「くっくっく、はーはははははは!!!」
暗い暗い部屋の中で一人の男性が大声で笑う。
お腹を抱え込み、何度も何度も机を叩いての大笑いだ。
目には涙を溜め、笑いすぎて咳を何度かした。
「ジョゼフ様?」
「おぉー……余の……げほげほ、み、水をくれ」
「は、はい!」
大笑いをしていた男性に一人のローブで身を隠した人が心配そうに声をかける。
声を掛けた人物は、ローブを羽織っているものの、声や体つきから女性だと判断できた。
その女性は、男性に恭しく水を入れたコップを渡すと男性は勢いよく飲み干し一息ついた。
「それで……いかがなさいましたか?」
「……忘れていた。これを見よ」
首を傾げ大笑いしていた男性を不思議そうに見つめる女性に、男性が一切れの手紙を手渡した。
「…………」
最初こそ真剣に中身を拝見していた女性だったが、次第に目は虚ろになり呆れた表情となる。
それを男性はニヤニヤと笑い、ただただ楽しそうに眺めた。
「どうだ?」
「………酷い」
手紙から顔を上げた女性へと男性が問いかければ一言、そう返って来た。
女性の言葉に男性はまたもや笑い出す。
「『手紙奪還の任務を請け負う』、まず絶対に請け負える理屈が書かれてません」
「あーはっはっはっは」
「『彼より良い所を見せ付ける』、この前負けたばかりでしょうに」
「ひーぃいっひっひっひ」
「『惚れさせ、結婚式を挙げ手に入れる(断られたら薬やギアスを使う)』、バレるでしょう!?」
「ごふっ……こ、殺される」
手紙に書かれている内容を読めば読むほど、男性は笑い倒れた。
女性は呆れ手紙を放り出し、男性は床に倒れ込み腹を抱えビクビクと動くだけとなる。
「失敗しますね。これ」
「だろうなー…はぁ、笑った笑った」
暫くし、男性が起き上がり手紙を拾い椅子に座った。
椅子に座ると手紙を机に放り投げ、女性へと顔を向ける。
「ミューズよ」
「はっ!」
「盗賊を五十ほどラ・ロシェールに集めよ」
「……はっ」
「そして
「………はっ……はい?」
恭しく項垂れていた女性は呆気に取られ男性を見上げる。
男性はニヤニヤと笑いながら
「!……承知しました。すぐさま受取りに戻ります」
呆気にとられていた女性であったが、男性の真意を悟ったのか嬉しそうに微笑む。
「くっくっく、後は……そうだな。イザベラのお気に入りを使うか」
「ふふふ……アレならさぞ役に立つでしょう」
二人だけにしか分からない会話を続けていく。
「更に……あの綺麗な客人には兄弟を使う」
「!あ、あの四人をお使いに?」
「ミューズやガンダールヴの件もあるからな、念のためだ。まぁ……今回は一人だけにしとくか」
女性は兄弟と言う単語に顔を引き攣らせる。
そんな女性を男性は気にせず、手紙に新たな作戦を書き込んでいく。
「作戦は―――」
嬉々として男性は作戦を立てていく。
ただただ、自分が楽しむために、物語を歪ませ、汚し、難易度を上げた。