オッス俺古市。
本当にあのヘルメット赤ん坊からやり直させやがった。
今は男鹿が俺の家に来ている。
原作の第一話だ。
俺はツッコミに徹しながらも戦闘のやり方やバイト、契約等をやった。
契約の事はいつか話す。
一応護衛四人とも契約できたが今は原作が大事だ。
話に戻ろう。
まあ、話は進んでいるんだが。
「何してんの?お前」
「いや……とにかくその後もいいろやったら……めっさなついた」
男鹿が赤ん坊を連れてきた。
普通に来たからちょっと…動揺してる。
いよいよ原作始まると思うと嬉しいがこれはちょっとな。
夏がきたからそろそろだと思ったらいきなりだからな。
原作通りならここから登場だな。
「懐いた…?」
「フン、勘違いも甚だしいな」
「貴様ごときに坊っちゃまがなつくわけなかろう。死ね、ドブ男」
「………」
こんな窓から普通に現れるんだな。
正直引いてるわ。
契約中やバイト中にいろいろあったせいかトラブルには強くなったから原作の様に驚いてはいないが。
「あ″ぁ!?誰だ、こら。誰がドブ男だ。いきなりどっからわいて出たんだ、ボケ。つーかそこ、おりろ。人んちでえらそうにしやがって。あとくつぬげ」
窓から入ってきたやつに動じず対応できる精神力は尊敬するが此処はお前の家ではない。
俺の家だ。
ヒルダは男鹿を無視してベル坊に話しかける。
その反応に男鹿が少し怒っているがヒルダは全く気に止めない。
「さぁ、坊っちゃま。参りましょう。ヒルダがお迎えに上がりましたよ」
おっとこれは危なそうだ。
原作は確か………離れるか。
原作を知っている俺はさり気なく部屋の隅に移動する。
瞬く間に赤ん坊を処刑にかけているような図が出来上がる。
「ダーーーーっ!!!」
「ぎゃあぁあああああああああああああっっ!!!」
うおっ!
流石に目の前で感電されるとびっくりするな。
ていうか確実にこれ死ぬよな。
ポケ○ンといい不思議だな。
ある意味安全が保証されてるからいいけど。
いや、良くないわ。俺の部屋が少し焦げてるじゃねーか。
1回感電した事で二人とも落ち着いた。
改めて自己紹介をする。
「失礼しました。…私、その赤子に仕える侍女悪魔、ヒルデカルダと申します。そしてその方は我々魔族の王となられるお方……名を………
カイゼル・デ・エンペラーナ・ベルゼバブ4世。
つまり魔王でございます」
「へ…へー…まあ、アリだよね…アリ」
(おいおいマジか?悪魔とーりこして魔王かよ!!)
(つーか魔王てっ!!!)
(んな事いったって、おめーさっきのバリバリどーすんだ!?説明できんのか。ボケ!!)
(ハア?!お前がボケだ、ボケ!!)
自分が考えていること以外にも回線が繋がったような感覚になったと思ったらテレパシー出来ちゃったよ。
これは場慣れしててもびっくりしたわ。
これがギャグ漫画補正というやつか。
「ーと、いうわけでございまして…」
あ、話進んでる。
(大魔王…適当だなー)
今回は俺が話聞いてなかったせいもあってか一方的にテレパシーが届いたな。
いろいろ考えたいがここはあの名台詞(名テレパシー?)を……
俺は男鹿の肩に手をのせる。
(ガンバ!!)
「ちょっ…お前この状況で逃げんのかよ」
「うん…てゆーか帰れ。俺関係ねーみたいだし」
「くっ…冗談じゃねーぞ!何が魔王の親だ」
このセリフということはあと少しで俺の寝床が無くなる。
急いで障壁を……
「では、死んでください」
タイムオーバー
「あ″ぁあああああああああっ!」
俺の家が、俺の部屋が……ちくしょう。
しょうがない。エメラはついてきて、他の3人は修理お願い。
『『『『畏まりました』』』』
じゃあ逃げるか。
「落ち着け!古市。俺は大丈夫だ!!」
男鹿が赤ん坊を抱えて俺に話しかける。
「おめーが1番落ち着け!何持ってきてんだそれえぇぇっっ!!!」
「ん?なにって……ぬがっ!!」
「ぬがっじゃねーよさっさと置いてきなさい」
この極限状態でなにふざけてんだ。
「いや…てゆーか、なんか。離れねぇ……っっ」
男鹿の頭にベル坊がついて離れない。
頭を降っても引き剥がそうとしても離れない。
凄い画だな。
全く赤ん坊が離れない。
「あきらめろ!悪魔から逃げられるのでも思ってるのか」
電柱の上からヒルダカルダが見下している。
しかし…
「うるせーっ!!一生そこでかっこつけてろ!!」
「パンツ見えてますよー!!!」
『主様(Ծ﹏Ծ )』
エメラそんな目もといそんな声を掛けるな。
これは必要な事だ。
見てしまったのはあんなに高い所に登っていた、あの子のせいだ。
不可抗力だったしな。
あと、お前の見てたとおり俺は直ぐに目を離したぞ。
『因みに必要な事とは(?_?)』
パンツ見えてることあの子に伝えないとあの子、これからもいろんな人にパンツ見せる痴女になってしまうぞ。
『それは大変です(✘д✘๑;) ³₃』
だから必要なんだよ。
教育が。
『エメラまた、一つ賢くなりました(*`・ω・´*)ゝ』
お前はそのままがいいんだけどな。
『主様(///°∞°///)』
っと早く男鹿を追いかけないとな。
「よかろう…アクババッ!!」
ヒルダカルダが呼ぶと巨大な鳥が目の前に現れた。
思わず俺は立ち止まった。
鳥はそのまま向かってくる。
しかし男鹿はそんな事はお構い無しに鳥を殴り伏せた。
「何してんだ、行くぞ!」
「お、おう!」
相変わらず躊躇しないな。
「お前のそういうとこ尊敬するよ」
「うるせー先手必勝だ」
全速力で走っていく。
そして河川敷近くの鉄塔のとこまで来た。
俺は息を切れてる演技をしているが男鹿は本気で切れている。
だが、悪魔は容赦なくやってくる。
「それで逃げたつもりか?」
真後ろにヒルダカルダが現れ、男鹿の首元に刃を置く。
『主様!∑( °д° )』
まだ、大丈夫だ。
ってゆうかこの後だ。
『また、予知ですかo(;-_-;)o』
ああ、災害級のな。
男鹿の頬に切れ筋が入る。
血が流れ落ち、赤ん坊の頬に落ちた。
エメラ、一応障壁お願い。
自分でも貼るけど、念のため。
『畏まりました( *๑•̀д•́๑)̀』
赤ん坊が唸り始める。
「坊っちゃま…?」
「ビエエエエエエエエエエエエェェェェエン!!!!」
「ウオオアアアアアアアアアアーッッッ!!」
『何ですかこの魔力はΣ(ºДº;;)』
大魔王の駄々だな。
凄まじい魔力。
魔力を感じるようになって分かるけど大分凄いな。
『駄々でこのレベルですか∑(๑°口°ll๑)』
俺は座り果てているヒルダに声をかける。
「おい、アンタ!これどうにかならないのかよ!」
「ムリです」
即答ですか。
「ああなってしまっては……もう坊っちゃまを止めることは……」
まあ、そうか。
親以外にはこれは泣き止められないだろう。
因みにエメラ、これ止められる?
『私1人じゃ…せめてライト様がいないと(。í _ ì。)』
大丈夫だ、聞いただけだしな。
いても赤ん坊を無事にとつくと更に難易度上がるだろうし。
『3人を呼びますか【・_・?】』
いや、いいよ。
流石に3人の力をあの魔族に隠すのは無理そうだし。
魔王の息子の護衛なんだし、多分エリートでしょ。
それぞれ待機ということで。
『ですが、このままだと(´・-・`)』
大丈夫だよ。
3人にはこっちに来ないように連絡しといて。
「……こんな……こんな大泣き。止められるのは大魔王様位しか……」
普通はな。
そろそろか……やったれ男鹿。
「男が…ギャアギャア泣くんじゃねぇ」
「ナメられちまうぞ」
男鹿が赤ん坊に言い赤ん坊が泣き止む。
泣き止むと同時に電撃も止んだ。
「ダ」
「よーし。じゃあ、もう泣くなよ」
(決まった)
なにも無かったかの様に男鹿が離れようとする。
しかし電撃や魔力の余波を受けた鉄塔がメキメキと音をたてる。
『主様!Σ(こ□こ;)鉄塔が!』
「坊っちゃまーーーーーーっっ!!!!」
鉄塔が赤ん坊のいる場所に倒れていく。
男鹿は赤ん坊に駆け寄り、守る様に抱える。
「うっ…おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっっっ!!!!!!!」
そして極限状態の男鹿は赤ん坊から流れてくる魔力を無意識に使った。
周りが唖然としている。
そりゃそうか何だって、
鉄塔が消し飛んだからな。
根本など残っていない。
男鹿も無我夢中だった筈だが鉄塔だけを消し飛ばす事が出来るなんてやはり男鹿は凄いな。
まあ、ちょっと余波があった分は俺とエメラが張っていた結界で被害はないからな。
さて、男鹿を助けるか。
エメラ回復用意
『…( ゚д゚)』
……エメラ?
『はい、すみません。直ぐに準備します(*゚Д゚)』
さて、男鹿の怪我を治すか。
俺はちょっとしたアイテム入れのポーチがある中には応急処置セットが入っている。
男鹿との毎日は怪我ばっかだかんな。
男鹿に近寄ると赤ん坊…いや、ベル坊が睨んできた。
「安心しろよ。俺は親友の怪我を治しに来ただけだ。お前も心配だろ」
そう言うと警戒はしてるものの少し動いてくれた。
酷いな。
エメラの力があってもバレ無いように使うから多分2日は寝込むな。
男鹿の事だから夢オチというか夢に逃げるんだろうな。
「ヒルデカルダさん」
「ヒルダでよい」
「ヒルダさんちょと坊っちゃま預かって貰えませんかね。応急処置は終わりましたけど目覚ましそうに無いんで家までおぶって行くんで」
「そうか」
さっきまでアタフタしてたとは思えない程の落ち着きっぷり。
俺の中では貴女のキャラがブレっブレですよ。
家まで送るとヒルダさんは屋根の上に移動して、俺は男鹿の家族である、美咲さんに男鹿を受け渡した。
「たかちん、いつもこの馬鹿をありがとうね」
「親友ですから。あともう高校なんでたかちんはちょっと……」
「えー、いいじゃん面白いし」
「下ネタみたいな響きが嫌いなんです」
「じゃあたかちんって呼ぶ代わりに何か合った時に力になってあげるよ」
「呼ぶことは決定なんですね、分かりましたよ。なにかあったらお願いしますよ」
「任せなさいって」
男鹿を受け取った美咲さんは俺の背中を叩く。
俺強くなってるはずなんだけどな。
必ず一定のダメージが背中に入るのは何故だろう。
「じゃあ、俺は帰るんで。男鹿によろしく伝えといて下さい」
男鹿の家から離れたとき窓からヒルダさんが侵入するのが見えた。
挨拶するのは男鹿が起きてからだからどうやってバレない様にするんだ?
………何でも考えてたら疲れるだけだ。
なんとかしたんだろ。
俺は1人夜道を歩き家路へと向かった。
俺は家についた。
そこには爆発した後も半壊した後も残っていない。
我が家があった。
寧ろその見た目は元からそんな事が無かったかのように。
「ご苦労さま、3人とも」
背後に人影が3つ現れる。
『主様。お怪我はございませんでしたか』
「大丈夫、なんとも無いさ」
『自宅は完璧に直しました』
「有難う。外壁の染みまで元の通りだ」
『ルビがもっと主様に相応しい自宅に変えようと勝手に改築しようとしていました』
「止めてくれたのか……助かったよ」
俺の中からもう一つ、人影が出てくる。
『主様、これで良かったのですか(´•ω•`๑)』
「いいもなにも最善だよ、これが。魔王の産声に相応しい始まりだろ」
『また、神の予知なのですね』
「そう…だね。これが始まりだね。俺の力もこの為に必要だったみたいだしな。だからな、」
「これからもついてきてくれよ。四人とも」
『『『『主様の仰せのままに』』』』
「じゃあ、解散」
影が消えていく。
さてと、まずは
「ただいま。遅くなりましたよっと」
「お兄ちゃん、遅い。もうご飯出来てるよ。早く早く~」
「あいよ」
夕飯食べるか