頭が性感帯のショタがオラリオで撫でくりまわされるのは間違いだろうか 作:キャラメリゼ
「チロルちゃん!?」
そんな呼び声も耳を素通りする。
突然の出来事に流石の俺も目を見開いてしまった、そして次に出るのは蔑んだ笑い、追いつく?顔中涙まるけの雑魚が、待っていろ?お前が動き出して無いのにどうやって待つんだ…………ふざけるな、冒険者をなめんじゃねぇ。あいつみたいな口だけの雑魚が一番癇に障る。
ふとアイズに目線を送ると、ガキと一緒にここから飛び出して行っている。何であんな道端の石ころのような雑魚に構うのか理解が出来ないベートは持っているジョッキを目一杯にあおる
手が動かない、酔いすぎたのかと思うがそうじゃない体が縛られた様に動かない……いや、縛られてる。
「ぐぉおおおおおおおおおお」
「「ベートが悪いっ!」」
「うっせぇ馬鹿ゾネス共ッてめぇらも笑ってやがった癖にっ」
「黙れベート、吠えるな」
ぎゃあぎゃあと騒ぐなか、さっきの雑魚の泣き顔がチラつく、罪悪感?はっありえねぇ…………。
(ちっ…………うぜぇな)
さっきまでまん丸とした月が出ていた夜空も、まるで泣き出しそうな雲が覆い隠すのだった。
「はぁはぁ……ここ何処だろぉ……」
ポツリと呟かれた僕の独り言もダンジョンの嫌な静けさに溶けていった。
悔しさに苛まれ我武者羅に武器を振り回しモンスターを狩り続けてきたが、それもピークを過ぎ体の熱も収まってきた。
モンスターとのエンカウントがぱったりと途絶えたことも理由の一つであるが、単純に長時間の戦闘に疲れてきたと言うのが正しい、息を切らしながら僕は周りの景色を見渡す。
(5階層……いや、6階層かな)
壁の色やモンスターの種類、薄く覚えている下りて来た階数でそう判断するが、帰ろうという考えはまだ浮かんでこない。僕は何をしているんだ……と思いながらもモンスターを探す体を止められはしない。
そんな状況のまま6階層を徘徊すると、開けた空間に行き当たる……嫌な予感がする。
ビキリッビキリッと静けさを破るように壁から這い出る黒い影、【ウォーシャドウ】数々の新米殺しと言われるモンスターの一角、6階層新出の黒い悪魔。
ゴブリン、コボルトに慣れてきた駆け出しの最初の関門。単純な攻撃力と単純な速さ、今までのモンスターとは一味も二味も違う差にやられる者が多い。
ビキリッビキリッと後からも聞こえてくる。
(二匹ッ……挟まれた)
『『………………』』
物言わずの二匹からの攻撃、まともに食らえば一撃で致命傷ともなる重い一撃を素早く打ち込まれ防戦一方、避けそこなう爪で浅く肉を抉られていく。
「ッ……ぐッ」
交錯する4本の爪その間を縫うように避ける、僕の汗が飛び血が舞う、まるで無理やりに崖っぷちでダンスを踊らされているみたいだ。
死に直面して冷静になりはたと思う。
どうして僕は、まだ生きているんだ……?
半月、半月で6階層のモンスターと曲がりなりにも交戦できているのは何でだ
(……ステイタス?)
一回の更新ですごい成長を見せたステイタス、僕は今おそらくステイタスに生かされている、たしかにさっきから心臓も頭も体も冷えてきていると言うのに、相変わらず背中の恩恵だけが熱く燃えている。
「がはッ」
戦闘中に考え事をしていた僕を激痛によって目の前に叩き戻される。一撃をもらった、やや外れ気味だがそれでもダメージは絶大、肩を殴られナイフが宙を舞う。
影に押し倒されトドメと言うように振りかざされる黒い爪、あの時と同じゆっくりと流れる時間、走馬灯
その中でも真っ先に思い浮かぶ、路地裏にうずくまる僕に手を差し出してくれた女神様。
(動けッ……動けよッ)
その次は、僕を上から見下ろす憧憬、僕に一瞥もくれず目線だけで見下ろす、その目に映っているのはただの石ころ。
ぐっと拳に力が篭る、ここで何も出来なきゃ石ころですら無くなる……もう、見てさえくれなくなる。
(違うッこんなんじゃ駄目だ……僕はっ僕はどうしても追いつきたい人が居るんだッ!!!)
「うわぁぁぁぁああぁああああ」
窮鼠猫を噛む。その小さな体から放たれる全力の拳、影の爪と僕の拳が交錯、クロスカウンター、僕の頬を爪が掠りながらもバキッと鉱物系の音を立てながら僕の拳がウォーシャドウの顔面を貫く
「……くッ!」
呆けるもう一匹にナイフを拾い上げた勢いのまま、刺突、胸の魔石を貫き灰に帰る影。
「はぁ……はぁ……」
声にならない安堵、冷静さを取り戻した今やる事は一つダンジョンからの脱出、振り返るは一本道の帰り道。
すぐに安堵は焦りの色に塗り代わる。
ビキリ……まるで逃がさないとでも言うかのように壁に入るヒビ、一つではない、蜘蛛の巣のように広がっていく数々のヒビ、生まれ出るウォーシャドウ
ビキリ、ビキリ、ビキリ
……やってやる。
今ばかりは可愛い目を尖らせモンスター達と睨み合う、拾ったウォーシャドウからドロップした爪を拾い上げ握り締め、簡単に手のひらは裂け血が滴る。絶望的な状況と手の痛みに、目尻に涙を溜め背中の恩恵に押されるままに駆け出す。
そう、僕はどうしても追いつきたい高みがある。
どうしても見てほしい人が居る。
最初は英雄に興味なんて無かった……でも今はたまらなく強くなりたい、僕を救ってくれた
(遅い……遅すぎる)
ロキファミリアの眷属に憧れをもつチロル君にやってしまったなでなで、いつもの純粋に可愛くて撫でたわけではなく醜くも嫉妬に駆られ、それをあの子に八つ当たりする様に自分の感情をぶつけてしまった。
何が違うのと言われると何も違わないのだが、ようは心の持ちよう自分を許せるか許せないかだ。
そんな後悔を頭の端に追いやりながら時計を見ると、もう朝になりつつある、あの子はあの程度のことで出て行ってしまうような子ではない事はないと思う。
(まさか、何か事件に巻き込まれているんじゃ…………)
昨日の夜から探し回っているが、周りとは一線を引いた可愛さを持つあの子は見つからなかった……もう一度探しに行こう。
心配で冷静さを失いドアに向かって走り出す、見計らったように開くドア「ぶにっ」と音を立てて圧潰!
「か、かみさまぁ?……大丈夫ですか」
「チロル君ッ」
耳に入る可愛い声に顔の痛みも忘れて安堵から来る涙を流しながら上を向く、しかしその姿に双眸を見開く、いつもより間延びする声に憔悴を隠しきれて居ない顔、泥にまみれた服所々が裂けそこから見えるいくつもの切り傷、一番酷いのは右足の太ももを横断する三本の切り傷。
「ど、どうしたんだいっそのキズ!?やっぱり誰かに襲われたのっ」
「いや……その、ダンジョンにもぐってました……」
「ば、馬鹿っ!装備も付けずに……一晩中!?それじゃあ、ほんとに頭が弱い子じゃないかっ!」
「言い過ぎですっ!…………あの、ごめんなさい」
「……どうしてそんな無茶をしたんだい?、そんなの君らしく無いんじゃないか?」
「…………」
「……ふぅ」
今のチロル君の様子を見て怒る気にはなれない、どこか思いつめたような泣き出しそうな顔、そして無言の拒否に小さくため息を付く
「分かった、いいよ何も聞かない。キミは以外に頑固だからね……無理に聞こうと思えばいくらでも手段はあるんだけど……」
びくっと反応するチロル君、少しの皮肉を込めて言うとその小さな体を更に縮こませる。
「ごめんなさい……」
「うん……とりあえずシャワーを浴びてきなさい。そのあと怪我を見よう」
チロル君に肩を貸し久しぶりのように感じる彼特有の甘い匂いに鼻をクンカクンカさせながら、改めてその温かさに安堵し、少しの嗜虐心が顔を覗かせる。
「チロル君今日は一緒に寝よっか」
「えっ僕ソファーでいいですっ」
「あーキミをどれだけ心配したんだろう……こんなわがままも聞いて貰えないのかー」
「絶対に頭撫でないでくださいね!絶対ですよ!」
曖昧な返事しかしない神様に不安を感じながら、僕は神様の胸に抱かれて目を瞑る。
久しぶりの温かさを抱きしめながら。
土日の旅行の疲れで半分寝ながら書いたので誤字脱字あったら、誤字報告という機能が追加されたらしいので、それで教えてください。