『さあっ!!皆さんお待たせしました!終業式も終わり、明日から待ちに待った冬休み!まったり観戦するもより、気になるあの子と挑戦するもよし!聖石矢魔の名物イベント!!恋人達の祭典…【聖セントXmas】間もなく開催です』
体育館の中は大盛り上がり。
聖石矢魔の生徒でごった返す中、2人は観戦来ていた。
「薫、こっちこっち」
「本当に出てるのか?」
「ああ、全く。葵姐さんはともかくなんであの三人まで…」
口にマスクをつけた金髪の女子。
寡黙で長身の女子。
どちらも烈怒帝瑠のメンバーだ。
その目線の先には烈怒帝瑠の主要メンバーが見知った人と一緒に出ていた。
男鹿、ヒルダペア
神崎先輩、パー澤ペア
出馬さん、邦枝先輩ペア
東条先輩、七海ペア
石矢魔のメンバーが既に舌戦を繰り広げる中、俺は姿を見せる。
「残念ながら今回は勝ちに行きますよ」
「葵姐さん、負けません」
谷村さんと一緒にみんなの元に姿を見せる。
「ちょっ!ちかちー一体どんな弱み握られたんすか!」
「パー澤さん酷くない?」
「家の弟達と約束してくれたから……私も頑張る」
「晴海くんと夏樹くんっすね!なるほどっす!でも二葉ちんの為に負けられないっすよ!」
「みんな凄いねー」
「たくっ…なんで俺達が…」
そして更に人が増える。
そこには夏目先輩とリーゼントを下ろしたイケ川、もとい姫川先輩がいた。
そしてペアは夏目先輩が諫冬ちゃん。
姫川先輩が大森さんだった。
「なんで寧々さん!どんな弱み握られたんすか!?」
「パー澤てめぇ…こっちが頼まれたんだよ。買うか一緒に出た手に入れるかでな。他人に奢りたくはねーし、お前らを邪魔して悔しがる姿を見るのも一興だ」
「ちょっと欲しいものがあってね……アンタ達に勝つなら姫川レベルじゃないと足りないからね」
「諫冬ちゃん、夏目先輩と接点あったけ?」
「いやーお願いされてね。交渉の結果だね」
「ちょっとお願いしました」
これでメンバーは出揃った。
このメンバーは確実にトーナメントに残ることだろう。
全員に紐が配られる。
それを、足に結び、二人三脚の形を取る。
『さて、みなさん足は結べたでしょうか?解けたら失格ですよー。1回戦目の種目は【二人三脚デスマッチ】ただの二人三脚徒競走に加えてなんでも妨害ありのラフゲーム!ただし、それに気を取られると大抵遅れます。コースは外周!現在参加カップル数は106組!このうち上位16組までが2回戦に進むことが出来ます!』
「あ、解けたら結び直すよ」
そういって紐を結び直す。
2人の足を結んでいた紐を谷村さん一人に結ぶ。
「何してるんですか!?」
『それでは位置についてよーい……スタート!!!』
スタートダッシュと共に大勢のグループから2組が出てくる。
1組は出馬&邦枝先輩ペア。
武術を嗜む同士呼吸が合うようだ。
そしてもう1組。
銀髪を靡かせ、黒髪の女性をお姫様抱っこして走り抜ける。
『飛び抜けたペアは2組!出馬前会長と邦枝嬢のペアと銀の叡智古市と谷村ペアだー!!!しかも古市谷村ペアはお姫様抱っこだー!!!二人三脚より数倍恥ずかしい絵になってます!!』
恥ずかしい絵面というより聖石矢魔から変なあだ名つけられてる方が恥ずかしいわ。
なんだ銀の叡智って?
ちょっと人の技パクッたり、テストの成績出馬前会長と並んだり、聖石矢魔の部活荒らししたくらいやぞ!
「な、何やってるんですかっ!」
「2人で三脚だし。それにこっちの方が早い」
「そ、そうは言っても……」
「お二人さんそれありかいな?」
「2人で二人三脚でし……それにそちらのペアはやって欲しい、やりたいがあったのでは?ぜひ、参考にしてください」
「君苦手やわ。技パクられた時から思っとったけど」
「そうすか……じゃ、先に行きますんで」
学校の外周に出ると同時に門近くの壁を蹴り、忍者のようにはね飛びながら、進んでいく。
「せっかくやるなら勝たないとね」
「…むちゃくちゃです」
「残念!褒め言葉だ!!」
『1回戦目を制したのは古市谷村ペアだー!!!そこに出馬邦枝ペア、東条七海ペア、最低カップルが続きます』
紐を外し、ゆっくりと休憩する。
『おぉーっと!神崎花澤ペアもお姫様抱っこで走り抜ける!先程の古市選手は一切、恥が無かった為に普通に王子様でしたがこちらは両者共に顔が真っ赤だー!!』
今から全速力で駆け上がっても普通は16以内に入れない。
しかし、先程の放送で最低カップルもとい、男鹿ヒルダペアによる電撃攻撃により他の参加者はいない。
屍の中を追い上げ、ギリッギリの16位でゴール。
ちゃっかり夏目樫野ペアと姫川大森ペアもゴールしていた。
案の定俺たちは2回戦に進んだのだった。