銀色の契約者   作:飛翔するシカバネ

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お久しぶりです


第四十二将 全員軍手着用ですよ

 

「早く上に向かいましょ!」

 

ラミアに声をかけられるが、俺はヨルダの集中が乱された事による次元の解放により、マンションの廊下にでる。

 

そして隣の部屋の扉を開ける。

 

「おう、古市じゃねーか。遅かったな」

 

「どこ行ってたんすかー?」

 

「姫ちゃんも不貞腐れて無いで元気だしなよ。ご飯係が帰ってきたよ」

 

扉を開けると先輩達が各々の反応を見せる。

 

このゲーム対決中のご飯係は俺が担当していた。

 

「敵の本拠地が割れました。向かいましょう」

 

「本当か、古市!」

 

廊下で寝ていた城山先輩が跳ね起きる。

 

「はい、隣です」

 

「ああ、電波は確かに隣だ。だが奴らはいねぇ。古市達が帰る前に確認したからな」

 

奥から姫川先輩もやってくる。

 

「それはおかしいです。俺とラミアは今、隣の敵に捕まっていたんですから」

 

「なんだと!?」

 

「来てください」

 

隣の部屋は開きっぱなし。

そこには侍女悪魔達がいた。

 

「やっぱ、隣にいたのかよ」

 

「だが、何故?さっきは空き部屋だったはずだ」

 

「先輩達は暗示にかかっていたんです。この部屋を開けたつもりが、逆隣の部屋を開けていた。脳による勘違いです。俺とラミアは先にそれが解けてしまった。それにより捕まっていました」

 

「そんなことが…」

 

「どうやって逃げてきた」

 

「男鹿です」

 

「何!?帰ってきたのか!」

 

「男鹿は主戦力と戦っています。なので俺とラミアは男鹿が戦っている屋上に向かいます。先輩方は敵を逃さないようにお願いします!」

 

そう言い残し、ラミアを抱えて屋上へと向かう。

 

少しタイムロスしたが、俺のロリコン回避の為に必要なこと。

上から凄まじい魔力を感じる。

 

これはナーガとか言ったか?

 

屋上へ着くと男鹿は哺乳瓶を頬に当てていた。

 

「嫌!何してのお前!?」

 

「おう、古市か。スーパーミルクタイムだ」

 

「意味分からんし、というか邦枝先輩はどうしたんだよ」

 

「先にアランドロンで帰ってきた」

 

「おい、まだか!」

 

「まだだ!やけどしたらどーすんだ!!」

 

なんだこれ。

 

「乗せられるな、グラフェル。貴様の悪い癖だ。この男の全力を叩き潰せばいい。それに王族の食事を邪魔するものでない」

 

「へっ、悪いな。そろそろいい感じだぜ」

 

そう言って男鹿は哺乳瓶を口にくわえ、ミルクを飲み出した。

 

「お前が飲むのかよ!!」

 

「アーダ!アーダ!アーダ!」

 

「不味っ…ベル坊君もう無理だ!これ以上は勘弁してください!」

 

なんだこれ。

会社の先輩に無理やり、酒飲まされてるみたいだ。

 

 

「うーし、きたきた」

 

男鹿の魔力の絶対量が上がっていく。

無理矢理リミッターを解除して同調していく。

 

「タップリ吐かせてやるよ!」

 

グラフェルの攻撃を片手でいなす。

 

そして自由奔放に縦横無尽に攻撃を加える。

 

そこに技など無い。

喧嘩ともいえない。

 

ただの赤ん坊のじゃれつきだ。

 

 

グラフェルはほぼ戦闘不能。

 

ナーガも傷を負った。

 

ミルクは本来混じらない水と油を混ぜる力がある。

そして現在、男鹿とベル坊の境界を曖昧にしている。

 

今の男鹿は無尽蔵に溢れ出すベル坊の魔力をそのまま引き出せる。

 

まさに魔王の大晩餐会(スーパーミルクタイム)

 

 

だが、これはより悪魔へと進行を早める。

 

元来、悪魔に魂を売るというのはそういう意味だ。

 

 

男鹿は更にミルクをあおる。

 

肌は浅黒く、紋章は全身に周り、蝿王の翼がはえる。

 

あれは既に男鹿の意識は無いだろう。

 

 

男鹿の姿を借りたベル坊だ。

 

「アウッ!アーイ!アーダ!!!」

 

完全にベル坊だ。

 

そしてまじまじとズボンを見るとやぶこうとする。

 

「ズボンを破こうとしている!邪魔なんだ!」

 

「いけません!坊っちゃまああああああああぁぁぁ!!」

 

「危ない!止めて!」

 

「なんというまるだしへのこだわり」

 

アランドロンいたんだ。

 

そこに魔力弾が飛来する。

 

それを、回避するために破こうとするのは止める。

魔力弾を放ったのは最初に倒れていたヘカドスだった。

 

「ナイス!」

 

「うむっ!!」

 

「まだ生きてたのね!」

 

男鹿が攻撃されたのにこの反応である。

 

「止めを刺さなかったのは間違いだったな!」

 

グラフェルが後ろからベル坊……いや、男鹿坊を羽交い締めする。

 

「俺ごとやれ!ナーガ!人間の肉体を壊せばベルゼ様は外に出られるはずだ!」

 

「よくやった2人とも。これで終わらせる」

 

「馬鹿野郎!グラフェル、てめぇも死ぬぞ!」

 

「へっ…こいつをやれるなら本望さ。あとの事は…」

 

そこまでグラフェルが言葉を紡ぐと気づく。

男鹿坊から紋章が連続で出ている。

 

そしてナーガを包み込み、空をも塗り立てる。

 

「まさか!これは…早く飛べ!!」

 

ラミアを抱えて飛ぶ!

 

「ナーガッ!!!」

 

マンションを破壊する。

 

これで小規模爆発らしい。

 

大魔王の連鎖大爆殺だ。

 

上の階層ごと吹き飛ばす。

 

この事件はこの町の不思議に加えられることだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

爆発を受ける中、 ラミアは見た。

 

自身を守るように障壁が貼られている事に。

 

そこには剣を持つ赤髪の青年。

 

錫杖を持った青髪の美女。

 

黄色髪の男が盾を構える。

 

 

そして銀色の髪をし、私を抱える男に緑髪の少女が寄り添っていた。

 

 

 

 

 

爆発は収まる。

 

いつの間にやら階層は姫川先輩の部屋まで落ちていた。

 

よく死ななかったな。

 

 

俺は護衛がいるけど他のみんな。

瓦礫に魔力攻撃がいったから良いけど、無かったら生き埋めだぞ。

砂より霧散する大量殺戮爆殺。

 

敵にしたくねー。

 

 

「古市…」

 

「焔王……様?」

 

後ろから焔王に話しかけられる。

怒気を含む声から思わず、様呼びしてしまう。

 

「貴様は戦友じゃ……しかし、余の嫁をお、お姫様抱っこなぞ……」

 

「全面戦争じゃ!!!必ず殺す!!」

 

おかしいな。

 

ロリコン回避+焔王友人関係で逸らしたはずが命狙われてますわー。

 

「全面戦争か……おもしれぇ」

 

「その喧嘩買ってやるよ」

 

気絶したグラフェルを焔王の方に投げ飛ばす。

 

「てめぇらが悪魔野学園か……人の家をなんだと思ってんだ」

 

「正直、侮ってたぜ。まさか爆弾まで使って宣戦布告してくるとはよ……上等だ」

 

「「その勝負……受けて立つぜっっっ!!!」」

 

凄い倒した感出てますけど、倒したの男鹿です。

あと爆発したのも男鹿です。

 

「えぇい!一旦帰るぞヨルダ!」

 

 

「離せ!1人で歩ける!」

 

一足先に目を覚ましたナーガが焔王に跪く。

「申し訳ありません、焔王様。この不甲斐なき結果の責任は……」

 

「良い、ナーガ。そんなことより全面戦争じゃ、余のために力を貸してくれるな」

 

「はっ!もちろんでございます!!」

 

「うむ……よいか古市!!近いうちに必ず全軍率いてくるからの!!それまでラミアを預かってて貰うぞ」

 

それだけ言い残し、空中へと飛ぶ。

 

 

やはり、避けられない道だったか。

 

指紋を気にして全員軍手着用してくる。

 

 

略して全軍。

 

とかかな?

 

 

ハハッ

 

 

 

 

 

 

 

 

その後1度解散となった。

 

男鹿を背負い、男鹿の家に向かう。

 

男鹿の、家族に出迎えられいつものように料理を始める。

 

 

どうせ、起きるまで時間あるしな。

 

 

 

 

 

 

 

「ヒルダ姉様!!ベルゼ様が目を覚ましました………覚ましたんですが……」

 

少し言い淀む、ラミア。

 

説明は見ればわかるという事で部屋へと行く。

 

男鹿は寝ているがベル坊は起きていた。

 

しかし、そのベル坊が発せられる言葉は赤ちゃん言葉ではなく。

 

「おう、ヒルダか。えーとあんまし、記憶ないけどアイツら倒せたんだっけ?えらい寝ちまったみてーだけど」

 

………

 

「ん?あれ寝てるの俺?」

 

 

 

 


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