図書室で襲撃されてた翌日の昼休み、生徒会長から呼び出しをくらった。
昨日のことか――?いや、それにしては遅い。あいつなら朝のうちに呼び出すはずだ。いったいなんだろう。
…考えても仕方ないか。
面倒なので悩むのを止めて、さっさと生徒会室の前まで移動。
数週間ぶりだなーここに来るの。普通の生徒ならまず来る機会ないのに、なんかかなり頻繁に出入りしてる気がする。
「カイチョー、いったいなんのようだよ。どうでもいいが手短にしてくれ」
「ご挨拶ね。…機嫌が悪いみたいだけど、どうかしたの?」
「寝てたんだよ、夢の中で無限1アップしてた」
もうすこしで99だったのに。
一機増える度にそいつが周りにいる
戦闘方式がDEAD I○LANDだったからグロくてグロくて…起きた時汗びっしょりだった。
「……学生の本業は勉強よ。きちんと授業を受けなさい」
呆れたと言わんばかりの表情でため息もつかれた。
起きるときは起きてるよ、でも眠いときは眠いんだよ。
「体育とかはきちんと受けてるよ(たまに寝ボケて無限1UPやるけど)その他も一応は。用件はそれだけか」
「ここで伝えてもいいけど…」
まだ他にあんのかよ。最近問題起こしたっけ。
「そうね、場所を変えましょう。天気がいいから屋上なんてどうかしら」
そう言って雫は鞄を手に立ち上がる。
「おーい…」
「お弁当は持ってきたのでしょう?」
いや、呼びに来た生徒会役員に弁当持参でとか言われたから持ってきたけどさぁ…なにこの流れ。
「行きましょう」
「へいへい」ま、いいか。
屋上かー、何気に初めてだな。共通棟(生徒会室や図書室がある校舎)の屋上に登るの。
…え?じゃあいつもどうやって入ってるかって?
世の中にはピッキングっていう便利な技術があるんだよ。
☆ ★ ☆
雫に連れられ屋上まで来た。
今日は朝から天気がよく、とても心地よい風が吹いている。
しかし見たところ、俺たち以外に人の姿はない。なんでだろう。
校内での恋愛禁止されてるから、こういう所でカップルたちが隠れていちゃついてるって聞いたんだが…今日は休みなのかな。
「そこに座りましょう」
彼女が指したのは端っこの鉄柵。土台の部分がいい感じに椅子っぽい。
二人して近づくと、雫が先にハンカチらしきものを敷きそこに座る。
そしてすぐ、その隣にも一枚似たような布が敷かれた。俺の分か?
堂々と座ってもよかったんだが、なんか気まずいのであえて避けてハンカチを彼女と挟む感じで座る。
「そこ濡れてるわよ」
「はよ言えや!!」
冷たぁっ!よく見れば敷いてあんのタオルだし、ハンカチじゃねーし!
「昨日は夜遅くに雨が降ったから、まだ乾いてないみたいね」と雫は弁当の包みを解きながらしれっと返してくる。
チクショウ…、安いコントやってスベったみたいじゃねえか。なんでやねんな。
今更タオルの上に座るのもおかしいので、仕方なく我慢して昼飯を食うことにする。うう…ケツの部分が濡れて気持ち悪い…!
「意外と普通なのね」
横から俺の弁当を覗いてつぶやく。
「男の料理なんてこんなもんだろ」
「あなたが作ったの?」
「まーな」
弁当を食いながら適当に返す。
「一人暮らしが長いからな、必要に迫られてってやつだ」
「そのわりにはインスタントが多いようだけれど」
ほっとけ。毎日は面倒なんだよ。
それに一応、手作りの品も入っとるわ。数日前の残りだけど。
☆ ★ ☆
それからしばらく、雫と二人で肩を並べて弁当をつつく。
こう言うと一つの弁当を分け合ってるように聞こえるが現実はお互い自分の弁当を別々に食っている。しかも無言で。
正直かなり気まずい。
こんなもんだっけ?異性と一緒の食事って。
経験ないからよく分からんが、もう少し和気藹々としたもんだと思ってた。…ちっとも楽しくない。
やがて自分の弁当の中身を完全に食い終わる。雫もそのようだ。
「…そろそろ訊いていいか」
空になった弁当箱を元通りに包む彼女に切り出した。
「なにをかしら」
「俺を呼び出したホントの目的だ」
昼飯を一緒に食うだけで呼んだってわけはないだろ。
つーかそれだけだったら悲しすぎる。なんだったんださっきの居心地悪い時間。
「そうね…」
急に雫の雰囲気が変わった。気がする。
よー分からんが、なんとなくそわそわしてるっぽい。
「デートの誘い、かな」
は?
デート?
「AMT?」
「それはデイトリッパー。私が言ったのはデートよ。date」
冷めた眼で返された。しかも無茶苦茶いい発音で訂正までされて。
つかなんで知ってんだよ。幻覚剤だぞ?
「あー…。生徒会の出し物か?」プール開き的な。
「世間一般的の意味のデートよ」
世間一般的の…?
【デート】:一,①日付。②年代。二,(男女の交際で)日や時間を決めて、相手とあうこと(約束)。
①と②はないだろう、なんだよ日付や年代の誘いって。デロリアンでも用意すんのか。
となると…
「つまりアレか?俺とどっか出かけたいと」
「そうなるわね」
さらっと言いやがって。人生で初めてそういうのの誘いを受けたぞ、どう返しゃいいんだ?
「次の祝日なんてどう?」
悩んでると雫はどんどん先に進んでいった。行くのは決定なのかな。
「それとも
「んなこたねーけど…」どうせ暇だし。
「ならオーケイね。朝十時に、楓の家に行ったとき待ち合わせた場所で」
「駅の噴水前か?南口にある」
「そうよ」
彼女は包み終えた弁当箱をもって立ち上がる。
俺もそれに倣う。
なんかあれよあれよという間に予定が決められてしまった。おかしい、何か裏があるんじゃないか?とか思うのは相手が雫だからだろうか。
「もしかして他に目的があるのか?」
「ただのデートよ」
ガチャ
突然目の前の扉が開いた。
目の前と言ってもまだ数メートルは離れていて、当然俺も雫も手を触れてない。
まっ、まさか怪奇現象…?まだこんなに明るいのに!
単純に内側から開かれだけだけどね。
「…………」
扉を開けた人物は取っ手を持ったままポカンとした顔でこちらを見て―――
ガチャン
そのまま扉を閉めた。次いで、ぱたぱたと走り去る音が――って、
「おぉい!マズいんじゃないか今の!」
慌てて話しかける。
しかし雫は気にした様子もなく俺のほうを振り返り。
「あら、どうして?」
「どうしてって…今のますみだろーが!新聞部の!!」
「そうね」
「あきらかにデートの下り聞かれたぞ!」
「気にすることはないわよ。やましいことはないのだから」
マジでー?じゃなくてさ。
「噂になったらどーすんだっ」
「私は気にしないけど」
俺が困るんだよ。
過去二度に渡って磔にされてる。しかも前回は釜茹でだ。
今更だが熱湯に浸かって火傷無しってすげえな俺。ゴエモンだって亡くなったのに。
「大丈夫よ」
雫はそう言い残して去っていってしまった。
冷てー奴だ…死んだらデートもできねえんだぞ。
☆ ★ ☆
いつまでも屋上にいても仕方ないので
、戦々恐々と教室に帰ってきたが、そこには想像してた世紀末的な風景はなかった。
全員好き勝手にダベってる。
いつもと変わりない男子部の教室だ。鎖も十字架も見当たらない。
おかしい…なんでこんなに平然としてんだ…?
不審に思い、危険だが近くの奴に声をかけた。
「おい…おいっ、東田っ」
呼ばれた男はこちらを振り返る。
「ん?なんだナツルか、そういやいなかったな」
「ちょっとな」
やっぱりおかしい…。前は鬼の形相だったのに今回は普通だ。
「ああ、会長に呼び出されてたんだったな」
きた……!
「災難だったな」
は?
「それだけか?」
「なにがだよ。大方、欠席が多いから注意されてたんだろ。最近連続で休んでたからな」
やれやれといった顔で俺を見る東田。
お前らも原因の一端だろーが。人を大鍋に漬けやがって、ダシでも取る気か。
「他になんか聞いてないのか、女子部のほうから…」
「そういや新聞部の娘がなんか言ってたな。会長とお前がデートするとか」
不覚にもビクッと身構えてしまった。
「でもないだろ、会長ならもっといい男を狙うはずだ。イケメンとか、堅実とか」
「それは俺が堅実でもイケメンでもないと言いたいのか東田クン」
「違うのか」
思わず黙り込む。堅実…イケメン…うぅ……
「それより気をつけろよ、最近会長との距離が近すぎるぞ。伝説の地下組織『汚れなき雫様を護るため近寄る連中を皆殺しにする友の会』が動き出すかもしれん」
なんだそりゃ、伝説の部分ですでにうさんくさい。
東田の冗談かとも思ったが目がマジだった。
「ホントにあんのかそんなの」
「分からん。俺も噂でしか聞いたことないからな…」
この学校いくつ非合法組織が存在するんだろうか。
「あ、そうだ。水琴ちゃんがお前を探しに来てたぞ」
「いつ」
「ついさっきだ。…どうやってゲートを突破してるんだろうな」
「知らん」
あんなもの抜けるの簡単よとか前に言ってた気がするけど、実際どうやってるんだろう。
ルパンが使いそうな機械でも使ってるのか、もしくは俺みたいに壁を乗り越えて行き来してるのか…どっちにしろまともな
昔は―――本当に昔は――あんなんじゃなかったのに、変われば変わるもんだ。
「ところでナツル。話は変わるが…」
東田が再び話しかけてくる。
「その…どうしたんだ?腕」
視線と共に指差された先は、包帯が巻かれた俺の左腕。
日曜日に襲撃受けてからずっと治療用に巻いていたんだが、今まで誰も指摘しなかったので存在を忘れてた。
「あ?ああ、これか…」さてなんて答えよう。
馬鹿正直に『ケンプファーにやられて負傷した』って言うのは―――無しだな流石に。
「別に…ただちょっと、黒龍波を使っただけだ」
「「「「「ぃよっしゃぁぁぁあっ!!」」」」」
「「「「「「「「「「「「畜生うぅぅぅぅっっ!!」」」」」」」」」」」」
俺が言い終わると同時に教室中から歓喜と悲痛の叫び声が響いた。
……え、なにこれ。
「瀬能なら…っ、瀬能なら絶対毒手が〜とか言うと思ったのに…!」
「そこは大火に巻かれて大火傷負っただろう…!今が旬だぞ!」
「今日のおは朝ラッキーアイテムじゃなかったのか…!」
俺緑より黄寄りなんだけど。スタイル的な意味で。性格は青だけどね。
つーかこいつら、俺で賭けしてやがったのか?包帯巻いてる理由で。
通りで昨日からチラチラ見るだけで誰も話しかけてこないと思った。
「わかってないなお前ら、ナツルのこと」
東田が周りから金を受け取りつつ、なにやら語り始める。
「こいつがそんな最近の流行に詳しいわけないだろ。基本古いんだよ」
「武田鉄矢見たいだな…」
「『腐ったみかん』?」
ドっと教室が笑いに包まれる。
中には腹まで抱えての大爆笑。今、クラスは一つになった。
「……本人前にしてよくもまあそれだけ好き勝手言えるもんだ」
ガチャン。教室のドアに鍵をかけ、何気なくつぶやく。
その瞬間、笑い声がぴたりと止んだ。
どいつもこいつも「あ、ヤバイ」的な顔をしている。
東田に至っては真っ青だ。今更ながら自分の過ちに気づいたみたいだな。
「な…ナツル…」
「同級生をを賭けの対象にするなんて…級友をなんだと思ってるんだお前ら」
これは少々ご…シバ…話し合う必要があるな。
周りを見回し、全員の位置を確認しながら腕の包帯を解いていく。
まずはどいつからいくかな…面倒だから東田でいっか。その次は逃げようとするやつから順にぶっころだ。
「ああ、別に謝らなくていい。なぜなら…巻き方を忘れちまったからな」
昼休み終了のチャイムがなるまであと僅か。
さあ、ショウタイムだ。
〜〜日常の一コマ(ある教室の惨劇)〜
「
メキメキメキメキッ『ぎゃあああああああ!!!』
『それ右手ぇぇ!』
『すごい音してんぞオイ!』
「ハッハッハッ、見たまえゴミが人のようだ!」
『流石のムスカさんでもそんな非道なセリフは言わねえよ!?』
『やめたげてよやめたげてよぉっ』
「わ…私はなにも見ていない…見ていないぞ……ああダメだ、頭と胃が痛くなってきた…く…薬をもらってこよう…保健室に…!」
その後、彼らを見た者はいない
なんちゃって
今回は変える必要がほとんどなかったのでプロトタイプをそのまま使いました。もとがあると流石に早い。
デート話はいろいろ手を加えたいので、更新はかなり後になると思います。ご了承ください。
以下、ネタバラシ
無限1アップ
マリオのあれ。壁際で亀の甲羅踏み続けるやつ。
体育の時間にはサッカーボールで残機を増やすナツルの姿があったりなかったり…
デロリアン
バックトゥザフューチャー。個人的にはあの映画の物、タイムマシンよりホバーボードの方が欲しい。
黒龍波
幽遊白書。飛影の技。あれって誰かに指南とか受けたのかな。
毒手が〜
大火に巻かれて大火傷
今日のおはスタラッキーアイテム
それぞれ上から、テニスの王子様。るろうに剣心。黒子のバスケ。
白石蔵ノ介と志々雄真実と緑間真太郎ですね。気になる人はWebをググろう。
…てかこれ白石以外指先と全身だわ、包帯箇所。緑間はテーピングだし。
巻き方を忘れちまったからな
これも幽遊白書。飛影の台詞。暗黒武術会編で使用されてます。
さあ、ショウタイムだ
たしかスマブラ。かなり昔だけどスネークさんがCMで言ってた気がする。
とある上条さんの必殺技。たしか腕が竜になるんだっけ?当然うちのナツルのはただのアイアンクローです。