アルミ缶回収が終わって、前もって聖と決めていた待ち合わせ場所に向かった。
待ち合わせ場所に到着したが、そこにはまだ聖の姿は無かった。
「おかしいな、確か先について待っているって、連絡が来ていたんだが…」
「ふっふっふ、それはこう言う事だよ!お兄さん!」
そんなセリフと共に、誰かが背中に飛びついてきた。
いや、この場合は一人しかいない。っていうか、やる様な奴はこいつぐらいだ。
「その歳になってそんな事やる奴は、お前ぐらいだよ、聖」
そう言って、背中に飛びついた聖を下ろし、額をかるく小突いてやる。
小突かれた聖は詫び入れる様子もなく、むしろ嬉しそうにしている。
「え~、そうかな?バカップルはやるんじゃない?」
「そう言う事は、口にしちゃダメだ。って事で、会場のカップルたちに誤っておけ」
「ごめんなさい?」
「疑問形にする必要は、無いだろ……」
「まあまぁ、そんなどうでも良い事より早く行こうよ!お兄さん♪」
「分かった、分かったから、手を引っ張るな」
聖と祭りを周り色々な出し物を見て回ったりした。その途中、ふと気になった事を聞いてみる事にした。
「そう言えば聖、なんで柑條との交渉に応じたんだ?」
「え?なんでて、それは女の子同士の秘密だよ。ま、しいて言うなら、お互いの利害の一致があったって事かな?」
「ふ~ん、そうか。それともう一つ。お前さんも、しばらく見ない間に成長したかと思ったが、やっぱり変わって無いみたいだな」
「フフフ、そう言うお兄さんこそ変わってないよね?周りの人たちには興味が無くて、頼まれごとは殆ど引き受けると事か」
「そうか?いや、そうなのかもな。お前さんの事もつい最近まで、スッカリ忘れていたからな」
そう言うと聖は「ハァ」と小さくため息を吐きつつ、その時の事を思い返す様に言った。
「そうだろうと思っていたよ。美玖姉さんはすぐに思い出していたけど、お兄さんは美玖姉さんに言われるまで思い出さないんだもの」
「そうだな、それに生徒会に入ったのも、頼まれたのがきっかけだったしな」
「お兄さんって女の子の頼みだと、特に断る事が無いよね?それどうしてなの?」
女子の頼みごとを断らない理由かぁ
改めて考えてみると、あれだな。小さい頃の友人関係に女の子が多くて、自然と頼み事とかが多かったと言うか……主に、柑條からの?
そう考えると柑條に甘かったから、周りもそれに乗っかる様になって、それでもっていつの間にかこんな事になっていた、って言う事か……となると、理由は……
「柑條のせいだな」
「美玖姉さん?そう言えば美玖姉さんも、昔から変わってないよね~」
「そうだな。でも俺からしたら昔より、たちが悪い。如何すれば俺が動くか、知って居るからな」
「あははは、確かに。美玖姉さんなら、的確についてくるだろうね。そう言えば、そろそろ交代の時間だね」
聖がそう言うので時計を確かめると、確かに次の人物の所に行く時間だった。
「ん?あぁ、そう言う事か。あんまり一緒に回ってやれなくて悪かったな」
「美玖姉さんとの約束だもん。仕方ないよ。でも、行く前に一つ聞きたい事があるんだけど……」
「ん、まぁ言ってみ?」
「お兄さんって好きな人、いるの?」
「好きな人、かぁ……いねぇな。そもそも好きな人が出来るかも、分からないからな…」
「…それはまだ、興味がある人が居ないから、って事?それともやっぱり、恋をするっていう気持ちが理解出来ないから?」
「う~ん、どうだろう?多分両方かな?しっかし、何でそんなこと聞くんだ?」
「ううん、ちょっとね。それより!そろそろ行かないと、間に合わないでしょ?」
そう言われ、改めて時計を見ると時間ギリギリになっていた。
「やば、悪い。それじゃ、また今度な!」
「うん!今度は、二人っきりで出掛けようね!お兄さん!」
手を振って走っていく夜海を送りだす聖。
夜海が見えなくなると振っていた手を下ろし、何かを呟いた。
しかしその呟きは周りの音にかき消され、何を言ったのかは本人にしか分からないものとなった。