もんむす・くえすと!・イクサ   作:ヴァンス

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ちょっと更新遅くなりました、今回から新キャラ出します


第五夜 現れる想定外(イレギュラー)

オーディン視点

 

崩壊した大地に一人オーディンは佇む

 

その視線の先には先ほどアリスやルカ達が逃げ出した次元の穴が開いている

 

しかしオーディンは何故か追いかけようともせずただ虚空を見つめていた

 

オーディン

(私の蒼穹から間一髪逃れたか、いくら制限しているとはいえ魔力を無駄使いし過ぎたか…)

 

天使の力を覚醒させたルカ

 

原初の天使ミカエラとルシフィナ

 

そして現魔王アリスフィーズと魔王軍四天王

 

イリアスとその手勢の天使の数も含めると2割出力での戦闘を強いられているオーディンには少し脅威となり得るものだった

 

しかも先の戦闘で得られた魔力は天使ナガエルの魔力のみ

 

オーディン

(やはり、私自ら天界に攻め込むしかないか)

 

そうオーディンが考えるのと

 

?????

「あらあら、こんな辺鄙な場所にいて退屈しないのですか?最高神さん」

 

少女の声が響いたのはほぼ同時だった

 

オーディン

「何者だ?お前は」

 

黒のアリス

「私はアリスフィーズ8世、通称黒のアリスですわ、以後お見知りおきを」

 

少女の外見とは裏腹にオーディンにも負けず劣らずの殺気を周囲に撒き散らす

 

オーディン

「私が封じられていた世代の魔王か」

 

黒のアリス

「その通りですわ、今から500年程前の話ですから、正確には元魔王といったところですわね」

 

そう言って黒のアリスは不気味な笑みを見せる

 

オーディン

「貴様、一体どのような手段を使ってこの空間に入った?ここは私の望んだ者以外の存在を許さない場所だ」

 

オーディンは率直な疑問を黒のアリスにぶつける

 

オーディンが創り出したこの空間には何人たりとも浸入することはできない

 

黒のアリス

「イリアス様のお力ですわ、いくら最高神様でも力を制限していては空間の防御も甘くなるというもの」

 

オーディン

「なるほど、あの下衆女神の入れ知恵か」

 

オーディン

「では質問を変えよう、私に何の用だ?」

 

いつでも魔力を解放できる体制になりながらオーディンは黒のアリスに問いかける

 

目の前にいる少女の実力は未知数

 

オーディンも警戒を解くことはできずにいた

 

黒のアリス

「クスッ、そういきり立たたなくても大丈夫ですわよ」

 

黒のアリス

「私はあなたと話し合いに来ただけですわ」

 

オーディン

「話し合い?」

 

黒のアリス

「イリアス様からの提案、といったところですか」

 

オーディン

「………聞かせてもらおうか」

 

一瞬躊躇ったがオーディンは警戒を解き、黒のアリスの言うイリアスからの提案を聞くことにした

 

黒のアリス

「話が早くて助かりますわ、それでは…」

 

ルカ視点

 

ルカ達は辛うじてオーディンの渾身の一撃から逃れ、エンリカに戻ってきていた

 

ルカ

「た、助かった…」

 

ルシフィナ

「間一髪でしたね…」

 

アリス

「聞きたいことは色々あるが、まずこの事から聞かせてくれ、あいつは一体何者なんだ?」

 

僕も同じ疑問を持っていた

 

2割出力であれだけの戦闘能力を持っているのも恐ろしいが、何より問題なのは消滅させても復活するあの能力だ

 

アルマエルマ

「私もあんなデタラメな魔力初めて見たわ」

 

エルベティエ

「私の防壁を紙片のように引き裂かれるのも初めて見る光景だったわ」

 

アルマエルマもエルベティエもオーディンの戦闘能力には歯が立たない様子だった

 

ミカエラ

「私も詳しくは分からないのですが、昔イリアスに六祖大縛呪で封じられた神々の頂点に立つ存在のようです」

 

戦闘での消耗が激しかったのかミカエラさんも母さんも人間の姿に戻っている

 

ミカエラ

「あの時私も戦いに参加していましたが、その当時でも彼は恐るべき強さでした」

 

ミカエラ

「イリアスと初代アリスフィーズ1世が手を組んで戦っても打ち破ることは敵わず、結局封印することしかできなかったようです」

 

アリス

「しかしあいつは封印の中で魔力を蓄えていたような事を言っていたぞ?それに六祖大縛呪をどうやって破ったんだ?」

 

ルカ

「それに、天使に攻撃もできていたみたいだし、普通だと触れることすらできないのに」

 

ルシフィナ

「恐らく、彼の能力で天使の聖素体に干渉できるようにしているのでしょう」

 

ルシフィナ

「そうでなければ1000年前に天界まで乗り込んできた理由の説明ができません」

 

ルカ

「それもそうなんだけど、母さんもミカエラさんもどうしてそんな事を知っているの?」

 

2人が天使だということは分かったけど、ここまでイリアスの事に詳しいということは2人はまさかイリアスの側近?

 

ミカエラ

「そうですね、ルカにも話しておきましょう」

 

ルシフィナ

「私とミカエラは、イリアスに創り出された最初の天使姉妹なの」

 

ルカ

「最初の…天使!?」

 

アリス

「何だと!?」

 

アルマエルマ

「じゃあルカちゃんは、イリアスと何かしらの繋がりがあるって事!?」

 

エルベティエ

「驚きだわ」

 

その言葉に驚くしかなかった

 

母さんもミカエラさんもイリアスに創り出された最初の天使!?

 

あのオーディンとまともに戦えた理由もやっと分かった

 

ルシフィナ

「でも、今はイリアスよりオーディンの方が問題かもしれません」

 

アリス

「どういうことだ?」

 

ルシフィナ

「あの人の目的は、究極魔法という力の覚醒」

 

ルシフィナ

「そのためには大量の魔力、そして聖素と魔素が必要になります」

 

ルカ

「究極魔法…何度かオーディンも言っていたね」

 

ミカエラ

「そのためにオーディンはイリアスを含めた全ての天使を狩ろうとしています」

 

アリス

「なっ!!?」

 

ミカエラ

「そして六祖大縛呪を解き、復活してくる初代魔王も」

 

アリス

「初代様を狩るだと?そんな馬鹿げたことができると…」

 

アルマエルマ

「魔王様、横から口を挟むようで悪いですがあの男は先の戦いで本気を出してはいません」

 

ルカ

「全魔力の20%って言ってたね」

 

ミカエラ

「それでも1000年前に相対した時とほとんど変わりありません、つまり今の彼は…」

 

???

「1000年前よりも遥かに強大な魔力を持っているってことだろ?」

 

ルカ

「え?」

 

その場に突然男の人の声が響く

 

ミカエラ

「アレン!まだ起きてはいけないと言ったはずですよ!」

 

アレン

「五月蝿えよ、オーディンが封印から出てきた今、俺が行かないで誰が行くんだよ?」

 

アレンと呼ばれた男の人はミカエラを軽くあしらうと僕の前に来る

 

アレン

「お前が、現世の勇者ってやつか?」

 

ルカ

「はい、ルカといいます」

 

アレンは僕より少し背が高く、長い上着を身に纏っている

 

髪は紅く、まるで返り血で染まったような色だ

 

アレン

「俺はアレン、現世にはもう存在しない男のモンスターだ」

 

ルカ

「え?男のモンスター?」

 

アリス

「寝ぼけたことを事を言うなドアホめ、モンスターは女の姿以外存在しないはずだ」

 

アリスも反論する

 

それもそのはずだ

 

僕が今まで見てきたモンスターは全員女性の姿をとっていて男のモンスターなんて話にも聞いたことがない

 

アレン

「やれやれ、そんなに疑うのかよ」

 

アレン

「じゃあ、その証拠を見せてやるとするか…」

 

アレン

「ハアァァァ…!!」

 

アレンが気を込めると背中から翼が出現し、顔に独特な模様が浮かび上がる

 

その模様は僕がよく知っているものだ

 

アリス

「なっ!!!?」

 

ルカ

「その模様、グランベリアの」

 

アレン

「へぇ、あいつを知っているのか」

 

ルカ

「知ってるも何も、僕戦ったよ?グランベリアと」

 

アレン

「………は?」

 

アレンは一瞬戸惑いながらもルカの言った事を冷静に受け止める

 

アレン

「まさか、勝ったのか?あいつに」

 

ルカ

「なんとかね、最後は正々堂々と大技をぶつけ合ったよ」

 

アレン

「どうやら、俺の見立て以上にすごい奴なんだな、お前」

 

ふとアレンが少年臭い笑みを浮かべる

 

アルマエルマ

「まさか、前にグランベリアちゃんが言ってた恋人って…」

 

アレン

「ああ、俺の事だ」

 

まさかグランベリアに恋人がいるなんて…

 

アレン

「とまあ、そんなことは置いといてだ」

 

アレン

「俺は行くぜ、イリアスの事もそうだがオーディンを止めねえとエンリカも魔王城もパァだ」

 

ミカエラ

「あなた、まだ魔力が完全ではないのに無茶を…」

 

アレン

「魔力ならとっくに完全だ、俺の回復力を見くびってもらっちゃ困る」

 

アリス

「何でもいいが、どこか拠点を決めないか?イリアスにしてもオーディンにしても何か対策を練らなければならんからな」

 

ルカ

「なら魔王城の方がいいんじゃないかな?四天王達もいるし」

 

アリス

「ルカ…まさか余の城を自分の家だと思っていないか?」

 

ルカ

「いや、そんなことは…」

 

正直思ってた…

 

ミカエラ

「では、私達も魔王城に滞在することになるのですね?」

 

アリス

「そうなるな」

 

ルシフィナ

「ミカエラ、隠れ里の事は大丈夫なの?」

 

ミカエラ

「心配ないわ、私の信頼しているエルフが統率してくれるから」

 

アリス

「では、魔王城へ向かうとしようか、アルマエルマ!」

 

アルマエルマ

「りょうかい」

 

アルマエルマが転送魔術を発動させる

 

こうして僕たちは魔王城を拠点にイリアスとオーディンの対策を立てることになった

 

オーディン視点

 

オーディン

「ふざけるな…!そのような要求を私が受けるとでも思っているのか!?」

 

珍しく冷静なオーディンの怒声が響く

 

それは明らかに黒のアリスに向けられたもの

 

黒のアリス

「そう怒らないでくださいな、あなたにとっても有益な話ですのよ?」

 

オーディン

「どう考えても私に不利な話でしかないのだが?」

 

イリアスに全魔力の8割を捧げ、その代わり究極魔法に必要な最後の一つを渡す

 

そして彼女を取り戻す代わりにイリアスが全世界を統治する

 

それが黒のアリスが持ってきたイリアスの提案だった

 

黒のアリス

「あなたの求める究極魔法に必要な最後の一ピースが手に入りますのよ?イリアス様はあなたの計画に賛成なさってくれているのですわ」

 

オーディン

「そう見せかけて、私の魔力を欲しているだけだろう」

 

オーディン

「究極魔法の最後の一つをまさか貴様らが握っているとはな、つくづく不愉快な話だ」

 

オーディン

「それは元来彼女と私のものだ、すぐに返せ…!」

 

話し合いながらもオーディンは強烈な殺気を放つ

 

黒のアリス

「クスッ、いいのですか?そんなに殺気を放出して」

 

黒のアリス

「その気になればあれを壊してしまうこともできますのよ?」

 

オーディン

「っ!!」

 

その言葉を聞き、オーディンの表情が一変する

 

いくら魔力を漲らせても最後の一つを失っては究極魔法は完成しない

 

つまりそれは彼が1000年かけて蓄えてきた魔力が全て無に帰すということ

 

黒のアリス

「では、数日後にまた来ますわ」

 

黒のアリス

「いい答えを期待していますわよ、オーディンさん?」

 

それだけ言い残して黒のアリスはオーディンの空間から消える

 

オーディン

「………………」

 

一人残されたオーディンはイリアスからの半ば脅しにどう対抗するか考えあぐねていた

 

オーディン

(どこまでも下衆な女神め…)

 

オーディン

(いいだろう、ならば私の能力で迎え撃ってやろう)

 

1000年前の最高神と創世の女神の衝突が再び起きようとしていた

 

続く




今回は少し短めにしました、戦闘なかったので(笑)次回は戦闘ありにします
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