もうこれ、わやだよ!(某もじゃもじゃ頭な北海道出身コメディアン?風)
どっかで聞いたような某ロケット団っぽい決め台詞と共に、突然現れた殺生丸、もとい変態丸と目元を隠す程度のバイザーを付けた愉快な娘達。
変態丸はドヤ顔だけど、クアットロやウーノ達はポーズを決めたまま固まっている。
ドゥーエやトーレは満足げな表情浮かべていて満面の笑みだ。
でも、ディエチやチンクはバイザー付けていて見えないが、多分、目のハイライト消えているだろうな。
そんな変態集団を見て、みんなの反応は様々だ。
「あれが、ナンバーズ!?」
「知ってるの、クロノ君?」
「あぁ、最近色々な次元世界に現れて伝染病の治療や、凶暴な生物の鎮静化、逃走中の指名手配犯の確保やら人助けをしている集団があると噂になっているんだ。まさか、ドクターブライトが背後にいるとは思わなかった」
クロノはナンバーズの事を知っていたみたいだ。
最も、原作みたく犯罪者集団ではなく、謎の人助け集団という認識みたいだ。
というか、管理局では結構有名になっているみたいだ。
そういえば以前レジアス中将が、謎の美少女集団がさまざまな次元世界で人助けをして、本局のお株を奪っていて酒がうまい! と高笑いしてたっけ。
その集団って、ナンバーズの事だったんだ。
「あれは、殺生丸様!」
「ど、どうしたんですか、アインハルトさん?」
いきなり実年齢の半分くらいの幼女声で叫びだしたアインハルト。
そんなアインハルトに驚くヴィヴィオ。
でも今の呼び方どこかで、あー……なるほどなるほど、そういえば能○さんってそうだったな。
うんうん、と1人で納得。
「で、何しに来たんですか? 変態丸さん」
「変態丸ではない私はスカ……ドクターブライドだ!」
おい、今思いっきり正体明かしかけたぞ。
でも、クロノやリンディ提督達もそれに気づいていない。
それでいいのか時空管理局!
あ、俺も管理局員だった。
「あれ? ねぇ、トーマ? あそこにいる人達どこかで見たことないかな?」
「えっ? あ、本当だ」
「言われてみれば、全員に見覚えが……?」
あ、やばっ。ヴィヴィオら未来組がクアットロ達を見て怪しんでいる。
完全に変装しているスカさんはともかく、ディエチやセイン達って普通にViVidでも出てきてたもんな!
あんな目元を隠す程度の仮面じゃ気づかれてしまう!
というか、ナンバーズと名乗っているの時点で気付かないのかい!
「あれ~? 私達って空気?」
「あんな登場の仕方をされてはそうなりますね」
「わぁ~! わぁ~! なにあれなにあれ! かっこいぃ~!」
「ふん。多ければいいというものではないわ!」
一方、ナンバーズの登場ですっかり空気と化してしまったキリエ達。
シュテルとディアーチェは呆れているけど、レヴィは目をキラキラさせてる。
さっきから頭の上が静かだなーと思ったら、め~ちゅはいつの間にか眠っていた。
「それでドクターブライト、あなたがナンバーズの関係者だったのですね」
「関係者、というよりは彼女達の父親みたいなものだよ」
「ナンバーズは養子集団だったのか」
おーい? クロノくーん? 君、管理局のエースだよね? 結構な経験積んでるよね?
もうとにかく、捕まるのがスカさんだけでクアットロ達が捕まらなきゃいいや。
「はぁ~い、健人く~ん、おひさし 「キリエーー!!」 ぶっ!?」
ドゥーエが俺に手を振って挨拶しようとした瞬間、背後から来た深いピンク色の髪をして青い服を着た女性にぶっ飛ばされていた。
その人はまるで彗星のようにキリエに向かっていき、そのままの勢いで抱き着いた。
ただ、流石というかなんというかキリエは驚きつつもしっかりとその誰かを受け止めていた。
そして、自分に抱き着いてきて泣き崩れる女性を見ると、更に目を丸くした。
「お、おねえちゃん!?」
「はい! おねえちゃんのアミティエ・フローリアンですよー!」
なんと、その赤髪の女性はキリエの姉、アミタだった!
……あぁ、そうだそうだ、アミタだ、アミタ。
やっと名前思い出した。
「なんと!? そやつがキリエの姉であるアミタか?」
「う、うん。そうなんだけど。ちょっと、いったん離れてお姉ちゃん!」
「いーえ、もう離れません離しません! というか、もうお姉ちゃんから離れないでください!」
「えぇ~!? 一体どうしたの、おねえちゃん。すぐに私を追いかけてくると思ったのに」
大泣きの姉に困惑気味のキリエ。
どうにか引き離して何があったのか聞いてみた。
「ぐすっ。実は、あなたを追いかけてすぐにこの時間軸へ飛んだ……はずだったんですが、なぜか誰もいない無人世界へ飛ばされて、通信も転送もできずにずっと彷徨っていたの。ついこの間たまたま無人世界へきたドクターブライトさん達に助けてもらったんです」
つまり、迷子の迷子のアミタちゃん、か。
「あっちゃぁ~……多分、それで時空の歪みが起きたのかなぁ。それであの娘達もこっちに来ちゃったのかぁ」
どうやらジーク達がこの世界へ来た原因の歪みのせいで、アミタはキリエを追いかける所ではなくなったみたいだ。
「道理でお姉ちゃんが追ってくる影も形もなかったわけね。用心してアジトから出なかったっていうのに」
「うぅ~……キリエはひどいです。お姉ちゃんを探しに来てくれないですし」
「あのねぇ。どこの世界に自分を追いかけてくる人を自分から探しに行く馬鹿がいるかぁ!」
「キリエ」
「私のどこが馬鹿か!!」
2人はそのまま姉妹漫才を始めてしまった。
さて、そういえばなんでスカさん達は総出でここに来たのか、と聞こうと彼らの方を向くと。
「つまり、あの手配犯はあなたの娘さんをナンパしようとして?」
「あぁ、そうさ。トーレに目を付けたのはいいが、彼女はちょうど機嫌が悪くてね。問答無用でKO。私がもみ消……後処理の為に身分照会したら指名手配犯だったのでね。これは好都合とそのまま捕まえたのだよ」
『なるほど。では、2か月前の疫病の流行について聞きたいのですが』
「あぁ、いいともいいとも。他の管理局員たちは好かないが、君達は特別さ」
「はぁ、それはどうも……」
なんか、スカさんは今までナンバーズが解決してきた事件の事情聴取をクロノとリンディ提督から受けてる。
てか、いい加減目の前の変態丸がスカリエッティだって気づけよ!
「じゃあ、健人君が迷子になってお世話になった人達ってお姉さん達だったんですね」
「えぇ、あの時はびっくりしたわ、秘密にしていた研究所にいきなり彼が現れてね。でも、おかげで楽しい時間を過ごせたわ」
『あの時はアースラも大変だったんだよ。リンディ艦長なんて顔を真っ青にしてパニック寸前だったんだから』
「で、こちらからアースラに転送しようとしたら、地球へ飛ばされて今度はあなたの家にお世話になっていたのね」
「お世話やなんて。ほんの一晩、遊び相手になってもろうただけです」
「それが今じゃみんな揃って管理局で働いていて、しかも、こんな辺境の地で再会なんて、世間は意外に狭いわねぇ」
なのは達は、ウーノとドゥーエから俺と出会った話を聞かされているし。
「あの決めポーズといい、今の崖の上から降りてきた時の身のこなしと言い、随分と鍛え上げられているようだな」
「いやいや、貴女達ベルカの騎士達ほどではないさ。常日頃訓練はかかさないがな」
「でもよ。そのバイザー、今もしている意味あるのか?」
「これでも私達は秘密戦隊ですから。だから任務中はコードネームで呼び合っているですよ。ちなみに私はナンバー4です」
「まるで、はやてちゃんが好きな戦隊ヒーローね」
シグナム達は、トーレやクアットロと盛り上がっている。
「うーん。ねぇ、お姉さんってセインって名前じゃないですか?」
「セ、セセセインなんて名前は知らないなー誰かと間違えてるんじゃないかな、お嬢ちゃん?」
「じゃあ、あなたはひょっとして、チンク姉?」
「?? 確かに私に妹はいるが、弟は……健人は、弟、かもな」
「わぁ~なんだかナンバー5さん、乙女ちっくで可愛いです!」
「ヴィヴィオさんとナンバー6さん、声似てますね」
「なんで、ワンツースリーと続いて、あなたはいきなりナンバー10なん? 結構飛んでるねぇ」
「あーそこらへんは色々事情があってね。気にしないで」
で、ヴィヴィオ達は、セインとチンク、ディエチという未来での顔見知りと話してるし。
「はぁ~話が進まないじゃない。アルフ、ちょっとなんとかしなさい」
「クロノもリンディ提督もすっかり空気に呑まれているからね」
「えぇ~!? あたしには無理だって! てか、あたしら帰っていいんじゃない? 家でアリシアと遊んでた方がよかったよ」
「そうねぇ。アリシア1人は心配だし、帰ろうかしら」
「いやいやいや、2人共待って!」
呆れ果てて帰ろうとするプレシアとアルフをユーノが引き留めてるし。
「っていうか、カオスすぎでしょ」
右も左も人が多すぎて収拾がつかない。
しかも、いつの間にか俺取り残されてるし。
「どうしたもんかなぁ~……ケントサマー ん? どうしたんだユーリ?」
眠っていたと思っていため~ちゅがいつの間にか起きていて、俺を慰めようとしているのか頭を撫でてくれた。
あ、なんか癒される。と、思っていると、め~ちゅが俺の頭から飛び上がり、光に包まれた。
光の中から出てきため~ちゅは、さっきまでの小さいSDフォルムではなく俺がよく知る、ユーリ・エーベルヴァインの姿をしていた。
そして、ユーリは右手を掲げ、一気に振り下ろした。
「みなさん、いい加減にしてください、ね?」
――ドカーン!!
ユーリは、と~っても素敵な笑みを浮かべ、巨大な杭をみんながいる中心部に投げ落とした。
誰にも直撃こそしなかったが、その余波はすさまじく全員吹き飛ばされていた。
俺はというと、ユーリが張ったと思われる結界のおかげでなんともなかった。
「いつつ、一体何が……ん? あれは!?」
「せっかく健人様の愛を受けながら安眠していたのに、訳も分からない人ばかり集まってきてうるさくなって、あげくの果てに健人様をほったらかしてそれぞれ雑談、ですか?」
「「「「「すみませんでした!」」」」
天使のような無邪気さと、大魔王や破壊神すら逃げ出しそうな迫力を併せ持ったユーリの微笑み。
それを見て、スカさん達も含めたその場の全員が全力土下座。
ユーリが前半何を言っていたかは、聞かなかった事にしようそうしよう。
<愛ってすごいな>
『言うな!』
「では、健人様。後はお任せしますね?」
「えっ? お任せって?」
「みなさんとお話しして事態を収拾させる事です」
あ、なるほど。後は俺がスカさんやキリエ達と話してこの騒ぎ終わらせろって事ね。
でも、元凶ではないけど、一応のラスボスに言われてもなぁ。
「出来る妻は、おいしいところを夫に譲るものですから」
うん、これも聞かなかったことに、したいです(泣
「え、えっと……とりあえず、ス、ドクターブライトさん達はなんでここに?」
「コ、コホン。何、私達の別荘が勝手に使われていたから色々調べていてね。アミタ君を偶然発見し保護して話を聞いていたのだが、そこへ、君たちがここへ来たから挨拶にきたのだよ」
まてまてまて、さっきから色々とツッコミ所が多すぎ!
俺、ツッコミキャラじゃないんだけど!?
「別荘……って、まさか!? ここの事!?」
別荘という単語に反応したのは、キリエ達だ。
続けてプレシアもあぁ、と納得したような顔をした。
「そうとも。ここは私達が以前使っていた研究所でね。今はこの娘達がたまに使う、温泉やプールなどリゾート施設にしているのだよ」
「リ、リゾート施設?」
「キリエ君達は奥まで見ていなかったという話だが、賢明な判断だったね。奥へは無関係者が進んだら迷路に迷い込むようにしてあったからね」
スカさんが告げる衝撃の真実に目を白黒させるキリエ。
レヴィはプールと聞いて、シュテルは温泉と聞いて目を輝かせている。
ディアーチェはというと、なぜかビクビクしながら涙目でユーリをちらちら見ている。
そういえば、ディアーチェは前に抜け駆けしてユーリに怒られたって言ってたな。
トラウマでもできたかな?
「ちょちょっと、待って。うん、一回整理させて。話をまとめると私達がアジトにしていたここって、あなた達の研究所だったのよね? で、奥へは娯楽施設があるけど、封印されていた」
「だから必要最低限の設備は使えたのね。ご丁寧にデータは全て消されていたけれど」
プレシア達は研究所を再起動しつつデータも漁っていたけど、何も出てこなかったんだよな。
「管理局はともかく、プレシア女史まで来るとは思わなかったがね。いやぁ、データを全て消しておいて正解だったよ。しかし、まさか空き部屋をあんな風に改造されるとは思わなかったなぁ」
と、ニヤニヤ顔のスカさんと、気の毒そうな顔をして俺を見るウーノ達。
そこでキリエは、嫌な予感がしたいようで、顔が真っ青になった。
「待って! このアジトが使われているって結構前から知っていたって事は、まさか!?」
「うん。防犯カメラに色々とばっちり映っていたよ」
親指立てて爽やかスマイルを浮かべる殺生丸に超違和感。
「こんなの、殺生丸様じゃない」
「あ、アインハルトさん? しっかり!」
「ハルちゃん!? なんでハイライトが消え取るん!?」
あっちは気にしたら、負けだよな。
「いーーーやぁ~!!! 盗撮よ盗撮! 乙女の秘密まるみえーーー!?」
「ほほう、では私たちのあんな姿も、ですか」
「これは、滅却の必要があるな」
キリエは雄たけびをあげのた打ち回り、シュテルとディアーチェもハイライトの消えた瞳を輝かせデバイスを握りしめている。
レヴィはよくわかっていないようで首をかしげている。
てか、ウェディングドレスからいい加減着替えたらどうなのかな。
「本当にごめんなさいね。この変態は責任をもって私達が退治するわ」
「ま、待ちたまえ! すでに散々説教も受けてボコボコにされたじゃないか!?」
「被害者の前でこそ制裁の意味があるかと思います、ドクター」
で、爽やかスマイルな変態丸は、ウーノやチンク達にフルボッコされていた。
「落ち着いてキリエ! 大丈夫、そういうプライベートな所はウーノさんやクアットロさんが削除したから!」
「……おねえちゃんも見たの?」
「えっ?」
「待て、何を観た貴様」
「正直に答えてください」
ハイライトが消えた妹とウェディングドレス少女2人に詰め寄られるってシュールだな
「た、たまたま、ですね……その、ウーノさん達が消しそこなったのをみて、ですね」
見た物を思い出したのか、顔を真っ赤にしてしどろもどろになったアミタ。
その反応で何を観たのか悟ったキリエ達も加わり、変態丸はあっという間にボロボロにされた。
それでも変装自体が解けない辺り、無駄に高性能だな。
クロノ達は白い眼で見ているだけで、誰も止めようとしない。
それでいいのか、管理局!
あ、俺もだった。
「あとは私が説明するわ」
「お願いします。クア……ナンバー4さん」
ナンバー4、もといクアットロが改めて説明をした。
それによると、研究所を勝手に使用しているキリエ達の様子や会話を観察して、俺達に被害が及ぶようなら動くつもりだったようだ。
でも、あまり実害は出ていなかったので、しばらく様子見をしていると、数日前に餓死寸前のアミタを保護した。
彼女から聞いた話とキリエ達の目的を確認して、動こうと思ったら俺達がここへ来たのを知ってかけつけてきたらしい。
「正直、動くならもっと早く動いてくださいよ」
「ごめんね。さすがに管理局員になった健人君と無暗に接触するのはお互いの為にならないと思って……」
「実害、ありまくりなんですけど、せめてバレンタイン前に動いてくれれば……」
「それは本当にごめんなさい!!」
ちらっとユーリやシュテル達の方へ目を向けると、クアットロが誠心誠意をこめた土下座をしてくれた。
うん。なぜ知っているか深くつっこまないけど、バレンタインから今まで俺に何があったかは知ってるみたいだね。アハハ~
「健人様、大丈夫ですか? 目からハイライトが消えていますよ?」
「けんちゃん、大丈夫? アイス食べる?」
「大丈夫ダヨーオカマイナクー」
原因は君たちなんだけどな、ユーリにレヴィよ。
「は、話を続けるわね。キリちゃんとアミちゃんの産まれたエルトリアと、その星に蔓延している死病の事、それに必要なエグザミアの事も全部わかってるわ」
「サッスガーソレダケワカッテルノニイママデ放置デスカー」
分かってるなら、はよ動いてくれよ。
「だからそれは謝るわぁよ。私達だって結構危機感あったのよ。ドゥーエ姉様なんて、健人君の貞操の危機だ! って飛び出しそうになった事か。それにセインちゃん達だって」
て、貞操の危機……分かってたつもりだけど、はっきり言われると嫌でも自覚しちゃうなぁ。
「で、あとの問題は中途半端に起動して不完全なユーリちゃんを、シェルブリットを使って起爆剤代わりのあなたの魔力を彼女に移して、システムを再起動させる手筈、だったのだけど」
「自分で普通に再起動させちゃったみたいだね」
クアットロの視線の先には、め~ちゅの面影はあるけどしっかりと完全復活しちゃってるユーリ。
こちらの会話は筒抜けだけど、それを気にも留めず、すごく年相応な笑顔を浮かべてこんな事を言ってきた。
「話をまとめると、ドクターさん達が来た意味なかったんですね」
「あなたが、それを言わないでください……」
結局、スカさん達何のためにここまで来たんだか……
続く
うん、やっぱ書いてて暴走しちゃった気がしないでもないです。
次回でGOD編、完結です!