銀色の契約者   作:飛翔するシカバネ

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第三十八将 焔王探し

 

 

「もししも、古市です。諫冬ちゃん今……あ!実家帰ってるんだっけね。ごめんごめん、あー…大丈夫!時間が空いてたらってだけだったから。うん、それじゃさよなら。……じゃあ、探すか!」

 

俺はスマフォをしまい、ラミアに声をかける。

 

「友人って1人しかいないの!?」

 

「1人って訳じゃ無いけど、光星の奴は魔二津に行ってもらってるし、他にもいるけど別件頼んでるからな。まあ、ゲーセン巡ればなんとかなるだろ」

 

ということで俺とラミアは2人でゲーセン巡りに行くことにした。

 

というかなぜ、こんな事になっているかというと一つ理由がある。

 

 

 

俺が焔王と遊んでいる時に、男鹿達が悪魔から襲撃を受けた。

それによりヒルダさんは重症を負い、男鹿は自身の弱さに痛感し、邦枝先輩の家に修行しに行った。

そしてラミアはヒルダからの頼みでこの戦いを止めるべく、焔王を探しに行くことになったらしい。

 

それで協力者を探した時に男鹿と一緒にいた男(つまり俺)を使い探し出そうという訳だ。

 

これがヒルダさんに提案されてなのか、ラミアが思い至ったかは分からない。

ヒルダさんに提案されたのであれば信用してくれているということでいいのだろうけど、まだ信用されてないっぽいからなー。

 

 

 

とりま、行きつけのゲーセンに行く。

 

UFOゲームのぬいぐるみを欲しがっていたので五百円使って取り、一応メダルゲームのところを見に行く。

 

 

「お、古市じゃねーか。お前もメダルゲームか?」

 

「神崎先輩……普通パチンコ行くんじゃないですか。キャラ的に」

 

「お前風営法知らねーのか?」

 

いや、アンタヤクザの息子だろ。

 

「神崎くーん、ヨーグルッチ買ってきたよー」

「お?古市」

 

後ろから城山先輩と夏目先輩も現れる。

 

 

 

 

 

 

「緑色の頭をしたガキ?……ああ、見たぜ。ついてきな、ここんとこ毎日そこの対戦格闘ゲームで…」

 

「ぐああああああああぁぁぁっっっ!!!また、負けたああああぁぁぁ!!何じゃこいつはああああぁぁぁ!!パネェェェっっっ!!!……およっ、神崎先輩」

 

「パー子……なんでテメーが俺の城にいんだ?あれか?ファンか?ファンなのか?」

 

「いやいやいやっ!!知らねーっスよ!たまたまつーかっ!パー子ってなんすか?」

 

画面にLOOSEと書かれた席に座るパー澤さんとその頭をアイアンクローする神崎先輩という異様な光景を見せられる。

 

「緑色のガキ?いやぁ……見てないっスね……地球人スか?」

 

「省略し過ぎだ。なんだ?緑色のガキって。ピッコロか、ピッコロなのか?」

 

というか日曜日の昼間に高校生がほぼ一人で来るというのもどうなんだ。

 

「もしかして今ウチが戦ってる相手かも知れないっスね。緑色っスかー?」

 

「あ?誰が緑色のガキだ。殺すぞテメーら」

 

そこにいたのは見事なリーゼントを持つ先輩。

姫川先輩だった。

 

「パー子そこどけ……クソメガネ。俺様の城に土足で入ってきてんじゃねぇよ…!ボッコボコにされてぇのか!?」

 

「あぁ?やってみろよ。この際だどっちが上かハッキリさせとこうじゃねえか」

 

「面白ぇ……いくぞ、おらァ!」

 

「こいやぁっっ!!」

 

いや、ゲームでつけるんですか?

それって…

 

話せる雰囲気じゃないし、ここはパー澤さんに。

 

「緑色の子どもについて聞くんすね。とりま、寧々さんに聞くっす」

 

おお、物分りがいい。

今度からパー澤じゃなくてちゃんと花澤さんと呼ぼう。

 

「あ、もしもしーっス。……葵姐さんいないんスか?」

 

「あ、俺居場所知ってますよ。とりあえず説明するんでカストに集まりましょう」

 

 

 

 

ーー移動中ーー

 

 

「今日みなさんに集まって貰ったのは他でもありません。とある人物を手分けして探し出す為です」

 

場所は変わって市内のレストランカスト。

この席だけメンツがヤバいのか周りのお客さんが引いている。

すいません、直ぐに出ていきますから。

 

「古市…てめーぶっ殺されてぇのか?勝負の邪魔してまで理由がそれか?」

 

「同感だね、古市君。あんまり調子にのっちゃダメだよー?オレ達をアゴで使おうってわけ?」

 

「そんな事はどーでもいいよ!葵姐さんはどこなの!?」

 

三者三様の答えだ。

 

「もちろん皆さんに無関係な話ではありません。というかこれは石矢魔の沽券に関わる大問題です」

 

この問題ということばで反応を示す

 

「ちょっと大丈夫なの?適当なこと言って…」

 

「大丈夫だ。第一、石矢魔の大将がやられたんだ。無関係というわけでも無いだろう」

 

そう、大丈夫だ。

他勢力に舐められていると知ったら途端に団結力を示すからな。

 

一息つき、

 

「先日、男鹿と邦枝先輩が襲撃を受けました」

 

その言葉で先ほどの問題について話半分だった皆に緊張が走る。

 

「幸い二人とも無事です。しかし、相手は信じられないほど強く、あの男鹿ですらズタボロに負けました。1度敵は引きましたが敵は挨拶程度らしく次は本格的に攻めてくるのです。力の無さを痛感した二人は今、とある場所で修行に向かいました」

 

「修行!?」

 

「はい、魔二津の山奥です。あの二人は必ず強くなって帰ってきます。だから、石矢魔の為にお願いします!先輩たちはその首謀者を探す為に協力して欲しいんです」

 

「……もしかしてそいつら、妙なコートの制服を着た連中か?だったら俺もやり合ったぜ……なぁ、パー子」

 

神崎先輩が発言する。

 

「はっはい、ウチも偶然見たんスけど、奴らあの東条先輩もボッコボコにやられてましたから!!」

 

ここで目撃者来たー!

もう勝ったも同然。

更にぶっ込んでやる!

 

「奴らの名は悪魔野学園…!!」

 

「たしかに奴ら悪魔がどーとか言ってたな。なんて悪そうな名前の学校だ!俺らがぶっ飛ばしてくれらぁ!」

 

 

その後、手分けしてゲーセンを周り、焔王を探した。

度々、不良に絡まれたがダメンズ達のお陰でそこはスムーズに進んだ。

 

しかし、それでも見つける事は叶わなかった。

 

 

そして時間もすっかり夜になっていった。

 

 

「しかし、こんだけ探していねーとなるとちょっと探し方を変えねーと駄目だな。なんかねーのか?ゲーム好き以外に手がかりはよ?」

 

「うーん、でも後はもう、ヒルダ姉様のメールに合った「ネトゲサイコー」という言葉くらいしか……あれ?」

 

 

(((((((それだよ……)))))))

 

全員の心が一つになった瞬間だった。

 

ゲームセンター関係ないじゃん。

 

 


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