前回のあらすじ。
ゲームショウに行って彼女は変わってしまった。
だいたいそんな感じ。
「ぐおぉっ…な、殴ったね…!親父にも殴られたことないのに!主に俺が痛めつける側だったからな!」
「てめえの家庭環境なんて知るか」
「そんな俺を殴るのはいつもお袋だった」
「どんな家庭だ!?」
どんなって言われてもなぁ。ごく普通の一般家庭としか。
「ところでお前、なんで変身してんの?」
つい数時間前と全く違う姿につい指をさす。
「同じ学校の奴に出くわしてつい変身しちまったんだよ」
そんななんでもないように言われても…
「なんつったかな…あのモヒカン頭の変態」
「東田だな」間違いない。
あいつこんなところにも出没してたのか。迷惑な。
ていうか、確か前に会ってなかったっけ?変身後の姿で。逆効果な気がするが。
「そいつどうしたんだ」
「ウザかったからグリップでぶん殴って気絶させた」
やだ紅音さん、野蛮!
(※ 昔ナツルも同じようなことしてます。この二人似た者同士だ)
「それで、理由は分かったけど元に戻んないの?」
「ああ?なんだてめぇ、あたしがこのままだと都合が悪いってのか?」
「(そうだけど)そういうわけじゃないけどさ」
さてどうしたもんか。
このままこいつを引き連れて回るか①、頼み込んで戻ってもらうか②、逃げて家に帰るか③。
どれもトラブルが起きそうな予感がする。
しかし②③の二つは後を引くだろう。確実に。
後を引くどころか回答を間違うと即座に命が危ない。凶器が見えてるからな…
「よし、じゃあ一緒に回るか。その前に腹減ったからなんか食おうぜ」
もう14時近いよ。すげえ並んだな。
「それならあたしが買っといた。感謝して食え」
言いながらなにかを放り投げてくる。テメーから誘っといてなんだその上から目線。
「おおー…ってこれ飲むカロリーメイトじゃねーか!せめて固形物にしろや固形物に!」
「食ったらさっさと行くぞ。てめえのせいで二時間無駄にしたんだからな」
「鬼か!」時間かかったの俺のせいじゃねーし、会計のせいだし!!
その後、なんとか頼み込んでフードスペースを先にしてもらいました。
…なぜか紅音の分の食費もおごる形で。
☆ ★ ☆
・遅れてきた新技術
「おー、これが3Dプリンターか」
ちょっとしたトラックほどの大きさをした機械の前で感慨深くつぶやく。
ちょっとデカすぎじゃね?
「いらっしゃいませー!こちらは無駄に新機能を搭載した大型3Dプリンターです!」
「なんだいきなり」
紅音と二人で見上げているとスタッフらしき人が話しかけてきた。
「出展社の機器を微妙に説明していいのか?」
「はい!これはですね、頭のおかしな技術者が理想の彼女を生み出そうとして会社の資金を不正に大量に使って作り上げた機械なんですよ!」
ぅわー、そうなんだー。とでも言えばいいのだろうか。
心なしかおねーさんの額に青筋が浮いてるような気がする。
「安全装置をつけたのでいかがわしいものは作れなくしましたが、なにぶん巨大で…」
「よく完成するまでバレなかったな」
「そういえばその技術者は?」
「セクハラで逮捕されました」
アホだろそいつ。
「お客様、興味があったら試してみませんか?勿論無料で」
「え、俺?」
「面白そうじゃねえか。ナツル、ちょっとやってみろよ。でも卑猥なもん作ったら殺す」
理不尽すぎんだろ。
「倫理的にアウトなものは出来上がる前に『ブー!』ご覧のようにブザーが鳴ります」
「理解したよ」
視界の端で気まずそうに3Dプリンターから離れていく男が見えた。
「まあ、せっかくだからちょっとやってみるかな」
「かしこまりましたー、こちらへどうぞー!」
どうでもいいがこのスタッフなんで居酒屋の接客みたいな対応を取るんだろうか。
プリンターの傍に行くとなにやら記憶の兜みたいなヘルメットが、プリンターと何本ものコードで繋がれているのが目に入る。
「使い方は?」
「はい、まずはこのヘルメットを装着していただきまして、」言われるままにメットを被る。
「次に作りたいものをイメージして、このスイッチを押してもらえれば、あとは機械が勝手にやってくれます」
なんでもない風にサラッと言うけどこれ超技術じゃない?
日本の科学力ってスゲーな。いやこの場合はエロ
まあそれはどうでもいいとして…イメージか。
ふむ……よし、決めた。
「今週のー、ビックリドッキリメカー!」
「おめえ今年でいくつだ」
「ポチッとな」
………
ゥイーン、ガチャ。ピー…ガチ、
一瞬の沈黙の後、機械の内部でなにかが作動する音がしだした。
「はい。OKでーす。すぐに出来上がりますので、ヘルメットを取ってお待ちください」
「マジか。簡単なんだな」
「いえいえ、十代でプリンターを起動させられたのはお客様だけです」
マジか。
「と、仕上がったみたいですね。それではこちらお受け取りください」
マジか。
「ホントに早かったな。なに作ったんだ?」
紅音が早速訊いてきた。
「ああ…そうだ、ちょうどいいからやるよ。今日の記念だ」
鉄のきずな を受け取った
「まてやコラ」
「なんでしょう」
「なんでてめえがコレ渡すんだよ!渡すんなら女の方だろーが、あたしの
「よくご存知で。お詳しいんですね、リタガノモツクード」
「そりゃ合言葉だろーが!」
ホントに詳しい。
☆ ★ ☆
" 3 "
" 2 "
" 1 "
" GO! "
「とーばーすーぜー!ニーナー!!」
「うっぜーーんだよバカ!」
次にやって来たのは、新感覚レースゲームが体験できるブース。
実際に機体に乗って画面に映るバイクを動かすというゲーム。出す速度や天候によって雨風を肌に感じることができるとかなんとか。
そこで紅音と絶賛対戦中。
とくに勝敗で賭けをしているわけではない。しかし負けるのはなんか
というわけで本気を出してレースに臨んでいるんだが…前を走るたびに横から蹴りを入れられる。ケンプファー状態だから力が強くてとても痛い。
脚がアザだらけになりそうだ。お願い誰か止めて。
ピンポンパンポーン
「ん?」
突然、会場内にアナウンスが流れ出した。
『あー・あー、テステス、マイクテス』
ベタだ。
『ご来場の皆様。本日はNANJOゲームショウにお越しいただき、まことにありがとうございます』
「もらった!」
「甘い!」
カーブに差し掛かったところで、紅音が操る機体が外側から強引に抜きに掛かる。
そうはさせじと機体を揺らして走路を塞ぐ。紅音さん、踵を脇腹に入れるのヤメテ。
『只今より、二階特設ブースにおきまして本日の目玉イベント、最新作ゲームの体験会を行います!皆様奮ってご参加ください!!』
「…おい
「なんだ
蹴りのお返しにと車体の後輪を回し蹴りのように勢いよくぶつけてやると、ドガシャン!という音がして機体が動かなくなる。
次いで画面に表示されるのは" draw "の文字。
さらにその下には" 安全運転を心掛けましょう "と注意書きが浮かび上がってきた。
レースにクラッシュは付き物だろうが。なに言ってんだ。
隣でプレイしていた紅音がドカッと、最後に強く蹴り込んでから機体を降りる。
「放送聞いてただろ。最新ゲームだとよ。どうする?見に行くか?」
「うーん」
機体から降りながら考える。
「体験できるって言っても、事前に参加資格とかある奴だけだろ?」
「お前は大丈夫かもしれないけど、俺は無理だろ。当日券だし。プレイできないとなると見に行ってもなぁ」
正直時間の無駄だよね。
『なお今回は機器に限りがございます。ですのであらかじめ、入場券に記載されている番号での抽選をさせていただき、当選したお客様にのみ体験できるという方式を取らせていただきました。まことに申し訳ありませんが、ご理解の程よろしくお願いします』
『まず2A5467、3E8419、1B――』
アナウンスでランダムに数字が読み上げられていく。
周りの奴ら全員が慌ててカバンやポケットからチケットを取り出し――自分の持つ券と同じ番号が読み上げられたのだろう者が――歓声を上げる。
それを羨ましそうに見ながら、次は自分と祈るように両手でチケットを握り締める奴らが彼方此方で目に入る。
それに釣られるように、俺と紅音も入場券を取り出して番号を眺める。
ワンチャン与えられた形になったが、普通に考えてこんなん当たるわけが―――
『3A8197』
「あ」
『4D0591』
「ん?」
自分で持っているチケットに書かれている数字は"3A8197"。
紅音のを横から覗き見ると、そこには"4D0591"の数字が書かれていた。
「当たったな」
「当たっちゃったねえ」
「どうすんだ?」
「うーん」
正直予想してなかったな。さてどうするか…
「…最新作ってのはちょっと興味あるな。行ってみるか」
「はん、仕方ねえな。付き合ってやるよ」
「何様だよお前…」
無駄に偉そうな姿にため息をつきながら、その場から移動する。
この時、気づくべきだったのかもしれない。
トロフィー獲得!
(銅):贈る喜び
■記憶の兜
ハンターハンター。グリードアイランド編にて。
これを被っているときに見聞きしたことは決して忘れない。ただし、非常に大きくて重い。
■「今週のー、ビックリドッキリメカー!」「ポチッとな」
ヤッターマン(タイムボカン?)。
紅音さん。リメイク版が2008年に放送されたし、今年にも新作が放送されたから高校生でも知ってても問題ないよ?
■鉄のきずな
唯一背中を預けられる戦友、カーリー・ブレイズとの鉄のきずな。きっとまた会える…
■ポーラスター、リタガノモツクード
洞窟物語。作者的ネ申ゲーム。
■「とーばーすーぜー!ニーナー!!」
オーバーブラッド2、主人公アカーノのセリフ。