鉄塔の上で三騎の英霊が火花を散らす。
武器と武器。
技と技のぶつかり合い。
アーチャーが放つ矢をランサーが叩き落とし、その間をセイバーが間合いを詰め、斬り込む。
セイバーが大剣を降り下ろすとアーチャーは鉄塔から身を投げ出し、落下する。
「なっ!」
突然の事に慌てて駆け寄り、眼下に視線を向けるセイバーの顔を矢が掠める。
否、ギリギリの所でセイバーが回避した。
「チッ、避けおったか」
舌打ちをしながら落下するアーチャーが続けて放った矢は鉄塔に直撃し、爆発と共に二騎のサーヴァントを空中に吹き飛ばす。
その隙を逃さず、更にアーチャーは矢を射るがセイバーとランサーは空中で防ぎきる。
「セイバー、大丈夫か?」
「大丈夫です。それよりもランサー、あのアーチャーの弓」
「ああ、どうやらかなりの宝具のようだ。真名を解放されたら少々面倒だ」
屋根に着地し、体勢を立て直す二人をよそに敵であるアーチャーは走り去っていく。
片足に包帯を巻いているものの、走るには問題ないようだ。
「セイバー、悪いがあの
「それは困ります。僕はマスターから命令されて来ているんですから」
「ならば、早い者勝ちと言う事でどうだ?」
「そうですね。お互い騎士としてなら・・・」
その言葉を最後に二騎のサーヴァントは駆け出す。
数十メートル離れた屋根に次々と飛び移り、瞬く間にアーチャーとの距離を詰める。
放たれる矢を退け、ランサーがセイバーより一歩先に踏み込んだ時、アーチャーの弓から九つの光が放たれる。
「
「何!?」
「しまった!」
高速の九連撃がランサーとセイバーに襲い掛かる。
それはかつての大英雄が編み出した業。
不死の蛇を殺し切るほどの連撃は、彼の技として引き継がれる。
ある者には剣技として。
ある者には槍術として。
ある者には弓技として。
連撃と呼ぶにはあまりに速く、それは攻撃の壁と化す。
立ちはだかる者の一切を粉砕する。
「くっ!」
ランサーは飛び退き、直撃を避けるが三本が飛来するが二本の槍で何とか叩き落とす。
敏捷A+故にできたのだろう。
だが、
「セイバー!」
後ろにいるセイバーはA。
おそらく、六本の矢を避ける事は難しいだろう。
そう、避ける事は。
「
セイバーが叫ぶと同時に現れたのは一つの盾。
それには二本足で立ち、吼える獅子の姿があった。
それを前面に構え、防御の姿勢を取る。
凄まじい音と共にセイバーに矢が直撃する。
轟音と共に周囲に衝撃波が走るがセイバーは耐えてみせた。
「ほう、あの矢を堪えるか。どうやら只の英霊ではないようだな」
「流石に駄目かと思いましたが...」
「肝を冷やしたぞ。セイバー」
ランサーが胸を撫で下ろすように息を吐く。
そして二人は武器を構えるとアーチャーに対峙する。
「流石に分が悪い、か」
そう言い残すとアーチャーは名残惜しそうに消えた。
ゆっくりと構えを解くと二人は顔を見合わす。
「取り逃がしたか。セイバー、一度主の下に戻ろう。これ以上は深追いは危険...」
ランサーの言葉を遮るように、破壊の音が響く。
二騎のサーヴァントが音のした方を向くと黒煙が上がっていた。
(セイバー、一旦アーチャーの追跡を止めろ。不味い事になった)
マスターである宗治から念話での会話。
(どうしたのですか、マスター)
(五騎のサーヴァントが戦闘を行っている。こんな街中で大規模な戦闘が行われたら面倒だ。なんとかして止めろ)
(分かりました)
念話を終えるとランサーを見るとランサーは頷く。
どうやらランサーも同じ事を言われたらしい。
「セイバー、状況はよく分からんが五騎のサーヴァントが一様に会しているのだ。気後れはしておるまいな」
「まさか、むしろ騎士として胸が踊る!」
「それは良かった。では、行くぞ!」
ランサーとセイバーはその場へと向かった。
そこはどうやら公園のようで夜間である為、一人しか人はいない。
人ではない、七騎のサーヴァントを除けば。
そこには緑のアーチャーと旗を掲げた英霊が幼いマスターを庇うように三騎のサーヴァントとの間に入っていた。
(アーチャーとあの英霊は?ランサーか?あとはセイバーが二騎!?それにバーサーカー!?どういう状況!?)
内心混乱気味のセイバーの脳内にマスターの声が響く。
どうやら使い魔越しにこの光景を見たようだ。
(どうします?マスター)
(どうするも何も。この状況、どう考えても小さいマスター側に付いた方が良い。知らない顔だが、この町で聖杯戦争起こした奴らの顔じゃない)
(では、助勢に入るのは...)
(いや待て。......あのマスターの素性が分かった。名家の魔術師だ、この聖杯戦争には関係ない。助ければ協力関係を築けるかも。セイバー、なんとしてもあのマスターを守れ)
マスターからの指示でセイバーとランサーは睨みあう両陣営の間に現れる。
「新手か!」
緑のアーチャーが身構えるのを旗を持った英霊が制する。
そして一歩前へ出ると高らかに声を発する。
「私はサーヴァント、ルーラー!今宵の戦闘は既に聖杯戦争の隠蔽から逸している。各自、マスターの元に帰りなさい!従えないなら令呪による制裁を下します!」
(ルーラー?マスター、あれは...)
(分かんない。様子見だ)
謎の英霊に困惑しながらセイバーはただ武器を構える。
ルーラーに自らの王の姿を感じながら。
偉大なる騎士の盾
対人宝具 Cランク レンジ~0 最大捕捉1~10人
セイバーがランスロットから借りた盾。
一対一の状況に近ければ近いほど有利な補整が入る。
Dランク以下の宝具を無効、Cランク以上の宝具は半減、或いは何割か軽減できる
技・射殺す百頭
種別 不明
アーチャーがヘラクレスから譲り受けた弓と技。
本来、射殺す百頭はヘラクレスの技量によってあらゆる武器で使いこなす事ができるがアーチャーは弓限定である。
だがそれでも本家にひけをとらない。