けんぷファーt!   作:nick

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ひさびさにナツル視点。おふざけが少ないせいか今一文章に納得できない。
シリアスは苦手だ。


第83話 宿命⑧

 

「お前に勝つ策を思い付いた」

 

その発言を聞いて軽く喪失感を覚えた。自分で言った台詞だけど。

 

 

善くんとの戦闘は正直楽しい。出来ることならこのまま何時間でも心ゆくまで続けていたいほどに。

 

でもそれをする訳にはいかない。

忘れていたが今は大会の準決勝戦。まだ次があるから、これ以上長引かせれば共倒れになる。

 

俺が勝って先に進む。

 

 

「私に勝つ策…?瀬能、(きみ)の事だからはったりではないだろう」

 

いつも思うけどこいつの俺に対する信頼ってなにを根拠に湧いて出てるんだろう。

 

「しかし未来視のスキルを持つ私に通用する策があるとは思えないのだが」

「疑うなら試してみるか?」

 

からかい混じりに片目を瞑って微笑みかける。

同時に両腕を交差するクロスアームブロックの構えを取り、軽く膝を曲げていつでも飛び出せるようにする。

 

この作戦はタイミングとスピードがキモだ。

しかも一度使ったら次からは対応される。故に外す訳にはいかない。一撃で仕留める!

 

「…いいだろう、受けて立つ!」

 

ボウガンの片方を普通に、もう片方をトンファーのように逆手に持って構える。

向けられる表情はいつもと変わりないポーカーフェイスだが、その瞳からは燃える闘志が見て取れる。

 

「よく言った!喰らえ!!」

「なっ――」

 

 

――フラッシュ!

 

 

瞬間、俺の全身から眩い閃光が放たれる。

 

そして予想通り(・・・・)。技を発動するより前に善くんが目を見開き、驚愕した様子で身を硬直させる。

 

 

未来視は少し先の未来、一番確率の高い数秒先を覗き見る能力。つまりおおよその情報を目から受け取っている筈。

不意打ちの目くらましが効く可能性は高いと踏んだが…想像以上に効果があったな。

 

実際に食らう分だけじゃなく、先読みした分もプラスされるから余計苦しいんだろうな。

 

 

「ぐぁぁ…!」

『目がッ…目がァッ!?』

 

俺のすぐ側で顔面を押さえて悶えているヘリオスよりも。

 

策の都合上打ち合わせをする事が出来なかったからな…正直すまん。

あとで相当恨まれそうだ。

 

しかし今が好機!

 

 

――エラチックフラッター!!

 

 

十数mはあった距離を即座に潰し、善くんに肉迫する。

確実に現実で出せる以上のスピードに乗せて、振り上げた拳を顔目掛けて振り下ろす!

 

『テトラカーン!』

 

ヒットする直前、先ほども見た薄い光の壁が攻撃を阻む。

手甲越しに堅い感触と抵抗感…反発しようとする力を感じる。

次の瞬間には俺の身体ごとはじき返されるだろう。しかし、

 

「一度見た技は――」

 

押し付けた拳を、壁を起点にねじり込む。

 

「二度は通じん!!」

 

 

――デスクロー!!

 

 

火花とともに、ガラスに金属を擦り付けた時の不快な音が飛び散る。

 

一瞬だけ力が拮抗したが、すぐにガラスが割れるような音がして抵抗感が無くなる。

 

「ふんっ!」

 

ドスッ!!

拳が善くんの身体に突き刺さる。

 

この試合初のクリーンヒットだ。

 

「ぐぅっ!!」

 

褐色の顔が網膜を焼かれる痛みとは別の苦痛でわずかに歪む。

 

その姿に、若干の罪悪感を覚えた。

 

 

「くっ……!」

俺が一瞬躊躇した瞬間、善くんは素早く持っていたボウガンを一つ捨て、空いた片腕で俺の腕を掴む。

 

「…この程度のダメージで君に勝てるなら、甘んじて受けよう…!」

 

まだ目は見えていないだろう。だが的確にこちらを睨みつけながら、残ったもう片方のボウガンの銃口を向ける。

 

「君を相手に無傷でいられるとは、初めから思ってはいない!」

 

 

額に脂汗を滲ませながらもポーカーフェイスを崩さない。

真面目な場面で不謹慎かもしれないが、素直に凄いと思った。

美しいとも。

 

何故だろう?戦闘の最中にそんな感情を持ったことなかった。師とも言える祖父(ジジイ)と戦った時もそんな事考えはしなかった。

 

それなのにたかだか十数日一緒に行動を共にしたこの男を、ただのその他大勢と同じには思えない。好感度が異様に高いんだ。多分出会った時からそうだった。

 

 

「ああ、俺もそう思ってたよ」

 

即座に掴まれた左手とは逆の右腕を、正拳突きをするように打ち込む。

 

 

 

―――予感はしていた。

 

物理反射(テトラカーン)を張られた時点で、威力の落ちた攻撃ではこいつを仕留めきれないと。

だから拳が防壁を破った時点でスキルを使っていた。

 

少し前に進化したスキル。一回の使用で二度の連続攻撃を行う技。

 

 

「怪力弐双!」

 

薄っすらと魔力の光を帯びた拳が先程の一撃とは違い、力強く善くんの身体に突き刺さる。

相手の胴体から背中まで、衝撃が矢のように一直線に貫くのが手甲越しに伝わってくる。

 

「がはぁっ!!」

 

確かな手ごたえを感じさせる攻撃は普段からポーカーフェイスの男の目を見開かせ、身体をくの字に折り曲げて悶絶させた。

掴んだ俺の腕をいっそう強く握りしめた後、弱々しく力を抜いて、そのまま前のめりに膝をつく。

 

 

「………終わり…か」

 

その様子を見て思わず呟いた。

 

なんでだろう。

やっぱり喪失感を覚える。

 

こんな気持ち、大地とバスケで勝負した時以来だよ。試合終了のブザーが鳴ったとき超がっかりした。

 

 

「なんでかなぁ」

 

この世界来てから分からないことだらけだ。調子狂うぜ。

 




■フラッシュ
 FF5の青魔法。
 全身から閃光を放ち、周囲の者の目を眩ませる。ドラゴ◯ボールの太陽拳のようなもの。

■エラチックフラッター
 FF11の青魔法。
 『空体機動』スキルをフルに使った技。発動させると使用者(ナツル)の身体を軽くさせ、空中をも高速で駆け回る事が出来るようになる。(浮き上がる高さは数cmほど)
 その速度は実力者の目からしても、まるで瞬間移動したかのように見える。
 エラチックは「風変わりな、常軌を逸した、気まぐれな」、フラッターは「羽ばたき」という意味。

■デスクロー
 FF5の青魔法。
 テトラカーンなどの反射系魔法をスクリューブローで破壊する。

■怪力弐双
 スキル:怪力一掃が進化したもの。一度目の行動が成功すると次の同行動の効果が二倍になる。(スキル使用後にパンチを当てると、次のパンチの威力が二倍)
 作中でのナツルの説明はぶっちゃけ彼の勘違い。取り扱い説明書を真面目に読まないタイプだなこいつ。


ワ◯ピースの片栗も似たような戦法使えば比較的楽に攻略できたんかな
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