頭が性感帯のショタがオラリオで撫でくりまわされるのは間違いだろうか   作:キャラメリゼ

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ショタの決意

 

 

 

 

 遥か昔、僕が生まれるもっともっと前、古代には神の恩恵なしでダンジョンから生まれ出る凶悪なモンスターと戦った戦士達がいるらしい。

 

『グギャアッ』

 

「わわっ」

 

『グエっ』

 

 信じられない……。今こうして僕を倒そうと襲い掛かってくるダンジョンで一番弱いとされるゴブリンですら、気を抜けばすぐに倒されてしまうだろう。

 その戦士達は、今のような状況もまるで息をするように切り抜けて行くのだろうか。

 

『『『『グギャア』』』』

 

「むりっ無理ですっ」 

 

 徒党を組みながら追いかけてくるゴブリンたちに情けなく背中を見せ逃げ、ゴブリン達の足音が少し遠退いた頃に、分かれ道の角に背中を押し付ける。

 ドクドク言っている心臓を落ち着かせながら胸の前で僕の武器、刃渡り20セルチのナイフを両方の手で握り締め、祈るように深呼吸

 こんなのにビビッてちゃ駄目だ、あの狼はこんなの見向きもしないだろう……やるなら速効だ、群れに飛び込み1~2匹倒した後は考えない。

 

「うわああぁぁぁあぁぁぁああ」

 

『ガッ!?』

 

 一匹の胸めがけて刺突をくりだす、勢い殺さずそのまま二匹目を巻き添えにしながら押し倒す。二匹っ!

 いきなりの光景に硬直している一匹の喉笛を狙いナイフを横に薙ぐ。三匹っ!

 僕を引っ掻こうとする手をしゃがみながら回避、目の前にある足に僕の足を引っ掛け、よろけた頭に突き刺す。四匹ッ!

 刺したナイフを引き抜く時、裏手に持ち替え、抜いた勢いのまま後から襲ってくるゴブリンを頭から足にかけて切り付ける。五匹ッ!

 

「僕の勝ちだっ!」

 

 もう後は恐怖で動きの鈍ったゴブリン達を倒すのに時間は余りかからなかった。

 

 

 

 

 

「…………えっ」

 

 子供達が競争するように家に帰っていく時間帯、僕も今日の冒険を終えホームに戻ると、いつものように神様との戦いに敗れ撫でくりまわされた後、ステイタス更新をして驚きの声がもれる。

 半端じゃない上昇値に目をくしくしと擦ってしまう

 

「か、神様。これ間違いじゃない?」

 

「…………チロル君はボクがこんな簡単な読み書きを間違えると思っているのかい?もう一回撫でてあげようか?」

 

「い、いいです。ごめんなさい」

 

 なんだかイライラしている、神様に冷や汗を掻きながらもう一度用紙を見る

 

「で、でもやっぱりおかしいです僕今日一撃ももらってないのに……」

 

「…………」

 

「あっそういえば、帰りに石に躓いてこけちゃいました……見てくださいよ僕のひざっ!」

 

「…………」

 

「か、神様?僕のあめ玉あげよっか?」

 

 おかしい、神様の頬がまん丸に膨れている。僕でも分かる、これは大分怒っている、いや拗ねているの方が正しいだろうか。

 神様のツインテールが僕を責めるようににょんにょんと黒いオーラを纏ながら動き回っている……あ、知ってるこの後僕死んじゃう奴だ。

 バッと逃げるが、僕のドジスキルが運悪く発動してしまう、掛け布団に足を取られその隙に神様に覆い被さられる。

 

「っ!……せ、せめて理由だけでもッ……」

 

「問答無用」

 

「やあっ……ぁあッん、まっなんでぇ……んんッ……ンんっだ、だめ……さっきやったばかりじゃ、んあっ」

 

「かわいいっ」

 

「んッ……やあぁあっぁぁぁ」

 

 ※頭を撫でているだけです

 

 神様の枕に顔を押し付け、まだ漏れ出てしまいそうな吐息を押さえつける、体はビクつき言う事をきかない。

 やっとの思いで、目尻に涙を溜めながら赤い顔で神様の顔を見上げると、うッと息を詰まらせた後泣きそうな顔になる神様。

 

「ご、ごめんよ……ちょっと頭を冷やしてくるよ……その、ごめんね」

 

 ご飯食べておいで、とそう言いながら、クローゼットから外套を羽織りドアを弱々しく閉め出て行く。

 いつもと違い本当に申し訳なさそうに謝る神様、僕はやっぱり何か怒らせる事をしてしまったのだろうかと思う反面、泣きそうな神様……かわいいっと胸をときめかせるのは失礼だろうか。

 神様と一緒にいきたかったな……。なんて思いながらとぼとぼとシルさんのお店へ向かうのだった。

 

 

 

 

 

 太陽が役目を終え、オラリオを代わりに照らすのはまんまると光る月だ。大通りを行き交う人も朝のビリついた雰囲気ではなく、一日の疲れを背負ったけれど安堵したような顔の者が多い。

 こんな時間に出歩くのは久しぶりだ。しかもいつものようにこれから帰るのではなく、これからご飯を食べに行くなんてのはこれが初めて。

 なんかちょっと悪いことをしている様でドキドキと胸が高鳴る

 

(僕もしかしてヤンキーに見えてたりして)

 

 なんて可愛い勘違いをしているが、誰が見ても迷子の子供にしか見えないのは言わずもがな、そんなことは露知らずいつもより肩で風を切りながら歩いて行くと、朝の見覚えのあるお店が見えてくる。

 【豊穣の女主人】と立派な看板を付けて、おそらくこの辺りでは一番大きいのではないだろうかと言う店先に先ほどの自信はすぐにしぼんでいく。

 店内にいるお客は、仕事終わりの人、冒険者など当たり前だが全員が大人だ、ほとんどが恰幅の良い屈強な男達。

 そして、正反対の店員さん達は全員女の人、丸っこい猫耳を生やした獣人キャットピープル、プライドの高いといわれるエルフまでいる……うん、帰ろう。

 踵を返す、まさに今の状況にピッタリだ、ホームに戻ってじゃが丸君でも貪ろう。そんな考えを一瞬で絶望に変える声がする。

 

「チロルちゃんっ」

 

 ちゃんってなんだ、僕も一応男だ、一応って要らないよね?

 

「シルさん勘違いしているかも知れませんが僕男です」

 

「ん?勘違いなんかしてないよ?…………ああ、でもさんって感じじゃないしなぁー」

 

「もう何でもいいですっ僕ちょっとお腹痛いんで帰ります、では……ひゃんっ……あっんんッ」

 

 バッと口を押さえるがもう遅い、シルさんの顔を見るまでもなく意地悪な顔をしているのが手に取るように分かる。

 少しの間が空いてから、ぷっと小さく吹き出すシルさんそして唇を僕の耳元に近づけて呟く

 

「ばらされたく無いでしょ?」

 

 怖いっ怖いよっ?誰だ良質町娘なんて言ったのはっ!

 もう僕に残された選択肢は一つ、観念しよう。

 

 

 

 

「アンタがシルのお客かい?って冒険者の癖して可愛い顔してるじゃないか」

 

 カウンターから手を伸ばして来るがひょいと避ける。

 

「あん?猫みたいだね、女ならうちに欲しいくらいだよ……見かけに寄らず大食漢らしいじゃないか、じゃんじゃん食べておくれよ」

 

 サッとシルさんを見るとサッと同じように逸らされる。逸らしたっ目逸らしたよ今!

 

「言い訳を聞いて下さい、私は知り合いだから一杯振舞ってあげてって言っただけなんですっこれは本当ですっ」

 

「…………」

 

「後でこっそり、プリンだしてあげるから」

 

「ほんとっ!やった」

 

 ふふっと笑うシルさんに僕も笑いかけながら話す

 

「お仕事はいいんですか?」

 

「うん、お許しはもらってるよ……それよりチロルちゃんって、頭弱いの?」

 

 ごふっと口に入れたパスタを出しそうになるが何とか飲み込む。

 

「ケホッケホッ……えっと……その、なんていうか…………はぃ」

 

「やっぱり……ねね、もう一回撫でさせてよっ」

 

「いやですよっ話聞いてました?」

 

 ざわっとざわつく店内、僕も思わず目を見開く。みながみな一際存在感を放つアイズ・ヴァレンシュタインに目が行くなか、僕は違う人を見ていた、そうベート・ローガだ。

 

「チロルちゃん?」

 

 僕はみる、動きの一つ一つを、誰も寄せ付けないような眼、常に威嚇しているかのような気迫、イスの座り方まで……やっぱりカッコいい。

 どうしよう、お礼を言いに行くべきか……いやいや、こんなところで行ってもいい晒し者だ。

 うん、このまま見学しよう。

 

「……撫でますよ?」

 

 まるで草むらから獲物を狙うように息を潜めてカウンターに伏せるという奇行に走る僕に、シルさんがちょっかいをかけてくるが生憎かまっている暇はない。

 それから数刻、シルさんのちょっかいを上手いこと交わしながら、だんだん出来上がっていく【ロキ・ファミリア】一行の様子をうかがっている。

 

 

――そうだっアイズ!あの話してやれよ!――

 

――ミノタウロスどものだよっ奇跡みてーにどんどん上に上がって行っちまいやがって――

 

――それで、そこにいたんだよ、いかにも駆け出しって感じのひょろくせえ冒険者(ガキ)が――

 

 僕だ……今までの胸の鼓動が嘘みたいに凍りつく

 

――可哀相なくらい震えちまって、顔引きつらせてやんの――

 

 熱い全身が燃えているように熱い、手が震えカタカタと音を鳴らす

 

――しかも、うちのお姫様に撫でられてびっくりする勢いで逃げ出しやがった――

 

 笑い声、周りの雑踏も全部僕に向けられているみたいだ、下を向くと涙が溢れて来ているのが分かる

 

――ざまぁねえ、泣くぐらいだったら冒険者になんかなるんじゃねぇっての――

 

 僕の心をざらざらした紙やすりで削っていっているかのように痛い、図星を言われ悔しくて堪えていた涙が溢れカウンターを濡らす

 

 

 

「あんな雑魚じゃあ、俺らには一生追いつけねぇ」

 

 

 

 椅子を飛ばして、立ち上がる。

 もう顔は涙でぐちゃぐちゃだ、ただ悔しい、雑魚と言われて傷ついてるんじゃない、ガキと言われて泣いてるんじゃない。

 情けない僕にだッ!

 

 居ても立っても居られず、狼の前に踊り出る

 

「あ?おまっあんときの雑魚じゃねぇか!」

 

 ヴァレンシュタインさんが驚き立ち上がる、僕の顔を見て双眸を見開いた後悲しみの表情を浮べる

 

「ぼぐはッ……ずずっ、僕はベート・ローガに追いつくッ!追いついてみせるっ」

 

 ぼろぼろ涙をこぼしながら宣言する、もうとめられない、背中の恩恵がこれでもかと言うほど熱く燃えている

 

「だ、だから待っていてください…………ッ!!」

 

「チロルちゃん!?」

 

 耐え切れなくなってお金も払わず走り出す。

 

 道行く人を追い抜き、周りの景色を置き去りにして、僕を呼ぶ声も背中に押しやって。

 僕は、月が照らす夜の道を駆け抜けていった。

 




完全に勢いで書いたので誤字脱字酷いかもです。あとベート柄のサンドバックここに置いときますね
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