銀色の契約者   作:飛翔するシカバネ

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三十将 友人と喧嘩終了

三木の一撃で男鹿が膝をつく。

 

膝をついた男鹿に邦枝先輩が駆け寄っていく。

邦枝先輩が声をかけるが反応が無い。

 

さすが三木……いや、さすが()()()()()といったところか。

八極拳を元にしている武術だがあれは悪魔も敵にまわす事も視野に入っている武術だ。

まだ、対悪魔は早いだろうが人間相手なら十分な威力だろう。

 

 

男鹿だけでなく、夏目先輩や姫川先輩も危ない。

六騎聖の2人は涼しい顔しているのに対して先輩2人は肩で息しているように見える。

 

 

そして俺も。

俺は体力的にもダメージ的にも問題は無いんだが、何故彼女がこんなに怒っているのか、そして何故いるのかと困惑している。

こっちに非が無ければ男女平等パンチが表に出ない所を狙っていくのだけど、原因こっちぽいしなー

 

何だ?

中学の冬休みに男鹿と遊ぶ以外の時を魔二津に修行しに行った時に知り合いはしたけど、特に何も不味い事はしなかったはずだよ。

 

とりあえず、様子見で睨み合っとこう。

 

 

「あっけない勝負だったね。これで終わりだよ」

 

三木が男鹿に止めを刺そうと拳を放つ。

しかしそれは屋上に来た1人の男に顔を蹴られて止められる。

 

まあ、神崎先輩なんだけどね。

 

 

神崎先輩の登場で場の空気が変わった。

まさに、反撃開始だ。

 

 

しかし、

 

「神崎先輩ストップかけさせてもらいます」

 

俺は神崎先輩の後ろに近づき、首元にスタンガンを当てて気絶させた。

 

感電して頭が若干パーマになっている先輩をゆっくりと床に寝かせる。

………電力の加減ミスったな。

少し痺れさせるつもりが気絶している。

 

 

あと、なんか周りが俺に注目している。

まあ、いきなり1年生が先輩の背後からスタンガン当てたら注目するか。

みんな呆然としている。

 

三木以外(諫冬ちゃんもだけど彼女はこちらを睨み続けているだけ)。

 

「正しい判断だ。教室では脳を揺らす技を使った。自覚は無いだろうが大ダメージだ。これ以上僕と戦えば命の保証はできない」

 

技を出した張本人はそりゃ分かってるよな。

 

「ただ、これだと僕の相手がまたいなくなってしまった。今度は君が相手かい、古市君?」

 

「いや、相手が違うだろ。お前の相手は男鹿だ。そうだろ男鹿?いつまで気絶してんだよ」

 

膝立ちしていた男鹿に声をかける。

 

「……気絶してねえ。昼寝してただけだ」

 

男鹿がゆっくりと立ち上がる。

 

 

そうだ。

それでこそ男鹿だ。

 

今回は残念にもここで終わりだが。

(ぶっちゃけ助かった…)

 

 

「はい、終了。あなた達、バカ騒ぎはやめなさい。勝手なことして……言わなきゃバレないとでも思った?

彼………結構、怒ってるわよ」

 

 

三木の背後にいきなり綺麗な女性が立っていた。

彼女の存在は多分俺以外だれも気づかなかっただろう。

 

その姿を見て、他の六騎聖は一瞬身体が硬直した。

まるで、子どものイタズラがバレたかのように。

 

そしてその姿を見た瞬間に薄ら寒いものを感じた。

感じた方向を見ると諫冬ちゃんがこちらを睨んでいた。

 

やっぱり何かしたのだろうか……

 

 

「大丈夫、怒ってへんよー」

 

 

屋上入り口から高身長の男が出てくる。

その関西弁と六騎聖ということでこの男が誰なのか容易に分かる。

 

三木の師匠で六騎聖のリーダー。

そして出馬八神流十六代目当主……

 

出馬(いずま) (かなめ)

 

 

出てくると他の六騎聖を叱っている。

笑ってるけど内心怒ってるな。

別にこっちに矛先向いてる訳じゃないからいいが。

 

そしてなんでか入り口の上に東条先輩がいるのにケンカにならないとはね。

 

少しつまらないかな。

 

………つまらない?

今まではつまらないなんて感情湧かなかった。

なんだ?男鹿の影響かな。

 

なんて、知的に考えてるけど俺は早くここから去りたい。

男として女性を怒らせているなら謝りたいところだけど何に対して怒っているのか分からないで謝るのは違う。

それを相手側に聞くのもOUTな気がする。

 

さて、俺は神崎先輩背負って出ていくかね。

どうせ誰にも注目されていてないことだし(諫冬ちゃんは除外してます)。

大物はやっぱり違うね。

俺みたいな小物と違って。

 

俺は逃げるように屋上から去っていった。

 

 

 


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