戦士の非日常の方でペルソナチーム出たからいいかなって思いついカッとなってやった。反省も後悔もしていない。
どうも皆さん。瀬能ナツルです。
突然ですが問題です。俺はいったいどこにいるでしょうか?
………
分かるわけねーよな。そもそも俺自身どこにいるか分からないし。
とりあえず―――
「おい相棒、大丈夫か?」
なんで目の前に花村陽介がいるんだ?
☆ ★ ☆
メカメカしい建物の中。
なんとなく悪の組織の秘密基地っていう呼び名がピッタリな場所で、俺は尻もちついた状態で呆然としていた。
そんな俺を囲んで心配そうな視線を向けてくる高校生くらいの少年少女たち。
なんだこの状況。
「センセー!大丈夫クマかー?」
ピッコピッコと足を鳴らし、着ぐるみが近寄ってくる。
花村だけじゃなくてクマまでいんのかよ。
いやよく見たら主要メンバーが一通り揃ってる。
場所から察するに最後の一人をこれから救出にいく途中だったんだろう。
「先輩…ホントに大丈夫?どこか痛いとかない?」
「ぅえっ?あ、いや、とくにないけど……」
返事を返してから、久慈川に引き起こされて立ち上がる。
どうしよう。状況がまったく把握できない。
なんで俺こんなとこいんの?なんでP4の主人公ポジションなってんの?
こうなる前はなにしてたっけ。確か…
………そうだ。確か寝る前にちょっとゲームしてた!
なんだ。ただの夢か。
そうと分かれば対処は簡単だな。
「花村。ちょっと俺の頬つねってくんない?」
「え、なんで」
「いいから」
花村は訝しげながらも俺の頬に手を伸ばす。
これですぐに目覚めるだろうしかしよく考えたら少し惜しい気がするな。夢とはいえゲームの主人公になって仲間たちとしゃべるなんて―――
「いたたたた痛い痛い痛い痛い!痛いってばよ!?」
予想外の痛さを感じて慌てて花村の手を振り払う。
「いてえだろがこのバカ野郎!!」
「ええっ、お前がやれって言ったんだろ!?」
「それでも多少は加減するだろ普通!」
むちゃくちゃ痛かったんですけど!
花村以外と力強いんだなじゃなくて!
どういうことだオイ。目覚めねえぞ。
ていうか現実的な感覚がしたぞ今!
もしかして夢じゃないのか?
……いやっ、きっとあれだ。熱した鉄の棒だと言われて握らされたら、本当に火傷を負ったみたいな感じなんだ。
俺は
「(ヒソヒソ)ねえ、なんかリーダーいつもと様子が変だけど…」
「(ヒソヒソ)そうだよね…やっぱ、花村が突き飛ばしたとき頭打ったのがまずかったのかな」
「(ヒソヒソ)うえ、俺のせいかよ!?」
「(ヒソヒソ)や、それ以外考えらんねーっしょが」
「(ヒソヒソ)ものすごい音してたもんね…」
いかん、怪しまれてる。当然か。
とりあえず目覚めるまで主人公のふりをしておいた方がよさそうだな…
万が一致命傷を受けて、治療してもらえないまま死亡ってなったらちょっと困る。現実で心臓発作起こして冷たくなってそうだし。
幸い刀の振り方には多少の覚えがあるから戦闘は問題はない。実家が道場なんでその関係で叩き込まれた。
このご時世でなぜ普通の家に刀が存在するのか、今考えるとかなり不思議だがとりあえず戦闘に関してはなんとかいけるだろう。
不安要素は他にも多数あるが…うだうだしてたら取り返しがつかなくなりそうだ。
「そろそろ行こうぜ。時間がもったいない」
廊下の端の方で固まっている仲間たち(仮)に話しかける。
主人公の口調が分からないから素の対応したけど大丈夫かな…
「あの…鳴上君、大丈夫なの?その…頭とか」天城さんそのなんか含みのある言い方やめて。
「ああ…大丈夫だ、問題ない(三木眞一郎ボイス)」
「あ、ホントだ大丈夫そうだね」
「いつも通りっスね」
マジかよ、いったいどんな奴なの鳴上君?
ちょっと小一時間ほど問い詰めたい気もするが……尺が勿体無いからいいや。
「それじゃあ…王子さま、首を洗って待ってろよっ?」
ぶッッ!!
その場にいたメンバーのうちの三人が一斉に吹き出した。
「アハハハハッ!もーやだ鳴上君、それ誰のまね?」
「天城だよ…」
「……え?」
「正確には雪子のシャドウだけどね」
「ええ!?」
「てかなんで急にそんなことし出したの?」
「んっんー、綺麗にオチたな。それじゃあ気を取りな・お・し・て…」
「あ、とちゅ!」
噛んだーーーーー!!
「…とちゅ?」
「先輩、さっきからなにがしてえんすか」
うわぁぁぁ、みんなの視線が痛い!「突然なに言ってんだコイツ」みたいな目が痛い!
辺りに沈黙が立ち込め、同時に「これからどうすんだ?」的な空気がその場を支配する。
『……………』
「…………………はりきって……」
『?』
いくぞコラァーーー
その空気に耐えきれなくなった俺は、脇目も振らずに走り出した。
「セッ、センセー!どこ行くクマー!?」
「てか今のなに!?」
「今の…あ、もしかして完二?完二のマネか!?」
「ああ?俺あんなん言ったことないっすよ!」
「正確には完二君のシャドウなんだけどね」
「先生!一人で先行くのは危険クマ!!」
「うわぁあああぁぁあ!!」
仲間(仮)達の言葉をオール無視し、がむしゃらに走り続ける。
速い、速いぜ。サーキットの風になれ!!
「あっ、先輩!シャドウが!」
久慈川りせの台詞に呼応するかのごとく、正面数メートル先の地面から黒いシミみたいなものが浮き出てくる。
コールタールみたいなその物体はそのまませり上がってきて、地面から離れると球状の形を取った。
アンブリー
さっきまでのほのぼのとした空気は一掃され、殺伐とした戦場のそれに変わっているのが分かる。
目前に得体の知れない、現実ではまずお目にかかれない"何か"が、確かにそこに存在していた。
「数が多い…!先輩、一度下がって!」
悲鳴に近い久慈川の指示。
俺は―――
シャキン―――
シャキン―――
シャキン―――
シャキン―――!
「組み小太刀・幻狼」
迷わずヒートアクション。
通り過ぎた後、四体のアンブリーが一斉にチリと化した。
シャドウっていうより幻魔だな。
「一撃で決めた!?」
「先輩相変わらずすげー!!」
「あ、でも新手がっ!」
「うっぜぇーんだょッ!!」
向かってきたシャドウを突きの一閃で一刀両断。
それを皮切りに、連鎖的に他のシャドウを次々と(瞬時に)斬りつけていく。
今の俺ってさながら…明智秀満?
いや、技術と武器を考えると結城秀康か?どっちにしろ人間技じゃねー――
グギリ!
「ナバロ!?」
突如足首とふくらはぎと膝関節が同時に悲鳴を上げ、脚全体に稲妻が走った。
あしがぁぁぁ!!?
あまりの激痛に地面に転がる。
なに!?一体何が起きたの!?
突然の出来事でパニック状態に陥りながら、無意識に脚を掴む。
その脚はまるで打ち上げられた魚のようにビクンビクンと痙攣を繰り返していた。
完っ全に釣っとる。俺の技術に身体がついてこれなかったらしい。
他の奴とスペックに差があるのは理解できるんだが、この痛みは尋常じゃねえぞ。
無意識の想像だけでここまで痛むか?
現実でも脚釣ってるのかな。
「相棒!?大丈夫か!」
倒れた俺を見て、すぐさま花村が駆けつけてくる。
あらかた倒したあとでよかった…密集地で倒れてたらヤバかったな。
「だ…大丈夫…だ…問題…っ、ない…!」
「いやお前、無茶苦茶汗かいてるぞ!回復した方がよくないか?」
うむ…一番いいのを頼む。
強がってみたけど痛みが酷い。酷すぎる。
昨今のお国事情くらい酷い。あとに引きそうだ。
まあ花村にディアラマかけてもらったら速攻消えたが。
便利だなー回復スキル。俺も使えないかな。
「あー痛かった…ありがとう。助かった」
「別にいいけどよ…なあお前どうかしたのか?さっきからなんか、いつものお前らしくないって言うか…テンション高くね?」
そりゃいつもと違うからね。中身が。
「仕様です」
「センセイいつもと様子が違うクマ。きっと陽介のせいね」
「しよ…どういう意味?」
「ばっおまっ、言うなよ!」
花村が急にあわて出す。
そういえば鳴上になった時、俺地面に寝っころがってたな。なにがあったんだろうか。
「そっ・それより、さっきの凄かったな。どうやったんだ?俺にもできるか?」
露骨に話をそらしにきやがったな…まあいいけど。
「無理なんじゃないか?仮にできたとしても後が酷いぞ」治してもらった足をポンと叩く。
「あー…痛いのか?」
「骨と肉と筋繊維が剥がれたかと思うほどに」
「怖っ!!」
いつの間にか一緒に話を聞いていた里中が驚きの声を上げる。
実際それぐらい痛かった…連鎖一閃は封印だな。使っても5連までだ。
決意を固めて立ち上がる。
「あらかた片付いたみたいだし、先に進むか」
「うんっ」
「オッケークマ」
あらためて全員の準備が整ったのを確認し、視界に入った扉を開けた。
ガーッ
「いやだ!やめろ!!」
『怖がらなくてもいい。すぐに終わるから』
室内に入った瞬間目に飛び込んできたのは、巨大なドリルやら丸ノコやらが真上にぶら下がってる台の上に手足を拘束されて仰向けに寝かされた男。
そしてそのすぐ側には、特撮番組の悪役怪人ロボットを連想させる存在が一体、低空飛行していた。
初めからクライマックスだ。
おかしい、俺の記憶ではここで暴走前のシャドウとの会話シーンがあったはず。なぜ故こんな危機一髪な状況に?
来るのが遅かったからか?少しだけどダンジョン内でグダグダしてたし…それとも鳴上と入れ替わったせい?
前者なら俺のせいかもだが後者なら花村のせいだな。
「白鐘!」
隣にいた花村が突然叫ぶ。
「っ、皆さん!」
『おや、お客さんかい?』
俺たちに気づいた二人―――一人と一体?―――も、それぞれこちらを振り向く。
ヤバイ。あれこれ考えてるうちに話が進んでしまった。
『我は影、真なる我…君たちも改造手術が必要なクチかい?』
左右で身体のデザインが違う人体模型っぽいのが両手に持った光線銃を二つとも向けてくる。
それを見て途端に臨戦大勢を取る仲間たち。
ヤバイ。ホントヤバイ。俺だけ回りの空気についていけてない。
いや危険な状況だってのはわかっちゃいるんだよ。でもなんか…いまいちテンションが上がらない。上げられない。
完全に一人だけ取り残されてしまった。
つーかみんな、状況に適応するの早くない?変に思わねーのか、扉を開けたらそこは修羅場でしたって。明らかにおかしいだろ。
「うわーっ!!(ビビビビビッ)」
「花村っ!?」
花村ぁぁぁぁぁぁっ?
あれこれ悩んでると花村がレーザー光線みたいなのを食らっていた。
「オぉい!お前なにいきなり食らってんだよ!?」
開始早々にシャドウの攻撃食らうってお前、古株がそれでいいのか!?
「お……おお……悠さんや…飯はぁ…まだかのう……?」
「分かりやすいボケだなオイ!」
食らうだけならともかく老化までしやがった!タチわりぃよオイ!
つーかリアル、老化リアル!ゲームだとなんかよく分からんぐるぐる出てるだけなのに、現実だとこんなになるのか。グレイトフルデッド受けたみたいだ。
「クマァー!?(ビビビビビ)」
「クマさん!」
「今度はそっちか!」やられすぎだろ!
ついさっきまで赤や青を基調とした着ぐるみボディが、みるみるうちにくすんだ黄や緑といった色にカラーリングされていく。
ところどころキノコなんかも生えてきて…新種のポケモンか!
「しぇ……しぇんしぇー……大変…クマァー…!」
「見りゃ分かるわ!」
ぜえぜえ息切れさすな気持ち悪い!
マズイ…開始早々に二人使いものにならなくなった…!向こうが強いのかこいつらが不甲斐ないのか
「せっ…センパーイ……!」
「巽…、姿が見えないと思ったらお前いつの間に 堀口レオ画!?」
苦い顔した時とかにそっくりだ(なんでお前だけ漫画チックなの?)
あっという間にメンバーが四人に…一人サポートだから戦力になるのは俺を入れて三人か。
このままじゃ全滅するぞこのパーティ。
ゲームとは違うからコンテニューできるとも思えないし、なんとかしなきゃマジでヤバイ!
「たっ、退避っ、総員退避ー!」とりあえず一旦退く!
「ええぇ?ちょっ、直斗君はっ」
「逃げるだけで戦闘を放棄するわけじゃない!!」
反論してきた里中に走りながら噛みつく。
「クソがっ!大人になる前にジジイになってたまるか!俺はまだ子どもでいたいんだよ!!」
「、っ」
いやね、たとえ老人になったとしてもエキストラハードの小牧師匠のように俊敏に力強く動く自信はあるよ?
うちの
でもこの身体は鳴上悠のものだ。
一閃使って脚が釣るんだ、
だがしかし、弾幕ゲー張りの連射をやられても避け切る自信はある!なぜなら僕はギョライだか―――
ガシッ
「ん?」
「「「イヤーーーー!!!」」」
シャドウの位置の確認のため、後ろを振り返りながら動いていたら突然身体のあちこちを掴まれた。
……ははっ、美少女三人に囲まれて俺ってばもってもてー
「っじゃねーよ!なにしてんだてめーら!?」
「鳴上君ゴメン!」
「老化は…老化だけはいやぁ!?」
なら逃げろや
振りほどこうと身体に力を込めるが、なぜかびくともしない。それどころか体勢を無理矢理変えられシャドウと向き合う形にさせられる。
こいつら力つえぇっ!
『ハハッ、格好の的だよ!』
返す言葉もない。
シャドウは笑いながら―――仮面みたいな顔してるから実際はわからないが―――両手に持った銃を構え、迷わず引き金を引いた。
光線の速度は早いはずなのに、えらくスローに見える。あれこれやばくね?死ぬ間際の極限状態?
「ぺっ…ペルソナ!!」咄嗟に叫んだ。
スキルで防げれば…最悪盾にしよう。
思わずそう考える俺は外道だろうか?
しかし肝心なことに気づいた。
ペルソナって、どうやって出すんだ?
「ニ"ャ"ーーー!!?」
一瞬思考が固まった瞬間に光線がぶつかった。
その衝撃で地面に倒れる。地味にいてえ。
「鳴上君!!」「先輩っ!」
女共が叫び声を上げる。
いかにも心配するような感じ出してるけどお前ら、俺に光線当たる瞬間手ぇ離しただろ。気付かれねーとでも思ったか?
分かってんだよそれぐらい。覚えとけよコラ。
「鳴上君、大丈夫!?」
「七代先まで祟ろうぞ…」
「猫?」
天城さんなんで知って…そういや実家が老舗旅館だったな。古い話には事欠かないか
…しかしなんか…妙に声が高い?ような……
地面もやたら近いし…ってこれは倒れてるから当然か
金属製の床に手をついて
「ってなんじゃこりゃーーー!!?」
視界に入った自分の手を見て気づいた。手ぇちっさ!!
立ち上がって確認してみたが、肉体があきらかに縮んでいる!元の身長の半分…いやそれ以下だ!
身体に合わせるかのように服とメガネも縮んでいるが、使用武器の刀だけは元のサイズ。
意味が分からない、ていうか使いづらっ
「うわ鳴上君ちっさ!!」
「小さい鳴上君…チビ上君…ぷぷっ…」
「先輩かわいいーー!」
「やかましい!」抱きかかえようとすんな!
他の奴らはジジイになのに、なんで俺だけ小学生?時代の波に乗りでもしたか?
見た目は子供頭脳は大人にしてどうすんだいったい。ゴールデンタイム付近に名探偵ナツンでもやれってか
言っとくけど推理とか探偵とか無理だぞ。俺にできることといったら、怪しい奴を片っ端から蹴り飛ばして犯人あぶり出すくらいだ。
『アッハッハッ、これはいい!想定外だけど実に愉快だ』
台詞通りさも愉快そうに額に手をあてて笑う(※顔は見えない)白鐘シャドウ
「ざけんなコラ!元に戻せ!」
『なんでだい?子供でいたいんだろう?』
「俺が言ったのはあくまで現場維持であって、若返りたいわけじゃないわい!」
そもそも装飾品まで縮むってどんなアンチエイジングだよ。
『現場維持…?』
突然、白鐘シャドウの雰囲気が変わった。
身体の周りにも赤い風のような、オーラのようなものが渦巻いていて、さっきまでなかった威圧感を感じる。
『君は今のままでいたいっていうのかい…?どうして…』
「もう少し今を楽しみたいってのは誰だって持つ願望だと思うが」
『それは君に余裕があるからだよ』
『確かに誰でもいつかは大人になるだろう。でも
「きゃぁぁぁぁぁ!!」
シャドウが張り付けにされている白鐘に手をかけ、勢いよく服を引き裂いた。
突然の行為に悲鳴を上げる白鐘。その胸元には…サラシ?
「みっ見ないでください!!」
『白鐘直斗…男らしい名前だね。でも事実は変えられない。女であることは変えられない!』
あぁ、そういえば男装した女って設定だったっけ。
一人だけネタバレしてると他とリアクション合わせらんねーな。全員驚愕してるのに俺だけ普通だ。
『だから改造手術するんだ。このままだと夢が叶わないからね』
「いや…いやだ…やめて…」
『なぜだい?あんなになりがっていたじゃないか。渋くてかっこいい、ハードボイルドな大人の探偵に』
いや無理だろ。
思わずツッコミしたくなった。
ハードボイルドはなれるかもしれんが渋くてかっこいいは無理だよ。
ある程度歳重ねないといけないし…それにただ老いればいいってわけでもない。難しいぞ。
「やだ…やだ…」
手術台に貼り付けにされた白鐘が恐怖に負けたのか、いきなりぐずり出した。
『心配しなくていい。すぐにすむし、痛みもない。もう子供のくせにと言われて悔しい思いをしなくていいんだ…すべてが終わった後には、全く新しい理想の
「くっだらねー」
周りを無視し、一人で盛り上がるシャドウの言に思わず口走った。
もうこれ完全に素の態度だな。さっきからずっとそうだったけど。
ごめん鳴上、我慢できなかったよ。後で自分でフォローして。
『なに…?』白鐘と向き合っていたシャドウが振り返る。
「自分のかっこよさを自分に求めてんじゃねーよ。俺カッケーとかどこの中二だ」
俺たち―――寧ろ俺のみ―――に向き直ったシャドウの雰囲気がみるみる険悪なものになっていく。
敵意むき出し。仮面で顔が変わらないけど、顔があったら阿修羅みたいな表情してそうだ。
「そいつがかっこいいかどうかなんて他人から言われて初めて決まるんだよ。イメチェン勘違いしてんじゃねーぞお粗末君」
「ちょっ、ちょっと鳴上君」「先輩あんまり刺激しない方が…」
抑えようとしてくる女子連中をするりとかわし、前に出る。
シャドウの意識が俺一人に集中してる内に白鐘を救出…しねえだろうなこいつら。
まず、そんなこと考えつかなそうだし。
「根っこの部分から変われなきゃいくら改造しても無駄なんだよ。どんなに外見整えよーとも、誰からもそう思われなかったらただの独りよがりだ」
『黙れ!僕のことをなにも知らないくせに偉そうなことを言うな!!』
わっかる訳ネーだろ。固ゆで卵になりたい奴の気持ちなんて。
卵は熱々の温泉玉子が一番だ。
「俺はマーロウやアーチャーよりも、青島や谷村派だ」
『粗野で感情に流されやすいのは嫌いなんだよ!お前みたいな子どもと一緒になぁっ!!』
シャドウは怒り狂った様子で俺に銃を向け、引き金を引いた。
先ほどと同じく光線のようなものが飛んでくる。
「人をガキ扱いしてっけど。てめー生まれてからそんなに経ってねーだろ」せいぜい数日から数週間ぐらい?
「自分のことを棚に上げて、上から目線で好き勝手」
喋ってる途中に突如、虚空にカードのようなものが現れる。
迷わず手を伸ばして、上から鷲掴むように
「お前の方こそ―――」
カードが砕けると、
――オルフェウス
しかしその姿は、初めこそ俺が知るそれだったが、一瞬後には急激に変化を遂げた。
全体的に白と青緑色が主立った身体は、頭の先から真っ黒に染まり、全身を静脈のような青色の線が走る。
マフラーのように巻きついている首元の赤い布も群青色に染まり、何年も使い古したかのようなボロ布に変わる。
最後に…整っていた顔は、口元は頬まで裂け、目尻が高く吊り上げられる。
その表情は、正しく"怒り"を表現していた。
「『調子こいてんじゃねーぞガキゃァ!!』」
ボバッ!!
オルフェウス(仮)の口から空気の塊が飛び出し、光線に当たり相殺する。
『なっ…』
シャドウが驚愕で硬直する。
その隙を逃さず、一気に畳み掛けた。
―――ボイスマシンガン!
『グァッ!?』
連続した音の塊がシャドウの身体を貫く。
今までは手の届かない高さで飛んでいたが、攻撃が当たりそうなところにまで降りてきた。
即座に刀を両手で持って振りかぶり、突進して斬りかかる。
『クッ!』
シャドウは慌てて急上昇し、空に逃げる。
残念ながら俺のアタックは不発に終わった。
普段なら充分射程距離だったんだけどな…
『ハァッ…!調子に乗るんじゃないよ子どものくせに!!』
「
――ジェットボイス!
ペルソナに呼びかけると、身体が音の膜のようなものに覆われて、一気に軽くなる。
名前を呼んだだけでなにをして欲しいかすぐに察するとは、流石だ。我は汝は伊達じゃない。
しかしホント、マジで身体が軽いな。空でも飛べそうだ。
「え、うそ、先輩が浮いてる!?」
「うええっ?なんで!?」
「そんなに体重減ってたんだ…」
ていうか実際に宙を飛んでた。
つい、「セイクー!」とか叫んでみたくなったのは内緒だ。
そして天城さん、その感想はちょっとズレてます。
初めての感覚故に多少のぎこちなさを醸し出しはするが、シャドウを真似てジェット移動をするようなイメージで空中を移動する。
戦闘中じゃなかったらアクティビティ気分で超楽しめただろうな。
再び刀を振り上げ、間合いに入るところにまで近づくべく、移動速度を上げる。
「今度こそ!!」
『クッ…来るな、僕に近づくなーーーー!!』
シャドウは狂ったように銃を乱射する。
狙いがめちゃくちゃなせいで、部屋のあちこちに向けて光線が発射される。
さっきまでとは段違いな威力らしく、流れ弾(流れ光線?)が当たった箇所が轟音と共に爆ぜた。
直撃は避けたいので、突進を止めて回避に専念する。
改造するための設備がどんどん壊れていくけどいいのか?
「あ、危ない!!」
「!?」
光線のひとつが拘束されている白鐘に向かって飛んでいく。
「オルフェウス!」
――サウンドアーマー!
光線が当たる瞬間、オルフェウス(仮)―――もう面倒だからダークオルフェウスでいいや―――が発した音が、鎧のように白鐘の身体を包みこむ。
バチ!!
音の鎧は光線に負けることなく、内側にいる人物を守ってくれた。
危なかった…ここで死なせたら頑張ってる意味がなくなるところだった。
ついでだから他の奴らにもかけておこう。ちょっと存在忘れてた花村たちにも…そうだ、もしかしたら。
『ぐっ!な、なんだ!?』
シャドウが空中で呻き声を上げる。
さらに身体を、まるで拘束されているかのように小刻みに力強く揺すりだす。
――サウンドアーマー・
音の鎧を文字通り、拘束具をイメージして使ってみたら本当にできた。
ダークオルフェウスの能力が汎用性高すぎて怖い。
『クソ、クソっ!離せ!!』
「口きたねぇな…もう少しで完成するから、それまでゆっくりしてろ」
『ああ!?なにが!!』
「あれ」
ピッ、と人差し指を上に向け注意を促す。
そこにあるのは……ただの天井。
…あれ?おかしいな…オルフェウスに指示したはずなのに。
確認を取るためにペルソナへ視線を移すと―――
ズ、ズン!!
『なっ、なんだ!?』
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ――――――!!
上から轟音が響き、振動も強くなる。
暫くした後、ボッゴン!!という音と共に天井が破壊音され、そこから巨大な半透明な塊が落ちてきた。
――メテオボイス
目測だが、大きさはちょっとした野球ドームくらいある。と思う。
天井が壊れるとその下(上?)からも音の塊が出てくるから全長が全く分からん。
……ここまで大きいのは、正直いらなかったなぁ。
ドォォ…ン
☆ ★ ☆
ユウ! ユウ!
たたかいに つかれたようだな。
もういちど チャレンジするか?
はい
→いいえ
そうか。
つぎのぼうけんは このまえにセーブした ところから はじまることになるが それでいいな?
→はい
いいえ
ユウは わるいゆめをみたのだ。
がんばれ! ユウ!
なっげーよ『はい』にしとけやってかゲーム違うやん。いつの世代狙いのネタだ。
身体にのし掛かっている瓦礫を押しのけ、地上へ顔を出す。
「あービックリした」
建物の崩落に巻き込まれたにしては軽い感想だが、無傷ならこんなもんだ。
自分にサウンドアーマーかけ忘れてたことに気づいたときはビックリどころじゃなかったがな。あと数秒遅かったら危なかった…
「(ガラガラガラ…)ぷはっ!ビックリした〜」
「やだもー、服が汚れちゃったー」
他のメンバーも続々姿を表す。
学生服着た奴らが瓦礫かき分けて出てくる光景はちょっとシュールだ。一部爺さんいるし。
「…あれ、俺のペルソナは?」
ふと気づいたがダークオルフェウスの姿がない。
仕舞った覚えがないから(つーか仕舞い方が分からない)、まだその辺にいるはずなんだが…戦闘が終わったら勝手に消えるのか?
キョロキョロと辺りを見回すと、少し離れたところにある地面が突然盛り上がる。
ガラガラと音を立てて崩れる瓦礫の下からは、ポカンとした表情で座り込む白鐘とダークオルフェウスが姿を表した。
「直斗君!!」
「よかった…!無事だったんだ…鳴上君、ありがとう!」
「え、いや」
俺なんにもしてないんだけど。
いや、サウンドアーマー纏わせるように声をかけたけど、それ以上の指示はしてない。
薄々思ってはいたが、こいつオートで動いてないか?
『…………』
不信に思いながら見つめるとニヤリと笑い返された。気がする。
表情は目尻口角上げのままなのに雰囲気?が変わるだけで怒ってる風から、笑ってる風に思えるから不思議だ。
「……お手数かけました…」
他の奴らに聞こえないよう小声で話しかけると、気さくな表情(の雰囲気)のまま軽く手を上げて、ペルソナカードに戻った。
アルカナは見る前に消えたからよく分からなかったけど、多分愚者だろう。主人公だし。
「あ…」
「ん?」
誰かがなにかに気づいたようにつぶやいた。
それに釣られて視線を動かすと、白衣を着た白鐘が呆然と立ち尽くしているのが見えた。
いや、あれは…シャドウの方か。
『………』
見たとこ消滅する寸前だな。
さて…どうするかな。
①見過ごす②止めを刺す③物語通り進める。
①と②はほとんど同じだから実質二択だな。
面倒だからさっさと帰りてーんだがー…うーん…
「…散々好き放題言ったが、結局のところ最後に決めるのは自分自身だ」
喋りながら白鐘の方へ顔を向ける。
さっきまで半裸(に近い格好)だった彼女は、今は明らかにサイズが合ってない学ランを羽織って、しっかりと両手で前を隠している。
大きさ的に巽のを剥ぎ取ったんだろう。少し残念。
「そろそろ向き合ってやれ。自分のスタイルに」
「…本当に馬鹿ですね、あなたって人は」
白鐘はため息をひとつ付いて、自分のシャドウに向かい歩いていく。
俺の隣を通りすぎる際、小さく「ありがとうございます」と囁いて。
「…直斗君、大丈夫かな…」
様子を伺っていた久慈川が心配そうな目を白鐘に向ける。
他の奴らも似たような表情だ。
「大丈夫だろ」
「でも、あんな目にあったばかりだし…」
「そうだね…私たちの時と違って、かなり過激だったから…心配だね」
「…そうっすね」
「大丈夫だって」
「なにを根拠にそう言い切るんだよ」
「本人だって気づいてたんだよ。いつか向き合わなきゃいけないものに鍵を掛けて見ないふりしてたこと」
いや白鐘だけじゃない。"それ"は誰もが持ってるものだ。
いつかは、俺も向き合わなきゃいけないものだ。
「…ちょっとしたきっかけさえあれば、人は意外と簡単に成長するもんさ」
その言葉を肯定するかのように、少し離れたところに青白い光が立ち上った。
また一人、ペルソナ使いが誕生した―――
☆ ★ ☆
「恥ずかしいところを見られちゃいましたね…」
シャドウとの和解を済ませた後、近寄ってきた俺たちを白鐘はどこか居心地悪そうな表情で迎え入れた。
「それはなにに対して言ってんだ?秘密をバラされたこと?半裸を見られたこと?恐怖で泣いたこと?」
「……全部です」
当時の自分を思い出したのか、恥ずかしそうに目を伏せる。
「…幼いころに両親を事故で亡くした僕は祖父に引き取られました」
なんか急に語り始めた。
「僕は友達を作るのが下手で、暇さえあればいつも祖父の書斎で推理小説を読んで過ごしていました」
「…それでハードボイルド?」
「はい。…おかしいですよね」
いや、おかしくはないけど。俺もこんな性格になったのガキのころ見た任侠もののせいだし。
「お祖父さんの書斎に江戸川ランポがあったら友達作ってたかな」少年探偵団的な。
「…可能性は低いと思います」
「鳴上君、話が進まないからちょっと黙っててよ。少しの間でいいからさ」
千枝ちゃんキッツぅーい。思わず泣きそうだよ。
でも正論だから大人しく従おう。
「両親は二人とも立派な探偵で、僕自身とても尊敬していて…憧れでした」
当時を懐かしむように、少し寂しげな表情を見せる白鐘。
「祖父に持ち込まれる相談事を内緒で手伝う内に、気が付いたら少年探偵なんて肩書きが付いて…その時は単純に嬉しかったです」
本当は女なのにね。
「将来の夢は"カッコイイハードボイルドな大人の探偵"…あの頃はなれると、本気で思ってました」
「…なればいいじゃん」
思わず正直な感想を口に出してしまった。
そのせいで全員から注目を浴びる。
さっき黙ってろって言われてたにも関わらず、舌の根も乾かないままに口を挟むとは…俺って意外とお喋りなのかな。
止められる気配がないからこのまま行っちゃえ。
「自分が一番なりたいものになる。夢ってのはそういうもんだ。諦める必要はないだろう」
明確な夢を持ってない奴が偉そうな口きいてやがる、とは自分で思う。
将来は格闘やスポーツ関連の職に就くと思うって過去に予想したけど、いまいちパッとしないんだよね。
「…女なのに、ですか」
「女でも、だ。なんにでも初めてってのはある。いいじゃないか女ハードボイルド。第一人者を目指してみたらどうだ?」
叶えるのが夢だけど、叶わなくても夢は夢だ。
俺の発言に思うところがあったのか、白鐘はしばらく考えた後に口を開いた。
「…初めて皆さんを見て…犯人を見つけようとしているのを知ったとき、正直憤りました。素人が遊び感覚で行動して、って…。そう考えてしまうほどに、楽しそうでしたから…」
今思えば嫉妬していたんでしょうね、と自嘲気味に笑う白鐘。
「警察という組織で働いていたけど、僕はいつも孤立していました。それでも構わず行動していたら、余計に溝を深めて…」
「そういえば直斗君、警察の人と揉めてたって…」
「…事件のことでちょっと…もう解決したのだから、早く家に帰ればと言われまして……」
酷い警官だな。
「僕は…本当は居場所が欲しかったんでしょうね。きちんと、居ていい意味が…」
「…居ていい意味とやらは分からんが、居場所ってのは人に与えられるもんじゃないよ。身体をねじ込んでも、無理矢理にスペースを作るもんだ」
「うわ、先輩過激。でもそんなとこも素敵!」
久慈川さん、ちょっと黙って。
あと俺君の知ってる先輩じゃないよ。適当なこと言わないで。
「……それじゃあ、僕も、自分の居場所を作ってみようと思います」
一度そこで区切り、白鐘は深々と頭を下げる。
「真犯人探し、僕にも協力させてください」
「…俺はいいけど、みんなはどうだ?」
問題はないと思うけど一応聞いてみる。
「いいに決まってんだろ、なっ完二」
「おおおおっなんで俺に訊くんすか!?」
「よろしくねっ、直斗君!」
「はい、よろしくお願いします」
俺の予想通り、全員が問題なく迎え入れる。
…やっぱりいいなぁ、仲間って。
「で、いったいいつになったら俺は元に戻るんだ?」
『…………………』
さっきからずっと子供のままなんですけど。
老化組はちゃっかり戻ってるし。
つーかそれ以前にいつまで鳴上でいればいいんだ?
その後、子供化はテレビから出ると同時に治った。
回復アイテムもスキルも効かなかったから地味に焦ったぜ…高校生の姿になったとき思わずガッツポーズ取った俺はおかしくないはず。
鳴上になってる方は自宅(堂島家だっけ?)に戻って寝たら
やっぱり夢だったみたいだな…かなり疲れる夢だった。寝た気がしない。
トロフィー獲得!
(銅):改造ラボ強制閉鎖
(銀):鐘を鳴らして
■大丈夫だ、問題ない(三木眞一郎ボイス)
■うむ…一番いいのを頼む
エルシャダイ。わりとポピュラーだから解説前に分かった人は多いはず。
■速い、速いぜ。サーキットの風になれ!!
星のカービィ。あるシリーズのあるコピー能力の解説で出てきます。
■組み小太刀・幻狼
■小牧師匠
龍がごとく。もはや鉄板となりつつあるネタ。
■一閃
■幻魔
鬼武者。明智秀満と結城秀康はシリーズの主人公たちです。
■ナバロ
オーバーブラッド2に出てくる操作キャラ。拳銃の構え方が何気に好き。
■グレイトフルデッド
ジョジョ。第5章に出てくる敵のスタンド。
■ボイスマシンガン
■ジェットボイス
■サウンドアーマー
■メテオボイス
トリコ。アニメの第2期はあるのだろうか。
■ユウ! ユウ!
たたかいに つかれたようだな。
もういちど チャレンジするか?
はい
→いいえ
そうか。
つぎのぼうけんは このまえにセーブした ところから はじまることになるが それでいいな?
→はい
いいえ
ユウは わるいゆめをみたのだ。
がんばれ! ユウ!
マザー。シリーズはたしか2。
新作でないかなぁ…
□ダークオルフェウス
瀬能ナツル専用のペルソナ(一応オリジナル)
デザインはP3のオルフェウスそのままだが、全身は黒。首に巻いてあるマフラーは群青色でボロ切れのように傷ついていて、目尻は吊り上げ口は耳元まで裂けた凶悪な表情をしている。(魂状態のグリード?)
身体全体に静脈のように青い線が走っている。コンセプトは『オルフェウス版のマガツイザナギ』
本来なら武器は巨大なハープだが、三角ベースのような形をしていて常に片手に持っている。
能力は音。ナツルはこの能力を『エコーズ』と名ずけるようだ。