銀色の契約者   作:飛翔するシカバネ

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第四十六将 友人のカチコミ

あの後、ヨルダさんを寝かせて、ひとまずは落ち着いたところで学校に連絡した。

 

学校になら全員いるだろうと考えてだ。

 

案の定、明日のゲームの話し合いで全員揃っていた。

そして1人で悪魔野学園に倒しに行ったことを。

 

「あの野郎……抜け駆けしやがって…」

 

「夜襲なんて上等な作戦てめえにゃ似合わねえよ」

 

「男鹿くん……俺もすぐ行くよ」

 

神崎、姫川、三木は直ぐに動き出す。

 

 

「あ、そういえば古市君は今どこにいるんだい?」

 

「ん?俺は……」

 

三木に聞かれ、反応する。

 

「敵陣の真っ只中?」

 

 

ヨルダさんに傷薬を持っていったあの後、アランドロンによってワープして悪魔野学園に向かった男鹿。

そしてアランドロンのワープが閉じる瞬間に俺が(いるとは思わず)後ろからぶつかり何故か俺も巻き込まれた。

 

男鹿が走って出てったから既に家にいないもんだと思っていたが故の事故だ。

あいつ……アランドロンの方がはえーやんって戻ってきたらしい。

 

しかも、男鹿のワープ先とズレて悪魔野学園の校舎のどっかに来たらしい……

 

相変わらず、望んだ場所に行けねーな。

 

携帯を閉じ、当たりを見渡す。

 

サイレンが鳴りっぱなしだから男鹿が侵入した後なのは分かっているが……

 

 

後ろに気配。

さっそくお出ましか……

 

「第5の柱!エリムちゃんが相手になるよ!!」

 

小学生以下くらいの女の子が出てきた。

トテトテと歩いてきて、杖で叩いてくる。

 

「えいっえいっ!参ったか!このっ」

 

しかし、ポカポカというだけでダメージがまるで無い。

 

「なっ!?やめろばーか!」

 

とりあえず頭を撫でると数秒ウットリしてから罵倒して離れていった。

 

その先には他の人がいた。

 

「パミエルちゃんっ!アイツだよ侵入者!!」

 

「あはは、うぜぇ。お前今、ウットリしてたじゃねーか、エリム」

 

なんか変なの出てきた。

 

それにしても女性か……

という事は男鹿より先にワープしたか。

 

「第15の柱、パミエルだ。ヨロシク色男くん」

 

「女難……か」

 

後ろから2人の女性悪魔が斬りかかってくる。

 

1人は刀のような剃りのある双剣、もう1人は西洋の双剣だ。

 

攻撃を避け、手を近づける。

 

「きゃあっ、こわぁい!!」

 

一瞬だけ、か弱い女性の顔になる。

すぐさま戦士の顔になり、斬りかかってくる。

 

「アハハっ!ださーい笑。もしかして女に手を上げない系男子?キモイんですけど」

 

「古市!?てめぇなんでいやがる!!」

 

「うるせぇ!てめぇのアランドロンワープに巻き込まれて、また敵陣の真っ只中に飛ばされたんじゃ!」

 

敵のセリフを遮って男鹿が登ってきた。

あいつの中ではワープ失敗マンとして残り続けるんだろうな。

 

「またって……相変わらず何が起こってんだよ」

 

「知らねぇよ……っていうか先に行けよ。ここはお前じゃ無理だ」

 

「無理な訳あるか!!全員土下座させんだよ!」

 

「時間無制限ならまだしも、救急クエストならさっさといけ!ヒルダさんが待ってるぞ」

 

「っつ………任せた」

 

男鹿は先に進もうとする。

 

「行かせる訳無いでしょ!」

 

俺を無視して男鹿に攻撃をしかける。

 

「任されてるんでね、こっちも行かせねーよ」

 

男鹿との間に割って入って男鹿を先に行かせる。

 

男鹿は階段を登っていった。

 

 

「アンタ、カッコイイヒーロー気取り?まじきもいんですけど。契約者でも無いアンタなんか速攻で殺して、あの契約者も殺すわ」

 

「○月✕日、今日は人間界に初めてきました。人間界の事はまだあんまり知らないけど、頑張るぞ」

 

俺はどこからともなくdiaryと書かれた本を取り出し、読み上げる。

いきなりの意味不明な行動に首を傾げる悪魔たち。

 

「○月△日、今日はいつもの癖でエリムに悪態ついちゃった。本当はみんなと仲良くしたいのに…どうしたら良くなるかな」

 

読み上げていると思われる本の中にエリムの名前があった。

それに対してエリムに視線が行くが本人は何も分かっていないようだ。

そして1人の悪魔が焦り始める。

 

「○月〇日、今日は人間界で可愛いぬいぐるみを買った。私がこんな趣味持ってたらみんなに引かれちゃうだろうなー。もっとみんなと仲が良ければこんな秘密いらないのに」

 

「何普通に聞いてんの!さっさと殺すわよ!」

 

先程の戦いでか弱い乙女を演じた悪魔が発破をかける。

それに習い、全員が戦闘態勢を取る。

 

「私はみんなが大好きです。Byティリエル」

 

そう最後に読んで、日記を閉じた。

 

「……ティリエル……お前…」

 

「ファバス…何も言わないで…」

 

双剣を持った悪魔、ファバスはティリエルに暖かい目を送る。

それに対してティリエルは顔を伏せながら、震えている。

 

「手癖が悪くてね」

 

「殺す」

 

先程の相手をいたぶるような剣とちがい明確な殺意を持って、斬りかかってくる。

 

それをひたすら避ける。

 

「数が足りないよ。全員でかかってきなよ」

 

そう言って物陰を見る。

そこから新たに2人の女性悪魔が出てくる。

 

「私たちの存在に気づくとは中々やるな。柱将では荷が重いか…」

 

「ヴリトラにアナンタ…!女柱爵が2人も!!」

 

「私は低血圧で寝起きは虫の居所が悪いんだが……ティリエル」

 

「はっはい!」

 

「ぬいぐるみ趣味とか、可愛いな」

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁーーー!!!」

 

崩れ落ちるティリエル。

 

ヴリトラと名乗る女悪魔はそれを見て、笑っている。

どうやらSで機嫌は少し良くなったみたいだ。

 

「さて、殺すか」

 

「マジで戦う気は無かったんだけどな」

 

というか邦枝先輩が来ない。

 

(原作で邦枝は古市から連絡が来て、悪魔野学園に向かいました。つまり、来ない。烈怒帝瑠は来てるけど邦枝は来ない)

 

 

「しゃーない。ちょっと計画が前倒しになるけど、やるか」

 

俺は魔力を解放させる。

 

「契約者でも無いのに凄まじい魔力ね」

 

「中々の強者のようだ。契約者にしてもいいかもね」

 

「それは願ったり叶ったりだな」

 

そうして魔力はこの部屋全体に行き渡った。

 

そして一瞬で全員の姿が消えた。

 




原作15巻まで終わりました。
長かったなー。

感想で4人の護衛が誰なのかという質問がありましたが、今のところノーコメントで。
然るべき場所で出して、チート具合を全面に出して行きたいですね。

また、次回!

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