」

「いいよ」

「……無理か、え?」

「構わないぞ」

 

 頭を下げ無理を承知で頼んでみればウイルは呆気なく答えた。

その答えにエスターシュのほうが呆気に取られるぐらいで口を開けてウイルを見つめた。

ウイルは、自分の終わった書類をまとめ机で整えながら、隣の書類へと手に掛けた。

 

「いいのか?」

「おう!」

「っ!! ありが……「俺の仕事も後で手伝ってくれたらな」……なに?」

「いや……戦終わって書類が片付いたらでいいんだ」

「なるほど……確かにそれなら問題ないな」

 

 ウイルの言葉にやっぱり裏があったかと思うも、次の言葉で霧散した。

ウイルは手伝うのは落ち着いたらでいいといってくれた。

これにはエスターシュも涙が出るほど嬉しく心に来た。

やはり持つべき者は親友だよなと思い、一度国の転覆も考えたが白紙にして良かったと思った。

 

「……それじゃ」

「……待て、お前の仕事ってなんだ?」

「ちっ」

 

 そんなことを思ったが、ふと思い出した事がありエスターシュは質問をした。

ウイルはその質問に気付いたかとばかりに舌打をかました。

エスターシュは政治と経済を自分が担当しているのを思い出したのだ。

この国の大きな事柄に置いて仕事を分けると三つ。

そのうちの二つをエスターシュが。残りの一つをウイルが行なっている。

 

「……お前の担当は外交だったよな」

「そうだな」

「……今何処と外交を行なっている」

「……」

 

 エスターシュの言葉にウイルは笑みを浮かべたまま明後日の方向を向いた。

そしてポツリと呟いた。

 

「吸血鬼とオーク……」

「さてと仕事に戻るか……あっ、先ほどの件はなしで頼む」

 

 ウイルの言葉を聞いてエスターシュは先ほどの手伝いの件を取り消した。

これに慌てたのはウイルのほうだ。よほど仕事が大変なのだろう、急いで取り繕うように声をかけてくる。

 

「オークのほうだけでも無理?」

「吸血鬼はいいのか」

「あっちは元々人間と共存しなきゃやっていけない種族だし楽なんだ」

 

 ハルケギニアにおいて吸血鬼とは亜人の中でもポピュラーで非常に恐れられている種族である。

人間同様の姿をしていて異常な力と生命力、更には先住魔法を使い血を吸って殺した相手をグールにすることが出来る。

グールは生前と姿かたち変わらず、更には吸血鬼本体の苦手な太陽の下でも活動が可能だ。

そんな種族相手に外交などしたくないとエスターシュは思うも、ウイルにとってはオークよりましらしい。

 

「……オークってそんなに大変なのか?」

「同盟組みませんか? よし! 戦うか! 案件持って来ました! よし! 戦うか!」

「……」

「この繰り返しだ、知性も人間同様であり筋力が凄い戦闘種族……毎回話し合いの度に死闘なんだけど……」

 

 そう言って今度はウイルが机へと倒れこむ。

よく見ればだ。ウイルの体のあちこちに包帯が巻かれており、そのオークとの死闘を傷が物語っていた。

 

「……よく死なないな、あんな奴等と対峙して」

「オークつっても種類があるからな、よく人間に危害を加える奴は知性からして論外の奴だし。俺が相手をしてるオークはむしろ紳士だ」

「……オークがか?」

「おう、よく誤解されるけど基本人は襲わないぞ? 強い人間以外はだけど」

「そうなのか」

 

 ウイルの言葉にエスターシュは眉を潜め、一度見てみるのもありかと思い立つ。

外交を繰り返しているということは、近いうち議題に上がり政治や経済面としても見ていかなければいけなくなる。

今度ウイルが行く時にでも何人か腕利きを連れて行き様子を見るかとエスターシュは考えた。

 

「ちなみに戦いってどんなのだ?」

「一対一の戦いでほぼ近接戦闘」

「パス、無理。というかメイジにそんな事をさせるな」

 

 そう考えていたが、ウイルの言葉を聞いて方向転換した。

メイジとは後ろで魔法を撃って戦う者、間違っても近接メインではない。

しかもだ。オークの筋力は人間をはるかに越えており、丸太をぶん回すような相手に近接で挑みたくない。

むしろ目の前の友人はどうして生きているのだろうかとエスターシュは不思議に思った。

 

「そこは……ほら『フライ』で移動し、『ライトネス』を相手にかけて重さをなくしで投げ飛ばしたり。後は振ってきた棍棒が当たりそうなら『レビテーション』で速度を殺し、『硬化』の魔法で防ぐ」

「……」

「『念力』の魔法で相手の服を操り、服を絡ませて動けなくしたり。錬金で相手の服を金属に変えて動けなくして……まぁ、やり方次第?」

 

 そこまで聞いてエスターシュは頷き察した。

 

「お前以外は無理だ」

「……ですよねー」

 

 この返答が返って来ることをウイルも察していたのだろう。

机にぐったりとしながらも頷き、姿勢を戻し書類を手に取った。

結局の所、互いに自分の仕事で手一杯で相手を気遣ってる余裕がない事だけが分かった。

 

「というより何で外交が亜人中心なんだ?」

「カリオストロが素材は近くにあったほうがよくね? とか言い出して王様がやれと」

「……ロマリアの神官共はどうした」

「何かカリオストロと個室で話し合っていた神官が『カリオストロ様可愛い! 世界一ィィィィィィ!!』とかしか叫ばなくなってね」

「……」

「異端だ! とか騒いでた連中も声をかけるたびにそんな奇声を発する同僚を見て寝返った」

 

 これにはエスターシュも書類を置き頭を抱えるしかない。

そういえば、最近ロマリア関連がやけに大人しいなと思っていたがそんな裏があるとは思わなかったのだ。

 

「というより、あの変な事を叫んで街を巡回する魔法騎士団もやっぱりお前等のせいか」

「俺のせいにしないでくれ」

 

 最近になり魔法騎士団の一部が街を定期的に巡回するようになったのだが、とある時間帯になると叫びだすのだ。

その叫びを住人達も最初こそ怯えながら見ていたが、暫くすれば害がないことが分かり慣れていった。

むしろいつも同じ時間帯に叫ぶので最早時計代わりにすらなっている。

 

 そんな報告を受けエスターシュは頭を抱えていたが、関わっているであろう人物が容易に想像出来、無視した。

下手に藪を突っついてカリオストロが出てきたら目も当てられない。

 

「というか、お前の使い魔だろう。どうにかしろ、この国が殆ど乗っ取られてるじゃないか」

「出来るもんならお前がしてみろ……あれを俺にどうしろと?」

 

 エスターシュが今現在のトリステインの状況を思い出し、提案するもウイルが跳ね除けた。

今現在の国の状況は至って良好だ。法も整備され、経済は発達し回りだし、外交も上手くいっている。

その国で暮らす一般人にとってはまさに幸せな時期だ。……あくまで一般人はだが。

 

ことの始まりは、ウイルの使い魔であるカリオストロの容姿が至って美しいとの噂を聞き王様が謁見をさせたこと。

身長が低く子供に見られがちなカリオストロであったが美貌は本物だ。

フィリップ三世は大層気に入り、気分を良くしてカリオストロに手を出した。手を出してしまった。

 

本来であれば相手は王様、手を出せないような存在で抵抗の余地なしなのだが、そこはカリオストロ。

手を出してきたフィリップ三世を滅多滅多に叩きのめし吊るし上げた。

それを見て周りの貴族も応戦するも全て十秒足らずに叩きのめされ、抵抗する人も出ず呆気なく城が制圧をされる。

とは言うもののカリオストロも国が欲しいわけでもないので直ぐに開放し、オレ様にそんな趣味はないと強くフィリップ三世に言って騒動が終わった。

 

 ここでカリオストロには手を出さないと誓い終われば良かったのだが、そうは問屋を下ろさない。

フィリップ三世とは、元より武人の類の人間だ。戦に出れば恵まれた体格と才能で幾多の敵を打ち破る『英雄王』。

そんなフィリップ三世の琴線にカリオストロは触れてしまったらしい。それ以来、よりカリオストロを気に入り言いなりになってしまった。

 

「不幸な事件だった」

「……どうすんだよ、これから」

「……知るかよ。最近さ、王様の俺を見る視線が怖いんだけど……あれだよあれ、嫉妬や恨みで燃え上がってるよ」

 

 ウイルは最近自分を見る王様の視線を思い出しゲンナリとした表情をした。

男に興味がないカリオストロが唯一傍に置く存在が己の主人であるウイルのみである。

王様なのに部下の使い魔に手を出せず、部下は使い魔とイチャイチャとしだす。

そんな悪循環の中、フィリップ三世とウイルの苦悩は続く。

 

「……王がお前を恨むのは他にも理由あるけどな」

「……まじでやめて欲しい」

「何がですの?」

「出たよ」

「出たな」

「???」

 

 そんな話題を続けていれば噂話をしていた人物が執務室に顔を出した。

その人物は、十二、三歳ほどの利発そうな少女だ。

その少女は少しの間、エスターシュとウイルを見比べ不思議そうにするも直ぐに気を取り直し、ウイルの背中へと回り込み抱きしめた。

 

「はしたないのでやめてもらえません?」

「むーっ、ウイルは相変わらず私に冷たいですわ」

「お仕事中ですし、異性である自分に姫様がそのようなことをするのはいかがと」

 

 至極当然の事をサラっと言えば、少女――マリアンヌ姫殿下は頬を膨らませて離れる。

そう、このお姫様こそがウイルの最近の悩みであり、フィリップ三世からきつくされる理由の一つでもあった。

マリアンヌ姫殿下、フィリップ三世の娘で彼は彼女の事を大層大事に大事に育てている。

フィリップ三世は正に目に入れても痛くないとばかりに親馬鹿なのだ。

 

 そんな可愛い姫の恋する相手がウイルであった。

マリアンヌにとって周りの男性からチヤホヤされるのが日常だ。

栗色のまばゆい髪に、大粒の瞳。見れば誰もが傅くような気品と雰囲気を醸し出していた。

そんなマリアンヌを見て誰もがうっとりとする中、ウイルだけが特に何の反応を見せない。

それが姫様がウイルに執着する理由である。

 

 ウイルとしては姫様も可愛いがそれ以上に可愛い子? が傍に居る為の反応であったが、それでも姫様は気に入らないらしい。

初めて会ってからというものの暇を見つければこうやって誘惑をしてくるのだ。

それがフィリップ三世の怒りを買っていくこととなっていた。

 

「手を出せば?」

「マリアンヌ姫君がカリオストロに銅像にされる」

 

 友人であるエスターシュは解決策とばかりにとんでもない発言をした。

それをウイルは首を振り即座に否定する。そんなことを姫様の目の前ですればマリアンヌは更に膨れた。

なんと言う悪循環、ウイルが相手にしなければマリアンヌの攻勢が強まり、フィリップ三世が怒り。

手を出せば、カリオストロが何をするか分からない、更にフィリップ三世の怒りを買う。

どちらにしろ詰んでいる状態である。

 

「ほら……俺以外にも居るじゃないですか、朴念仁が」

 

 どうにか自分から視線を外させようとウイルは、マリアンヌに反応しない人をあげた。

 

「サンドリオンにはカリーヌが居るではありませんか」

 

 魔法騎士団のサンドリオンをあげるも即座に反論されて終わった。

サンドリオン、酒ばかりを飲むが腕前は凄い魔法騎士団員である男性だ。

女性に興味がないと言っていて、近寄り難い雰囲気を出していたのだが、この間生き別れた恋人と会ったとかで熱に浮かされている。

もう少し早めに姫様のお相手をさせていればよかったと後悔するも遅かった。

 

「ですよね……ならカリンなどいかがですか? 年も近いですし腕も立ちます。俺よりも容姿が優れ素晴らしい貴族ですよ?」

「最近分かりましたけど……カリンって女性ですよね」

 

 次に上げたのはカリンだ。

カリンは魔法騎士団テストで素晴らしい腕を披露し、一ヶ月の見習いの後正式に騎士へと成り上がった。

容姿と魔法の腕にも優れて、年も近いと言う事で姫様の護衛を即座に任せる。

男装をしており、少年に見えるも中身が女性なので姫様に手を出す心配もないと言う安牌で逸材であった。

出来れば少年と騙されて姫様の関心が其方に向かないかなと思っていたのだが……見事にバレたらしい。

 

「……あー」

「水浴びしてる所を見てしまいました」

 

 なんと言うか、やはりと言うべきか詰めが甘いところがカリンにはあった。

今回はそれが見事に嵌りバレてしまったらしい。

最近姫様の攻勢が弱まったと思ってほっとしていたのにとウイルは内心呟いた。

 

「姫様!!」

「あら、カリン」

「……仕事したい」

 

 そんな事をしていれば、執務室の扉が壊れるほど叩き付けられ開いた。

エスターシュとウイルが互いに顔を合わせて疲れた表情で見合わせ、扉のほうへと視線を向ければ、怒ったカリンが立っている。

カリンは姫様を見て少し微笑むも直ぐに近くに居たウイルを見て顔を顰めた。

 

「姫様、お離れ下さい。そいつは卑怯者です」

「もう……カリンはいつもそればかりね」

「はぁ……」

 

 何度も行なわれた行為にウイルはため息を吐いた。

カリンと顔を合わせるといつもこうなるのだ。

前にカリンが手合わせをお願いしたいと言って来た事があり、それを受けたのだが……。

それ以来ずっと目の敵にされ、こんな態度を取られ続けていた。

 

「卑怯って……一応戦術だ、戦術」

「うるさい! 私は認めないぞ!」

「……前から思ってけど、何をしたんだ?」

 

 本来であれば上官とも言えるウイルに楯突く事は許されない。

それなのにカリンはお構い無しとばかりに噛み付いてきた。

エスターシュはそれを眺めるばかりであったが、流石にここまで執拗に行なわれる行為に疑問に思い質問を投げかけた。

 

「何って……『念力』でカリンのマントを操って簀巻きにして降参するまで擽った」

「あー……」

「わ、私をあんな目にあ、遭わせて……た、ただで済むと思うなよ!」

 

 ウイルの問いにエスターシュは遠くを見つめ、カリンは顔を真っ赤にさせて怒鳴った。

擽った際にやり過ぎたかなと思ったが、カリンが降参しないのが悪いと即座に決めた。

ウイルの徹底的にやる性格とカリンの負けず嫌いな性格は見事に一致し、更に悪循環を生む。

 

「……そこまで言うなら本気の本気で相手をしてやってもいいぞ。今度は泣いてもやめないけどな」

「っ……!!」

 

 流石にこれ以上何かされても困るなと思い徹底的にカリンを打ちのめそうかとウイルは思った。

元よりカリンは臆病な性格をしている、此方も本気の態度だと言うことを示せば引くかも知れない。

そう……思っていた。

 

「そ、その……なんだ、てっ、徹底的に弄られるということか」

「あん?」

 

 顔を青くして引き下がると思っていたカリンだが、何やら様子がおかしい。

顔を青くする所か顔を真っ赤にさせ、しどろもどろになり視線をあちら此方に彷徨わせ始めた。

そんなカリンを見てウイルはたらりと冷や汗を掻く。

今まで負けず嫌いな性格と騎士道精神に赴いて此方に突っかかってきていたと思っていたのだが、些か違うらしい。

 

「……いや弄らないけど」

「そ、そうか……そうか」

 

 何やら期待した視線を此方へと向けられていたので試しに否定すればシュンと怒られた子犬のように大人しくなった。

そんなカリンの様子にウイルは確信を得た、得てしまった。

 

「……やっぱりやるか」

「そうか!」

 

 パーと輝くカリンを見てウイルはがっくりと肩を落とし、机に倒れこんだ。

カリン――カリーヌ・デジレ・マイヤール。

その本性は臆病で弄られるのが大好きなドMだった。

 

「ねぇ、ウイル……今度遠乗り行きませんこと?」

「姫様、今からこいつはわ、私が成敗され……するので」

「……タスケテ」

 

 ゆさゆさと揺らされながらウイルは痛むお腹を押さえ、相方へと視線を送った。

しかし、エスターシュはそれを見ないようにしながら自分の書類へと取り掛かっており、完全無視を決め込んでいた。

 

「ねぇねぇ、ウイル~。 今度は……あんっ?」

「あらあら」

「……」

 

 そんな生き地獄を味わっていれば、閻魔大王が執務室へと乱入してきた。

金色に靡く綺麗な髪にまつげから鼻、口、目と全てが計算された美貌を持ち。

可愛らしい口から出る声も聞いただけで癒され、頬を染め上げる。

そんな完璧な存在であり、ウイルの使い魔であるカリオストロが顔を出したのである。

 

カリオストロが顔を出せば雰囲気が一変する。

先ほどまで暢気だった雰囲気が急激に下がり、寒いものへと変化した。

マリアンヌは笑っているが冷たい笑みで。

カリンは真顔となり、何の感情も篭ってない瞳で。

カリオストロはいつものように自信満々で余裕を見せて二人を見た。

 

「お前等、邪魔だ。退け」

「あら、私はこの国のお姫様ですもの。何処に居てもおかしくありませんわ」

「はっ! 何がこの国だ。既にオレ様の国になってんだよ」

 

 カリオストロがしっしと猫でも払うように手を動かせば、マリアンヌの額に青筋が出て言葉を返した。

しかし、そこはカリオストロ。マリアンヌの言葉など何処吹く風で呆気なく吹き返す。

そんな二人をカリンは腰にある杖に手をかけ今か今かと抜く瞬間を待っていた。

 

「くっくっく……なんだ図星で何も言えないか?」

「っ……!」

「姫様、こいつは私が」

「無理だっての……てかお前等にもこの国にも執着ねーから」

 

 そう言って、カリオストロはため息を吐いて二人を押しのけるとウイルの膝上へと座った。

 

「なぁ!」

「っ……!」

「ふふん♪」

 

 そうすれば、残りの二人が絶句し、それを見てカリオストロは勝ち誇る。

そして、カリオストロは上を向いてにっこりと笑い言い放った。

 

「ここはぁ~……カリオストロの特等席なの☆」

 

 カリオストロの言葉に鬼の様な表情をする二人を見て、ウイルは痛むお腹を押さえ、カリオストロが持ってきた書類へと目を向け……

 

『エルフとの外交について』

 

正真正銘、今度こそ倒れこんだ。




《カリオストロ》
最強無敵の美少女錬金術士☆
どの時代でもやりたい放題の無敵っぷりである
ちなみに魔法騎士団の中には『カリオストロのふぁんくらぶ』というなの騎士団が存在したりする

《ウイル》
どの時代でも胃痛でお腹を押さえる人
学生時代に特に何も起きず、そのままお城遣えとなる
その際に親友であったエスターシュのお抱えとなり、今では宰相補佐の位置へとついた

《カリン》
烈風の騎士姫においてヒロインにして主人公の少女
騎士姫でもキスをされて抵抗できなかったりとくっころタイプだと思った
この作品だとウイルに弄られ何かに目覚めている

《エスターシュ》
学生時代からウイルとつるんでいた原作の悪役
悪役であるも有能の一言に尽きる
現在は国をまともにしようと精一杯頑張り中

《マリアンヌ》
さすがはアンリエッタの母親だわと思った
恋に恋し自分に恋する女の子
現在三つ巴中

《フィリップ三世》
戦好きの英雄王
カリオストロの強さと美貌に惑わされて色々と終わってるお人
正し本人は戦が出来、ストレスフリーなため幸せである
最近はウイル暗殺計画練っている、どうせ失敗で終わる

《サンドリオン》
ルイズパパさん
恋人を殺したと思ったらなんか生き返って目の前に居る
少し不思議に思うも現在国が吸血鬼やオークなどと言った異種族と交流を深めようとしている為
特に気にせず寄りを戻す
ある意味で一番幸せな人物

《オーク》
紳士である
日本だと酷いイメージだが、海外だと戦闘民族な紳士さん
海外と日本でイメージが百八十度変わる種族である
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