ネタだから短いよ!
・『聖王協会、司祭長の手記』より
△月○日
古代ベルカ時代。
この時代には数多くの王がいた。
王たちは各々が大望をその胸に秘め、この激動の時代を自身の手で終わらせるため、ま
たは手中に収める為に奔走していた。
その中でも後世においては信仰の対象にまでなった王がいる。
王の名をオリヴィエ・ゼーゲブレヒト。またの名を聖王と言った。
オリヴィエに関しては様々な諸説があるが、その諸説全てに共通するのは彼女、聖王は
類まれな戦闘技術を有しており、その力をもって世に平和をもたらした、と言うものであ
る。
世に平和をもたらした、と言ってもそれは古代ベルカ時代の大地全てを平定した訳では
無い。彼女は確かに多くの王を打ち倒したが、中には彼女が戦うことの無かった王、戦う
事はせず聖王と同盟を結んだ王、等がいた。
そんな中、聖王オリヴィエにとって特別な王が2人いた。
一人は覇王、クラウス・G・S・イングヴァルト、シュトゥラ王国の王にしてオリヴィエ
の幼馴染であり、彼女を好敵手として見据え、最後まで勝つことの出来なかった王。
そして、もう一人。
その王の名をガイエン・B・U・グライエンと言った。
ガイエンに関する記述は驚くほど少なく、この王については後世に発見される事となっ
た聖王オリヴィエの手記によってようやくその存在が明らかとなった。
ガイエン王に関しての調査はオリヴィエの手記が中心となっていたため、彼女の感情や
主観が多く、かの王に関しての調査は難航した。
そんな中、手記を基にガイエン王の治めていたであろう土地の場所がわかり、調査を行
った結果、一つのロストロギアが発掘されることとなる。
□月×日
この発見は素晴らしい。
私は聖王教会において司祭長という地位にいるが、実をいうとそこまで聖王という存在
が好きではないのだ。
彼女は美化されすぎている。
確かに聖王は立派だろう。偉業を成し遂げた王だろう。
だが、私は美化された王より、何も分からないガイエン王にこそ興味を惹かれる。
かの王はどのような王だったのだろう。
それを想像するのはとても楽しかった。
そして、私はある記述を見つけた。
それはオリヴィエがガイエン王に関して記した一文だろう。
その一文をここに記す。
『……。それにしてもアイツは硬すぎる。なんだというのだ、あの硬さは。私が今まで多
くの王を打ち倒してきた拳が通じない。アイツ個人に通じないなら城を落とせば良いと考
えた時もあったが、あの男は不可思議な術で配下の兵から城まで硬くしてくる。まったく
もう、嫌になるわ。幸いなのはあの王と私の領地はかなりの距離がある事だろう。
もういい、アイツの守りを打ち壊すのは個人的な目標として、王としてはあの王は無視す
る事にしようと思う。だが、いつかは打ち破りたい物だ、あの王、護王を』
これ以降にはオリヴィエの愚痴の様な物がつらつらと書き連ねられているだけだった。
しかし、私は聖王の愚痴よりも護王という異名の方に興味を持った。
あの聖王が遂に打倒し得なかった王。
気になる。
どんな王だったのだろう。
ひと目、そう、一目でいいから拝謁したい。
そう考えた時、私の脳裏にある天啓が舞い降りた。
時間を逆行する事など出来ない、だが、もう一度護王を
のではないだろうか。
この考えは異端だろう。
だが、それでも私はこの考えを止める事は出来ない。
そうと決まればまずは護王のDNAを手に入れよう。
幸い私は司祭長であり、宝物殿にも入れる。
発掘されたあのロストロギアを調査すればきっと、何かがあるはずだ。
○月●日
遂に発見した。
発掘されたロストロギアを調査している内に私は遂にガイエン王のDNAらしき物の採取
に成功したのだ。
あとは、前々から聖王の遺物にあるDNA情報を欲しがっていたあの男にこれを渡そう。
あの男が何をするつもりかは分からないが、それでも良い。
鎧王に拝謁出来るならば何でも構わない。
近頃はあの預言者気取りの小娘の狗が色々と嗅ぎまわっているようだが、すでにDNAは
渡してある。
あとは、待つだけだ。
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これより先のページは血で読めなくなっていた。
◆◆◆◆
次元世界の何処かの研究所。
そこには人影らしきものは何もなく、ただ機械だけが乱雑と設置されていた。
研究所の一室にそれはあった。
それは生体ポッドと呼ばれる代物だった。
ポッドの中には15歳ほどの少年が裸で浮かんでいた。
『エラー発生。ポッド内の予備電源が切れます。実験体を生体ポッドより出します』
機械音が部屋に響き渡り、ピーという音と共に生体ポッドから溶液が抜かれ、浮いてい
た少年を外へと排出した。
排出された少年はべチャリと床に落ち、暫くの間咳き込んだ後、呟く。
「げほっ、あー、あー。んん、不思議な気分であるな。蘇りというのは」
蘇り。
少年は確かにそういった。
この言葉が事実だとするならば少年は一度死んでいる事になっている。
「……それにしても、余が目覚めたというのに誰も出迎えに来ないとは」
まったく王を何だと思っているのだ、と少年はぼやく。
「まあ良い。さて、与えられた知識によれば今は余の生きた時代から幾千年が経った後の
世との事だが、さて、どうしたものか」
王を自称する少年が思案していると、生体ポッドがあった場所からそう離れていない机
の上に鎮座していた何かのエンブレムを模したアクセサリーがキラリと光った。
『お目覚めですか、王よ』
それは一般的にインテリジェンスデバイスと呼ばれる代物だった。
「ほう、機械の揺り籠の中にて与えられた知識にあったな、確かデバイスだったか」
『その通りです。我が王よ。私の名称はイージス。貴方様の忠実な僕として作成されまし
た。早速ですが命令を。我が王』
イージス、そう名乗ったデバイスに王は満面の笑みを浮かべ、イージスをその手に取り
最初の命令を出す。
「衣服のある場所に案内せよ。王がいつまでも裸一貫では示しがつかん」
◆◆◆◆
第34無人世界マークラン。
そこは名前の通り人の住まない無人の世界だった。
しかし、今は違う。
現在マークランには2人の人間が住んでいた。
一人をルーテシア・アルピーノと言い、もう一人の名をメガーヌ・アルピーノという。
ルーテシアは数年前に母であるメガーヌを救う為にジェイル・スカリエッティの一味に
協力し、時空管理局に敵対していたが、主犯であるスカリエッティとその配下が捕縛され
た事により、彼女も拘束された。
その後の調べによりルーテシアには意識操作の痕跡が発見された事と、母の為という理
由から更生プログラムを受けた後は救出された母と、相棒たる召喚蟲ガリューと共にこの
世界、マークランにて時空管理局の管理の下で生活を営んでいた。
マークランでの生活はとても穏やかな物で、ルーテシアは意識を取り戻した母、メガー
ヌとの生活を満喫しており、生来の性格を取り戻していた。
ある日の事だった。
ルーテシアが洗濯物を干していると、ルーテシアのデバイスであるアスクレピオスが転
移反応を示した。
直ぐに異変を感知したガリューが側に寄る。
「転移、誰が来るの? 局員だったら事前に連絡がある筈。ガリュー、油断しないでね」
ルーテシアの言葉にガリューは頷き、転移陣が現れた場所を注視する。
転移陣の光が強くなり、そして光が収まった。
そこには一人の少年がいた。
黒い髪を獅子の鬣の様に逆立て、どこか野性味のある風貌の少年だった。
「イージス、此処は何処だ?」
『我が王、此処は私に登録されていたデバイスのポイントから割り出した場所です』
「つまり何処なのだ」
『つまり分からない、という事です』
「一番重要な事が分からぬではないか」
少年はルーテシア達が目に入っていないのか、自身のデバイスと会話をしているのだが
ルーテシアには少年達の会話の中で聞き逃す事の出来ない単語があり、少年を注視してい
た。
すると、少年の方もルーテシアに気がついたのかルーテシアの方に歩み寄ってくる。
ガリューはルーテシアを護るように前に出るが、少年はそれを気にする事無く、ルーテ
シアに声をかける。
「そこな
「ここはマークラン。……貴方は誰?」
『誰と問うなど無知にも程がある! この方を誰と心得ているのか!?』
少年の持つデバイスが大声を上げる。
しかし、ルーテシアには目の前の少年が何者か等と皆目検討はつかない。
「イージス、よい。余を知る者がいないならばまた知らしめれば良いだけの事。それに面
白いではないか、誰も余の事を知らぬ世に我が名を轟かす。これもまた蘇った特典の一つ
というものよ」
『流石は我が王! このイージス、感動で前が見えませぬううううう!!』
「……………………あの、それで貴方は?」
「おお。そうだったな。よいか、一度しか言わんから良く聞くのだぞ? 余はベルカの王
の一人、護王ガイエン・B・U・グライエンである!」
これが、後に次元世界にその人あり、と言われる事となるガイエンとその伴侶ルーテシ
アの出会いであった。
vividのルーテシアはエロ……ゲフンゲフン。可愛いね! そしてけしからんね!
そんなこんなでオリジナルの王さまとルーテシアのラブコメに繋がるかも、という短編でした。この後はルーテシアを訪ねてきたヴィヴィオやアインハルトと一悶着あるかもね!
それではマタ次回!