「谷村さんの怪我の手当ては終わりました。ちょっと靴下脱いでください手当てするので。そう、いつまでも顔を隠してないで足を出して下さい」
「うるさい。こっち見るな」
「じゃあ、布団から足だけでいいので出して下さい」
そういうと怪我をしている方の足だけ出した。
俺は湿布などをはり、手当てをしていく。
「全く、後で怪我が治ったら好きなだけ殴っていいと言ってるんです。その恥ずかしさはそこにぶつけるとして今は普通にして下さいよ」
流石におぶって校内走ったのは精神的にキツかったようだ。
「はい、終わりました。ゆっくりしておいて下さいね」
大森さんは横になる。
「ありがとね。助けてくれて」
「どういたしまして。一応気疲れしてると思いますし少し眠ったらどうですか?ケータイにアラームかけて。休んだ方が女王にも心配かけないんじゃないですか。他の烈怒帝瑠の子が来るまで俺がここを守りますし」
「ありがとう」
「それについてはもういいんで。そうだ後で女王呼んでくれませんか?」
「いいけど、どうしたの」
「男鹿は超のつく馬鹿なのであの時のセリフも多分意味を間違って使ってますんでちゃんと話し合いの場を設けた方がいいと思いまして」
「ちゃんとした理由ならいいわ。葵姐さんに伝えとく」
そういって大森さんはケータイのアラームを設定すると直ぐに寝てしまった。
エメラ…なにかやった?
『魔力慣れしていない人間では私の治癒は少し眠気を誘ってしまいますからね(*´ч`*)』
知らなかったけど結果オーライか。
助かったよエメラ。
『主様の仰せのままに(。>▽<。)ノ』
さて、他の烈怒帝瑠が来るまでと言ったが早めに来るだろう。
何気に俺が烈怒帝瑠総長の側近2人を担いでいたんだから、目撃者多数で直ぐに駆けつけるだろう。
「こっちだ!」
ほら早くも。
ガラッ
「お静かに。怪我人がいるのだから大きな音で開けないでください」
「寧々さん、千秋さん。…何をした?」
何をしたって…
「男鹿のところに来て(MK5に)襲われたから返り討ちにして(気疲れしてたから)眠らせただけだよ」
「よくも寧々さん達を!」
あれ?壮大な勘違いの予感。
危なそうだから……よし、窓から逃げよう!
俺は窓から外に出る。
「待て!」
「屋上で男鹿と待ってるって伝えといて(大森達に)」
そういって俺は走って屋上を目指す。
一緒にケータイで男鹿に屋上に来るように連絡する。
そういえば大森さん達、全然起きなかったな。
『1度寝たらアラームなるまで起きないようにしちゃいました(๑´•ω • `๑)』
うん、親切心だからしょうがない。
多分俺もあの子達が入ってくる前にそれ聞かれたら同じことしてくれって頼んだからあまり結果は変わらないよ。
「古市〜どうかしたか?」
「おう、男鹿焦げてるって事は結局ベル坊は泣いたのか」
「それだけ言うために屋上に呼んだんじゃねえだろうな!」
「いや、さっきお前のところに烈怒帝瑠の子2人来たじゃん。あの子にいって女王連れてきてもらおうと思ってな。一応悪魔の話だし、雑魚共に聞かせていいか迷ったから聞かれない屋上に呼んだんだよ。もうすぐ来るだろう」
「もう、来てるわ」
扉が開き、邦枝が出てくる。
「全くうちの子たちを伝言に使うなんて…」
凄い怒ってる。
ああ、ヒルダとの修羅場的な感じで怒ってんのか。
「男鹿辰巳、古市貴之。あなた達は許さない」
あれ?俺も?
「はっ、上等だ。わざわざそっちからきてくれるたぁ、気が利くじゃねーか」
「ーで何をゆるさねーって……?」
「ーーーっと…」
「あんたらの狙いは私でしょ?だったら最初から私のところに来なさいよ」
「狙い?」
ここから男鹿のスーパー勘違いスタート。
「何だ、知ってんのかよ。だったら話は早ぇな」
「何を…してるの?」
「いつでもどーぞ」
「何が?!この後に及んで、まだ赤ん坊を盾にする気!?この卑怯者!!」
「むずかしーな」
分かっているのか男鹿よ。
むずかしくしているのはお前だ。
「何をした?」
「あ?」
「2人に何をしたの?」
ここで男鹿倒した神崎先輩と姫川先輩の2人が頭に浮かぶ。
ここで俺が間違いを正してもいいが話を聞かない可能性があるかならな。
「…別に弱ぇ奴に用は無えからな。サクっとぶっ飛ばしただけだぜ」
「外道がっ!!」
ぴぴぴぴぴぴぴぴぴ
「寧々さん!!良かった気がつきましたか」
「大丈夫だよ。少し寝てただけだからね。そうだ葵姐さんの居場所知らない?」
「え?…ああ大丈夫ですよ。さっき寧々さん達の仇をとるって男鹿と男鹿の腰ぎんちゃくが待ってる屋上に」
「…え?」
「あの銀髪のヤロー許せないですよね。寧々さんと千秋を襲撃するなんて。大丈夫です。総長がやってくれます…って、あ!寧々さんっ!?」
「まずい、知らせなきゃ。誤解だって…痛っ!」
足が痛い。
けど早く伝えなきゃ。
葵姐さん、待っていて下さい。
「んふふ、いいざまね」
あの2人が戦っているという事はMK5は作戦に成功した訳だけど帰ってきてないのが気になるわね。
まあ、私1人でも作戦には支障がでないからいいのだけど。
「しょうがないから人払いを雇う事になったじゃない。あとであの子達は折檻よ」
作戦など全く上手くいってないが自分の望んだ展開になって喜ぶオカマが笑っているのがここから丸見えだった。
人払いなんてとっくに俺が凹ませたから、普通に人が来たら上がってくるよ。
いやー戦闘音してると思ったんだよな。
烈怒帝瑠の子とやりあってたから軽く捻って烈怒帝瑠の子の手当てして放置してきた。
こっちもいよいよ終盤だからな。
「何故?どうして、攻撃してこないの!?」
「アウ」
「何考えてるのか知らないけど…あの子達の痛みはこんなもんじゃないわよ」
『心月流抜刀術壱式【破岩菊一文字】』
男鹿が倒れるの久しぶりに見たな。
まあ、本人はやったー凌ぎきったとか思ってるだろうが。
「姐さんっ!誤解です。そいつらは」
「フフッ少し遅かったわね。チェックメイトよ」
「美破!!」
「美破…え?どういう事?」
「私と千秋がやられたのはこいつらにです。男鹿じゃ、ありません」
「そう、全てはあんたと男鹿を戦わせる為の罠よ♡おかげであんたはバテバテ。不味いわねー。今、私と戦って勝てるかしら?」
既に勝ち誇ってるところすまなんだ。
「シムラー後ろー」
「へ?」
「人がせっかく我慢してんのに…邪魔すんじゃねーよ」
後から倒れていた男鹿が登場。
オカマを後から屋上の床に殴りつけた。
その拳でちょっとしたクレーターが屋上に出来上がった。
「…なにを…してくれてんのよ!このボケがぁぁぁっっっっっ!!!!!」
本当にタフだよな。
ある意味この世界で一番タフなんじゃないか?
まあ、いまこの話はどーでもいいがな。
「てゆーか、何なのあんた!?さっきまでボコボコにやられてたクセに空気読みなさいよっ!!あんたの出番はもう終わりなの!!こっから先は女王対決でしょ!?そーゆー流れなの!!わっかんないかなぁ!?あーもうっ!!本当、信じらんない!!私の美しい顔をよくも……絶対ぶっ殺すから…」
めこっ
再度オカマが床に埋まる。
「うーん何言ってんだ?このオカマ」
同感だな。
「ちょっとおおおおおおひどいじゃないのっ!!あんた悪魔!?さっきから乙女の顔を容赦なくガンガンとーーー……」
めこっ
「タフなヤローだな」
「ゴラァぁぁぁぁあっっ!!まだ、人が話してる途中でしょー!!てゆーかさっきからその赤ん坊の顔がムカつくんですけど…!!」
「うるせー」
めこっ
「あの…もう、そのへんで…」
「ふーーーやっと静かになったね」
「ウィーーーッ」
クイーン(笑)が屋上に突き刺さり、見事な犬神家を作り出している。
その出来の良さかベル坊が勝利の雄叫び上げている。
「おっ、ベル坊も機嫌なおしたか。よしよしちょっと血ぃ流したくらいでもう泣くんじゃねーぞ?」
「ダッ」
「ーーーさて、と。じゃ、続きをやろーか?」
「私の負けよ」
「あん?」
「いえ、そうじゃないわ。ごめんなさい、私…何て言ったらいいかーー…」
「そうか!!じゃあはい!!」
「は…?はいって…?」
「あん?だってお前の攻撃に耐えきったらこいつの事もらってくれるんだろ?」
「いやーなかなかきつかったぜ。ベル坊は泣いちまうし」
「あっはははははwwwあー面白かった。これが見たかったんだよ。……ヒルダさんは失望してるんでしょうけど」
俺とヒルダさんは屋上入口の陰から見ていた。
このどうしようもない微妙な空気漂うこの空間が見れて俺は満足だった。
「まったくだ。あの男には失望した。残忍さだけが取り柄だと思っておったのに女相手では手もあげんのか……まったくもって、クズめ」
「まあ、しょうがないでしょ。そういうのは美咲さんの教育がありますからね」
「姉に負けている時点でその程度ということか」
「潜在能力的には男鹿の方が上でしょうが美咲さんには小学生の時からボコられてたから体にそれが染み付いるんじゃないですか。男鹿は体で覚えるタイプですし」
「そのくらいで手を上げないのがドブ男なのだ」
「さいですか」
ヒルダさんが男鹿の方に歩いていった。
「まったく……いつまで下らん話をしている。帰るぞ、その女は親にはなりえん」
「え?いやーでも…」
「さぁ坊っちゃま参りましょう。帰ってオフロに入りましょうねー」
「だっ…ちょっ……待てこら!」
「待ちなさいっ!!」
「あなた、恥ずかしくないの?自分の子を人に押し付けたりして…」
「ーフン、文句があるなら腕を磨いて出直してくるんだな」
男鹿にはきこえないようだが俺には聞こえる。
2人を挟んで鳴り響く雷の音がwww
俺はその光景を笑いこらえながら見ていた。
「じゃ、俺らも帰ろうぜ、男鹿。雨降りだしそうだし」
「古市…おまえどこに隠れてやがった」
「何処って…隅っこの方。じゃあ烈怒帝瑠の方々また、明日!」
俺は走っていく。
男鹿は俺を追いかけてくる。
しかし、俺には追いつけまい。
不良共から逃げるためについた持久力、脚力、反射神経をなめるな!
結果はコロッケ屋のとこで捕まり、お詫びとしてコロッケ奢ることになったのだった。
-次の日-
「結局、今回もダメだったな……」
「あぁ、だが心配するな」
「してねーよ」
「俺は諦めん。次の目星はついてるしな!!」
「次っていうと石矢魔最強と呼ばれる東条か…?」
「おうよ」
「ちょっ…待って下さいよ。姐さん!!なにやってんですか!!」
後ろから女子の声が聞こえる。
「これくらい当然よ。私が浮ついた所為で皆に迷惑をかけたんだもの」
「だからって何もやめなくても…千秋!!あんたも何か言いなさいよ」
「……似合います」
「千秋!!」
「ーーーそれに前々から考えてた事なのよ。そろそろ烈怒帝瑠は寧々に任せてもいいんじゃないかって…」
「ー…姐さん…」
「ーだからカン違いしないでよね、ケジメよ」
「姐さん!!」
「「………」」
フッ
「男鹿…頑張れよ」
「何だよっ」
これからも面白くなりそうだな
明日から不定期更新です。