もんむす・くえすと!・イクサ   作:ヴァンス

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休み長かったので早めの投稿です、次回作ももう考えてあります(でももんむすくえすと・イクサを書き終わらないと書けない(泣))


第八夜 神々のイクサ

アレン視点

 

オーディンとエデンの間に飛び込んだ俺はいつでも能力を発動できる体制になる

 

摂理たる終焉(エンドレスバニッシュ)は本来発動させるために1秒の時間を有する能力

 

だが俺は聖魔大戦後も鍛錬を続け、発動時間を0.5秒まで短縮することに成功した

 

アレン

「オーディン…」

 

オーディン

「久しぶりだな…アレン」

 

イリアスと取り巻きの相手をルカ達に任せ、俺はオーディンと対峙する

 

アレン

「どうしても退く気は無いんだな?オーディン」

 

オーディン

「無論だ、例えどんなことをしてでも『彼女』を取り戻す、それが私の『決断』なのだ」

 

その言葉から俺はオーディンの決して揺るがない覚悟を感じ取る

 

この男はもう俺の知っている『あいつ』じゃない…

 

アレン

「お前とは戦いたくなかったけどな…そこまで人としての心を無くしちまったなら俺が叩きのめして思い出させてやるよ!」

 

オーディン

「残念だ、かつての相棒であったお前なら分かってくれると思っていたのだが、それがお前の答えか、アレン」

 

オーディン

「ならば私も応えよう、その覚悟に相応しい人生(魔力)を以ってな…!!」

 

オーディンはアレンに対してイリアスに向けた魔力と同等の魔力量で構える

 

オーディンはアレンの能力と技量を知っているが故にこの一撃で仕留めるつもりなのだ

 

アレン

「…………!」

 

一方のアレンもこれ以上の説得は無意味と判断したのか無言で拳を構える

 

シャイターンの時は戦術的に不可能だったが本来のアレンの戦闘スタイルは接近戦にある

 

相手の懐にあえて突撃してからの能力の発動で周囲の地形に大きな被害をだすことなく相手を消滅させる

 

それがこれまで集団戦で戦うことが多かったアレンが導き出した最善の戦法

 

アレン

「どうした?構えるだけで撃ってこないつもりか?」

 

俺はオーディンを挑発する

 

それは最初で最後の一手を導き出し、確実にオーディンを倒すためのもの

 

オーディン

「よく言う、相手がお前でなければここまで警戒するはずもない」

 

オーディン

「久しいな、この能力を手にしてからここまで警戒にあたる相手に出会えるとは」

 

視点change

 

ルカ視点

 

アレンがオーディンと対峙してる間僕達はイリアス率いる軍勢と対峙していた

 

ルカ

「イリアス…!」

 

イリアス

「おや、遂にここまで来ましたか、汚れし勇者ルカ」

 

イリアスは心底下衆な笑みを浮かべて僕を見る

 

取り巻きの天使の一人は黒い炎の翼を纏い僕達を見据える

 

イリアス

「ルシフィナ、ミカエラも久しぶりですね、私の元に来たのなら大人しく戻ってきたらどうです?今ならまだ…」

 

ルシフィナ

「そんな誘いには乗りませんよイリアス」

 

ミカエラ

「大方私達を引き込んでルカとオーディンを始末しようという考えでしょうが、ルカはともかくオーディンを倒すなど不可能だということをあなたは忘れたのですか?」

 

やはりオーディンは物理的に殺すことは不可能なのか…

 

絶望的な考えが一瞬よぎる

 

イリアス

「不可能ではありませんよ、私は見つけたのです、彼の力を私のものにする手段を」

 

グランベリア

「それこそ本当の絶望だな、お前なんかがオーディンの力を手にしたらこの世界どころじゃない、全宇宙が消えて無くなる」

 

イリアス

「黙りなさい、ヒトの姿をしたトカゲ風情が」

 

エデン

「イリアス様、この者たちは私が」

 

僕達のやり取りを見ていた天使の一人が前に出る

 

さっきの黒い炎を纏った天使だ、見た所階級の高い参謀クラスだろう

 

ミカエラ

「やめなさいエデン、ローゲの炎使いの力を少々かじっただけで私達には勝てませんよ」

 

エデン

「うるさい!お前たちさえいなければ…私こそがイリアス様の御心を最も理解している忠実なる僕!」

 

プロメスティン

(何が忠実なる僕だ、三番目のくせに笑わせる)

 

黒のアリス

(あの力、世界を焼き払える力は本来私に相応しいものですのに)

 

プロメスティンと黒のアリスはエデンの言葉に微かな苛立ちの念を見せる

 

実際二人ともエデンを良く思っておらずむしろ邪魔者とさえ感じていた

 

プロメスティン

(ここで死んでくれれば邪魔者の件は万事解決なんだがな…)

 

黒のアリス

(あの最高神さんが始末してくれれば一番良かったのですが…)

 

エデン

「ハアァァァァァァ!!!!」

 

ルカ

「待て、僕達は…」

 

ミカエラ

「説得など無意味ですよ、ルカ」

 

ルカ

「え?どうして…」

 

ルシフィナ

「エデンは私達原初の天使姉妹どころかあなたにさえ深い憎しみを持っています、恐らくこの場であなたもろともあの黒い炎で焼き払うつもりでしょう」

 

ルカ

「そんなこと、あんまりだよ…」

 

憎しみ合うことからは何も生まれない

 

それはこの旅で一番よく分かった事のはずなのに…!

 

天使同士さえも分かり合えないなんて…

 

エデン

「『屠り喰らう焔炎の剣』(レヴァインテイン)!!!」

 

そんな考えを焼き払うかのようにエデンは巨大な炎の剣を振り下ろしてくる

 

ルカ

「ウンディーネ!」

 

明鏡止水の要領で炎の剣を避けると続けて堕天舞踏を発動させる

 

もう迷っていられない

 

迷っていたら僕や母さんが死ぬんだ!

 

そう自分に言い聞かせ、迷いを振り払う

 

ドクン…!

 

ルカ

「…?」

 

ふと自分の心臓の鼓動とは違う音がしたように感じた

 

エデン

「この…!!」

 

しかしそれもエデンの猛攻によって脳裏の端に追いやられる

 

ルシフィナ

「怒りと憎しみに任せて戦うなど、愚か者の戦い方です!」

 

ミカエラ

「そんなもの、動きが見え見えですよ!」

 

エデン

「黙れえェェェ!!!」

 

母さんとミカエラさんの挑発でさらに激昂するエデン

 

しかし炎の剣と炎の障壁の前に母さん達も攻めあぐねているようだ

 

グランベリアは攻撃を避けつつも反撃はしない

 

天使の肉体には下界のあらゆる生物からの干渉を受け付けない事象があり、グランベリアに勝ち目はない時点で反撃しないのも当たり前ではあるが

 

グランベリア

「……!」

 

しかしグランベリアも何かを狙っている!

 

もしかして僕が乱刃・気炎万丈を放つのを待っているのか?

 

ルカ

(やってみるか!)

 

エデン

「この…!!」

 

エデンが剣を大地に振り下ろした瞬間を狙って…!

 

ルカ

「乱刃・気炎万丈!!!」

 

僕は九重の羅刹を放つ要領でグランベリアの最強技をエデンに放つ!

 

エデン

「くっ!『屠り尽くす炎の巨人』(ムスペルヘイム)!!」

 

僕の放った乱刃・気炎万丈はエデンが自動的に展開した炎の障壁に阻まれる

 

やはり一つ一つの威力が小さいとあの障壁を突破することはできないのか…

 

グランベリア

(上出来だ、その事象さえ分かればそれでいい!)

 

ルカ

(そうか…!グランベリア…やっぱりお前は戦闘に関しては天才だよ)

 

グランベリアの意図を理解し僕は母さん達に目配せで合図を送る

 

エデン

「何をするつもりか知りませんが、これを見てもまだそんな余裕な態度がとれますか?」

 

エデン

「ハアァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!」

 

エデンの咆哮と共に周囲の黒い炎がエデンの手に集まっていく

 

それはまるで神話の炎使いを彷彿させる姿

 

ミカエラ

「エデン…!?」

 

ルシフィナ

「やめなさい!そんなことをしたらあなたも…!」

 

エデン

「『聖剣ならざぬ焔の翼』(フォーヴズ・ブルドガング)!!!!!」

 

エデンの手から近づく物を全て焼き尽くす炎が放たれる!

 

さすがにイリアスもこれは危険だと判断したのか障壁を張り、背後の二人を守る体制になっている

 

ミカエラ

「受けよ!天軍を束ねし聖なる剣!!!」

 

ルシフィナ

「魔天回帰!!」

 

母さん達は黒い炎に向かって大技を放った

 

エデン

「無駄です!!」

 

しかしエデンの炎はその悉くを打ち消し、確実にその距離を詰めてくる

 

ルシフィナ

「そんな…」

 

ミカエラ

「……!?」

 

ミカエラとルシフィナが絶望しかける中ルカは一人エデンの炎の前に身を投げ出していた

 

ルシフィナ

「ルカァ!!!」

 

ミカエラ

「そこを退いて!!」

 

ドクン…!!

 

僕は無意識に黒い炎の前に身を投げ出していた

 

何故かは分からない

 

ただ母さん達を死なせたくない一心で僕は…

 

その言霊を叫んだ!

 

ルカ

「『魔術兵装』(ゲートオープン)!!!!」

 

それは奇跡

 

ルカの覚醒したマホウとエデンの能力の相性故に起きた結果だった

 

エデン

「なっ!?」

 

エデンの放った炎は三人を焼き払うことなくその姿を消失させていた

 

グランベリア

「今…何をした?」

 

グランベリアにはただ右手を突き出したようにしか見えなかった

 

その右手が炎を完全に消してしまったとはまだルカ以外誰も気づいていない

 

オーディン

「何だと!?」

 

アレン

「あいつ…マホウを覚醒させやがった…!」

 

対峙しつつも沈黙を守っていたオーディンとアレンも驚きを隠せない

 

イリアス

「まさかマホウの素質まで秘めていたとは…やはり子供の内に始末しておくべきでしたか…」

 

そう

 

オーディンやアレンがそうであるようにルカにもマホウは宿っていたのだ

 

そしてその名は…

 

ルカ

「『復元する世界』(ダ・カーポ)」

 

ルカ

「あらゆる事象を24時間以内の状態に戻す能力だ、確かにお前達の能力に比べれば取るに足らない能力(もの)かもしれない、けど対抗できるんだよ、そんな大層な能力でもね」

 

エデン

「馬鹿な!!私の解き放った獄炎の焔は対象を焼き尽くすまで消えないはず…!」

 

ルカ

「消したんじゃない、戻したんだよ、お前の炎を『発動する前』に!」

 

ルカが覚醒させたマホウはfortissimoの芳乃零二が使ったもの

 

その性質も零二とほとんど同じものだった

 

ルシフィナ

「ルカ?」

 

ミカエラ

「あなた、今どうやって?」

 

ルカ

「大丈夫だよ母さん、ミカエラさん」

 

そのままルカは拳の代わりに剣を構える

 

それはなぎさと同じ二の太刀を考えない構え

 

黄金色の制約(ティルヴィング)にも匹敵する魔力量だった

 

エデン

「『聖剣ならざぬ焔の翼』(フォーヴズ・ブルドガング)!!!!」

 

ルカに対して本能的に恐怖を抱いたエデンはありったけの魔力を込めた神話魔術(いちげき)を放つ!

 

ルカ

「無駄だよ」

 

ルカ

「『復元する世界』(ダ・カーポ)!」

 

漆黒の焔が命中する瞬間ルカは復元する世界(ダ・カーポ)で発動前に『戻す』ことで隙を作り出す!

 

ルカ

「ハアァァァァァァ!!!」

 

ルカ

「『神討つ剣狼の蒼槍』(フェンリスヴォルフ)!!!」

 

それはかつて最高神を打倒するに至った神狼フェンリルの名を付けた僕の全力の神話魔術(いちげき)!

 

エデン

「馬鹿な…!私は三番…目…など…では………ァ…」

 

断末魔の叫びすら残さずエデンはルカの神話魔術(いちげき)によって消滅する

 

ミカエラ

「す、すごい…」

 

グランベリア

「成長したな、ルカ」

 

ミカエラも思わず言葉を失ってしまう

 

一方グランベリアは嬉しそうな笑みを浮かべる

 

それは好敵手(ライバル)に向ける笑み

 

イリアス

「まさか、エデンが討たれるとは…」

 

しかしイリアスはそれでも余裕の笑みを崩さなかった

 

ルシフィナ

「少しは空気を読んだらどうですか?堕ちた女神」

 

ルシフィナも成長した息子への笑みから一変しイリアスに向き直る

 

イリアス

「その勇者がどんな能力を手に入れようと神たる私には通用するはずも…」

 

オーディン

「そうだな、ただ膨大な魔力を垂れ流しながら戦っていた以前のルカならそうだっただろう」

 

ルカ

「っ!?」

 

そこに突然オーディンが会話に割り込んでくる

 

読めなかった…

 

エデンとの戦いの中常に明鏡止水と堕天舞踏を重ねがけして周囲の空気の流れからも次の事象が予測できる状態だったというのに…

 

こいつはその予測すらも越えてきた

 

オーディン

「やめておけイリアス、今のこいつと戦ってもお前に勝ち目などありはしない」

 

アレン

「待て!テメェ!!」

 

自分を無視されて怒ったアレンがオーディンに殴りかかる!

 

アレン

「ッラァ!!」

 

オーディン

「話の邪魔をしないでもらおうか」

 

しかしオーディンはまるでどの方向から拳が来るのかが分かっていたかのように的確な角度でそれを受け止める

 

アレン

「なっ!?」

 

オーディン

「素晴らしい才能を持っているな、ルカ」

 

驚愕するアレンを無視してオーディンは語る

 

オーディン

「ルカ、お前はイリアスと戦わなくていい、後は私がやろう」

 

ルカ

「え?」

 

こいつ、一体何をしようとしているんだ?

 

そうだ、僕はこいつを倒すことだけ考えていてこいつの目的も正体も何も知らない

 

知りたい

 

オーディンと呼ばれているこの男は何者なのか

 

彼が何のためにこんな事をしているのか

 

究極魔法とは何なのか

 

ルカ

「オーディン、お前はいった…」

 

アレン

「奴のペースに乗せられるなルカ!!」

 

僕の言葉はアレンの叫びで書き消された

 

アレン

「そいつは究極魔法の為にお前や家族を犠牲にしようとしている奴だぞ!お前、そんな奴の言葉を信じるのか!?」

 

ルカ

「っ!」

 

そうだ

 

希望は誰かに与えられるものじゃない、自分の手で掴み取るものだ!

 

エンリカでの戦いで言った自分の言葉がよぎる

 

ルカ

「そうだったね、忘れるところだったよ」

 

ルカ

「ありがとうアレン、おかげで迷いが吹っ切れたよ」

 

アレン

「まったく、お前らしくないぞ?」

 

受け止められた体勢から脱出し、アレンは僕の横に並び立つ

 

アレン

「何だよ、後ろから不意打ちしようとは考えないのか?」

 

背後のイリアスに向かってアレンは言い放つ

 

イリアス

「そんな気はありませんよ、不意打ちであなた達の誰かを倒したところで結局その男に討たれてしまう未来が変わることはありません…」

 

アレン

「チッ!神のくせに諦めが早いんだな、野望はデカイくせに器は随分と小さいじゃねーか」

 

プロメスティン

「せいぜい死なないようにな、今死なれては私も困る」

 

アレン

「嫌な笑みを見せるな、胸糞悪い…!」

 

オーディン

「あくまで私に歯向かうと言うか…」

 

もう守られるだけじゃない

 

今度は僕が母さんやミカエラさんを守る!

 

続く




これでも実はまだ前半です、ルカが零二の能力を覚醒させるのは決定事項でした、今のところ零二と違うところは神討つ拳狼の蒼槍(フェンリスヴォルフ)をエンジェルハイロウで放つところくらいかな
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