正真正銘今年最後の投稿。
皆さんよいお年を!
「『スターダスト・レボリューション!!』」
俺の掌から発生した無数の光弾が、甲冑姿の男を貫く。
『それまで!勝者、エクスペンダブルス!』
―――ワァァァァァァァァ!!
スピーカーを通したような審判(舞台上に姿は無い)の声が響き、直後に円を描くように設置された観客席から大きな歓声が上がる。
闘技大会の二回戦目。
さっき行われてた一回戦は、普通にヘリオスと協力プレイで勝ち上がったけど、ぶっちゃけ飽きてきたので今回は瞬殺。相手も特筆するような点は無かったし。
「あー疲れた」
控え室へと続く廊下を歩きながら何気なく呟く。
肉体的にはそれ程疲弊してないつもりだが…なんだろうな、ツープラトン使うと気分的に疲れを感じるんだよな。
ステータス上では表示されないエネルギーでも消費してるのかね?
「次はどんなペアが相手かな」
出来るならあまり動かず倒せる奴らに当たりたい。無理だろうけど。
なぜか知らんがトーナメント表みたいなの無いんだよな、この大会。ゲーム世界だからか?
「対戦相手が分からないって不便だよな」
『次の相手が不明でも問題は無いのでは?』
隣を歩くヘリオスが話しかけてくる。
「ザコばっかならそれでもいいんだけどな。でも三回戦ともなればそこそこ強いのが上がってくるだろう。流石に少しは情報がほしい」
『成る程』
納得するように頷く気配がした。
別に負けたからって何かペナルティがある訳じゃない…みたいだけど、優勝して乗船券を手に入れないと次の場所に行くのにかなりの時間取られるからな。
なるべく一つのとこに長居はしたくない。やる事ないならとくに。
「せめて残りの試合回数ぐらいは教えてほしいぜ」
「あらん、それぐらいなら私が教えてあげるわよ?」
――――――……
「ちょっとちょっと、どうして無言でドアを閉めるのよ」
扉を開けた先は、魔王の棲まうところだった。
☆ ★ ☆
「ナツルちゃん難なく三回戦まで勝ち上がったのね、ホントに強いわ〜」
「ちゃん付けヤメロ」
なぜか選手控え室にいたウェイトレス姿の筋肉ムキマッチョ。
全力で見なかった事にしたかったが、言い訳ができないレベルで話しかけられ続けたため仕方なく対応する。全力で見なかった事にしたかったが。
室内には他にもプレイヤーと思わしき連中がちらほらいるので、正直今からでも見なかった事にしたいけど、こっちの意図を無視して話しかけそうだなぁ。
本当の本気で、全力で見なかった事にしたいけど。
遠巻きに様子を伺ってる奴らの目が痛いぜ。
「つかテメー、なんで大会出てんだよ。推薦者だろ」
「あら、推薦者は出場しちゃいけないってルールはないわよ?紹介状を持ったプレイヤーなら誰でも大丈夫なの♪」
すげえ、他人のウインクに殺意覚えたの始めてだ。
「自分で推薦して出場ってアリかよ…なんか納得いかねぇ…」
『選手としてここにいる以上当然仲魔はいるのだろうが、どこにいるのだ?』
仲魔…ああ、タッグマッチトーナメントなんだからいるよな当然。
そうじゃなくても長くこの世界にいるみたいだし、一体くらいは従えてるだろう。信頼関係を築けているかどうかは別として。
でもコイツの店でも姿を見たことないんだけど、いったいどんな奴なんだ?
「そういえば紹介してなかったわね。私のパートナーはこの子よ」
「―――――」
どこからともなく――見てた感じ、魔王の背後から取り出されるように登場したのは、腹が縦に裂けてて口から血を流しているクマのぬいぐるみだった。
リアル臓物アニマル!!
『バグスだな。親の言う事を聞かない子供を食べてしまうという妖精の一種だ』
「裂け口から
腹ぱんぱんじゃねえかコイツ!何考えて仲魔にしたんだこんなの!?
「バズちゃんっていうの。かわいいでしょ〜?」
どこが!?
心の底から叫びたかったが、怖気が走るほどの満面の笑みを浮かべてぬいぐるみに頬ずりする魔王の姿に、喉が力を失う。
『付き合いはどのくらいになるのだ?』
「そうね〜、いつ頃かしら?出会ってすぐにスカウトしたから…ちょっと覚えてられないくらい昔からね」
何事もなく会話を続けるヘリオスに尊敬と畏怖を抱かずにはいられない。なんでアレ見て普通に対応できるんだ?
やはり、根本的なところが全く異なっているんだろうか。見た目だけじゃないんだな…
…………ん?
魔王の腕の中の(こっち見んな)ぬいぐるみ。そいつの口が気のせいかパクパクと動いている。
なんだろう。はち切れんばかりに(裂けてるけど)膨らんでるのに、まだなにか食いたいのか?
いや、そうじゃないな。なにか喋ってる?えっと…
こ…
ろ…
し……
て………?
「…………………………………」
なんとも言えない気分になった。
『そういえば大会についてなのだが』
「あぁそうだったわね。まず残りの試合回数だけど…」
おいちょっと待て、さらっと真面目で重要な話すんな。
「今回の参加人数を考えると、あと3回ほどかしら」
『随分早く終わるのだな』
「大会自体は大規模なのだけど、毎回同じ
―コロシテクレ…
「あの子も昔は戦闘の”せ”の字も似合わない子だったのにね…今じゃ『鉄面の闘技王』なんて呼ばれて、みんなから怖がられてるのよねぇ」
『知り合いなのか?』
―ミエテルンデショ?キコエテルンデショ?
「私が一方的に知っているだけよ。今の私じゃあきっと、手も足も出ないでしょうね」
―コンナスガタニナッチャッタケド
「でも…あなた達を見てきちんと向き合おうと思ったの。…何百年もほったらかしにしておいて、今さら遅すぎるでしょうけどね」
―タスケテヨ…
『そういうものなのか…ナツル、どうなのだ?』
「……」
『ナツル?』
魔王とヘリオスが何やら深刻そうな話をしているみたいだが、まっったく耳に入らなかった。
今もなおしんみりとした空気を醸し出す魔王。その腕にガッチリ抱かれ(拘束)ている臓物アニマルのせいで。
―コロシテ…シナセテ…
『どうしたナツル。顔色が悪いぞ』
なんか声をかけられたみたいだ。かろうじて耳には入った。
頭には入らなかったからなんて言われたかは分からないけど。
「……お―」
「エクスペンダブルスのナツル選手。もうすぐ出番なので入場してください」
意を決して口を開いたら、タイミングよく控え室の扉が開いて人が入ってきた。
「あらもうそんな時間なの?ゴメンなさいね話しこんじゃって」
『いや、こちらこそ。中々に有意義な時間を過ごさせて貰った。ナツル、行くぞ』
「…………」
ヘリオスに手を掴まれ、引かれるがままに部屋から連れ出される。
「…あのネコちゃん意思疎通とかがかなりスムーズに出来るわね。行動も人間そのものみたい…そんな高性能なAIを数ヶ月で搭載出来るのかしら。どう思うバズちゃん?」
―…イカナイデ
俺たちが去った後の控え室でこんなやり取りがあったとかなんとか。
☆ ★ ☆
『一・二回戦を経て、等々ここまでやってきた!モンスタータッグトーナメント三回戦!!もう間も無く始まるぜ!!』
先ほども来た円形闘技場。その会場にマイク越しの大声が響き渡る。
実況の声に合わせるように、客席からも歓声が上がる。
『ローレルズルカスの常連ならご存知だろうが、ここまで勝ち上がってきたらもう一級品だ!今までのがママゴトに思えるぐらいの白熱した戦いが観れるだろうよ!!』
『片方は拳や蹴りで血湧き肉躍る戦いを魅せてきた青い髪の男!そしてもう片方は拳銃を扱い遠距離から相手を仕留めてきた赤い髪の女!図らずも対称的な二人の一戦だぁ!!』
俺の…いや俺たちの次の対戦相手は紅音とジェフだった。
リングで顔を合わせた時の彼女は、俺たち(というか俺)の姿を見た瞬間、驚いたような表情をして―――すぐに不敵な笑みを浮かべた。
そうまるで肉食獣が美味そうな獲物を見つけたようなニィっとした笑みを。
『まさかここでアカネ達に当たるとはな、どうするんだナツル…ナツル?』
「……」
無言のまま、少し俯いた姿勢でリング上で紅音たちと対峙する。
そして赤い方が俺の目前で好き勝手ほざき始めた。
「はっ、しぶとく残ってたなお前ら。まあナツルに関しちゃぁ、戦うことが唯一の取り柄みたいなもんだし当然か」
『勝ち上がってたら二人とは必ず対戦するってアカネ言ってたホー。ホントにそうだったホー』
「うるせえ黙ってろ!」
両腕で肩に引っかかるように乗っているジェフの頭に、軽めの平手はたきが入る。
この大会でだいぶ仲が良くなったようだ。
「…」
『ナツル?どうかしたホー?』
「なんだ?自分の血でも飲んだか?(※変なものでも食ったか的な意味)」
『分からない。先程からずっとこの調子なのだ』
『この二人、そしてその二人に従う二体の仲魔、はたしてどんな戦いが繰り広げられるのか!?そしてその結果は!?今――試合、開始だぁぁ!!』
三人が話してる最中にゴングが鳴り響く。
「おっと。まあ体調が悪くても構いやしねえ、いい機会だからぶち殺してやる!」
『いくホー!』
咄嗟に反応して、戦闘態勢を取る二人。
「『ライトニングプラズマーーー!!!』」
――瞬時に光線の如く放たれた無数の拳撃が、縦横無尽に降り注ぐ。
「なうぁっ!?」『ボー!?』
突然の
そして即座に試合が終わった。勿論俺たちの勝利で。
もう色々(ツッコミとか)面倒くせえ!
なんか小説のネタで使えないかなと開いたP5の攻略ページ。そこにあった見覚えのないペルソナの名前を発見し、絵姿を確認したとき『これは登場させねば!』と決意させたバグスさん。ペルソナで臓物アニマルがいるとは正直思わなかった。
ちなみに台詞はDグレイマン。アクマに囚われた人の魂の言葉デス。
紅音との戦闘?機会なんていくらでもあるでしょ。なんなら『戦士』の方でもいいし。
おや誰かき(削除されました)