けんぷファーt!   作:nick

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クマシャドウ編ファイナル。

いまいちシリアスになりきれないのはきっとナツルが異常なせい。

…嘘ですごめんなさい作者の趣味で(削除されました)


番外話⑦ 6/4 私以外私じゃないの【後】

 

「三刀流!(一本だけど)」

 

手持ちの刀を口に咥え、その刀に二本の腕を×(ペケ)の字を描くように構える。

 

鳥の足のような形に揃えた状態で、車輪のように回転してクマの腕を駆け上がる。

 

「夜叉烏!!」

『ヌゥ!?』

 

ドギュギュギュ!

 

『ふんッ!』

「がグッ!?」

 

空いている方の手爪で払われて、地面を転がる。

 

ク…!回転不足だったか。

顔面まで登るイメージは出来てたんだがな…やっぱ鳴上の身体じゃ上手くいかねーぜ。

 

『無駄な事はやめろ。抗ったところで定めは変わらない。より苦しみ、傷つきながら死を向かえるだけだ』

「えっらそうに言いやがって…やってみなきゃ分かんねーだろが。物事に絶対はないんだぜ?」

『ならば絶対に逃れられない真実を与えてやろう。今ココで終わるという真実を!!』

 

シャドウが再び腕に力を溜め始める。

させるか!

 

「ダメっ、それフェイント!」

 

――――――ッ!!!

 

バオッ!!

 

声に反応して咄嗟に飛び込み転がると、人間大の爪が背中をかすめる。

 

あっぶねえ!!ダッシュしてたから自分からぶつかりに行くところだった!

 

(パキィン!)「!?」

 

今度はいきなり、目の前にアルカナカードが出現した。

なんだ、なんだいったい!なんなんだ!もう俺のキャパシティは限界だよ!?

 

「先輩落ち着いて!それは先輩のペルソナだけど、私のペルソナの力で出しただけだから!」

 

声がした方を見ると、久慈川が白いドレス着た巨人にバイザーかけてもらいながらこっちに叫んでいた。

…って今あいつなんつった?俺のペルソナをどうしたって?

 

「来て、ケルピー!」

「うおっ!?」

 

アルカナカードが砕けると共に、緑色の馬…馬?が現れる。

馬は俺の腕を口で咥えると、すぐにシャドウと逆方向。りせの方に向かって走る。

 

『逃しは…!』攻撃しようとしたシャドウの動きがなぜか急に止まる。

 

その間に俺たちは久慈川と合流した。

 

「先輩、大丈夫?」

「ああ?ああ…一応大丈夫だけど」動き回る程度には。

 

「お前…逃げなかったんだな」

「当然!出るならみんな一緒にだよ!」

 

バイザーのせいで目もとは分からないが、口角が上がっているからきっと笑いかけてきているんだろう。

見えないのがちょっと、残念だ。

中途半端な笑顔でも見惚れるくらいだ。100%なら一発で恋に落ちただろう。

 

 

「先輩、私も全力でサポートするから、ドーンとやっちゃって!」

「了解」

 

待機している緑色の馬の背中に跨る。腹から先の下半身部分が無いから乗りにくい…

 

あとケルピーって名前の馬の背に乗るの地味に嫌だ。

 

スコットランドに伝わる幻の獣ケルピーは、背中に乗せた人間を溺れさせて食うらしい。

俺は泳げるけど、だから問題無いなんて事はない。大丈夫なんだろうなこれ。

 

「緊急時じゃなきゃ絶対乗れねえな…行けっ!」

 

合図を出すとケルピーは俺を乗せたまま走り出す。無言で無反応だけど、振り落とす気配はない。

 

何気に乗馬は初めてだからちょっとホッとしたのは内緒だっ。

…余裕が出てきたせいか余計なこと考えるな。悪い癖だ。

 

「最終ラウンドと行こうぜ、シャドウさんよ」

『無駄な足掻きを、虚無に還れ!』

 

駆け寄る俺たち目掛けて、シャドウの攻撃が襲いかかる。

が、それは回避する必要もなく、大幅に狙いを外して見当違いな場所に飛んでいく。

 

『…!?また…何故だ…!体が、上手く動かぬ!?』

 

そういやさっきもいきなり止まったな。

 

 

本人の意思ではなく、俺もノータッチ。となると、残りは一人。

預けた携帯を握りしめ、背後に自分のペルソナを待機させている少女をちらっと盗み見る。ペルソナを強制操作とかできるんなら、シャドウもどうにかできるんだろう。

 

ゲームでも実はやれるけど、チートすぎるから封じられてたのか?

 

 

攻撃した際に伸ばされた腕を駆け上がる。

 

肩の部分まで登ったところで、ケルピーの背中を蹴って上空に跳ぶ。

 

「一刀流…」

 

刀を持つ腕の手首を掴み、切っ先が背中に接触(つき)そうなほど振りかぶる。

 

「飛竜…!」

 

強くイメージを固めると、それに呼応するように刃に力が流れるのが分かる。

 

『グ…!なぜだ…何故抗うことをやめない!?たとえ勝っても、先にあるのは苦しみだけだ!』

 

再び身体の動きを阻害されたらしく、僅かに震えるだけのシャドウが叫ぶ。

その頭のてっぺんを物打ち(刀身の中心よりも少し上の部分)でもって、思いきり斬り裂いた。

 

「火焔!!」

『ガッ!!?』

 

勢い余ってシャドウの背中側に回転しながら落下する。

 

落ちながら相手を見ると、斬ったところから火の手が上がるのが確認できた。

 

 

『何故……無駄なことの為に、どこから…そんな力が……?』

 

徐々に炎に包まれていくシャドウが、呆然とした雰囲気で言葉を漏らす。

 

「無駄かどうかなんて、分かんねえだろ」

 

" 無駄だから "で行動を起こさなかったら、確率いつまでも0%。

何は無くとも行動する。無駄かどうかなんて、全部終わってから決めればいい。

 

「努力すればなんでも叶うなんて言わねえし言えねえ。でも諦めたらなんにも残らねえよ」

 

炎で焼かれ、反応もしなくなったシャドウを見てペルソナを仕舞う。刀の方は鞘がないからそのままだ。

 

ここ最近で一番疲れた。ちょっと熱くなりすぎたな。

もう今日はなにもしたくないぜ。

 

 

 

     ☆     ★     ☆

 

 

 

シャドウが燃え尽きた後、今だに気を失っている仲間たち(仮)を叩き起こすべく行動を開始する。

こいつら結局一度も目を覚まさなかったな…ペルソナ使えるのに宝の持ち腐れじゃねえか。

 

前回の白鐘直斗の時も俺一人で戦ったし…まさかこれからずっとボス戦ソロバトルに借り出されるんじゃないだろうな?

てか忙しくて考える余裕がなかったけど、なんで日にちが逆行してんの?時をかける少年?

 

「あ…先輩っ」

「あん?」

 

久慈川がなにかに気づいたように指を差す。

 

その先には、一反木綿みたいにペラペラになったクマがいた。

あれはシャドウじゃなくて本体の方だな。

 

「センセぇ…クマは…クマは……」

 

虚ろな――もともとぬいぐるみの身体だからよくは分からないけど――目で明後日の方向を見つめ、ゆらゆらとたなびきながら立ち尽くして語り出す。

 

「クマは…自分が何者か分からないクマ……いくら考えても…もしかしたら答えなんかないかもって、たまに思ってたクマ…」

「…………」

「それでもクマは…ココにいるクマ…今この瞬間、ちゃんと生きてるクマよ……!」

 

重い。

なんだよこれ。ムチャクチャ悩んでんじゃねえかよ。ゲーム画面越しだと適当に聞いてたから深く考えなかった、心が痛い。

 

こんな時鳴上ならなんて答えただろうか。なんて声をかけたらいいんだろうか…

 

「…バカヤロウ。当たり前のこと言ってんじゃねえよ」

「え…?」

「お前はお前だろ。今この瞬間、俺たちと一緒に生きている、仲間のクマだろ。他になにか要るのかよ」

 

鳴上のふりをして当たり障りのない答えを言うのは簡単だ。

でもそうやって出た言葉を、本音をぶつけてきた相手に返したくない。

 

「それでも足らねーって、言うんならよー。…しょうがないから付き合ってやるよ。自分探し」

「せっ…センセぇ…!クマは…もう一人で悩まなくていいクマか?一人で、考えなくてもいいクマか…?」

「暇なときならな。…俺以外にもお人好しは沢山いるんだ。きっと協力してくれるだろうよ」

 

ちらっと倒れてる少年少女たちを見る。

 

「センセイ…クマは、クマは…三国一の果報者クマぁぁぁ…!」

 

顔に手を両手を当てておよよと泣き出す。三国ってどことどことどこだ。

 

と突然、泣き崩れるクマの身体から青い光が溢れ出す。

 

「先輩、これって…」

「ペルソナだな」

「ペルソナ…クマの……?」

 

溢れ出た光はやがて一つの形となって、クマの眼前に現れる。

困難に立ち向かうための人格の鎧 " キントキドウジ " 。

 

「ほら、俺たちと一緒だろ」

 

生きとし生けるもの、その全てが大地の一部。自然の一部。

武道家をしてる祖父のジジイの言葉をふっ…と思いだした。

 




トロフィー獲得!
(銅):ストリップはおしまい
(銀):私以外私じゃないの

■三刀流・夜叉烏
 ワンピース、ゾロの技。三本の刀を交差させて回転斬りつけって原作でやってたけど、これ出来たとしてもどうやって鳥の足跡みたいな傷がつくんだろう?根元は無理だよね普通。

■一刀流・飛竜火焔
 同じくゾロの技。切り口を発火させられるんなら常に使えばいいのに…と思うけど、摩擦熱を利用してるのかな。

■努力すればなんでも叶うなんて言わねえし言えねえ。でも諦めたらなんにも残らねえよ
 クロコのバスケ。過去編・青峰くんの台詞。
 こんな熱い台詞言える程部活に熱中してみたかったな…
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