「先輩!遅いです‼」
「いや~、悪い悪い。急いではみたが、途中で疲れた」
聖の次の相手は歌風さんだ。
因みに順番は、先約だった聖、それ以降はじゃんけんで決まり、歌風さん、ツッキー、雪姫さん、柑條の順番となっている。
「まったく、七夕の時もそうでしたけど時間はちゃんと、守って下さいよ」
「分かってはいるよ。まぁ、相手は選ぶさ」
「先輩?それって、私は遅れても問題ないって事ですか?雑でも良いって事ですか?」
な、なんか、歌風さんの迫力が増した?
不味い事でも言ったか?と、取り敢えず最後まで意見を言い切っておくか。
「違う、違う。少しぐらいなら、笑って許してくれるだろ?」
「え?まぁ…そうですね」
「そう思っていたんだが……悪かった、次からは絶対遅れないようにするよ」
「えっ、いや、あの、別に待つのが嫌いな話訳では無い……、って先輩がきちんと時間を守れば済む話ですよ!」
「う、うん。だから、気を付けるって言っているよね?大丈夫?何か、葛藤みたいなのも漏れていたけど?」
「~~~~~っ!ほら、早く行きますよ!先輩!」
「あ、待てって。さき先行かれると、見失うから。お~い」
なぜかご機嫌斜めになってしまった歌風さんは、何件か店を回ってようやく機嫌が直った。
いまは先程買ったかき氷を食べつつ、ベンチで休憩している所だった。
「そう言えば歌ちゃん、折り入って相談があるのだが」
「ふぁい?なんですか?」
「ちゃん付けして呼ぶの、恥かしいから別の呼び方してもいい?」
「ぅーん、やっぱりかき氷を食べていると、頭にキィーンときますね。えぇと、それで呼び方でしたっけ?そうですね、さん付けでなければ許します」
「さん付け以外か……言っとくけど俺、ネーミングセンス無いからね?」
「あー、そうですね。月乃ちゃんの事を『ツッキー』って言ってますもんね。確かにそこまでセンスがなさそうです」
「んー、フッキ―」
「却下です」
「ミッキー」
「なおダメです」
「風ぼう」
「嫌です」
「ファン」
「どこまでセンスがないんですか⁉」
歌風さんは言うと同時に、酷いと言わんばかりに頬をつまんできた。
「
すると言われてから気付いたのか、慌てて頬から手を放した。
如何やらは無意識のうちに、つまむぐらいダメだったらしい。
「ふぅ、どれもダメとなるとどうしたものか…」
「ふっふっふっ、お困りのようだね、少年」
「ん?如月さんじゃないか」
変わった奴が話し掛けて来たと思ったら、行方不明(?)になっていた如月さんだった。
「天音先輩!今まで何処に行っていたんですか?」
「どこって…会場中からアルミ缶を集めていたんだけど?」
そう言って如月さんは手に持っていた、缶で一杯になったであろう袋を満足げに見せる。
「わぁ、凄い量が集まったんですね」
「だな、まるで季節外れのサンタクロースだな」
俺がそう言うと、如月さんは乗っかりつつ先程の話の続きを始めた。
「フォフォ、ではサンタからのアドバイスじゃ。 いっその事、呼び捨てにすれば良くない?以上! 天音サンタからのアドバイスでした!」
それだけ言うと袋を担いで、また何処かへ行ってしまった。
それにしても、呼び捨てでか……
「成る程な……歌風はどう思う?」
「え、あ、そうですね、……どうせなら、な、名前の方で、お願いします…」
「ん、了解。それじゃあ、美音」
「はい!」
「そろそろ時間だから、行くわ」
「え、もうそんな時間でしたか……あの、夜海先輩」
「ん?何だ?」
「お願いしたら、買い物とか付き合ってくれますか?」
「あー、まぁ他に用事が無ければな?それじゃあ、今日はお疲れさん」
そう答えて美音と別れる。その際、美音らしく律儀に「お疲れさまでした!夜海先輩!」という声が聞えてきた。
なんだろう?可愛らしい後輩から言われると、何だか疲れが吹き飛んだ気になるね。
一方夜海と別れた美音は、ある事を思い出していた。
「そう言えば、最初のやり取りのせいで忘れていました。先輩、私が浴衣に着替えていたの、気付いていたんでしょうか?」