永遠に焼き尽くす炎
??視点
時系列は主人公ルカが生まれる1000年ほど前
聖魔大戦の真っ只中だった
それは炎
聖魔大戦の中現れた一人の天使は漆黒に燃える炎を世界に解き放ち続けた
その天使の名はシャイターン
天界での階級は智天使(ケルビム)
いや、最早天使という姿をとった悪魔と呼ぶに相応しい
今の彼女のそれは凶気
彼女の破壊衝動は小さな村に留まらず世界全てに及ぶ
そして殺戮天使とも呼べる彼女はイリアスや他の天使から別の名でこう呼ばれていた…
村人A
「逃げろー!!」
村人B
「ローゲの炎使いだー!!!」
ローゲの炎使い
シャイターンは天使や人々からその名で恐れられていた
ローゲとは神話上で炎の神を意味する
シャイターン
「アーハッハッハ!!消えなさい!ことごとく消えてしまいなさい!!」
彼女が炎を放つ理由は一つ
世界の全てを焼き払いたい
ただそれだけ
彼女は全てを焼き払えればそれで良かったのだ
それは地上だけではなく天界も然り
彼女は天使達の頂点に立つイリアスさえも焼き払おうとしていたのだ
地上を焼き尽くした後は天界を焼き尽くす
しかしそんな彼女の前に三人の戦士が現れる
???
「ちょいと派手に暴れすぎじゃないのか?天使さんよ」
??
「本当はあまり戦いたくはないのじゃがな…」
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「俺たちの日常を壊す奴は、誰であろうと許さねえ!」
その三人の戦士はシャイターンの獄炎の前に堂々と立つ
???
「………」
それを怯えた表情で見つめる少女
彼女は独特な模様のケープを身に纏い、藍色の髪をしている
シャイターン
「今度はあなた達が私の糧になるのですか…いいでしょう、かかって来なさい!!」
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「初めから全力で行くぞアレン!」
アレン
「ああ!俺に任せとけ!」
そう言ってアレンと呼ばれた彼は先陣を切り空中のシャイターンに向けて走り出した!
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「玉藻!俺が能力を発動させるまで援護してくれ!」
玉藻
「任せておけ!」
この九尾の狐こそが後に現れる玉藻である
シャイターン
「聖剣ならざぬ深淵の焔(フォーヴズ・ブルドガング)!!!」
先行したアレンにシャイターンの放つ漆黒の焔が襲いかかる!
アレン
「摂理たる終焉(エンドレスバニッシュ)!!!」
アレンはその焔に向けて眩い光を放つ
それは全てを無に帰す光
アレンの両目に映るものは例外なく消滅する
その光は漆黒の焔をも無に帰しその先にいるシャイターン本人も無に帰そうと迫る!
シャイターン
「くっ!貪り食らう獄炎の巨人(ヘルヘイム)!!」
獄炎の焔を消滅させられたシャイターンは咄嗟に防御の炎を展開する
それは対象を燃やし尽くすまで決して消えない地獄の焔
その焔の前では消滅の光も効果を発揮できない!
アレン
「チッ!摂理たる終焉(エンドレスバニッシュ)まで無効化しやがったか…」
??
「やはり、並みの攻撃ではあの炎の障壁は突破できないな」
玉藻
「消失能力までも無力化する焔か、どうしたものかのう…」
シャイターン
「目障りですよ…!あなた達もさっさと灰燼になりなさい!!」
その言葉と共にシャイターンは更なる業火を放つ
それはこの世の終わりのように続く聖魔大戦を終結させるに相応しい一撃
玉藻
「九尾烈葬!!」
玉藻もそれに対抗し、自らの放てる最大限の炎を解き放つ
互いに放った炎は対存在を消し去るべくぶつかり合う!
シャイターン
「そんなもの無意味ですよ、私の炎は一度放たれれば対象を焼き尽くすまで決して消えません」
シャイターン
「仮に私が消滅したとしても、一度身に浴びた炎は消えることなくその体を焼き続ける」
シャイターン
「その地獄の焔を消せるのは術者である私だけ、つまり一欠片でも受けた時点で死は確定するのですよ…」
同時にシャイターンは凶気の笑みを見せる
玉藻
「妾の力がこんなものだとでも思ったか?」
シャイターン
「何!?」
玉藻は懐から特殊な装飾の銃を取り出す
その銃の名はリンドヴルム
かつて最高神オーディンに不死の力を与えたとされる龍の名を課した破魔銃
玉藻
「これが妾のマホウじゃ!」
アレン
「ヤベッ!!」
アレンも反射的に玉藻の後ろに下がる
一方の青年は玉藻の背後で静かに魔力を集中していた
??
「玉藻!まさかあの破魔の力を使うつもりか!?」
玉藻
「それしかない!あの天使を滅ぼすにはお主の魔力でも足りん!不死を滅するこの力ならば…!」
シャイターン
「させるかぁー!!!!」
その銃に本能的な恐怖を覚えたローゲの天使は最大限の業火を蓄積し始める
シャイターン
「沸騰する混沌より、冒涜の光を呼び寄せん…!」
それは黒い太陽
この星の生命はおろか銀河の生命さえも焼き尽くすであろう禁忌の焔
シャイターン
「原初の闇より生まれし万物を、今その座に還さん…!」
玉藻
「『総ての果てにある福音』(アクエリアンエイジ)」
銃に込めるは不死を滅する力
伝説の龍の牙が炎の神を噛み砕かんと咆哮を上げる!
玉藻
「『高次術式固定』(ノルドシュトルム)」
玉藻の言霊に反応してリンドヴルムはその形を変えていく
シャイターン
「ハアァァァァァ!!!!」
一方シャイターンの両手には死の塊とも呼べる量の炎が集まっていた
一度放たれればその炎は地球の生命など一瞬の内に蒸発させてしまうだろう
玉藻
「『高次術式固定解除』(シュバルツシルト)」
リンドヴルムの銃口に玉藻の魔力が収束され白黒の術式を生み出す
玉藻もシャイターンの最大限の炎に対抗するため限界の魔力をリンドヴルムに込める!
シャイターン
「こんな汚れた星もろとも蒸発してしまえー!!!!!」
アレン
「来るぞ!!」
??
「っ!!!」
シャイターン
「聖剣ならざぬ始原の闇炎(フォーヴズ・プリンキビア)!!!!!」
それは最早炎というより根源たる闇
まるでブラックホールのようなそれはあらゆる存在を消し去るべく咆哮を上げて三人に迫る!
???
「キャアッ!!」
戦いを見守っていた彼女にもその衝撃が来る
玉藻
「哀れじゃのう、シャイターン」
玉藻
「永劫なる福音の魔弾(オーバーロード・ヴァイス・シュバルツ)!!!」
リンドヴルムの銃口から玉藻の全身全霊を込めた一撃が放たれる!
そして根源たる闇の焔と白黒の魔弾が衝突した!
ように見えた
シャイターン
「な……!!?」
その魔弾は星の息吹をも断つ焔を容易く打ち破りシャイターンに迫る!
シャイターン
「くっ!聖剣ならざぬ深淵の焔(フォーヴズ・ブルドガング)!!!!」
その魔弾に焦りを見えたローゲの天使は余力を振り絞った業火を解き放つ
しかし魔弾はその焔さえも消し去りローゲの天使を滅する咆哮を上げる!
シャイターン
「ば、馬鹿なぁぁぁぁァ!!!」
そして
ローゲの天使にその魔弾は直撃した
本来不死を滅する能力を持つリンドヴルム
逆に言えば不死なる存在以外にはこれほどの効力は発揮できない
それでもシャイターンの渾身の一撃を打ち砕いたのは玉藻の魔力量が圧倒的に高かった故
玉藻
「終わった…のう…」
生命力の限界近くまで魔力を消費した玉藻はその場に膝をつく
アレン
「やっと狂った天使は消えてくれたか…」
アレンもその場に座り、安堵の息をつく
??
「これで後は、イリアスを倒せば終わるんだな…長かった聖魔大戦が」
???
「みんな!無事ですか!?」
そして戦いを遠くから見守っていた少女が駆け寄ってくる
アレン
「あまり近寄りすぎるなよイサラ、まだ奴の放った炎が残ってる」
??
「マホウを持っていない者がその炎に触れでもしたら一巻の終わりだ」
イサラ
「でも、みんな生きててくれて良かった…!」
??
「当たり前だろ?だいたい俺たちがそんな簡単にくたばるわけ…」
??、アレン、玉藻
「っ!!!!」
三人は同時に異変に気付いた
マホウどころか肉体ごと魔弾で射抜いたシャイターンが消滅しないのだ
本来生命力の根源となっているマホウを破壊されればその所持者も消え去る
シャイターン
「何を……安堵…しているの…ですか……?」
アレン
「なっ!!?」
何と完全に力尽きた筈のシャイターンが立ち上がった!
その目は一睨みで人間を殺せるほどの殺意に満ちている!
シャイターン
「まだ……決着が………ついていないで…しょう?」
纏っている炎の翼は先ほどに比べれば弱々しいものの疲弊した玉藻やアレンを焼き殺すには十分な量だ
玉藻
「あの破魔の魔弾を受けて、まだ息があるのか…!?」
シャイターン
「いえ……確かに私は…あの魔弾で一度…間違いなく死に絶えました…」
シャイターン
「でも、そこのあなたと同じように私も複数のマホウを取り込んでいるんですよ!!」
アレン
「まさか…!」
??
「二重魔力融合(ダブルストック)か!?」
二重魔力融合(ダブルストック)
本来マホウは一人につき一つしか扱うことができない
しかしシャイターンの聖剣ならざぬ深淵の焔(フォーヴズ・ブルドガング)の能力を応用すれば複数のマホウを扱うことも不可能ではない
獄炎の焔を浴びせた相手を殺さずに取り込むことでその相手の持っている知識や経験をフル活用できる
無論その者のマホウをそっくりそのまま扱う事は不可能だが、戦えば戦うほどに凶悪になっていくことは想像に難くない
シャイターン
「そう!私が取り込んだ相手を、『使い捨て』できるんですよ!!!」
シャイターン
「折角得た叡智を失うのは惜しいですが…命には代えられません…!」
アレン
「チ、チクショウ!!!」
玉藻
「ここまでか…!」
??
「くっ!」
ほとんど魔力の残されていない二人に代わって青年がシャイターンの前に立つ
シャイターン
「無駄ですよ…!あなた如きの魔力で、私を打倒などできない!!」
??
「『九つの世界』(ノートゥング)!」
彼の能力、九つの世界(ノートゥング)は相手に触れることをトリガーとして発動する必滅にして必中の能力
相手に触れると同時に彼は九つの平行世界に接触(アクセス)し、自分の起こしたアクションでのみ起こりうる任意の結末を手繰り寄せることができる
九つの世界(ノートゥング)を使用するために必要な魔力は先ほどの戦いの間に蓄えた
後はこれをシャイターンに当てるだけだが…
??
(チクショウ!纏っている炎が大きすぎてあのまま触ったら俺も相打ちだ!)
彼女が纏った炎の量が膨大過ぎて触れる事ができないのだ
いくら任意の結末を手繰り寄せる能力といえど相手に触れる事ができなければその効果は発揮できない
ローゲの天使と相打つ事を恐れる故に彼はその雷槍を解き放つことができずにいた
アレン
「何してる!早く撃っちまえ!!」
??
「無茶言うな!今あいつに触れたら俺までお陀仏だぞ!」
シャイターン
「何をごちゃごちゃ言っている!!!」
完全に怒りを露わにしたシャイターンは三人纏めて屠るため黒い業火を生み出す
シャイターン
「聖剣ならざぬ深淵の焔(フォーヴズ・ブルドガング)!!!」
それは無防備な三人に向けて容赦なく放たれる!
アレン
「くっ!摂理たる終焉(エンドレスバニッシュ)!!!」
アレンは全身全霊で迫る業火を眩い光で消し去る
??
「ハアァァァァァ!!!」
その業火が消滅した瞬間を縫って彼はシャイターンに突貫していく!
シャイターン
「や……やめろぉォォォ!!!」
光の速度の9倍のさらに9倍
243億分の7秒で間合いに入られたシャイターンにもう打つ手はなかった
??
「総てを超越せし九つの雷光(トールハンマー・フルアクセス)!!!!」
その一撃が命中した瞬間に彼は『シャイターンは使い捨ての防御を展開できずにこの一撃を受けた未来』を選択する
??
「ハァァァァァ!!!」
シャイターン
「っ!!!」
彼の一撃がシャイターンに直撃した瞬間ものすごい雷光と閃光が周囲を覆う
??
(くたばったか?)
彼自身も閃光を受けるが集中して眼前を見る
シャイターン
「が…あがぁ…!!」
??
「なっ!!?」
玉藻
「し、信じられん…!」
光速を遥かに凌駕した拳を受けてもシャイターンはまだ健在だった
イサラ
「一体、どうすれば…!」
シャイターン
「殺してやる…殺してやる…!殺してやる…!!!」
シャイターンはもう理性すら失うような破壊衝動の中で漆黒の炎を放つ
玉藻
「ぬわぁぁぁ!!!」
アレン
「うわぁぁ!!!」
怒りの炎は玉藻とアレンを吹き飛ばし戦闘不能の打撃を負わせる
??
「イサラァ!!」
雷光使いの青年はイサラを庇い漆黒の炎をかろうじて回避する
シャイターン
「一匹殺し損ねましたか…いい加減死んでくださいよ…!!!」
イサラ
「危ない!!」
??
「っ!!」
イサラは雷光使いの彼が反応できないような速度で前に飛び出し漆黒の炎に身を投げ出す
??
「やめろ!!イサラァァァ!!!」
しかし彼には魔力が残っておらず最も大切な人が手に掛かる瞬間を見ているしかなかった
イサラ
「あ…」
漆黒の炎を浴びたイサラはその場に倒れ魂を焼かれていく
??
「イサラァァァ!!!」
彼は全速でイサラの元に駆け寄る
??
「おいイサラ、死ぬな!死ぬなぁぁ!!」
イサラ
「ごめん…なさい…守れなかった…」
イサラの魂は確実な死へと向かい続ける
しかし彼には今のイサラを救う手段は何一つ存在しなかった…
最も大切な人の死を前に彼はただ泣くことしかできなかった
イサラ
「どうか…生きて……」
それが彼女の最期の言葉だった
??
「イサラァァァァァァ!!!」
大切な人の亡骸の前で彼はただ涙した
それは目の前の現実から逃れるような最も愚かしい行為
そして彼はゆっくりとイサラの亡骸を地面に寝かせる
??
「俺を…殺すのか…」
シャイターン
「まだ死んでなかったんですか…早く死になさい龍弦!!」
龍弦と呼ばれた彼は死を纏う天使に向き直る
シャイターン
「死ねぇー!!」
満身創痍となったローゲの天使は狂った笑みを浮かべながら龍弦に向けて漆黒の炎を放つ
龍弦
「………」
しかし龍弦はそれを回避しようとはせず呆然と立ち尽くす
その炎は龍弦と共にイサラの亡骸をも消し去る
それは雷光を纏いながらも玉藻やアレンには及ばない下級のマホウツカイである彼には不相応な最期と言えた
龍弦
「無駄だ」
しかし
その炎を浴びてなお龍弦はイサラの亡骸を背後に立ち続ける
シャイターン
「なに…!!?」
シャイターン
「っ!!!」
その危機を本能的に察知したシャイターンは彼を屠るべくさらなる業火を解き放つ
龍弦
「…………」
しかしどんな業火であろうと能力(ちから)であろうと今の彼を倒すことはできなかった
そう、それは何という皮肉
彼の真のマホウを解放するために必要な事象はただ一つ
それは最も愛する人の死
最も大切な人を守れる力は最も大切な人を失わなければ発動できない
この瞬間から彼の肉体は永遠の存在となる
そして永きに渡って続いた聖魔大戦に終止符を打つべく
龍弦は静かに最凶の天使へと言い放った
龍弦
「……それで終わりか、ローゲの炎使い」
それこそがこの聖魔大戦に終止符を打つ究極のマホウツカイの言葉だった
ほぼfortissimoのプロローグと同じになってしまいました(笑)
ローゲの炎使いとの戦いは自分の想像です