けんぷファーt!   作:nick

76 / 103
袋視点。

途中から書くのに飽きてきた?と言われてもしょうがない拙さ。
どうも袋視点で書くとやる気が出ない…気がする。


第68話 荒野の夕暮れ②

瞬間、大地が蠢いた。

ナツルさんの影がある部分を中心に――いや、ナツルさんの影がどんどん広がっていって、それと同時に盛り上がっていく。

 

「なっ、なんだこれ!?」

「気持ちわりぃ!ナツルてめえなにしてんだよ!?」

 

突然の出来事に、敵も味方もパニックに陥る。

 

そうしている間にも影は動き続けて、少しづつ人型を形作る。

 

頭部は丸くて顔は無く、手足の指は全て爪のように鋭く尖っていて、全身は黒い包帯を巻いているかのような姿をしている。

 

「…IBM?」

「一番創造しやすかったんで」

 

創造しやすかったって…20体以上はいるけど。

いくらイメージできるからって、こんな簡単に実現させられるものなのか?

この数日一緒に行動してたけど、一度も使ってなかったはずなのに。

 

「ビビるな!悪の手先め、奇策を講じたつもりだろうけど僕の目は誤魔化せないぞ。どうせ見た目だけのハリボテだろう!最近習得したスキルでそんなもの動かせるものか!」

 

勇者願望持ちの男が大声で叫ぶ。

 

それを聞いて物陰から出てきた奴らも勢いを持ち直す。そう言われればそうかという雰囲気だ。

間違ってはいないだろうけど、そもそも習得したばっかの、それもこんな非現実系のスキルを使えること普通はありえないとかは思わないのか?

 

「ハハッ。どうだ、図星だろう?悔しかったらなんとか言ってみろ!」

『プ…ププププレイ…ボーーール!』

 

影でできた人型が一斉に喋った。

佐藤タイプ!?

 

『「キャハハハははははははは!!」』

「ぎゃあ!?」「ひぺっ!」

「ひぃっ、なんだこれっ!?」

「聞いてなぼっ」

 

影人形がそれぞれ手短な相手に自らの手爪で切りかかる。もちろん敵だけに。

VRの世界だから血なまぐさい臭いや光景はすぐに消えるけど、とても戦闘とは言えない一方的な虐殺が繰り広げられる。

 

のはいいんだけど、なんで俺の前にも対峙するように影人形が立ってるんだろうか。背後にもいるし。

 

『……』

『……』

「…」

 

「コイツどう?」「敵?味方?」「どうする?ヤっちゃう?」「どうしよ?ヤっちゃおうか?」っていう会話を俺を挟んで二体がしてるような気がする。気のせいだと思いたい。

 

無心だ…心を無にするんだ……少しでも敵意、いや戦う気を見せたら殺される!

せめて何かで気を逸らさないと!

 

ガン、ガンガン、ガゥン!

 

べつのところでじゅうせいがきこえる。

 

見るとアカネさんが拳銃片手に無双してた。正確にヘッドショット決められるのは凄いを通り越して怖い。

 

ドパン!

 

あ、影人形の頭に当たった。

まあ結構数いるから誤射しても仕方がない…

 

「よし、20点だな」

 

シューティング感覚!?怖っ!!この人怖っ!!

ていうか今のがアリでなんで俺はグレー判定なの!?

 

駄目だ。これ以上見るのは色々まずい。他は…

 

「閃雷!」

「「「ぐががっ!」」」

 

(いかづち)を纏ったボウガンの矢が、2・3人で固まって動いていたいた男たちを纏めて感電させる。

 

「玲!」

「うん!ルナ、ジェフくん、お願い!」

 

クルルルル!!

『マハブフだホー!』

 

動きが止まったところに、ダチョウのような大鳥のくちばしとツララのように鋭く尖った氷が文字通りとどめを刺す。

 

とても息の合った連携で危なげなく敵を倒している。かすり傷一つ負う気配がない。

 

他は…あ、(ヘリオス)がちょうど今対峙してる。

相手はどうやら悪魔を所有してるみたいで、召喚器を使って魔法を放ってきた。

 

「獣が苦手なもんっつったら、やっぱ火だろ!喰らえ、アギ!」

 

火の玉が真っ直ぐに飛んでいく。

 

大層な物言いだが、サイズはソフトボールほどだ。ちょっとカッコ悪い。

でも盾なんかの防具品を一切持たない相手には、十分脅威だろう。

 

「ヒャハハハハハハ!丸焼けになりやがれ!!」

『大気の壁』

 

ヘリオスが淡々とつぶやきながら両手を前に突き出すと、火球がまるで見えない壁にぶつかったかのようにひしゃげて霧散する。

 

「…へっ?」

『お返しだ。灼熱発破』

「ぎゃあっ!?」

 

ア然とする男に向けた両掌が一瞬で赤色に染まると、そこから炎が噴き出して男を襲う。

 

 

…あの猫の悪魔って、あんなに強かったっけ?

βテストの時はクエストにしか出ない敵キャラで、発生時期的に仲魔に出来ないモンスターだった。

 

戦闘イベントでは体術しか使ってこない、ちょっと厄介な奴としか思わなかったけど…あれが本来の実力なのかな?なんとなく違う気がするんだけど。

 

 

「このっ、猫畜生が――」

 

反撃したために動きが止まったヘリオス。その背後から別の男が斬りかかる。

 

「怪力一掃!」

「ごバッ!?」

 

突然男が剣を振りかぶった体勢のまま吹っ飛ばされた。

 

『っ?、ナツルかっ』

「オーイェー、背中に注意だぜヘリオス」

 

軽口を叩きながらも、近づいてくる敵を片っ端から排除していくのは、青い髪をした悪魔…人間のナツルさん。

 

今もまた1人、前蹴りでぶっ飛ばしてはスキルでとどめを刺した。せめて鉄甲を直接使ってあげてください。

 

『済まない。助かった』

「まあお前なら手を貸さなくても問題なかっただろうけどな」

 

会話を続けながら、お互いに駆け寄って背中を合わせる。

 

「怪力一掃!」

『真空波』

 

腕の振りに合わせて飛んでいく真一文字の衝撃波と、複数のカマイタチが敵である男たちをなぎ払い、切り裂いていく。

 

「ギャッ!」「ぺビャッ!?」「痛えッ!クソッ!!」

 

『灼熱発破』

「かえんほうしゃ!!」

 

怒号と悲鳴が上がる中、ナツルさんはヘリオスの脚を掴んで持ち上げ、ジャイアントスイングをするように振り回す。

 

ヘリオスの両手から文字通り火の手が上がり、あっと言う間に阿鼻叫喚の地獄絵図が完成する。

その状態でナツルさんが移動しだす。…地獄が広がっていく。

 

「ハヤブサ斬りぃっ!」『スパイククロー』

 

敵が密集しているところにヘリオスをぶん投げれば、全身を回転させてドリルのように削っていく。

 

息がぴったりだ。事前の打ち合わせとかした様子もないのに、お互いに相手(パートナー)が何を望んでいるか分かってるみたいな動きをする。

2人とも格闘タイプだから思考が似てるのかな?

 

『ソニックパンチ、暴れまくり、ギガントフィスト』

「ゴブリンパンチ!ツイスター!リミットグローブ!」

 

「ナツルさんそれ別のゲーム!」確かに味方も使える敵の技だけど!

動きが似てるのがちょっと腹立つ!

 

あ、嘘です、冗談です、問題ありませんです。

だから爪を振り上げるのやめてください影人形さん。

 

 

「なぜだ…」

 

 

「?」なんだ今の。

まったく別の方向からつぶやきが聞こえたぞ。

 

「なぜ…なんで僕の邪魔をする。僕はみんなを救いたいだけなのにっ…」

 

大規模な戦闘(虐殺?)の始めに出てきたおっさんだ。

ナツルさんに向ける眼差しは虚ろで、ぶつぶつとつぶやく様子はどう見ても不審者。

 

「お前が、お前さえいなければ、僕の、僕のジャマをするなぁぁぁぁぁぁぁああっ!!」

 

握りしめた剣を振りかざし、男は一直線に走り出す。

 

「ウザい」

「ゲぱッ!?」

 

背中から斬りかかったのに、足が伸びきる位置で裏蹴りを食らい弾き飛ばされた。

 

ナツルさん今、背後が見えてるみたいな動きしなかった?

 

「テメーは誰も救えねぇよ。テメー自身がどうしようもないほどに救えねえからな」

 

ナツルさんは最後の1人を倒してから、地面を派手に転がった男に向き直る。

その後ろには付き添うようにヘリオスが続く。

 

「く…くるな…僕に近づくな!勇者の命令が聞けないのか!?」

「絡んだ相手が悪かった。俺ら以外だったらまだロールプレイ続けられるチャンスはあっただろうな。でも相手以上にテメー自身の頭が悪かった。だからここから先、テメーの未来は無い」

 

? なんだあの構え?どこかで見たような…見たことないような…

それにヘリオス。あいつも何してるんだ?ナツルさんの背中に両手を当てて。

まるで何か、自分のパワーを送っているような…

 

「なっ、何するつもりだ!やめ――」

「『スターダスト・レボリューション!!』」

 

ナツルさんの手から無数の光弾が流星のように放たれ、男を貫いた。

 

………いや、前に退魔光弾とか撃ってたな。この人が何やっても不思議はないか。

でも威力がケタ違いだ。一部だけど廃墟の街が更地になっちゃった。

 

 

「な…んで……料理…だけ…ハズじゃ……?」

「あ?料理?カンストしてるスキルは確かに料理だけど……料理には物事の対処・処理をするという意味もある。それ故に他人をぶちのめしたり痛めつけたりすることを『料理する』と――ってもう聞いてねえか」

 

自称勇者は身体の端から昇華するように消えていった。

 

「さて…じゃ、あらためて次の町に向けて出発するか」

「そうだな」

『了解だホー』「分かった」

 

消滅するまで見守っていたけど、次の瞬間にはもう何事もなかったかのように移動の準備を始めだす。

自分勝手やって自業自得だけど、ちょっと哀れだ。いつの間にか影人形もいなくなってるし。

 

「……ナツルくん…よかったのかな、これで…」

「あん?何がさ?」

「私たち…殺しちゃったんだよ?…人を」

「命ってのは平等だ。普段お前がバクバク食ってるタコ焼きやらアメリカンドックやらも、元を辿れば命を素材にしてるんだ」

 

ナツルさんの説明に、玲さんがビクっと震える。

 

「でもだからって、ものを食うななんて言わないし言えない。誰だって食わなきゃ生きていけないからな。今襲いかかってきた奴らもおんなじだ。生きてくために俺らを食おうとして、負けたんだ」

「……」

「理解しろとは言わない。慣れろとも言わない。でも世の中ってのはそういうもんだ。ここで見逃しても別の誰かを食いものにしてただろうし、別の誰かに返り討ちにあっただろう。" 今日がそうだった "。ただそれだけだ」

 

 

思わず聞き入ってしまった。

 

見れば周りにいた全員が、動きを止めて真剣な表情で話しに耳を傾けている。

この人ものすっっごい価値観持ってるなぁ…どんな環境で生きてきたんだ?

 

 

全く揺るがない精神、常人離れした身体能力。

そしてなんでもないように、簡単に常識を覆す行動性…

 

この人…いやこの人たちは、いったい何処までいくんだろう。何を成すんだろう。

 

それらを近くで見てみたい。

 

俺が手伝えることなんてなにもないんだろうけど。

少しでも力になって、旅の終わりまで行ってみたいな。

 




トロフィー獲得!
(銅):2人というのはいいものだ
(銅):小宇宙の爆発
(銅):果てなき旅路の始まり
(銅):ここから伝説が始まる
(プラチナ):まるであの頃を見ているようだ

■IBM
 亜人。見た目はプレーンタイプで永井と同じだけど、性能は佐藤に近い。それがナツルクオリティ

■ハヤブサ斬り
 クロノトリガーのツープラトン(違う)。全クリしてから久しくやってないなぁ。

■ゴブリンパンチ
 片手の連続パンチ。イメージは くにおくんのマッハパンチ。
■ツイスター
 横方向の高速ツイスト。イメージは ヴァンパイアセイバー、ザベルの必殺技・デスボルテージ
■リミットグローブ
 SPを拳に集中させて攻撃する打撃技。イメージは ダイの大冒険、ヒムの必殺技・オーラナックル。

 全てFFの青魔法。ここではナツルがそれっぽい攻撃にそれっぽい名前を付けてるだけ。
 何気に " かえんほうしゃ " も青魔法。

・大気の壁
 両掌を翳して目の前に空気の盾を作る技。

・灼熱発破
 掌を発熱させて炎を生み出し、放出する技。

・真空波
 掌に空気を集めて、複数の風の刃として放つ技。

・スパイククロー
 筋肉マンのマンタロー・ベアクローのような形で行う飛び込み技。

・ソニックパンチ
 ナツルの『ゴブリンパンチ』。ヘリオス版

・暴れまくり
 なにも考えずがむしゃらに暴れまくる。ただそれだけ。

・ギガントフィスト
 ナツルの『リミットグローブ』。ヘリオス版


■スターダスト・レボリューション
 セイントセイヤ。牡羊座の奥義。
 本家と違い二人一組の時にしか使えないツープラトン技。

〜〜〜〜
「あの技ってどうやって放ったんですか?あのスターダストってやつ…」
『私はナツルに合わせただけだが』
「二つの異なる魂を一つの力の結晶に変える。それがツープラトンだ」
『ふむ…成る程……ツープラトンか。奥が深いな』
「ナツルくんすごいね!」
「ああ、流石だ」
『すごいホー!』
「楽できるんなら理屈とかどうでもいい。バンバン使ってあたしの行く道を掃除しな」

(…ノリでやってみたら出来たって言える雰囲気じゃなくなったな)

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。