注意②別作品の番外編的なやつなので、有栖とアリス読んでない場合、意味不明な部分多そうです。
注意③いえすろりーたのーたっち
有栖とアリス、別名金髪幼女を愛でる会
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なんだここ?
初めに出てきたのはそんな感想。
見渡せば薄暗い洞窟か何か。
薄緑色の石壁で囲まれたそこは、どこかの鍾乳洞か、それとも洞穴か。
…………にしては、どうにも規則正しい、と言うか、人工的な印象的を受ける。少なくとも、自然に出来たものと言われると違和感を覚える。何かの遺跡か?
と、まあそんな意味も無い推論は置いておいて、右も左も分からない現状、さてどうするか、と悩む。
目的として外に出ること。
オラリオ、とか言う街があるらしいので、それがどこかは分からないが、そこに向かわねば何も始まらない。
ここがどこなのか、と言うことすら分からないが、立ち止まっていても仕方ない。
動かねば何も変わらない、そんな思いに突き動かされて一歩、また一歩と歩き始める。
右に左にと歩くうちにやがて見つけたのは階段。
「……………………ふむ」
昇るべきか、昇らざるべきか。
普通に考えれば、外に出たいのなら出口、もしくは降り階段があるならそちらを見つけるべきだろう。
この遺跡のような場所が地上にあるのなら、だが。
ここもしかして地下なんじゃないのか、そんな予感が先ほどからひしひしとしている。
所詮は勘、だが存外この勘はバカにできない。もしそうだとするなら、進むべき道は上、と言うことになる。
だがこれが勘違いだとすると、上に昇ったところで出口が遠のくだけなのだが…………。
「……………………行くか」
勘を頼りに昇っていく。確かなことが無い以上、それでもいいか、と思う。
そんな思考の赴くままに階段を昇り…………。
そして俺は彼女と出会った。
* * *
「何やってんだ」
階段を上がった先はまた同じような岩壁の通路。
そこをさらに進んだ先、四ツ路に一人の少女がいた。
一目で気づく、人間じゃない。
見た目がどんなに人の形をしていても、どれほど人に似せていても。
見れば分かる、その中身があまりにも違い過ぎる。
「あく…………じゃない、こっちだと神だったか」
たしかこちらではあの総称は通用しないはずだ、もしかしたら神たちには通用するかもしれないが。
俺の呟きに、少女がこちらを振り向く。少女、と言うか幼女と言ったほうが正しいだろうか、正面から見ると思っていたよりも小柄で、幼そうだ。
黒い、それが俺の印象。腰まで伸びる黒い髪、眠そうに半分とじかかった目とその内に宿る夜を連想させる青と黒の混じった不思議な瞳、そしてまっ黒なゴシックドレス。対照的なほどに白いその肌が、余計にその黒さを印象付けている。
「……………………ぼーけんしゃ?」
どこか幼さの残る舌ったらずな口調で呟き、少女が首を傾げる。
「そう見えるか?」
問いかけに問いで返す俺の言葉に、けれど少女は気を悪くした様子もなく、フルフルと首を振る。
まあそうだろう、冒険者とか言う連中がいることは事前に知っている、だが事前の知識で知ったそいつらの恰好と比べ、自身の恰好は余りにラフすぎるだろう。
「まあそれはさておき、一つ聞きたいんだが…………ここどこだ?」
俺の問いに、少女が目をぱちくり、と瞬かせる。
数秒口を閉ざし、首を傾げ、そしてんー、と唸るような声を上げ。
「だんじょん」
そう答えた。
ダンジョン…………事前に教えてもらった場所である。
どうやら横軸が間違っていなかったらしい、縦軸が明らかにおかしいだけで。
一応オラリオとか言う街の近くは近くである、主に縦方向に。
たしかオラリオの街から地下へと延びるのが
と言うことは、このまま上へ上へと昇り続ければいつか街へと出るだろう。
「そっか…………ん、助かった」
それさえ分かれば少女にこれ以上の用は無い。
確か神はダンジョンに入ってはならないと聞いていたが、どうして入っているのか、そんなことすらどうでも良い。
だから礼だけ告げ、その場を去ろうとして…………。
余りにも唐突に、壁が割れた。
「…………なっ?!」
「…………あっ」
余りにも異質な光景に驚きの声を挙げる俺、そして小さく短く、一言だけ呟く少女。
「みつかった」
閉じかかった目の奥の瞳を僅かに揺らしながら、少女が呟く。
壁の亀裂が広がっていく、そしてまるでその向こう側から押し出されるように現れたのは二匹の異形。
まるで獣と人を足したような薄気味の悪いその姿に、僅かに眉根を潜める。
ゥルルルルルルルルル
獣人が唸る、紅く光る眼でこちらを、そして少女を見つめ。
ガァァァァァァァァ
獣人が叫びを上げ、こちらへと襲い掛かってくる。
「…………ふむ、これがモンスター」
ダンジョンはモンスターを産む、とか言っていた意味がようやく分かった。
たしかにこれは恐ろしい場所だ、何も無い場所からいきなり敵が現れるのだ。一息吐くのも難しいかもしれない。
まあ。
「この程度なら問題ないな」
拳を固め、思い切り殴る。
それだけで、良い。
ただ、それだけのことで獣人はいともたやすく吹き飛び、壁に叩きつけられ、そしてそのまま霧散していった。
「…………よっわ、いや、それとも浅いからか?」
RPGの序盤の雑魚っぽい印象だし、案外浅い階層の敵なのかもしれない。
だとすれば出口も近いと言うことだ、それは楽で良い。
と、そんなことを思っていると、一撃で仲間が殺されたのに驚いたもう一匹の獣人が急制動をかけ、勢いを殺す。そのままくるりと反転し、もう片方…………つまり、少女のほうへと襲いかかる。
なるほど、知能はあるんだな。なんて場違いなことを考えながら、その様子を見ている。
仮にもあれは神だ、ならば問題ないだろう、なんて思っていれば、ふと気づいてしまう。
揺れている。半分閉じられかけた瞼の奥、その瞳が、不規則に揺れている。
もしかして、動揺している?
そう言えば、神たちは地上に降りてくるのに、自身の力を封印したとか言ってたような。
瞬間、ふと気づく。
アイツ、戦えないのか?
少女が一歩下がる。悪手だ、獣のごときモンスターは、それを見て醜悪に嗤う。
一歩下がった、逃げた、つまり目の前の少女は弱者だ。弱い者を襲う、それは獣の本能のようなものだ。
間に合わない、今から助けに入ったのではもう間に合わない。
距離が足りない、時間が足りない、気づくのが遅すぎた。
だから、獣の爪が振り下ろされるその瞬間を、少女がびくりと震え、目を閉じるその瞬間を。
見て、見て、見て。
ぱん、と軽い音がした。
「やっぱ、持ってきて良かったな」
銃口から上がる煙を軽く吹き消し、持っていた拳銃を懐に仕舞う。
紙一重、距離を見て、即断した、近づいていては間に合わないと。
だから、懐から銃を取り出し、撃つ。
まあその程度の時間はあった、つまりそれだけの話。
米神を撃ち抜かれた獣人が、振り上げた爪を振り下ろそうとした態勢のまま霧散していく。
ぎゅっと固く目を閉じた少女は、いつまでたっても来ない痛みにゆっくりを目を開き、そうして現実を認識する。
「…………ありがとう?」
疑問形なのは、目を閉じていてその場面を見ていなかったせいだろうか。
「おう…………悪いな、神が戦えないなんて思わなくて、助けるのが遅れた」
まあ所詮力を抑えた分霊、ではあるが、それでもこの世界の場合、簡単に分霊を送り込めない事情がある。だからまあ、簡単に使い捨てにはできないのだろうと予想する。
「とりあえず俺は出口探してるんだが…………一緒に行くか? 神様」
「…………にゅくす」
「は?」
「わたし…………にゅくす」
にゅくす…………ニュクス。発音のせいでいまいちピンと来なかったが、ようやく繋がる。
「夜の女神か…………そいつはまた大物だな」
元の世界でも、かなり高位の存在だ。俺ですら一度も見たことは無い程度に珍しい。
ただまあ、目の前の少女はそれほど凄そうには見えないが…………きっと力を抑えているからなのだろう。
「あなたは?」
その問いの意味を一瞬測りかねた。
名前を聞かれた、そのことに気づき、ようやく納得する。
「アリス」
本当はもう少しだけ長いけれど、けれど
「ありす…………ありす…………」
確かめるように、数度、俺の名を呟き、そうして顔を上げて、言う。
「ふぁみりあ…………はいらない?」
ファミリア。それは知っている。知っていると言うか、ダンジョンと並んで重要語句だと叩き込まれた。
この世界に降りてきた神々が自身を頂点として作る組織体系。と言うと堅苦しいが、要するに神を中心とした集団の総称だ。何せ共通した明確な目標などと言ったものは無く、そもそも目的を持ったファミリアのほうが少ないらしい、ただ神々が自分の居場所を自分で作っているだけの集団なのだから、まあそう言って差し支えないだろう。
この世界…………と言うか、オラリオと言う街に置いて、ファミリアと言うのは重要だ。
だいたい冒険者と呼ばれる人間は全て、一人の例外も無く、ファミリアに参入していると言えば、その重要性が分かるだろうか。
ファミリアに入る利点は多い。
特に、ファミリアの名前がそのまま身分証明のようにも使われる面もあるらしく、某有名なファミリア、と言うだけで信頼を得ることができるのがこの街の特色らしい。
俺の目的を考えれば、別に断る理由も無い。まあだからと言って必ず入らなければいけない理由も無いのだが。
「…………保留で」
差し迫った事態でも無い、そもそもまだオラリオをこの目で見ることすらしてないのに、早急な判断は必要ないだろう、そう言う意味での保留。
「……………………そう」
残念がっているのか、別にどっちでも良かったのか、半分閉じかかった瞼の奥の瞳は揺れない。
それはさておき、いい加減またモンスターが沸く前に移動しようか、と考えた、その時。
「うわあああああああああああああああああ」
絶叫があたりに響いた。
「なんだ?」
少しだけ驚く、他に誰かいるのか、と考え、ダンジョンなのだから他の冒険者たちか、と結論付ける。
「おそわれてる」
「襲われてる? モンスターに?」
問いかけると、こくり、とニュクスが頷く。
あの様子からして、追い詰められている? それとも逃げている?
まあどちらにしても危機的状況なのだろう。
問題は。
「助ける必要あるのか?」
「…………ない」
俺の問いに、ニュクスが端的に答える。
この場所の危険性を知っていながらやってきた以上、それは何があっても自己責任だろう。
異界に自らの意思で踏み入るようなものだ、そこで何があろうと、どんな目に遭おうと。
自分で入ったなら自己責任。
例え死んだとしても、運が悪かった、もしくは。
「弱いやつが悪い」
それで全て片づけられる。ダンジョンだってそんなものだろう。
何と言うべきか、職業観と言うか、世界観と言うか、そう言ったものが何となく、自身の立場と似ている。だから理解できる。
これは別に助ける必要無い、と。
「じゃあ、無視していくか」
そう呟き、声のした方向とは別に進もうとして。
「…………ん」
袖が引かれる。
振り返れば、ニュクスが俺の右腕の袖をちょこんと摘まんでいた。
「なんだ?」
「…………たすけて、あげてほしい」
「…………どうして?」
「しりあいの、かんじがする」
「…………………………………………袖振り合うも、か」
「そで…………にぎってる?」
そういう意味じゃねえよ、と呟きつつ、もう一度道を変える。今度は、声のしたほうへ。
見知らぬ誰かなら別に見捨てても気にならない。死んでも自業自得で済ませる、俺たちの業界でも珍しくも無い。
けれど知り合いの知り合いならば多少気分も悪くなる。例え直接の知り合いでなくとも、そいつが死ぬことで知り合いが落ち込むのなら、間接的にこっちの気分まで悪くなる。しかも、見捨てた、となれば尚更だ。
「少し急ぐぞ、走れるか?」
「…………むり」
なら仕方ない、とニュクスを小脇に抱える。まるで荷物のような扱いだが、特に反応も無いので、そのまま走りだす。
「ありす」
「なんだ」
「めがまわる」
「がまんしろ」
言いつつ、さらに速度を上げる。ニュクスが声無き悲鳴を上げたが無視する。
場所は分かっている、先ほどから派手な音が鳴っている。
もう十秒もしないうちにたどり着く。
「ちと荒っぽくなるぞ、吐くなよ?」
「むり」
女神の泣き言を無視し、曲がり角を壁を蹴りながらほぼ直角に曲がる。
そうして見えた光景は。
牛と人を足したような化け物に、白い髪と赤い瞳の少年が襲われている光景。
「セーフっと」
即座に銃を抜き、威嚇に一発。
方角的に下手すると少年にも当たるかもしれないので、怪物の足元を狙う。
ぱん、と言う爆発音に怪物が僅かに驚き振り返る、だがその時にはもう距離は数メートルまで詰めている。
地を蹴り、跳びあがる。
「吹っ飛べ」
その勢いのままに怪物を蹴り飛ばす、だがそのさすがに巨体か、二歩か三歩、たたらを踏むだけで終わる。やっぱ近接戦闘ってのは慣れないなあ、と思うがまあこれで良い。
最早怪物は目の前。
「この距離なら外さねえよ」
拳銃を構え、引き金を引く、引く、引く、引く引く引く引く引く引く引く。
パンパンパパンパパン、小気味良く連発して音が響き、怪物に体中に穴が開く。
だが倒れない、怪物は倒れない。
「タフだなあ…………」
面倒だし、もう一気に片づけるか…………内心で呟き、銃口を向ける。
下側に向けると、少年をうっかり巻き込んで殺すかもしれないので、少し上に傾け。
瞬間、何かが視界を横切る。
「ん?」
直後、怪物の体が切り裂かれる。
肩から袈裟懸けにばっさりと斬られた体から血が噴き出し、後ろにいた少年を濡らす。
因みに俺はすぐに下がったので無事である、一応。
それは一人の少女だった。金の髪と金の瞳の少女。
ん?
こいつ、人間か?
一瞬そんな疑問が浮かんでくる。
いや、人間か。ん? 人間か?
分からない、分からないが、まあどちらでも良いか。
神がダンジョンを歩きまわっている世界なのだ、少しおかしな人間がいても別にいいだろう。
「あの、大丈夫ですか?」
血塗れになった少年に向かってそう尋ね。
「うわああああああああああああああああああああああああ」
絶叫しながら少年が走り去っていく。
「…………は?」
「…………………………」
「…………え、あの…………」
素っ頓狂な声をあげた俺、無言と言うか目を回して何も言えないニュクス、そして戸惑う少女。
そうして俺たちは少年が逃げ去っていった方向を呆然と見つめていた。
気まずい空気から目を逸らすように。
何となく、前々からダンまちとメガテンはクロスできるんじゃないだろうかと思ってた。
で、書いてみたかったけど、新しいオリ主作るの面倒だったんで、別のとこから引っ張ってきた。つまりそれがこれ。
割と自己満足で書いてる部分多いので、合わない人多いかも。