銀色の契約者   作:飛翔するシカバネ

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久しぶりの投稿です。

この話を書いてるうちに前の話を少し改変しました。
少しと言っても六騎聖メンバーが変わったという話です。
お手数ですが2、3話前から1度読んでもらうと差異無く読めると思います。
読者にお手数をかける事、申し訳ございません。

それでは本編の方どうぞ


第三十四将 友人たちとのバレーボール決戦

『誰が予想したでしょうか!!1セット目は聖石矢魔の出馬選手の怒涛のサーブで逆転劇でした。そして2セット目も同様かと思われましたが、古市選手の出馬選手と全く同じのフォームのサーブにより石矢魔無失点!そして聖石矢魔タイムアウトを取りました!』

 

「なんだよ!?あれ!!写輪眼かよ!」

完全無欠の模範(パーフェクトコピー)か!」

「いや、複写眼(アルファ・スティグマ)かも!!」

完成(ジ・エンド)だろ!!」

「俺は樺地が好きだな…」

 

色々な漫画のコピー系能力を出すな。

というか最後能力名無いからって人名だったぞ。

しかもお前の趣味じゃねーか!

 

『にゃー』

 

『先輩がキャラを戻してきました!』

 

『流石に自分のフォームを真似られ、精神状況は悪いでしょうからね』

 

『速攻でキャラを変えないでください!絡みづらいです!!』

 

 

実況と解説が馬鹿やっているが俺たちは聖石矢魔がとったタイムアウトで休憩している。

 

 

「あれ、やっぱり会長の……」

 

「ありえないっ!あんな風に簡単に真似られるほど武術は安くはっ…!」

 

「三木!……信じられんのも分かる。せやけど、現実を見い!今は対抗策を考えるのが先や!」

 

会長出馬の言葉に会員は皆黙る。

 

対抗策を考えると言ったが実は一つある。

というかそれしか取れない。

技は出馬の動きを真似ている。

ならば、対抗するのは出馬しかいないだろう。

 

しかし、その策を取ると出馬はレシーブ専門とならなければならない。

攻撃もやっていた出馬がそうなるのはかなりの痛手だ。

返せたとしても攻撃に転じきれず、攻めきれず負けることになるだろう。

 

「樫野ちゃんなら返せるやろ」

 

そんな思考に陥っている中、出馬は1人の名前を出した。

六騎聖の女性陣のもう1人、樫野諫冬の名前を。

 

 

樫野諫冬

彼女は六騎聖なのだが部活に所属していない。

それは家の関係で部活に参加する時間が無いためだ。

しかし、放課後を除き休日の試合などに助っ人として参加するのだ。

それは一つのスポーツに留まらず、欠員が出ようともどの役職でも完璧にこなす。

 

当然バレー部の助っ人も行っている。

他六騎聖メンバーとの練習は休日しか出来ていなかったがその実力に申し分無く、懸念であったのはメンバーとの連携くらいだった。

それも今では懸念でも何でも無いのだが。

 

 

そして当の本人は!

 

 

「かっこいい……」

 

古市を眺め、惚けていた。

 

「樫野ちゃん?」

 

「……はっ!えっと…すみません。どうしました?」

 

「あ、うん……樫野ちゃんにはあの銀髪の「古市さんです」…古市…くんのサーブを止めて貰いたいんやけど、お願いしてええかな?」

 

「分かりました。任せて下さい」

 

タイムが終了して試合に戻っていく。

 

 

色々と察しているだろうが、樫野諫冬は古市に恋をしている。

六騎聖メンバーはその話を前から聞かされていたのだ。

詳しい事はぼかされ聞いていないが、霊媒体質である樫野諫冬は実家での仕事中に一瞬の気の緩みで襲われてしまったのだ。

祖父が庇い、傷は無かったのだが次に標的になる事は自分になるのは当たり前だった。

頼りの天狗さんは伸びてしまっていた。

 

やられる!……そう、目をつぶったがその衝撃は無く、目の前には神々しく立つ、銀髪の男の背中が見えていた。

 

その後は早かった。

悪霊はやられ、祖父を助け、銀髪の男は去っていた。

天狗さんは友人のようでたかやんと呼んでいた。

 

その後天狗さんのエッチな質問に答えながらその人の話を聞き、きちんと会ってお礼をしたいと考えていた。

 

石矢魔学園に通ってると聞いて天狗さんは割と男の人の話は適当に覚えてるから石矢魔じゃなくて聖石矢魔と勘違いしたのだと考えて、聖石矢魔学園に編入したのにそこに古市はいなかった。

それを悲しく思っていた。

 

それが今こんなにも近くにおり、数度見ただけで出馬会長の技を真似てしまう古市の事を更に尊敬していた。

 

 

そんな話を六騎聖メンバーは聞かされていた。

そして聞かされるたびに胸焼けや砂糖をザラザラと口から吐き出していたのだ。

 

 

その思いを向けられている者は鈍感系主人公の如く全く気づいていなかった。

そして当の本人も超のつく箱入り娘。

自身が恋をしている事に気づいていなかった。

 

 

閑話休題(それはさておき)

 

こんな状態で古市のサーブに耐えられるのか。

それが六騎聖メンバーは心配していた。

 

しかし、それは杞憂だった。

例え恋をしていたとしても自身がこなすべき事は確実にこなす。

それが精神の油断から招いた過去の失敗から得たものだった。

 

古市がサーブを振るう。

凄まじい圧力が向かってくる。

 

変わらずの勢力…いや、自分流にアレンジを加えているのか先ほどよりスピードが早い。

 

「さすがです。古市さん」

 

しかし、返せない球では無い。

ボールが破裂しない様に放っているのは当然だ。

それなら返せる。

 

 

 

ボールが上がる。

 

そしてそれに反応する様に六騎聖は攻撃に転じる。

相対するように初めて返されたそのボールに反応出来なかった石矢魔はその攻撃に反応できず、点を入れられる。

 

このレシーブは六騎聖の反撃ののろし。

そう六騎聖と観客達は考えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「これは……無理だな。小細工はもう使えない」

 

俺は呟く。

 

まあ、点数取れた方だよね。

タイムも取った訳だし。

 

 

()()だな。

 

邦枝先輩がこちらに歩いてくる。

どうやら腕の方は回復したようだ。

 

「邦枝……腕はもういいのか?」

 

「みんな聞いて。今から全部のボール、私が拾って拾って拾いまくるわ。だから……」

 

 

 

「絶対勝つわよ」

 

 

 

「「「「「おおうっ!!!」」」」」

 

 

『おっと!ここでリベロの交代のようです。ついでに急に気合いが入りました。先ほどまで会長と似たサーブを繰り出していた古市選手は樫野選手に簡単に返され、すぐさまベンチです。やはり、猿真似では限界だったか!?』

 

いくらでも言えばいいさ。

俺はもう、役割はこなしたからな。

 

後は応援だけ。

 

 

がんばれ。男鹿、みんな。

 

 

 

 

 


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