凡才錬金術師と天才錬金術師   作:はごろもんフース

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オヒサシブリデス。
いろいろとありました……主にモチベーションがなくなったという。
ボーと過ごして無性に書きたくなったので投稿。
やる気が戻ったので更新を再開します。


三話:ルイズ泣く

「お久しぶりね、ルイズ」

「えぇ……オヒサシブリデス、ヒメサマ」

 

 目の前の人物を前に思考が回転する。何故この人が目の前に居るのだろうか、不思議でしょうがない。本来この人が一人でここに来る事自体がありえないのだ。

ゲルマニアと婚約前の御身に何かあったらと思えば自然と護衛も付くし、護衛が目を離すわけがない。

 

 それでも目の前には満足げに姫様が一人で立っていた。

これはどういうことだろうと思考の海に身を投じる。簡単に考えて、考えられるのは二つ。

一つは、マザリーニ枢機卿などが分かっていながらも見逃した。

もう一つは、暗殺者の類が姫様を誘い出し殺すために護衛を欺いた。

 

「どうかしましたか?」

「いえ……姫様はお一人で此方にいらっしゃったのですか?」

「はい……抜け出してきちゃいました」

 

 聞いてみれば、姫様はイタズラが成功したとばかりに嬉しそうに笑う。

そんな姿を見て二番目の線を疑う。今現在の姫様の価値は高い。

トリステインとゲルマニアが繋がる唯一の線なのだ。

暗殺者が狙って手を貸すのも頷ける。

しかし、今現に姫様はここに居る事を考えると一番目の考えの方が当たりのようだ。

 

 そこまで考えて、そっと窓に近づき耳を澄ますも外は静かであった。

姫様の泊まってる所とここの距離を考えれば十分な時間もあり二番目の線は完全に消えた。

今回の件は、マザリーニ枢機卿が見逃したのだろう。何のためにと問われれば、多分姫様への慰安なのだろうと簡単に思いついた。

 

「懐かしいわね、昔もこうしてよく会話をしましたね」

「そうですね、懐かしい限りです」

 

 互いにベッドに座り、笑顔で答えつつも思考は止めない。

何があるか分からないのが自分の居る場所だ。

皆が皆腹黒く何かの目的を持ち魑魅魍魎が跋扈する世界。

それが自分の居る場所、立ち位置。子供と言えどもヴァリエール家の三女なのだ。

どんな些細な行動でも将来に関わる為考え続けた。

何よりウイル(未来の夫)の不利になるような問題を残しておく事は許されない。

 

「それにしても昼間もこうしてお喋りが出来たらよかったのですが……」

「そうですね、()()()にお話をしたかったです」

 

 笑顔で言い切るも『その時』を少し強めに言い出す。

勿論、純粋と言うべきかこういった事に疎い姫様は自分から同意を受け嬉しそうに笑った。

同時に此方はあまり笑えない、今の姫様の言葉で全て分かってしまったのだ。

マザリーニ枢機卿は、慰安と同時に自分を政治利用したのだと。やられたと頭を抱えそうになった。

 

 こうして姫様の慰安だけに自分を使うなら昼間のお茶会で呼び出せばいい。

昔に姫様のお相手をした唯一の同世代なのだ。なのにそうせず、こうやって夜中にそっと姫様を寄越した。それは何故か考えれば簡単だ。『ヴァリエール家と王家は親しいのだぞ』と周りの貴族に知らしめるためだ。

 

 昼間に呼び出しお茶会に参加させれば、周りはどう考えるだろうか。

『ヴァリエール家と王家は仲が良い』……否だ。姫様のお相手をするのに丁度良い格なのだろうと思う。しかしだ、夜に姫様がお忍びでヴァリエール家三女の部屋に行ったとなればどうだろうか。

昼間の時と逆に『夜にお忍びで会うほど親しいのだ』と思うだろう。

 

(……っ! 姫様が外に嫁ぐとなると力を持っているヴァリエール家との仲は絶対)

「ルイズ?」

「い、いえ……何でもありませんわ。 おほほほほ……」

「こわっ……」

 

 笑顔を貼り付けるものの少し口元がひくついてることが自分でも分かった。

怪訝そうな姫様には優しく対応し、何かを言いたそうなサイトには鋭い視線を向けた。

 

『お前は何も喋るな』

『イエス! マム!』

 

 使い魔としての意思疎通機能がなくても視線だけで伝える。

そうしてみればサイトはビシっと手をおでこにあて背筋を伸ばし答える。

そのポーズの意味が分からないが意思が伝わったのだけは分かり、視線を姫様へと戻した。

思う所はあるが、既に起きてしまった事、明日の朝には枢機卿が流した噂が広まっているだろう。

『ヴァリエール家と王家は親密な関係だと』周りの貴族からヴァリエール家の外堀を埋めるつもりだ。

色々と考えを巡らせるも人は諦めも肝心だと思い枢機卿の掌の上で姫様と会話を続けていく事にした。

 

 

 

 

 

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

 

 

 

 

「姫様……楽しい時間でしたが、そろそろお戻りになられたほうが」

「……そうね、もうそんな時間なのね」

 

 

 あれから三十分ほど話し姫様を部屋に戻そうと声をかける。

流石にこれ以上の滞在は色々と問題が出てくる。

そもそも本当に枢機卿の計らいか分からないのだ。

これで姫様が本当に出し抜いて此処まで来ていたら騒ぎどころの話ではない。

 

「……」

「……姫様?」

 

 ベッドから立ち上がり姫様の手を取り扉に向かおうとしたのだが、姫様は立ち上がらない。

なにやら視線をあちら此方に向け目を泳がせる。その仕草に見覚えがある。

何かしらの言いづらいことがある時や悪い事をした時に行なう仕草だ。

 

(……何だろうか、嫌な予感がするわね)

「……ルイズ、自由って素敵よね」

「は……?」

 

 姫様の言葉で嫌な予感が更に膨れ上がり、勘が警報を鳴らす。

姫様を一刻も早く返そうと手に力を入れるも姫様自身力を入れて抵抗してるのでビクともしない。

 

「ひ、姫様。 私だって貴族の娘……そんなに自由なんてありませんわ」

「くっ……ル、ルイズ、でも姫のわ、私より自由はあるわ。……な……なんで力を入れるのかしら?」

「こ、これ以上滞在なさると騒ぎになりますもの……おほほほほ」

 

 互いにぐぐと力を込めての引っ張り合い。

一応笑みを浮かべ行なっているが内心はふさげんなと思った。

絶対何かしらの面倒な事を言いに来たに違いないと確信し放り出そうと頑張る。

 

「わ、わたくしね……結婚する……のよっ!!」

「そ、それはおめでとうございます!」

 

 もはや両腕で姫様の手を掴み力いっぱい引っ張った。

そうすればやっとの思いで姫様を立ち上がらせることに成功する。

しかし、姫様は意地でも話す気なのか足に力を入れ抵抗をする、生意気な。

 

「それで……!! わ、わたくしね、悩みがあるの!」

「そうですか、私より枢機卿のほうに相談なされたほうがよろしいですわ!」

「そ、そうもいかないのよ……何せ同盟が白紙になるかも知れない問題ですからっ!」

「はっ……?」

「きゃっ!?」

 

 姫様の言葉を聞いて思わず呆け手を離す。

そうすれば、力を入れていた姫様が吹っ飛ぶが気にしてられない。

今このポンコツ姫はなんと言っただろうか、同盟が白紙になる……意味が分からなかった。

 

「いや……え? いやいや、姫様!? むしろ同盟の問題でしたら枢機卿に相談するべきですよね!?」

「あいたたた……そうしたいのですが、その……」

 

 床に座り込む姫様に詰め寄り首元を掴み必死に揺らす。

冗談じゃない、これから私はウイルとの幸せな未来が待っているのだ。

ゲルマニアとの同盟が白紙になる。

そんなことが起きればレコン・キスタとの戦争はトリステイン単体で行なう事になる。

そうなればこの国は滅亡だ、この国に制空権を取られて単体で戦えるほどの力はない。

 

「何をしたんですかっ!!」

「えっと……その……アルビオン王家のウェールズ皇太子に手紙を……」

「……まさか恋文を?」

「てへ☆」

 

 舌を出し可愛く決める姫様に首元を締めたくなるも我慢する。

同盟が白紙になる問題となれば、婚姻を妨げる話だと想像がつく。

その為、顔を真っ青にしたが恋文と聞いてほっとした。

 

「なんだ……恋文程度じゃ白紙にはなりませんわ」

「そ、そうかしら?」

「えぇ」

 

 恋文程度なら証拠として突き出されてもシラを切れば問題ない。

何せ相手が作った偽者だと言って無視すればいいのだ。

ゲルマニアの皇帝だって恋文の一つや二つ程度で婚姻を取り止めなどにはしないだろう。

何しろ相手の目的が目的なのだ。小娘の恋の一つや二つ受け入れる技量ぐらいある筈だ。

 

「そうね……大丈夫よね!」

「はい、問題ありませんわ」

 

 

 互いに落ち着きを取り戻し互いににっこりと笑い合う。

最初こそどうなるかと思ったが、平和に終わりそうでなによりだ。

落ち着けば、姫様が未だに地面に座ってる事に気付き慌てて立ち上がり、手を差し出す。

 

 

「ありがとう」

「いえ、数々の無礼申し訳ありませんでした」

「いいのよ……私達、親友でしょ?」

 

 手を掴んで笑いかけそのような事を言う姫様に笑い返す。

 

「あー……良かったわ。そうよね、始祖ブリミルに誓った一文があるとしても問題ないわよね!」

「えぇ!! ……え?」

「あいたっ!?」

 

 手に力を込めて立ち上がろうとする姫様の手を離す。

そうすれば、立ち上がる途中の姫様が再度転ぶが無視だ。

今なんと言っただろうか。意味が分からず笑顔が固まる。

 

(始祖ブリミルに誓った? 何を? ルイズわかんなーい!)

「……ルイズ?」

 

 固まった笑顔から涙が溢れ出し床を濡らす。

色々と頭の中を過ぎるも早々に聞かなければいけないことが出来てしまった。

 

「……ブリミルに誓ったって……何をですか?」

「えっと……恋文の最後に『始祖ブリミルに誓います』と」

「オワッタ、オワタ」

「あれ?」

 

 出来たら違う文であってほしかった。

しかし、結果はこれだ。無情にも最悪な結末を迎えた。

ハルケギニアでは始祖ブリミルは絶対だ。何があろうと彼への誓いは果たされ、確立される。

例え戦争や何かが起きても始祖ブリミルの文を交えた偽者の証拠は作らない。

姫様の名前と文字で恋文を書き、ブリミルへと誓う文も書いた。

そんな物が敵の手に渡れば、姫様は始祖ブリミルに嘘をついたと言う事になる。

 

「わーーん!」

「えっと……やっぱり駄目でした?」

 

 力なく地面に座り込み大きく泣く。

折角手に入る筈だった幸せは彼方へと遠のき消えていった。

取り合えず、自分の頭ではどうにもならない事態にウイル(想い人)へと助けを求めた。




<主人公ズ>
ウイル「……」
カリオストロ「お前さ、発想力はいいんだ……発想は」
ウイル「……ありがとう」
カリオストロ「でもだ……頭の回転は良くないな」
ウイル「……」

目の前で真っ黒(カリオストロ)にされたオセロ版を見てウイルは泣いた

<マザリーニ枢機卿>
聖人。
今回姫様の慰安と国の未来のために動くも、姫様にぶち壊された模様
彼は泣いてもいいと思う

<泣き虫ルイズ>
原作と違い、心に余裕があり頭もいい可愛らしい女の子
未来に夢見て思いを馳せて、親友にぶち壊される女の子

<番犬サイト>
特に現状に不満なく、護衛を勤めている
今回の出来事は『やべー、やべー……逃げたい』と思い見ていた

<皇帝>
アンリエッタの恋などに興味はない。
目的は一つ、偉大な始祖ブリミルの血を自分の血筋に加えること
その為なら恋の一つや二つ目を瞑る……筈だったのだが、これはイカン

<夜に会いましょう>
勿論、アンリエッタの脱走劇など粗末なもの
何人かの生徒に無事目撃されていた模様
仕事とプライベートの違いは結構大きい

<引っ張り合い>
帰れよ! やだよ!

<手紙>
燃やせば解決
何故に持ち帰ったし

<ルイズわかんなーい>
原作と違い、怒るより泣く方が先にくる

<未来の夫or想い人>
ルイズ的には確定の未来

<始祖ブリミル>
いろいろな原因を作った人
ぶっちゃけ面倒臭い
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