できれば年内にもう一話UPしたいな……まあ無理でしょうけどね!
というのもここ数日、なぜか学校に行く前に必ず変身してしまうのだ。
おかげで女子部に入り浸り、毎日オモチャにされていた。思い出すと気が滅入る
自由に変身出来る前はランダムっつっても極端すぎじゃねー?その辺を紅音に訊いたら詳しくは分からないって返された。いまいち頼りにならないな
しかし今日は!学校が終わる前に男に戻れた。なので急いで教室に向かう。
そして自分のクラスが見えたらそのまま―――
ドォンッ!!
ドアを蹴破る。
「動くなぁっ!全員両手を頭の上で組みその場に跪け!!」
指でピストルを作り、叫びながら室内に押し入る。
が、中には誰もいなかった
「あら?」
「…騒がしいと思ったらお前か瀬能」
タイミングよく後ろから声をかけられる。振り返るとそこに、スーツを着た男が眉間に皺を寄せて立っていた。
えっと……たしか現国の先生だったかな
「四組は次の時間体育だぞ。自分のクラスの時間割くらい覚えておけ」
あまり感情のこもっていない声で坦々と注意(?)される。
そういえばそうだったっけかな。ここ最近女子部ばっかだったから時間割の感覚がずれてたわ
「分かったらさっさと行け。…当然外した扉とふき飛ばした机等を直してからな」そう言うと男子教員は踵を返し、さっさと去っていった。
……慣れたもんだよなー。俺が一年の時は額に青筋浮かべて注意してたのに
たしか一度、軽く反論してやったらぶっ倒れて病院に運ばれたっけ。いい年して興奮するから…
前から血圧高めって話だったけど、なにも俺と喋ってる時に倒れなくてもいいじゃんか。ねぇ?
おかげでしばらく『一年の瀬能が先生を病院送りにした』って噂を立てられた。ひどい濡れ衣だ
☆ ★ ☆
ドアのはめ直しと机の整頓を終え、すぐさま体育館へと向かう。
散乱した教科書や私物等は適当に突っこんでおいたがまあ問題はないだろ
服装は当然制服。体操服に着替える暇はなかったんだよ(授業自体はすでに遅刻してるけど)
「……ん?おお、瀬能じゃないか」
体育館に入った途端、教科担当の佐藤(四組の担任)に見つかった。
まったくの余談だがこの教師、名前は美伊作というらしい。親のセンスどころか名前の登録を受理した役所の人間の正気を疑うぞ
「最近見なかったがどうしたんだ、体調不良かなにかか?」
「ちょっと自分探しの旅に出てました」
「高2で自分探しか。だとしたら戻ってくるの早すぎるだろう」
流石にこの言い訳は無理があったか
「まあそういうことができるのは若いうちだけだしな、好きにしろ。 あ、だからって頻繁に休んでいいってわけじゃないぞ。高校生活は限られた時間しかないんだからな」
そう言って佐藤教員は愉快そうに大口を開けて笑う。
……この人確か30そこらだったはずだよな。ちょっと大らかすぎやしないか?
「まあそんなことはいいから、さっさと着替えてこい。早くしないとお楽しみがなくなるぞ」
「お楽しみ?」なんだ。女子部の生徒でも見に来てるのか?
「忌塚の怪我が完治したから、今日からはあいつも授業に参加してるぞ」
その言葉を聞いた瞬間、不覚にもフリーズしてしまった。
「本当ですか!?」
「本当だ。今もプレイしてる最中だしな」
先生の指し示す先には、コート上でバスケットボールをドリブルさせながら走る大地の姿があった。
俺は即座にロッカールームに走る。後ろで佐藤が笑う気配がしたが、構いはしなかった。
目的地についたらすぐさま制服を脱ぐ。と同時に体操服に着替える。
そして邪魔だと言わんばかりに空いてるロッカーに荷物を突っ込む。
チラッと腕輪を見たが光る気配はなさそうだ。頼むから授業が終わるまでは静かにしててくれよ
「(ダダダダッ!)―――お待たせっ、しましたーーーーっ!!」
着替えを終えて再び教員のもとに馳せ参じる俺。
ここまでで十数秒。自己ベストタイだな
「さあやりましょう、すぐやりましょう!!」
「落ち着け瀬能、はしゃぎすぎだ。アップもしてないだろう」
準備運動?そんなもん必要ねえ。
「おいお前 変わってくれよ 頼むから」
「俳句風に頼むな。というかお前のそれはほぼ脅迫だ!」
先生はため息をつきながらフエを吹き、ゲームを中断させる。
………そんなに今の俺は怖かったかな。声をかけた奴が怯えた表情で俺を避けてくるんだが
「集合! 田島、悪いが抜けてくれ。このままだと瀬能が暴れそうだ」
「失敬な」
せいぜい乱入するだけだ
集まってる10人の中から一人、苦笑しながらこっちに歩いてくる奴がいる。
多分こいつが田島なんだろう。さっき交代を頼んだ奴―――ではない。
どうせなら代えてやればいいのに。まだ若干引き気味じゃねーか
「ほら瀬能、受け取れ」
田島が今まで着ていたゼッケンを脱いで手渡してくる。
………若干、汗で湿ってるのはこの際気にしないことにしよう。
それを着込んでコートに立つ。番号は8番か
「試合再開!」佐藤教員が再びフエを吹き、同時に皆が動きだす。
「6番オッケー!」「11番オッケーっ」
「7番オッケー!」
マンツーマンディフェンスか。セオリーだな。
「――8番オッケー!」
そのうちの一人が、指を差して不敵に口角を上げる。
なるほど、俺の相手をしてくれるのはお前ってわけか。分かってんじゃねーか
『オイあれっ』
『ああ…!』
『初っ端かよ…!?』
腰をどっしりと落とし、左右に手を広げ油断なく睨みつけてくるのは―――もちろん大地だ。
「待ってたでぇ~、この時をなぁ」
「そいつはどうも、…お手柔らかに」
いつでも身体を動かせるように体勢を整えると、空気を読んだのか敵チームの奴が大地にボールを放る。
「いくぜっ…瀬能!」
「こいやぁっ、大地ぃっ!?」
☆ ★ ☆
放課後。
ひと気がまったくない学校の廊下を一人で歩く俺。
「すっかり遅くなっちまったな」
手には二年近く使い続けた鞄。その中には…入部届けが入っている。
「紙一枚手に入れるだけでエライ時間くったな…」
〜〜回想〜〜
「どうした瀬能。お前が自分から進んで職員室に来るなんて珍しいな、部活に入る気にでもなったか?」
「なんで分かったんすか?」
「……え、マジ?」「そのつもりですけど…」
「………っ、そうかっ!とうとう陸上部に入る決意を固めてくれたか!」
「え?いや…」
「俺は前々から思っていたんだ!お前を帰宅部にしておくのはあまりにも勿体無いと!」
「いや先生話を」
「ずるいですよ佐藤先生!瀬能君はサッカー部に相応しい人材だとあれ程」
「いやっ!我が野球部にいてこそ彼の才能は活かされるはずです!外野内野投手打手、どのポジションについても目覚ましい活躍を―――」
~~回想終了~~
「本人そっちのけでヒートアップしやがって」
しかも途中から文系の顧問まで話に参加してきやがって。手芸部でどうやって運動神経抜群が活躍すんだよ
最終的に言い争う教師たちを尻目に勝手に机をあさり、目的のものをゲットした。
目的の部活名も名前も書いたしこれ以上大事にならないうちに出してきた方がいいかな
「お、瀬能」
「あ?」
善は急げと目的地に向けて歩き出すと、制服姿の大地に出くわした。
「珍しいな、こんな時間まで校舎内にいるなんて。授業終わったらさっさと帰りそうなタイプなのに」
「そっちこそなんでこんなとこにいるんだよ。バスケはどうした」
「今日は部活休みだ」
なんと
じゃあこの入部届は誰に渡せばいいんだ?
「で、なにしてんだこんな所で?」
「いやはははははは」なんとなく気恥ずかしくなったので、笑って誤魔化す。
別に今ここで言ってもいいんだろうけど、なんか……ねえ?
「…それよりお前凄いな、まさかあそこまで接戦になるとは思ってなかったぜ」
「え?ああ、バスケの試合か。あれは俺個人っていうよりチームが一丸になっての結果で」
「謙遜するなよ。実際見事だったぜ、あの動きは」
「本当か?武道経験者に言われると本気にするぞ?」
「いやいやマジで、もっと誇れよ。あそこまでできる奴はそうそう」
「なんで知ってんだ?」
「………えっ?」
「俺が武道を経験してるって、なんで知ってんだ」
俺が喧嘩で使うのはもっぱらプロレス技だ。学校内ではもちろんのこと、街中でも武術を使ったことはない。
いや、
「なんでって…見てりゃなんとなくわかるだろ。動きが他の奴と違うくらい、だからそうなのかなって…」
大地がしどろもどろといった様子で答える。
…まあ確かに、それっぽい動作してりゃあ分かる奴は分かるだろうけど……
「どうしたんだ急に?なんか…怖いぞお前」
「いや……」自分でも目尻がつり上がっているのが分かる。
…いかんな、今の俺は的外れな推理で無実の人間を問い詰める探偵だ。こんなのキャラじゃないだろ
なんとか笑顔を作ろうと無理矢理に口の端を上げる。ちょっと苦笑い風になったのは愛嬌だと思ってくれ
「わりぃ。ちょいナーバス気味になってるみたいで…変なこと訊いちまったな」
素直に謝ると、大地はほっとしたように和らげに微笑む。
「なんだそうか…いきなりだったからびっくりしたぞ。お前でもそういうことってあるんだな」
「ああ…自分でもびっくりだ。カレーが続いてるせいかな」
「食ってねーのにかよ…もう病院にいくレベルだろそれ」
「長期入院はもう嫌だ」
あははははは…、どちらからともなく二人して笑い合う。
「…………」
「…………」
そして沈黙。あたりに気まずい雰囲気が漂いだした。
「……なぁ、大地」
やめろ……
「頼みがあるんだけどよ…」
やめろよ…!
「そのリストバンド、外してもらってもいいか?」
俺は大地の
「……………」
大地もまた、今まで見たことのないほど真剣な顔をしてこっちを見つめ返してくる。
なんで、なにも言わねえんだよ
なんでそんな目で睨んでくるんだよ
「なに真面目な顔してんだよ、これで満足か?」
とか言って笑いながら下になにもないことを証明してくれよ
「…試合も日常も、こういう時はあまり変わらないな」
大地は見せつけるように、自分の胸辺りに持ってきた左手首のリストバンドにゆっくりと指をかける。
その下から現れたのは
「面倒なんだよ、お前みたいに勘がいいやつは」
俺と同じ形をした
ただし色は、ルビーのように真っ赤だった。
・「お待たせっ、しましたーーーーっ!!さあやりましょう、すぐやりましょう!!」
はじめの一歩。vs今井戦入場時板垣の台詞。ヴォルグは勝てるんでしょうか。気になって仕方ありません。
次回はバトル回です。どういう展開にしよう…