俺のヒーローアカデミア?   作:マスカット

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そろそろ本誌の方でも、Bクラスが活躍しそうな雰囲気!やったね!


第4話 戦闘訓練!

 時短拓未(じたん たくみ)の朝は遅い。

 学校がある平日でもそれは変わらない。遅刻ギリギリの時間まで自室のベットで、美羽(みう)が痺れを切らして起こしに来るまで寝ているのが日常だった。

 だが今日は違った。朝の6時ごろには目が覚めた。普段なら起きても二度寝をするのだが、窓から差し込む太陽の光を見て何を思ったのか、ムクりと上半身を起こし、ベッドから床に足を降ろす。

 布団の中で暖められた足の温もりが、一晩冷えた床に持っていかれる。その刺激(しげき)が優しい眠気覚ましとして、時短へと提供してくれた。

 

「くそ、最悪な夢だった。・・・あいつのせいだ」

 

 ぶんぶんと時短は頭を振ると、キッチンの方へと移動する。

 気づけば嫌な汗を搔いていた。喉もカラカラで気分が悪い。さきほど見ていた悪夢の影響なのだろうが、時短はそれを頭の隅に追いやる様に昨日のことを思い返していた。個性把握テストという、ヒーロー科ならではの個性を使った授業は、時短にとって色々な考えを膨らませていた。主に自分の個性への向き合い方を。

 静かなリビングのソファに座り、冷蔵庫から取り出してきた炭酸ジュースを口に運ぶ。寝起きに炭酸を飲むのが時短の日課だった。

 何もない胃の中にシュワシュワの液体が侵入してくる。びっくりした胃がそれを追い返そうとするが、長い時間休んでいたせいで上手くいかない。せめてもの抵抗と、炭酸からでた二酸化炭素をゲップとして吐き出す。

 

物真(ものま)・・・あいつの個性は最悪だ。二度と俺の個性を使わせないようにしねーと)

 

 リビングの窓から見える庭の方を時短は眺める。祖父が大事に手入れする盆栽や、犬小屋などが置かれた庭は、懐かしき日々を思い出す。よく子供のころはあそこで遊んだものだと、時短は物思いにふけた。同時に思い出す暗い過去も。

 

「ああー!とにかく俺の個性は便利だけど、対象がないと殆ど意味がなくなっちまう。最終的に自分の身体を使うしかなくなるから、そういう時の為に対策しとかねぇーと」

「なーに珍しく早起きだと思ったらぶつくさ言ってんのよ」

「ん・・・。ああ、俺の個性ってさ、あんまヒーロー向きじゃないって思った」

「そんなの今更でしょーに」

 

 時短とは違い、毎日規則正しく起床する美羽は、すぐに家族全員の朝食を作り始める。

 両親は仕事柄毎晩遅くに帰り、昼までは起きてこない。祖母は早くに他界し、祖父も近所の公園でラジオ体操を行ったあと、お年寄り数人でお茶をしてから帰ってくるので、久しぶりにまったりと姉弟だけの朝食だ。

 

「あんたはさぁ。何でヒーローになろうとか思ったわけ?」

「そりゃ金稼ぐ為だろ」

「それ以外で」

 

 昼に起きてくる両親の分の朝食を、ラップをかけてキッチンに置いておく。それから、時短と美羽の分をテーブルへと並べる。

 

「以外とか言われてもな」

「何かあるでしょ。お金稼ぐならわざわざ危険なヒーローなんてならなくてもいいんだし」

 

 久しぶりの朝食をじっくり味わいたい時短だが、美羽がじっとこちらを見据えてそれを許さない。こういう時の美羽は結構しつこいのは、弟である時短が身をもって知っている。とはいえ、美羽の質問への答えを持ち合わせてはいない。

 

(ヒーローになる理由、か。こじつけの理由なんていくらでもある。けど、それで美羽をうなづけさせれるとは思わないし。てかめんどくせー)

 

 味噌汁をすする時短を凝視する美羽。なぜ自宅で居心地が悪くならなければいけないのだろうか、時短は早起きは得よりも損だと考えを改めた。

 一向に口を閉ざす時短にしびれを切らしたのか、はたまた単なる気まぐれなのか、美羽は時短から視線を逸らし、自分の朝食へ箸を運んだ。

 

「ま、あんたはけっこうヒーローに向いてるんじゃない。性格的に」

「は?まじきもいぞお前。昨日変なもんでも食ったか?」

 

 この後、時短は美羽の制裁(せいさい)を喰らい。普段同様ギリギリの登校になったのは言うまでもない。

 

 

 

 

「何でボロボロで登校してんの?」

(ヴィラン)に襲われた」

 

 登校した時短を見た拳藤(けんどう)は、その姿に軽く引いた。制服はよれよれで体を引きずって歩くそのさまは、まるでゾンビだ。とても疲れているのか、自分の席にへたりと座り込む時短。

 

「また誰かと喧嘩でもしたのか。もうちょっと他人を思いやったら?」

「何で俺が悪いみたいになってんだ」

「あんたほど誰振り構わず衝突するやつなんて見たことないからだよ。入学初日でよくまぁ喧嘩振るよなぁ」

「喧嘩振ったのは向こうからだ!」

 

 変な捏造(ねつぞう)は止めて欲しいと、時短は鉄哲(てつてつ)の方へと指を差しながら講義する。

 そんな時短を拳藤は溜息と同時に額に手を当てながら、駄目だこいつと首を振る。その動作が問題なんだと言いたいが、僅か一日でそれは無駄だと理解してしまっていた。

 案の定指を差された鉄哲は、歯をぎらつかせながら時短の元へと来てしまう。

 

「一回勝ったからって、もう俺より強いと思ってんのか?」

「こいつもこいつだ・・・」

 

 拳藤は厄介な人間が隣の席だということに頭を抱えたくなる。

 二人が口喧嘩を広げるのを、クラスメート達は面白そうに眺める。初日ほどの険悪さがなくなっただけまだマシだと言えるだろう。迷惑なのはこの上ないが。

 そうこうしているうちに予冷がなり響いた。今日からは本格的な授業が始まる為、言い合いをしていた二人を含め、全員が大人しく自分の席へと戻っていく。

 

 

 

 ヒーロー科といえど、午前は国語や英語などの必修科目だ。雄英もそれは変わらず、教師がプロのヒーローという以外に他と違う部分はない。

 とはいえ、生徒のほとんどが普通の授業に、何故か疑問を持ってしまうのも仕方がない。初日が初日だったから尚更。

 

「暇だな」

「それ言っちゃ駄目だろ」

 

 時短の独り言に律儀にツッコミを入れてくる辺り、拳藤もそう思っていたのだろう。

 

 

 

 

 午後からがヒーロー科としての授業、ヒーロー基礎学(きそがく)の時間。

 ヒーローになる為の様々な訓練を行うこの授業は、ヒーロー科の生徒達にとって最も大事な授業だ。よって、生徒達の期待も一番であるのは間違いなかった。

 

「今回Bクラスの授業担当になった相澤消太(あいざわ しょうた)だ。早速だが、君らにはこれに着替えてもらう」

「展開早いな!」

 

 ヒーロー基礎学の担当だと言う小汚い男性の相澤は、懐からリモコンらしきものを取り出すと、教室の壁が飛び出してくる。

 

「君たちが入学前に送った「個性届」と「要望」を元に作られた戦闘服(コスチューム)だ。これ着てグラウンド・ɤ(ガンマ)に集合すること。時間は有限なのでテキパキとね」

「うお!コスチューム!!やっとヒーローらしい!!」

「ちなみに、集合時間は五分後にしよう。遅刻したものから減点の対象にするのでよろしく」

「うおおお!!早く着替えろテメェら!!」

 

 相澤の一言に焦り出すBクラス。コスチュームを手に取りすぐさま更衣室まで駆け出していく。

 

「てか時短!!お前いつのまに着替えたんや!!?」

「これぞ個性の正しい使い方」

 

 着替えを短縮したことにより、わずか三秒で時短はコスチュームへと着替え終えていた。これで減点になることは回避した。

 時短は自分の戦闘服を見て満足する。要望といっても三つぐらいしか書いていなかったが、きっちり全部反映されている。おまけに見た目も自分好みのシンプルなデザインだ。

 黒色の燕尾(えんび)服をたなびかせ、腰のホルスターには投擲用のピックが数種類。白い手袋の拳部分と、ブーツのつま先部分には鉄板が入ってる仕様で、パンチ力とキック力を増加。

 ここに鏡がないので確かめることはできないが、中々様になっていると時短は納得する。傍からみればヒーローというよりバーテンダーのような姿だが。

 

「あんた今ここで着替えたのか?女子もいるのに?」

「見えなきゃ問題ねぇ。あ、もしかして見たかったのか?」

「はいはい」

 

 とりあえず拳藤は時短との会話を適当にこなす術を覚えた。

 

「一分経過」

「五分って思ったより早いぞ!!もたもたしてられないぜ!!」

 

 ドタバタと忙しなくBクラスの面々は教室を後にする。

 早々に着替え終えた時短は、ポツンと一人残された。その後のグラウンドまでの道のりの時短の背中は哀愁(あいしゅう)が漂っていた。

 

 

 

 

「ハイ、先生の忠告もあってか遅刻者は居なかったものの、これから訓練を始める前にすでに疲れている合理的ではない君らに一言」

 

 教室からグラウンドまでの距離はおよそ300m。それを更衣室で着替えてから、五分という短時間の制限時間までに到着するには、全力で走らなければ間に合うかどうか。よって、殆どの生徒が息を切らしていた。

 

「これから始める訓練で、ヒーローになる見込みがないと判断した生徒は除籍(じょせき)処分とする」

「はあああ!?いくら何でも理不尽過ぎる!?」

「ヒーローとはその理不尽に立ち向かう仕事だ。君たちは理不尽だからってヒーローを止めるのかい?それを覆してこそのヒーローだ。雄英では三年間、君たちに苦難を与え続けるから、全力で乗り越えてこい。それが『Plus Uitra(ブルス ウルトラ)』って奴さ」

 

 生徒達は一同に固唾(かたず)を呑む。まさか、早くにこんなにでかい壁にぶち当たるとは予想だにしなかったからだ。

 

「それじゃあ、訓練の内容を説明する。何回も言うのは非合理的なので、一度しか言わないから良く聞くように。これから行うのは屋外での対人訓練。(ヴィラン)ってのは基本的に屋内で悪事を行うものだ。君らには「(ヴィラン)組」と「ヒーロー組」に分かれて2対2の屋内戦を行ってもらう」

「いきなり実践的だな」

「非合理的だが、ある種君らの基礎を知るには充分だろう。設定は敵側がアジトに核兵器を隠していて、それをヒーロー側が処理しようとしているというもの。制限時間内にヒーロー側は、核爆弾を確保又は敵二人を拘束するか、敵側は制限時間まで核を守り切る又はヒーロー2名を拘束することで勝敗が決まる。

 なおコンビの組み合わせに関しては面倒なので、くじで決めてもらう。これ時間短縮の合理的手段な」

 

 くじが入った箱を順番に引いていく。ヒーローは急造のチームアップをすることが多い。その為、どんな個性を持った人間とも連携を取れるヒーローというものが、今のヒーローが飽和(ほうわ)した社会には必要な力となる。それを踏まえると、くじでコンビを決めるのも合理的であると言えよう。

 時短の個性は相性的なものの落差は非常に少ないといってもいい。色々な応用が利くので味方の邪魔をすることもなければ、トリッキーな個性故に味方のアシストもできるだろう。

 個性だけを見ればの話だが。

 

「な、なんで、俺がテメェと・・・!!?」

 

 隣に立つ生徒を見ながら、時短はわなわなと震えていた。くじの結果、時短とコンビになったのは最も危惧(きぐ)していた物真だった。時短と物真のコンビなど、個性どうのこうのより性格的な相性は最悪だ。

 

「くじなんだから仕方ないでしょ。まぁクラスメートなんだしさ、あんまり突っかかるよりも後腐れないように、お互いに仲直りの握手でもしようよ」

「これ以上コケにするなよ・・・!!二度と使うなと言ったはずだ・・・!!」

「ふーん。思ったよりも馬鹿じゃないらしいね」

 

 時短は吐き捨てるように、物真の手を無視する。

 互いに手の内は知っている分、敵にしたら厄介であるが、味方でも厄介なのは変わりなかった。物真はあっけらかんとしているが、時短から歩み寄ろうという考えは微塵(みじん)もない。

 除籍がかかった初のヒーロー基礎学は、波乱に満ちた展開となった。

 

 

 

 

 屋内対人戦闘訓練の初戦が決まった。ヒーロー側が風間(かざま)凡戸(ぼんど)、敵側が時短&物真。

 セッティングの時間として先に敵側が用意、その5分後にヒーロー側が潜入するといった形だ。訓練に際し、コンビ間での打ち合わせや個性の説明などを行うのが普通だが、ここにいたって時短と物真のコンビは会話らしい会話もしていなかった。

 

「君も(かたく)なだね。これ除籍掛かってるんだけど分かってるの?」

「うるせぇ話しかけんな。俺とお前は目的が一致しただけの(ヴィラン)同士で、仲間意識はないしなれ合う気もない。そういう設定だから問題ねぇ」

 

 それもこうして時短が会話を拒否しているのが原因だ。核に見立てた張りぼてを屋内に移動させてからも、一定の距離を保って警戒している。

 

(冗談じゃねぇ。こんな奴の力なんざ借りずとも、俺一人で終わらしてやる!)

 

 時短の作戦は、視界に敵が現れた瞬間、個性を使った高速移動で確保証明のテープを巻き付けるといったものだ。個性把握テストで時短の瞬発力は見られてるといえ、それだけで反応できるほどのものではない。気づいた時にはすでにテープが巻かれている、そのぐらいの代物だ。単純な作戦だがそれ故に最良な作戦である。

 そうしてまともな打ち合わせもなく、時短たちは戦闘訓練へと挑むのだった。

 

 

 

 

 時短たちが核をセッティングしてから5分が経過した。戦闘訓練開始の時間である。待機していた風間&凡戸チームが屋内へと潜り込んだ。

 残りの生徒及び教師の相澤は、モニタールームでその様子を定点カメラで確認する。

 

「単純に考えてこの勝負時短&物真コンビが圧勝するんじゃねーか?体力テスト1位と2位だぜ」

「個性には相性があるから分かんねぇだろ。しかもあいつら音声がないカメラで見ても、会話らしい会話してないし」

 

 ここでは生徒達が自分の番に備え、他人の訓練を参考にしていた。

 相澤は手元の資料を見ながら、成績をつけるために画面の奥の状況を順序考察する。

 

(時短も物真も、テクニカルな個性を持った生徒だ。状況や場面によって実力が限定される。対して風間も凡戸も、個性を使用する点においては、通用するかは置いといてある程度の力を発揮できる。場合によっちゃ決着は早い)

 

 生徒の情報がが記された資料には、各生徒の特徴や個性が事細かに記されていた。これも生徒達へ正当な評価をするために重要なサンプルとなっている。

 

「くそ!時短の奴と戦うチャンスだったのに」

「そんな落ち込んでる場合かよ。そんなんで本番の時に足を引っ張るなよ鉄哲」

 

 くじでコンビと対戦相手をきめたことにより、時短と再戦できなかった鉄哲は落ち込む。その様子に、コンビとなった拳藤が呆れてしまうのも無理はない。

 お互いに共通の話題(時短)があるからか、気が合うのは意外に早かった。

 

「お、ヒーロー側が核を発見したぞ」

 

 その言葉を機に、一斉に画面の方へと視線が集まる。

 そこからの画面の映像は一方的なありさまっだった。

 

 

 

 

「俺の視界に姿見せるなんて随分と考えなしだな!!」

 

 核に見立てた張りぼての前で陣取っていた時短たち。その前に表れた青年に向けて、挑発するかのような口調で時短は叫ぶ。それと同時に個性を発動して、室内へ侵入した人物へ接近した。

 目視どころか反応すら許さぬ超スピードで、腕にテープを巻き付ける。

 

「何の対策もなしに正面突破なんてするわけないだろ」

「な?」

 

 勝ちを確信した時短は、間の抜けた声を漏らした。そして、背中に激痛が走る。

 すらりとした端正な顔立ちの、金髪が特徴的なヒーロー側の一人風間數馬(かざま かずま)は、()()()()()()()時短を睨みつけた。

 テープを巻き付けたと思っていた時短は、痛みに耐えながら先ほどの瞬間を思い出す。一瞬の出来事で確証はないものの、風間の腕にはテープは巻かれていない。

 ならばもう一度と、時短は再度風間へと肉薄(にくはく)する。が、それは許されない。

 

「くっ!!と、っぷう!?」

「俺を確保するのは無理だ」

 

 室内にいるはずの時短に、突如足元からの物凄い風が吹き荒れた。その勢いは軽々と時短の身を空中に晒し、天井へと叩きつける。巻き付けたと思われたテープは、風によって部屋の隅へと転がっていった。

 風間數馬の個性である‘気流(きりゅう)’は、最大風速40mまで空気の流れを操れる。ただし、台風などの強風の日は制御が難しくなるといったもの。その個性のせいで、時短はテープを巻き終える前に風で飛ばされていた。

 

「確かにその速さは脅威(きょうい)だ。だけど、消えた瞬間に外への乱気流を作れば近づけない」

 

 天井にせき止められた時短は、上への慣性を失い、重力での自然落下で地面へ体を強打する。

 

「そして、これはチーム戦だ。まず伏兵を考えるべきだったな」

 

 手を地面につけ立ち上がろうとする時短は、足への違和感に気づく。見ると、右足には白い液体でまみれていた。液体は徐々に固まり、時短の足とコンクリートの床とを接合する。まるでボンドをぶちまけられたかのように。

 

「な・・・!?くそ!!」

「凡戸か!先走るからそうなるんだよ」

 

 物真は姿を見せた大柄な男を睨みながら、応戦すべく駆け出す。

 

「物真、だったか?今のお前は無個性と変わらないだろ」

「ぐあ!!」

 

 時短と同じように吹き飛ばされた物真に、風間と凡戸は追い打ちをかける。凡戸が噴出させたボンドのような液体を、風間が作り出した風に乗せて物真に的中させる。時短も物真も体を拘束され身動きを封じられ、絶体絶命の状況へと追い込まれた。

 

(くそくそくそくそ!!慢心していた!何が反応できないだ!?何とか打破しねぇと!!)

 

 核へと近づくヒーローチーム。核にタッチされれば時短たちの負けは決まってしまう。

 風間が核へと手を伸ばす。時短は刹那的に思考の短縮を行っていた。突如スローになる視界の最中、時短は必死に考え抜く。絶望的な負けを覆すために。

 考えること。ブラドギンが言っていたように、考えを諦めた瞬間が終わりなのだ。だから、まだ終わってはいないのだと、時短は神経を研ぎ澄ませる。

 時短の諦めぬ姿勢に、閃きは舞い降りた。時間で言えば1秒にも満たなかったが、それでも時短はすぐさま苦し紛れの一手を放った。

 

(間に合え!!床が崩落(ほうらく)するまでの時間を‘短縮’!!!!!)

 

 ピシピシピシと嫌な音と共に、コンクリートの建物に亀裂(きれつ)が走る。違和感を感じた風間は一瞬伸ばした腕を止めた。そしてそれが致命的な隙となる。

 

「ちょっと待ってくれ。これは僕も巻き込まれるんじゃ?」

「な、足元が崩れて・・・!!?」

 

 床の耐久値は限界に達し、部屋全体を奈落へと突き落す。

 時短は激しい頭痛に襲われながら、下の階へと落下していった。

 

 残り時間約5分50秒




風間はオリキャラです!これから続々とオリキャラが増える
・・・かもしれない
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