ぶっちゃけ蛇足の巻。前話で終わってれば切りよく次に行けたと思うけど、せっかく書いたのでUPします。
そのくせ長いから分割するはめになった。文章もいつも以上に拙いし…
ワイナの街は山の高台に造られている。
それ故に今、有名どころの神社の階段みたい――ていうかほぼそのまんま――な石畳の道を、一歩づつゆっくりと下る。
「そういやみんな、防具は買い替えなかったんだな」
「ああ、アカネが必要ないと言ったからな」
「紅音が?」
意外だ。
この数日、ランクアップのためにクエスト消化に励んではいたが、合間にはきちんと休日も挟んでいた。
個人のプライバシーは大切にしてやりたいからな…まぁ単純に買い物とか知り合いに見られるの嫌なだけなんだがな。俺が。
一応、装備の強化もしたいならしとけよーとか言いはしたんだけど…次に集まった時誰も変化がなかった。
不思議には思ってだけどあれ紅音の指示だったのか。てか会話とかするんだな(当然だろ)。
しかしなんでそんなことを…まさか俺のことを思ってっ?
「始めた直後の街の商品なんて大したもんねーだろ。装備を揃えるなら次の街からだ」
「そういう奴だよなお前は」
気遣いとか無縁だったわ。しかも割とゲーマーな考えだ。
「どうせ攻撃を受けるのは
「はっ倒すぞクソアマ」
今なんて書いてナツルって読みやがった。
「安心しろ。買ったらきちんと装備して自慢してやるから」
「やったらぶん殴るからな」
割と本気でぶん殴る。
君が、泣くまで、殴るのを、やめない!
『人間は面倒だな』
『なにがいいのか分からないホー』
「悪魔に装備品って概念はないんだな…」
片方なんてほぼ全裸だし。
もう片方は…なかなかいい服着てんだよなこいつ猫のくせに。
猫のくせに。
一度気になって触らせてもらったが、材質はシルクみたいな触り心地だった。
猫のくせにっ。
☆ ★ ☆
長い長い石段を全て下りきり、廃墟となった町の中を無言で進む。
ちなみに今だに袋は合流していない。どんだけ時間かかってんだよ。
「おい
「なんだよ
尻を蹴られた。お前が先に言ったんだろうがっ。
「気づいてるか」
「何について?」
玲ちゃんが空腹近いこと?お前がそろそろ歩くのに飽きてきたこと?
それともあちこちの建物の影に隠れてこっちを伺ってる奴らのこと?
『完全に囲まれているな』
歩みを止めないままヘリオスが言葉を発する。
他にも、善くんが自分の武器であるボウガンを強く握りしめたり、ルナが『クルル…』と喉を鳴らして殺気立っている。
この中で気づいてないのは玲ちゃんだけみたいだな。
「えっ、え?なに…?」
「あー、まあアレだ。とりあえずルナから振り落とされないようにね」
不穏な空気に怯えた様子を見せる玲ちゃんに適切だと思われるアドバイスをしておく。
これから起こるであろうことを説明した方がいいんだろうが、長々と喋ってたら隙ができるし、このパーティ唯一の良心である彼女に無駄な心労をかけるのもちょっと憚れる。
「あたしは良心じゃねえのかよ」
「人の心を読むのやめてくれる?」
そんなに分かりやすいの俺って。
『これからどうするのだ。こちらから仕掛けるか?』
「あー…どうするかな……」それもめんどくせえしな。
万が一。億が一の確率だが、たまに出現するモンスターを待ちぶせしてるって可能性もない事もないからな。絶対ないだろうけど。
「とりあえず袋が来るまでは保留で。警戒だけはしといてくれ」
「分かった」
『了解だホー』
「静かだと思ったらあいつまだ合流してなかったのか」
紅音。お前やっぱり良心にはなれないよ。辛辣すぎるもん。
しかし冷静に考えるとこのパーティ異様すぎねえ?山賊に囲まれてるっていうのに歩みを止めるどころか動揺一つしてないって言う…(玲ちゃん除く)
人としてどうなの?(※お前が言うな)
全員が無言のまま、また何事も起きることなく歩き続ける。
そろそろ廃墟の町の中腹ぐらいまで来たかな?ってところで、後ろから走ってくる足音が聞こえてきた。
「(ザッザッザッザッ)―――やっと追いついたぁ!!」
袋だった。
「なんで先に行くんですか!待っててくれてもいいでしょう!?」
ぜーぜーと膝に手をついて息を切らす姿に、思わず立ち止まって対応する。
「誰からも提案が出なかったからつい」
「つい!?ついで置いてったんですか俺のこと!?」
「必要性も感じられなかったから…」
アイテムボックス代わりに使ってた袋の
むしろ裏切る可能性があるから……さよならした方がいい気がしてきた。
「ひ、酷い…!長い審査を終えて再び門が開いた時、俺がどれだけ絶望したと思ってるんですか!?」
「「知らねーよ」」紅音とハモった。
そのまま夜まで崩れ落ちてりゃよかったのに。
しばし雑談で時間を潰していたら、隠れていた気配が動いた。
「このようなところで仲間割れとは、呆れたパーティだな」
もとは二階建てだったであろう崩れた廃屋から、男が姿を現わす。
なんか冴えない見た目のオッサンだな。
「愚かだ…実に愚かだ!そんな愚かだから間違った選択をして命を落とすんだ!あの時素直に僕に協力していれば、こんな所で死なずに済んだのになぁ!!」
男の声を合図に、辺り一帯の物陰から一斉に武器を持った人間が出てくる。
ぱっと見で五十はいそうだな。だがまぁそんなことよりも、
「あのオッサンかなり偉そうだけど誰か知ってるか?」
「いや」
『全く』
「知らないです」
『ホー』
「誰かと間違えてんじゃねえか?」
「いやいやいやいや、ナツルさん追い剥ぎしたじゃないですか!」
追い剥ぎ?
「なに本気で分からないって顔してんすか!あれですよ、ガシャポンの前で絡んできた…」
「あー…あー、あったなそんなの」
アイテム寄越せとかふざけたこと抜かしてきたからやり返してやったんだっけ。
アレ、でもあのたかりあんな老けてたっけ?
「お前たちに全てを奪われて信頼も失いドン底まで落とされた…お前たちのせいで!」
親の仇みたいな血走った眼で睨まれてもねぇ。全部まるっと自業自得の八つ当たりじゃない。
「今日!ここで!奪われたものを全て取り返す!そして僕は真の勇者になるんだ!彼らと共に!」
「ひっひっひっ」
「女だぁ…うまそうな女が二人もいるぅ…」
「久しぶりに人間をブチ殺せるぜ…」
「最近はここを通るやつも減っちまったからなぁ」
「楽しみだなぁ…ひひっ」
下卑た存在が下卑た笑みを浮かべてジリジリと近寄ってくる。
一応警戒して慎重に…って感じじゃないな。ただ恐怖心を煽ってるんだろう。今にも飛びかかってきそうだ。
あいにく玲ちゃんと袋にしか効果はないみたいだけど。
「イタい山賊
勇者とそのパーティがクズすぎて世界を救える気がしない。
『作戦は?』
「バッチリがんばれで」
「…具体的にどうすればいいのだ?」
褐色と真っ黒の二人は察しが悪いな。ゲームとかやんないの?
「好きに暴れろってことだろ?分かりやすいじゃねえか!」
紅音が銃の撃鉄をガジンっと豪快に引き上げ、楽しそうに口の端を吊り上げる。
「暴れろだなんてお前…鏖殺だよ」
「ガンガンいこうぜじゃないですかそれ!?」
勝手に作戦変えるなよベビーサタン。
「僕が…勇者だ…導き手だ、救世主だ!みんなイクぞぉーーーーーー!!!」
『『おおおおおおおおおおおお!!』』
「ウザイ」
>スキル " 操影術 " 発動。
■君が、泣くまで、殴るのを、やめない!
ジョジョ。ジョナサン、貴様ぁーーー!
■バッチリがんばれ。ガンガンいこうぜ
ドラクエ。MP消費させるのが嫌だったんで、作者は大概じゅもんつかうなやせつやくを命じてました。
後編に続く。