Fallout:SAR   作:ふくふくろう

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秘密兵器

 

 

 

 タイチが語った新制帝国軍の武器、つい20分ほど前に俺を殺しかけてくれた狙撃銃は、まさに秘密兵器と呼ぶにふさわしい物だった。

 

「前にいつか見つけられっかもしれねえなんて話をした気もするし、どっかにあるかもしれねえとは思ってたがよ。それがよりにもよって新制帝国軍の手に渡ってて、このタイミングで敵に回るのか」

「しかもその使い手はくーちゃんの双子の妹で、カナタさんに匹敵するくらいの狙撃手って話っすからね。厄介なんてもんじゃないっす」

「次弾のチャージに数十秒もかかる国産V.A.T.S.システム搭載のレーザー系スナイパーライフル、ね。って事はくーちゃんの妹ってのは電脳少年持ちかよ」

「ところがそうじゃないらしいっすよ。その国産V.A.T.S.を使える銃ってのは、電脳少年の機能やらレーザー光線を発生させる機能なんかが専用のヘルメットやバックパックに繋がってて、恐ろしく取り回しが悪いそうっす。それこそ、定点狙撃しかできないくらいに」

 

 それならまだ戦いようはあるか。

 ここからの戦いでV.A.T.S.を使える俺やミサキのような敵に遊撃戦に回られたらと思うと少しばかり手強そうだが、決まった位置からの狙撃しかできないのならいくらでもやりようはあるだろう。

 

 短くなったタバコをピップボーイから出した灰皿で揉み消すと同時に、外部スピーカーをオンにしているタイチのパワーアーマーのスピーカーがノイズを吐く。

 

 SよりTへ。

 Yは治療を終えて就寝。

 指示があればお願いします。

 

「特になし」

 

 了解。

 

「そういやショウは今、ギルドに1人か」

 

 メガトン基地の見張りをしている時よりもだいぶ気負いを感じさせるショウの声色を聞くと、こんなのがまだ15にもなっていない少年にやらせてもいい役目なのかと思ってしまう。

 

「そうっすね。慣れない里の外、それも戦場で初めてのオペレーター任務。それを誰一人知り合いのいない商人ギルドの指令室でやり切るのは、どんな修行よりもショウを成長させてくれるはずっす」

「まあなあ」

 

 頷いてから天井を見上げる。

 そこには俺が落下してきた時に開いたと思われるそれなりに大きな穴。

 今俺が装備しているホッドロッドフレイム塗装のX-01にはジェットパックが取り付けてあるので、その気になれば屋上に上がって浜松城を窺うのは簡単だ。

 

 だがそれをせず俺もタバコを咥えて火を点ける。

 タイチが危険だと言うのなら、軽率に動いて得をする確立なんて万に一つもあるかないかくらいだろう。

 分の悪い賭けをして怪我をするくらいなら、この先の動き方に考えを巡らせながら四ツ池の部隊の進軍を待った方がいいに決まってる。

 

「アイリーンさん、ベルチバードを出すんっすかね」

「俺なら使わねえな。パワーアーマーの中身を殺しかけるほどのスナイパーが敵にいるんじゃ、怖くって虎の子のベルチバードを気軽には使えねえ。ゲームと違って、あんなデケエ航空機にも急所ってのはあるんだろうし」

「対空ミサイルもバンバン撃たれてたっすもんねえ」

「ああ。商人ギルドがベルチバードを使ってるのも、それが旧市役所の最上階から飛び立つのも、向こうさんはお見通しだったって事だろ。まだ別の備えがあってもおかしくはねえな」

 

 それなりのチャンスがあれば鹵獲の誘惑には勝てはしないだろうが、新制帝国軍は稼働品のベルチバードを撃墜する事を恐れていないように思われる。

 思ったよりも肝が据わっているのが意外だ。

 

「思ったよりもやるもんっすね、新制帝国軍」

「だな。それより、対空ミサイルと狙撃はどっから飛んできたかわかるか?」

「浜松城の天守閣っすね。ミサイルだけじゃなく、とんでもない光が尾を引いてアキラに向かって放たれたのをこの目で見たっす」

「となると、遮蔽物が必要んなるな」

「そこに隠れながらこちらも狙撃っすか?」

「せっかくの城攻めだ。アームストロング砲よろしく迫撃砲をぶっ放して天守閣を粉々にしてやりてえが」

「有用な兵器なのは理解してるっすけど、使い方はわかるんっすか? わかっててもオイラ達がそれを使いこなせる気がしないっす」

「そこなんだよなあ、問題は」

 

 迫撃砲はある。弾もそれなりに。

 そして迫撃砲という兵器の運用に最適だと思われる遮蔽物や、それに覆われた野戦陣地の構築だって簡単だ。

 だが肝心の迫撃砲を扱うノウハウが俺達にはない。

 

「現実的なのは、二手に分かれての狙撃っすかねえ」

「それか狙撃が効果的じゃねえ距離まで踏み込んで接近戦を仕掛けるか。俺の頭じゃ、そんくれえしか思いつかねえな」

 

 いつだったかタイチが『浜松城に斬り込んで』なんて言っていたのを思い出す。

 あの頃には想像もできなかったが、もしかしたらそんな未来もあり得るのだろうか。

 

 ……もしもそんな危険な突撃が必要な事態になれば、俺が単独で。

 

 

「もう抜け駆けはナシっすよ、アキラ?」

「こっちのセリフだっての」

「前科者がよくもまあ」

「もうさんざん謝って、次がありゃ一緒にって約束しただろうがよ」

「わかってるんならいいっすけどね」

 

 

 

 

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