けんぷファーt!   作:nick

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2-4トリオ登場。結局原作終了まで名前が出てこなかった。

まあどうでもいいですが


第9話 秘密の花園

「え〜今日から女子部に復学した瀬能ナツルさんだ」

壇上にて、自己紹介される俺。その姿は当然女だ。

 

なぜこんなことになっているのか、かい摘んで説明しよう。

 

 

雫に呼ばれた後。今学校中で話題になっている謎の美少女(女の俺)の噂を聞かされた。

 

噂の内容は、ナツルという名の女生徒は存在するのにどのクラスにもいない、とのことだ。

そもそも女子部に在籍して無いんだから当たり前だろ

 

しかし我等が生徒会長様はそれをよしとせず、女子部に俺の席を作ってしまった。

 

そして今日、復学(ということになってる)の日をむかえた。

 

クラスは紅音と同じ二年四組なのは偶然じゃねーだろ、絶対

 

「病気で休学してたそうだから、度々学校を休むこともあるらしいから。珍しいからといって傘の先で突いたり、虫眼鏡で観察したりしないよーに」

 

なんだこのやる気のかけらも感じられない説明

 

「席は…あ〜いいや適当で」

 

それでいいのか教職者

 

クラス中の女(女子部なんだから当たり前か)に見つめられ、黙ってる訳にもいかないので俺は口を開いた。

 

「……よろしく、お願いします」

 

とりあえず標準的なあいさつをするも、みんな黙ったままだ。居心地超わりぃ…

 

 

「(ぼそっ)格好いい…」

 

へっ?

 

「きゃ−−−!!」

 

教室中の女子全員が、席を立って駆け寄ってくる。つーか、怖ッ!

 

思わず入ってきたドアから逃げようとしたが、無理だった。だって気がついたら足を掴まれ…いや、これはもう抱き抱えに近い。

 

「背たかーい!胸おおきー!!」

「今付き合ってる人いますか?!」

「結婚して!」

 

最後のおかしくね!?

 

「じゃ、あとよろしく…」

「ちょっ…、待って先生!行かないで!!」

 

はっきり言ってこの勢いの中一人にされるのは恐怖だ。クソッ、さっきから足をぬこうとしてんのにビクともしねぇ。妖怪かコイツ!つーか誰?初対面の人になんでここまでできるの!?

 

紅音は人垣で立ち往生してるし、ここはこの人に何とか…

 

「いやあたし今月出た新作ゲームやんなきゃいけないから」

「教え子よりゲームが大事なの?!」

 

星鐵(ここ)の教師ってみんなどこかおかしくない?

それとも他の学校もこんな感じなの?俺が知らないだけ?

 

女教師はめんどくさそうにあくびをして一言。

 

「あんたに何か教えたっけ?」

 

………いや、確かに無いけどさ。他に言いようってもんがあんだろ

 

 

 

「瀬能さんはどこに住んでいますか?家に何か目印になるような物はありますか?」

 

さっさと姿を消した担任を気にもせず、嫌でも目立って自己主張してくる奴らが三人ほどいた。

 

とりあえずプライベートなことにまで突っ込んでくるこの子は『委員長』

 

「素敵!素敵!足もすべすべでいい匂い!!踏んで!」

 

さっきから足に纏わり付いてるコイツは『副委員長』ホントに踏んだろかテメぇ。

 

「瀬能さん疲れた顔をしてますよ。このお守りを貼っておくとスッキリします。お一ついかがですか?お安くしておきますよ」

 

初対面なのにいきなり変なの売りつけようとするこの子を『会計』とそれぞれ名付けよう。

 

会計さん、そのお守りって冷え●タかブテナ●ックって名前じゃない?つかどこに貼んの?

 

そのほかの子はなんか印象薄いから覚えるのを止めた。面倒だし、多分接点ないだろうし

 

つかだんだん収拾がつかなくなってきた。いや、最初からか

 

 

むにょっ

 

「っ!誰だ今人の胸触ったの!?」

ぞわぞわっとしたぞ!

 

 

「声もハスキー!」

「すごいカッコイー!!」

 

よりいっそうもみくちゃにされる。

火に油を注いでしまった…。もうやだこのクラス……!

 

 

「はーいみなさん、そのへんでやめましょう」

 

ぱんぱん、と手を叩く音とともに入口付近から声がした。この声は…

 

「ナツルさんは休学から復帰したばかりなんですから。無理をさせてはいけませんよ」

 

教室に入って来た人物は、俺を守るように俺と女子生徒たちの間に割って入ってくる。

 

沙倉だった。

 

 

「あ…あの…」沙倉の言動に紅音が反応する。

 

「たしかに皆さんやり過ぎではあったかもしれません…。ですが、ナツルさんと仲良くなりたいというのは本当です」

 

 

限度があるわ。明らかにいきすぎたスキンシップに恐怖を感じたぞ

 

しかし紅音の言葉にクラスの子たちは賛同の声をあげる。自覚も悪気もなしか

誰だ今恋人以上の仲になりたいっつったやつ

 

 

「そもそも沙倉さん二組の人なのにどうして…」

「わたし、雫ちゃんにナツルさんの面倒見るように言われてるんです」

 

マジで?なに考えてんのあいつ?俺を女子部に入れたのも噂の火消しってだけじゃない気がするし…

 

「ナツルさん行きましょう。校舎を案内します」

 

考え事をしていたら沙倉に手を引かれて教室から出された。後ろからブーイングが聞こえる。

とりあえずはあの質問攻めから解放されたことに感謝しよう。地獄に仏とはこのことだ

 

 

しばらく沙倉に手を引かれて歩く。でも…なんか変だな、明らかに案内してくれる雰囲気じゃない。

 

「あの…沙倉さん?一体どこに向かって」

「ナツルさん」

 

質問しようとしたら遮られた。何なんだ

 

「やっと……会えました」振り返り俺を見た沙倉は、目に涙をためて頬を赤らめていた。

 

「ずっと…ずっと探していたんですよ?なのにどこにもいなくて…」

わたし、とっても寂しかった…と感極まったように俺の手を両手で握りしめる。

 

 

余談だが女の俺を探していたのは彼女だけじゃない。

 

ますみは休み時間になれば「ナツルさんどこー!」と騒いでた(男子部にまで聞こえた)し、沙倉は沙倉で生徒全員に聞いて回っているとの噂があった。

なぜか復学したばかりの水琴まで俺に探すのを手伝うよう言って来たし、女の俺はすごい人気っぷりだ。昔じゃ考えられないね

 

 

「ナツルさん…」

「はい」

「前にわたしが言ったこと覚えてますか?」

 

はて?言ったこと?いったいなんのことだ?

 

「ごめんなさい、もう一度言ってくれる?」

「わかりました…」

沙倉はなぜか、なにかを決意したような顔つきをしだす。

 

 

なぜだろう、すごく嫌な予感がする

 

 

 

「わたしと、付き合って下さい!!」

 

 

 

顔を真っ赤にして告白された。

 

仏は爆弾を持っていたようだ。

 

 

つーか言ってねーだろ…。どうやら雫に連れ去られた時の記憶を自分に都合よく書き換えたようだ。めんどくせぇ…

 

どうしたもんか悩んでると、いきなり腕輪が光り始める。

 

マズイ、男に戻る合図だ。知らせてくれるのはありがたいがもう少し空気を読んでほしい。

 

 

「ナツルさん!」

 

沙倉が返事を待ちきれず叫ぶように呼びかけてくる。

 

クソッ…人の気も知らないで…!

 

 

とりあえず掴まれてる腕を振りほどき、人気の無い場所をめざして逃走。

 

「ナツルさん?!」沙倉の制止の声は無視。こんなんばっかだ。

 

 

 

     ☆     ★     ☆

 

 

 

走りに走って男子部と女子部を隔てる壁がある裏庭に来てしまった。

 

しかし裏庭に来た途端、腕輪が光るのをやめた。えぇ?

 

 

「なんかやな予感…」雫に決闘を申し込まれた時とそっくりだ。

 

 

 

パンパンッ

 

突然、裏庭に銃声が短く二回響いた。

 

 

 

「!?」慌てて弾丸が来たであろう方角を見る。木の上か!

 

そこには銃を二丁構えた女が立っていた。腕輪の色は…赤。つまり敵だ。

 

 

「ナツルさん!」

 

そこまで確認すると、比較的大声で名前を呼ばれた。紅音だ。探しに来てくれたのか?

 

 

「…………」

 

俺を襲った女は、紅音の姿を確認すると苦虫を噛んだような顔をして立ち去った。

 

一般人に見られるのを嫌がったのか?それとも……

 

 

「ナツルさん…どうかしたんですか?」驚き半分、といった顔で紅音が尋ねてくる。

 

「いや…ちょっと襲われただけだから」

「全然ちょっとじゃないですよ!?」

 

 

そうかな

 

俺中学の時はカツアゲの対象によくなってたけど

 

あえて何がとは言わないが、終わった後大概の奴らは「この存在サギが!!」とか叫んでた。

世間では俺みたいなのをロールキャベツ系と呼ぶらしい。中身はTレックス肉希望

 

 

「また襲われたら厄介だな…」

 

今の俺は変身が不安定な状態だ。いくらティレ肉でも変身前に射程距離外からケンプファーに攻撃されたらひとたまりもない

 

 

「あの、それならあたしがずっと側にいます!」

 

変身した後ならともかく、紅音が顔を真っ赤にして珍しく大声を上げた。

 

「あたしならいざというときナツルさんを守ってあげられますし、変身が解けても大丈夫です!」

「紅音ちゃん…」

 

 

女の子に守られんのも男としてどーかと思うが

 

しかし贅沢は言えんな。それに今は女だし

 

 

「…ありがとう。それじゃあ、頼むよ」

 

紅音はパァァという擬音が見えるほど明るい表情になった。

 

 

その後しばらくは楽しく雑談しながら教室へと戻っていたのだが、沙倉に告白されたことを話したら紅音は沈みながら一人で先に行ってしまった。

 

コントの途中だったのに。不完全燃焼だ…

 

 

 

     ☆     ★     ☆

 

 

 

自分のクラスに帰ろうとしたら少し迷ってしまった。女子部は初めてだから…(←言い訳)

 

それだけならまだしも校舎をうろうろしてたら女子たちがどんどん俺の後をついてくる。ハーメルンの笛吹きか

 

教室についたらついたで、廊下のドア付近に張り付いていた生徒たちが一斉に道をあける。

 

今度はモーゼか。しかもみんな俺を見てくるし。恐ッ!

 

 

「紅音ちゃん…どうしたのこの集団」

「…………」

 

こっそり紅音に尋ねてみたが、そっぽを向いて無視された。アイムショック

 

 

告白されたっつっただけなのにまだ根に持ってんのかよ。OKしたって訳でもないのに

 

 

「皆さん、瀬能さんを見に来てるんですよ」

 

委員長が近づいて来て説明してくれる。

 

 

なんでも女子部は娯楽が少なく、新しく入った奴が来るとしばらくはその噂で持ちきりなんだそうだ。初期のパンダか

 

女の俺は美人なので学年関係なく生徒が集まっている、と副委員長も補足してくる。どうでもいいが足に引っ付くのは止めろ。蹴っ飛ばすぞ

 

 

「このままだと儲かり、いえ利益がでませんので」

 

会計が無表情で語る。言い直した意味あんの?

 

「瀬能さんは我がクラスの共有財産になりました」

「いえーい」

「どんどんぱふぱふ」

 

 

激しく殴りてぇ。俺の周りは非常識なんばっかりだ

 

 

「あの、私の意思は…」

「あら、本当にハスキーボイス」そういうのいいから

 

「では記念すべき第一回目の依頼です」

 

どうやら俺の意思は完全に黙殺するらしい。凄い不幸が降り注げばいいのに

 

「どうも〜、新聞部で〜す」

 

 

不幸は降り注いだ。        俺に。

 

 

「噂の美少女、瀬能ナツルさんにインタビューしに来ました〜」

 

西乃ますみ…!コイツどんだけ俺に付きまとう気だ……!

 

「じゃあ瀬能、行ってこい」

 

期待してなかったが教師にまで見捨てられた。

つーか売られた。だってポケットに厚みのある封筒が見えたもん。ぜってえ賄賂だよあれ

 

「授業は…」

「これからゲーム買いに行くから」

 

一縷の望みにかけたが無理だった。形だけでも勉学に励もうと努力してみたのに

 

堂々と職場放棄してんじゃねぇよエセ教師が…!

 

 

 

     ☆     ★     ☆

 

 

 

俺への取材は、邪魔が入らない女子新聞部部室ですることになった。

 

聞いた話じゃますみは部活を二十ほど掛け持ちしてるそうだ。異常だろ

一つの部に対する愛はないのか?

 

「さっきも言いましたが今日はナツルさんのことについて聞きたいと思います、題して…」

ますみはそこで一旦区切って、ダララララ…とドラムロールの口真似をする。はよ言え

 

「復学生大追跡!謎のベールに包まれた私生活を暴けっ、です!」

 

 

タイトルからして超うさん臭い。

 

帰りてえ…面倒だがさっさと終わらせて解放してもらおう

 

 

「さっそくですが、いつ復学したんですか?」

「今日から…かな」席を作られたのが昨日だし

 

「え〜、じゃあこの前学校にいたのは何でですか?」

 

コイツボケてるくせに変なとこで鋭い…。なんとかごまかさねぇと

 

「あの時は…復学する前に校舎を見ておこうと思って」

「は~、なるほど。そうだったんですか」

 

なんとかごまかせたようだ。この調子でいけばいいが…

 

「休学してたのは何でですか〜?」

 

 

何だろうね

 

 

「……病気…?」

「なんの病気ですか?あと何で疑問形なんですか?」

 

いちいちうっさい奴だな~…

 

 

「発光病って言って、手首辺りがたまに光るの。病気か体質かよくわかってなくて…」

 

 

よくこんな訳わからん嘘を言えるな俺も

 

 

「へ〜変わってるんですね」

 

あなたほどじゃないですよ、とつい口から零れそうになった。

 

「じゃあ次は…、女の人に告白されたことありますか」

 

何で女とかピンポイントな質問すんの?

 

ついさっき沙倉にされたから思わず言いよどむ。

 

ますみはその隙を見逃さなかった。

 

「あ〜あるんですね、やっぱり」

なんだやっぱりって

 

 

「誰に、どんな感じで告白されたんですか〜?」ますみはペンをマイク代わりに突き付けてくる。ほっぺたにぐりぐりと

 

初対面の時から思ってたけど先輩への礼儀ってのがなってねーんじゃねえの?

軽く大地に鍛えてもらえよ

 

「……………」

「言ってくれないと想像で書いちゃいますよ〜」

 

でっちあげじゃん。プライバシーってもんはねえのか

 

 

どうする…また気絶させるか?

 

 

等とちょっと過激なことを考えていたら、部屋のドアが不意に開いた。

 

そこから登場してきた人物に思わずビクッとする。

 

 

「ますみ!こんなとこにいたのね、捜したわよ」

 

ドアを開けた人物は水琴だった、その後ろに紅音もいる。

 

水琴は部屋の中を見渡し、なぜか俺をギロリと睨む。

 

 

「あなたが瀬能ナツルさんですね。あたし、近堂水琴といいます」

 

気持ちばかりの一礼をした後、すぐにますみの腕を引っ張る。

 

「ほらますみ行くよ、授業サボっちゃ駄目」

「あん、ちゃんと先生には許可取ってるよ」

「うちの担任は怒ってるの!」

 

水琴とますみはコントのようなやり取りをしながら帰っていった。

一年の教師は比較的まともらしい。いいなぁ…

 

 

「ナツルさん、大丈夫ですか?」

紅音が心配したような顔つきで聞いてくる。

 

「ちょっと危なかった…。何で水琴と一緒に?」

「ナツルさんが連れて行かれて…どうしようか考えながら新聞部に来てみたら、水琴さんが」

 

どうやら偶然らしい。助かったからいいが

 

「……ますみはどんな記事を書くんだろうか…」

「さあ……?」

 

かなり嫌な予感がする。外れてくれりゃいいけど…

 




話数上では9だけど全体で見るとギリ二桁。

一月でこれなら早い…方ですかね
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