「遅いですよ、夜海先輩!早く行きましょう!」
今俺は歌風さんと一緒に、商店街の七夕祭りに来ていた。
祭り自体は嫌いでは無いが、あまり進んで行きはしない。
なぜなら人混みが好きじゃないからだ。
よって普段は友人に誘われない限り、行きはしない。
まぁ友人も、そこまでいないが……
そもそも何で歌風さんと祭りに来ているかと言うと、その理由は数日前まで遡る。
「夜海、お客さんが来たわよ」
昼休憩、今日は本を読まず昼寝をしていたところ、雪姫さんに起こされた。
来客らしいが、生憎心と辺りは無い。
「一体誰さね。人が寝ている時に……」
「美音よ。話があるって言って待っているわよ?」
はて?何の用だろう?
俺一人が呼ばれたと言う事は、生徒会関係ではないのは確実だよな。
不思議に思いつつ、教室から廊下に出るとそこには、歌風さんが居た。
「休憩中にすみません、夜海先輩」
「気にする事は無いよ。それで?何の用だい?」
「先輩、約束は覚えていますか?」
不安そうに、こちらの表情を窺う様に歌風さんが聞いてきた。
約束?そう言えば、前に言う事一つ聞くとか言った気がするな。
「あぁ、もしかして生徒会室を掃除した時のかな?」
「そうです!良かった。ちゃんと覚えていたんですね」
そう言うと歌風さんの表情が明るくなった。
俺ってそんなに覚えてないと思われているのか…
まぁ記憶力が無いって、自分で言っているからな~
と言うか、その件で来たって事はお願いが決まったって事か。
「ん、それで決まったのかな?」
「はい。夜海先輩、今度商店街である七夕祭りに、一緒に行って貰えますか?」
まぁ約束だし、その位だったら問題ないだろう。
「いいよ。それで合流する?」
「駅の銅像前に十七時集合で、どうでしょう?」
「K。それじゃあ当日はよろしくな」
「はい!よろしくお願いします!」
そう言うと歌風さんは嬉しそうに、教室に帰っていった。
「先輩?何か考え事ですか?」
いつの間にか歌風さんが隣へ来ていた。
今日の彼女の服装は、青色をベースに朝顔の柄が入った浴衣姿だ。
しかし女子が浴衣を着ていると言うのは、何と言うか良いな。
今まであまり考えた事が無かったから、とても新鮮な印象を持つと言うか……
何とも言えない良さがある気がする。
「いや、歌風さんがそんな風に、はしゃいでいるのが珍しかったからな」
それに普段真面目な歌風さんが、こんな風に楽しそうにはしゃいでいると言うのが、珍しく見えたのだ。
「そ、そうですか。お恥ずかし所をお見せしました」
「いや、可愛らしくて良かったよ」
「……そう言うの、ズルいですよ、先輩……」
「ん?何か言ったか?」
「いえ、何も言っていませんよ。それより早く行きましょうよ、先輩♪」
おかしいな?何か言っていたと思ったのだか?
まぁ本人が何も言っていない、と言うのだから言って無いのだろう。
せっかくの祭りだし、目一杯楽しむか。
そう思い歌風さんに手を差し出した。
「そうだな。久しぶりの祭りだし、色々見て回るか」
「えっ…は、はい!」
逸れないよう差し出した手を、歌風さんは一瞬戸惑いながらも掴んだ。
私はしばらく、夜海先輩と一緒にお祭りを見て回りました。
商店街でやっている祭りなのでそこまで規模は大きくはありません。
「そろそろ帰ろっか。あまり遅くなったら、家の人が心配するだろ?」
それに、楽しい時間とはすぐに過ぎてしまうものなのですね。
「そうですね……あ、先輩、最後に短冊を書いて行きましょうよ」
私が見つけたのは短冊に願い事を書き葉竹に飾ることが出来る場。
せっかく七夕のお祭りに来たんですから、願い事を書いておきたいですね。
「そうだな。ま、書いておくか。叶わないだろうけどな……」
「そう言うのは、思っても口に出さない方が良いですよ、古詠先輩」
でも、そう言うのが先輩らしいですけどね。
そんなやり取りを先輩としながら、短冊を書き飾りました。
「歌風さんは、何をお願いしたの?」
「え…ひ、秘密ですよ。それは」
帰りの途中で先輩はそんな事を私に聞いてきます。
私は、思わず秘密にと言ってしまいました。
だって、願い事を人に言うって恥ずかしいじゃないですか。
そんな事を考えていると、先輩は大して興味は無かったらしく「ま、いいけどね」なんて言っていました。
「それにしても本当にこんな事で、良かったの?お祭りに行くなら、同学年の友達との方が、良かったんじゃないの?」
先輩は申し訳なさそうに、訪ねてきます。
私がお願いしたのは、七夕祭りに一緒に行ってほしいと言うもの。
先輩は私のお願いを聞いてくれたのだから、申し訳なさそうにしなくてもいいのに……
「そうですね。でも、私がお願いしたんですから、良いじゃないですか」
「そうか?」
何だかまだ納得していない様ですね。
それなら一つ、小さなわがままを言ってみましょうか。
「納得出来ないのでしたら、一つ提案があります」
「ん?何だ、言ってみ」
「月乃ちゃんみたいにあだ名か、名前で呼んで下さい」
私の小さなわがまま。
それは、あだ名か名前で呼んで貰う事。
「そんな事か?本当にそんな事でいいのかい」
「はい、今はそれだけで良いですよ」
そう言うと、少し考えるしぐさを見せて言いました。
「なら、歌ちゃんでどうだ?
「良いですよ。あ、丁度駅ですね。先輩は電車で帰るんですか?」
「いや、歩きだよ。ここでお別れだな」
「そうですね。先輩、今日はありがとうございました。楽しかったです」
そう言って、私は先輩にお礼を言い、家へ帰りました。
話の締め方とか、イマイチですかね……
デート(?)っぽい話を書いてみたつもりですが、なかなか難しいものです。
次回のは普段通り、十一日更新します。
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今後も気長に待っていただけると助かります。