ちょっと短めです。
五年が経った。
嘘だ。一カ月も経過してない。
この言い回し気に入っちゃったな。
始まりの街・ワイナを旅立ってから五日後。俺たちは次の街に到着した。
「この街なんて名前なんだ?」
「えっと…フラウィスっていうみたいですね」
フラウィスか…いや、なにもないけどね。
ワイナと違って平地に造られてるし、かなりデカイ規模の城壁が街を覆っている。
人の出入りも多いみたいで、いきなり野盗に襲われる心配はなさそうだ。
「じゃ、早速宿を取りに行くか」
入街の申請を問題なく済ませて、仲間たちに向き直る。
「袋、案内しろ」
「この街から先は来たことないんで、どこに何があるかは分からないです」
「クズが」ホント使えねえな。
情報なし戦闘力なし、代用品が手に入ったから利用価値もない。いいとこまるで無えなコイツ。
「て言うかいつまでついて来んだよ。もう昔のいざこざとかどうでもいいからとっととサヨナラバイバイしろよ」
「ナツルさん思ってることがそのまま口から出てる!」
あ、そう?やべっはずかしっ(てへぺろ)
「昔のいざこざとは?」
「あ?言ってなかったか?コイツ俺と紅音に強盗殺人
「言い方ーーー!間違ってないけど街中なんだからもっとオブラートに包んで下さいよ!」
犯罪者が何か申しております。
説明を聞いて善くんが玲ちゃんをかばうよう(街に入る前にルナから降りた)に前に出て、袋を睨みつける。
普通の人間なら当然の反応だ。悪魔はマイペースに街並みを眺めているけど。
『勇気があるな。私なら例え一人の時だとしても挑むのを躊躇うのに二人纏めてとは』
「クソ猫てめー、そりゃどういう意味だ。まるであたしがこの異常な存在と一緒みたいじゃねえか」
「存在だけなら俺より異常だもんな」
グーで殴られた。
「腹はやめろよ…」
いつも通り頬にくると思って顔面に力入れてたのに、無防備なところ食らったからメチャクチャ痛い。
「君が頑なにこの者をパーティに入れないのはそういう理由があるからなのか?」
「あ?あー…まあな」
ウザいからってのが六割なのは黙っとこう。
「そんな…それはでも反省してっ」
「反省で全部丸く収まるなら、再犯て言葉はこの世に存在しない」
例えどんな奴になにを言われても俺は他人を殴ることをやめたりはしない。
自分の身を守るためとか色々理由をつけて拳を振るうだろう。
「同行は許す。だがパーティに入ることは絶対に許さん。テメエを信用できる未来が見えねえからな」
「ぅ…」
泣きそうな表情になったけど、罪悪感も同情もなにも感じなかった。
他のみんなも同じ気持ちなのか、拳を握りしめて俯く袋を遠巻きに見るだけで声をかけようとしない。玲ちゃんは近づこうとしたみたいだけど、その瞬間善くんに止められた。
「さて、話は以上だな?じゃあ宿を探しに行くぞ。ここは多くのプレイヤーが拠点にしてるらしいから、数件ハシゴするのは覚悟しといてくれ」
『行くホー』
『了解』
「さっさとシャワーでも入りたいぜ」
「
動かない袋を一人置いて全員が正門前から歩み出す。
野宿での睡眠は疲れが取れなかったから、ちゃんとした施設でしっかりと休みたい。
「ナツルくん、ふっくんはいいの…?」
大通りまで来たのに今だ動かない男の方を振り返りながら、玲ちゃんが尋ねる。
ほっときゃいいのに、バ○ァリンみたいな娘だな君は。
「なに考えてるかは知らんけど、曲がりなりにもここまでついて来たんだ。多少辛辣に言われてもついて来るだろ」
旅をやめるんならそれはそれで別にいいけどね。
「…なぜ同行を許すのだ?信用できない人物なのだろう?」
「んー、まぁ。あれだ。あんなのでもワイナに居た時は頼りにしてたから借りがあると言うか、一度拾った以上は簡単に捨てるのは気がひけるというか…」
『ナツルは律儀なのだな』
いや…そうなのかな?見えないところで勝手にのたれ死んでもいいと思ってるんだけど。
Q.袋ってホントに要らない子なの?
A.別にどっちでもいいけど、急にいなくなられたらちょっと気になりなってポジション。それが袋。