こっちであまあまにカリオストロメイン。ちょい先のほうのネタバレあり。
時期は戦争終了後のお話かも知れない。
R-15要素あり……このぐらいならR-15だよね?
日にちは、バレンタイン当日。
「本当にお祭り騒ぎね」
既に何人もの男女のカップルを見かけ、少しばかりげんなりとした。
左を見ても右を見てもイチャイチャと学院全体が桃色に侵食されている。
(そういう私もなんだけど)
桃色の空気に気落ちするも顔を振り気分を入れ替える。
みんなは戦争が終わり、日常を目一杯楽しんでいるのだ。
それを鬱々とした気持ちで受け止めるのはいかがな物か。
(まさかウイルの発案を学院が受け入れるとはね)
気分を入れ替え、別の事を考える。
元々バレンタインというイベントはハルケギニアにはなかった。
カリオストロがサイトに日本のイベントを根掘り葉掘り聞きだし、ウイルが学院に提案したのだ。
『戦争も終わり、心が荒んでいる生徒もいるでしょうし、イベントをしてみては?』
と学院側も早く日常に戻れるようにとこれを承諾。
サイト含め教員と色々と話し合った結果、バレンタインと言うイベントの開催が決まった。
元より学院は未来の伴侶を見つける為の場所ともなってるので相性が良かったらしい。
「受取ってくれるかしら……受取ってくれるわよね♪」
廊下を歩いていたルイズは、手に持っていた可愛らしいラッピングをされた袋を見ながら呟く。
少々不恰好な出来になってしまったが、味見をしっかりとしている為、味は問題ない。
本当は『ちょこ』と言う物を渡すらしいが残念ながらハルケギニアになかった。
なので『クッキー』を焼いてみた。
試行回数三十回、そのうち十五回は作り方を間違えて失敗し、八回は隠し味を入れまずかった。
残りの六回は、普通に失敗した。
それでもなんとか形になり、こうして渡せる物が出来ただけでも僥倖だ。
(キュルケはコルベール先生にアタックしてるし。サイトはシエスタとティファと一緒に部屋に隔離。ギーシュはモンモランシーに付きっ切り。姫様はそもそもこの行事を知らない。そして……)
頭の中で邪魔をしそうな人物を除外していく。
今日のバレンタインデーに合わせ、それぞれが何処で何をしているのかは把握済みだ。
これも全ては愛する人と共に今日を過ごす為。
(うん、大変だったわね。大変だったなー……特にカリオストロが)
一番の強敵であった彼女の事を思い出す。
どちらがウイルと今日を過ごすか争いに争い、最終的に分けることとなった。
朝八時から十六時がルイズで十六時から零時まではカリオストロだ。
本当であれば、今日と言う特別な日を丸一日一緒に過ごしたかった。
(どちらかが、あぶれるよりましよね)
争って、どちらかが過ごせないよりはましと思い込む。
負けると思っていないが、もしも……もしも負けたのが自分だったら立ち直れないだろう。
(これを食べてもらって、ゆっくりと寄り添って今日を過ごす)
特別な事は要らない。ただただ、今日と言う日を一緒に過ごすのだ。
(寄り添って、寄り添って……でもでも、それで少しだけ大胆になって)
歩きながらニヤニヤと今後の時間を妄想して楽しむ。
脳内では、ウイルと寄り添い、抱きしめられ幸せそうな自分が思い浮かんでいた。
(キ、キスぐらいならいいわよね……婚約者だし、学院を卒業したら結婚するんだし)
脳内でウイルとキスを交わす光景が思い浮かび顔が真っ赤に染まる。
体の奥から熱くなり、カッカと火照る顔を両手で押さえる。
(やん♪……駄目よ、それ以上は……それ以上は結婚してからじゃないと)
頭の中では、押し倒され、唇から首筋、胸、お腹と軽くキスをされていく。
キスをされた場所が火傷のように熱くなり体が火照る。
そして……どんどんと口付けは下へ下へと移動し―――。
「きゃぁーーーーーー♪♪」
興奮し思わず、その場で嬉しい悲鳴をあげる。
片手は頬に当てたまま、もう片手を振りまわした。
やばい、やばい……考えただけで幸せ過ぎる。
「………えっと」
「……ん~~、ごほん」
そんな妄想に耽っていると通りかかったメイドの一人に見られ、意識が戻る。
頬を引きつらせているメイドから視線を外しワザとらしく咳をして何事もなかったように歩き出した。
(ほ、本当は……け、結婚してからだけど、男性は我慢出来ないものって聞いたし……うん、しょ、しょうがないわよね!)
心の中でしょうがない、しょうがないと呟きながらも期待をしつつ小屋へと向かう。
暫くすれば小屋が見え、胸が高鳴ってくる。
ドキドキと鳴る胸を押さえ、少し落ち着かせ中へと入った。
「ウイル~……えっと、ね?クッキーを作ってきたんだけど………あれ?」
なるべく自然に自然に入って渡そうとするも中には誰もいない。
いや、正確には一人だけいるのだ。
ハンモックで寝そべりながら本を読んでいるタバサしかいない。
「………」
右を見るもいない。
左を見てもタバサだけだ。
お風呂場とアトリエも見てみるが誰もいなかった。
(あれれ?)
きょとんとし首を傾げる。
今日はここでお父様から送られてきた書類の整理をしている筈だ。
昨日の夜にしっかりと聞いていたのだが、いない。
「ねぇ……タバサ?」
「………」
外へと出たのだろうか。
しょうがなく、タバサに声をかけウイルの居場所を聞くことにする。
タバサは、本から視線を外すとじっと此方を見てきた。
「ウイル知らない?」
「………んっ」
タバサに聞けば、大きな杖を机の上へと指した。
視線で辿り、机の上を見ると一枚の紙が置かれている。
それを拾い上げ中身を読んでいく。
-やっぱり、一日全部貰うわ byカリオストロ☆-
「えっと……」
もう一度読んでみる。変わらない。
下から読んでみる。やっぱり変わらない。
今度は………。
「………」
「………」
ぺらぺらと本を捲る音だけが部屋中に響き渡る。
理解できなかった頭が始動し、書かれている内容を理解した。
『か、カカカカッ!!カリオストロォォォォォォォォォォォ!!!!!』
部屋の中を怒号が響き渡る。
沸点が一気に限界を超え、魔力が全快を越え回復した。
今なら、タルブ戦以上の物を撃てそうだ。
「よーく理解出来たわ。やっぱり……アイツは敵ね!!敵!!!」
そして、ドアを壊れるぐらいに叩き付け外へと飛び出した。
♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡
「むふふ~♪」
「…………」『待てー!』『そっち行ったぞ!』『まわれまわれ!』
オレ様は機嫌が良かった。
好きな人の腕の中で抱き上げられ、お姫様だっこをされている。
ものすっごく幸せだ。
「ん~~♪♪」
ウイルの胸をぎゅっと掴み、頬を鍛えられた胸板に摺り寄せる。
なんだろうか、これは。
たったこれだけの行為、それなのに幸せ過ぎる。
息を吸い込みウイルの匂いを嗅げば、きゅんとお腹の奥が鳴り、体が火照る。
心は落ち着き、自然とウイルに身を任せる形で力を抜いた。
(あぁぁ~~、やべぇ……これはやばい。本当に幸せだ、癖になる)
もう一度頬を摺り寄せ、忘れないように感じ続ける。
猫になったようにごろごろと喉を鳴らし、擦り寄る。
「なぁ……ウイル」
「………なんだ?」
『ファイアーボール!!』『馬鹿、カリオストロちゃんも燃えるだろ!』『燃やすのは奴だけだ!』
上を見上げ、お気に入りの奴を見た。
必死な表情もやっぱり好い。
「最初はな。何が特別な日だと思ってたけど……いいなこれ」
「………」
「特別な日を特別な人と過ごす、幸せだ」
こんな事なら、もっと早めに過ごせばよかった。
他にも特別な日などいっぱい、あっただろうに……。
これはサイトが帰ってきたら他にもないか問いただすべきだな。
「あぁ……そうだな。好きな人と特別な日を過ごす、すっごい幸せだ」
「だろ?」
「だけどな……」
「うん?」
うっとりとした表情で問いかければ同意をしてくれる。
同意してくれて嬉しくなるも、ウイルの顔が曇った。
「追われてなかったらの話な!!」
『まてや!』『てめーばっかり、なんでだ!!』
ウイルの言葉に、後ろを見れば複数の男子学生が追いかけてきている。
なんでも『カリオストロちゃんファンクラブ(非公認)』だとか、正直しつこいから嫌なんだが……あいつら。
折角二人っきりで過ごそうと思ってたのに見つかってこの有様だ。
「ウイル……がんばれ❤がんばれ❤」
二人っきりになる為、ウイルの応援を始める。
頑張って引き離してくれ。
「てっめー!!!」「オレも応援して欲しい」「くっそ、いいな!」
なんか火に油を注いだみたいだ。
「お前等も彼女作ればいいだろ!いい機会なんだから!」
「うっせ!」「出来たら苦労しねーよ!」「あっ……ごめん、オレ婚約者いるわ」「おい、こいつも吊るそうぜ」
堪り兼ねてウイルが叫べば、何やら仲間割れをし始め、廊下に魔法が飛び跳ねる。
なんと言うか、嫉妬ってのは醜い物だなと再認識出来た。
どうせするなら可愛くやるべきだ。
そんな事を思っているとウイルが医務室へと入り込み、すぐさま『ロック』の魔法で鍵を閉める。
鍵を閉めた後、オレ様をベッドに置くと扉に耳を澄ませ安全を確認している。
それを見つつもベッドに座り、辺りを見渡す。
特に誰も居ないのか人の気配はない。
これはある意味でチャンスではないだろうか。
扉は閉まっている上に今日は学院は休みだ。
此処に来る生徒も先生も少ないだろう。
「………」
チャンスと思えば、すぐ行動。扉の前で耳を済ませているウイルへと近づき、腕を伸ばす。
扉に集中しているせいで此方には気付いていない。
「か、カリオストロ?」
「な~に……時間が勿体無いからな」
腕を伸ばしきり、ウイルをその場で押し倒す。
上に跨るように乗っかるとポケットから予め用意していたチョコを取り出す。
それを一粒口に咥える。
「なんでチョコが此処に?」
「おいおい、オレ様を誰だと思ってやがる。前の世界で食べた事あったしな、錬金でパパっと作れるさ」
不思議そうに咥えていたチョコを見ていたウイルに説明する。
その際に喋る為に咥えていたチョコを口に入れ食べる。
ほんのりとした甘みと苦さが大変美味しかった。
「えっと………」
「ん~~っ」
もう一度チョコを咥えると困惑するウイルの顔を両手で掴み、そのまま口移しでチョコを食べさせる。
最初こそ驚いていたウイルであったが、チョコを口に入れれば舌で絡めとり食べた。
「なんだ、結構乗り気じゃないか」
「そりゃ……な。俺も男だし」
以外に積極的なウイルに驚きながらもニヤニヤと笑う。
「それじゃ……もう一個、んっ」
口にもう一個チョコを咥え、そのまま口移しで食べさせる。
チョコが無くなるまでお互いに舌を絡め続ける。
「んっ……ちゅ、……はぁ」
「甘ったるいな」
「カリオストロ溶けちゃいそう」
チョコが無くなり、口を離せば唾液が糸となり舌と舌を繋げる。
暫く伸び続け、糸が切れる。
それを合図にもう一個、もう一個とチョコを食べ続けた。
最後の一個となるとウイルがオレ様の頭を抱え込み、深く深く繋がりあう。
「……もうないか」
「そりゃ残念だ。美味しかったよ、カリオストロ」
「そうか、ま、まぁ……オレ様が作った物だしな!美味くて当然だ」
暫くすれば、熱で溶け合い、最後のチョコは無くなる。
少し残念になるもウイルの素直な言葉に照れ、胸を張り答えた。
なんというか、初めて人の為に料理をしたが……嬉しいものだ。
「それで……そろそろ退いてもらえるとありがたいんだけど……」
「あぁん?……ここまでしたんだ。どうせならぁ~もっと先も楽しめばいいよねぇ?」
そう言って、先ほどからお尻に当たっている物を擦るように腰を動かす。
「あー………」
「しょうがないよなー……オレ様見たいな美少女にだもんな~……」
「あははは」
ウイルは気まずいのか頬を染め、視線を逸らす。
それをニヤニヤと見ながら腰を動かせば、すぐに元気に……。
「なぁ……いいだろ?」
「………はぁ」
舌を出し指を舐め、濡れた指で唇をなぞる。
ウイルは少し呆れるも直ぐに笑い、抱き寄せてくる。
「カリオストロ、あっまぁ〜いのが食べたいなっ☆」
「思いっきり甘ったるいのだな」
抱き寄せられ、口を………
「あたっ……」
合わせようとして扉が開きウイルの頭に直撃する。
ウイルが痛みに頭を押さえ、横に退いたので仕方が無く、上から降りる。
(ちっ……良い所だったのに誰だよ)
そんな事を思いつつも扉を開けた人物を見て硬直する。
外には桃色の悪魔が此方をすごい目で睨んでいた。
「カ~リ~オ~ス~ト~ロ~!!」
「あ~………あははは、よ、ようルイズ」
午前中の時間はルイズの時間だ。
それを奪い、潰したので些か気まずい。
「分かってるわよね……あんたの時間私が貰うから」
「それは断る」
まぁ……ルイズの言ってる事は正論だ、正論。
裏切ったのはオレ様のほうなので悪いのはオレ様だ。
しかしだ、好きな人との時間を取って何が悪い。
奪われる方が悪いのだ。
「あのね!!」
「そもそもだ、
「………そうだった、そうよね~……
「あ~……やばい。ちょっと待った!二人共!」
アハハ、ウフフとお互いに笑い合い、睨み合う。
どちらにしても譲る気はない。
そもそも……だ、結婚だぁ?
そんな物は認めてないし、正妻もお前じゃない。
『エオルー・スーヌ・フィル・ヤルンサクサ オス・スーヌ・ウリュ・ル・ラド・………』
『ファンタズマゴリア!!そして……!!これが、真理の一撃だ! 』
『『エクスー…/アルス……』』
『『プロージョン!!!/マグナァ!!!』』
この後、夜まで戦うも決着は付かず、結局の所バレンタインは終わりを迎えた。
余談だが戦いの余波でウイルは全治一ヶ月の怪我をした。
-オマケ・その頃のシャルロットちゃん!<青髭の来襲編>-
「あむっ」
何時もの様にお気に入りのハンモックの上で本を読み漁る。
ここにある本は殆どが『あの人』が書いた物なので実戦的だ。
それが凄くためになり、面白い。
本を読みつつ、お腹の上に置いてある袋からキャンディーを一粒手にして食べる。
日差しを浴びているせいか、少しばかり解けてしまい指に付いた。
それを舌で舐め取ると、甘い味が広がり、大変美味。
もう一個、もう一個と
特に邪魔をされることも無く、静かな部屋の中でのんびりと―――
『うわぁぁぁぁぁ、青髭用務員おじさんが大量に攻めてきたー!!』
「………」
『『『『うわははは、見よ。余の力を!!』』』』
「………」
外から聞こえてきた聞き覚えのある声に眉を潜める。
チラっと窓から外を覗き………。
『『『『イリュージョンで余を増やしてからの……加速!!』』』』
高速で移動し始める、自分の伯父が見えた。
眼鏡を外し、布で拭いてから外を見る。
『エクスプロージョン!!/アルス・マグナ!!』
『『『『うぼぁぁぁあ!!』』』』
今度は大量の伯父が魔法で吹き飛んでいく姿が見え、カーテンをそっと閉めた。
自分は何も見ていない。見ていない。
少しばかり疲れたのだろうか、眠った方が良いかも知れない。
そっと……自国で国の経営に四苦八苦しているであろう従姉に合掌した。
※ネタです。
《バレンタイン》
一年に一度やってくる憎きアレである。