「え?なんで俺が呼ばれてんの?」
「面白いから」
「気づいたら校舎燃えてて、逃げ遅れて、病院に入院して、学校来たら、ヤクザの家に連れていかれるっておかしいだろ」
「だろ?おかしくて面白い」
「せめて、お見舞いくらい来いよ!」
そんな訳で神崎先輩のご実家であるヤクザの家へとやって来ましたとさ。
「「「「「お帰りなせぇっ若っっっ!!!」」」」」
「おらっ、何してんだ。とっとと入れ」
何十人もの怖い顔の人に囲まれ、挨拶される。
「いやいやいやいや!俺は帰るぞ!」
「大丈夫だって。別に喧嘩しに来た訳じゃねーんだから」
「嘘だね!絶対何かしら起こるね!お前がそう言ってそうなった事なんか一回も無いもんね!」
「いずれこの全てが坊っちゃまの物になるんですよー」
「こっちはなんか物騒なこと言ってるし!!」
襟を掴まれ、引きづられるように連れていかれる。
別に本当に入院してた訳じゃ無いけど、疲れてはいるからマジで勘弁して欲しい。
ヒルダさんの記憶喪失イベントも逃すし、なんでこの微妙なイベントは逃れられんのじゃー!!
「痛っ」
マジで斬られたところが傷んだ。
「古市……やっぱお前帰れ」
「あん?こんくらい大丈夫だから……」
「いや、面白かったからもういいや。帰れ」
「暴君か何かかなっ?」
手で払い、本当に帰らされた。
まあ、あれで心配してるんだろうけど……
俺がマジで怪我するの殆ど無いからな。
これだけの怪我をしたのは男鹿と喧嘩した時と
『大丈夫ですか、主様』
『力使えば傷など一瞬で…』
「大丈夫だ。いきなり治ったら可笑しいからな。もう少し隠し通さないといけない。しかし……」
『しかし?どうなさいました?』
「こんなに傷を負ったのは男鹿と喧嘩した時とお前とやった時以来だなぁと」
『あの時は本当に申し訳ございませんでした。責をとれと言うならいつでも返します』
「いらないいらない。懐かしんだだけだ」
『あの時は自我すらなく、近づくもの全てを無に帰そうとしていましたから』
「ああ。あの時はキツかった」
そう従者たちと昔話に花を咲かせながら自宅へと向かう。
『本当についていかなくてよろしいのでしょうか』
自宅で準備を進めているとまた話しかけられる。
「ああ、今回もまだ早い。力の一旦であるアイツらには来てもらうが。6人は留守番だ。何も無いとは思うが頼むぞ」
『かしこまりました』
準備を整え終わり、いつでも行ける準備をした。
目の前でゲートが開くのを待つ。
すると前から黒い空間転移が開く。
「すまねぇな。病み上がりだってのに」
空間転移のゲートから姿を現したのは……
「迎えに来たわよ」
ヨルダさんだった。