銀色の契約者   作:飛翔するシカバネ

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第六十三将 みんなの初夢

 

《邦枝葵の初夢》

 

「ここ…富士山?」

 

 

 

ロッジで目を覚ます。

 

窓からの景色は雪道と岩肌が見えている。

立て看板には富士山と文字が書かれている。

 

服装は寝巻き。

 

「なんでこんな所に…」

 

「眩しーな」

 

「もう、わがまま言わないの……え?」

 

横を見ると起き上がる男鹿の姿。

 

ベッドはひとつしかない。

必然的に同じベッドに寝ていた事になる。

 

「えっ?ひゃ、ひゃぁ…」

 

顔を真っ赤にし、言葉が出てこない。

 

「ん?どーした?熱でも出したか?」

 

男鹿は寝巻きを着てはいなかった。

ズボンは履いている。

しかし、上裸だった。

 

ロッジ内とはいえ雪山で服を脱ぐなど有り得ない。

今はそんなことを考えられないほど、頭が沸騰しているが…

 

そんな止まっている思考に畳み掛けるように男鹿が近づく。

そしておでこを当て合う。

当たっているのはおでこのみだが、少し近づけば唇も当たってしまいそうだった。

 

「やっぱ熱いじゃねーか。寒いんだったら言えよな。俺が暖めてや……」

 

「ダメっーーーー!!!!!!」

 

いつの間にか手で握っていた木刀を振り回し、男鹿を滅多刺しにする。

 

「はっ!!」

 

その瞬間に目が覚める。

 

時刻は夜の3時。

神社の手伝いをギリギリまでして残りはバイトの子達に任せて眠った瞬間に見た夢。

 

時間としては1時間も寝れていない。

 

「わ、私ったら……なんて夢を…」

 

部屋は冷えていたが身体が熱くて仕方無かった。

 

「でも、もう少し……ボッ!」

 

まるで口にしたかのように火がついたかのように音が鳴る。

暑かった身体が更に熱を帯びる。

 

深呼吸をして落ち着く。

そして布団へと入った。

 

「……続き見れないかしら…」

 

尚、この後一睡も出来なかった模様。

 

 

 

 

 

《ヒルダの初夢》

 

 

そこは地獄絵図だった。

 

町は火の海に包まれ、人間は泣き叫び、巨大な城の上でヒルダはいた。

そして玉座にはベル坊が座っていた。

 

「坊っちゃま……これら全てが坊っちゃまのものですよ……次は海向こうの国です」

 

「アダー」

 

「ええ、男鹿とその家臣が全てを破壊して帰ってきます」

 

「ダブっ!」

 

「ええ、大魔王様もお喜びになることでしょう」

 

「そうはさせん!」

 

目の前に銀鎧を付けた男たちが現れる。

 

「これ以上貴様ら悪魔の好きにさせてたまるか!」

「我らには神がついておるのだ!」

「殺すぞー!!」

 

「うるさい!」

 

「うわー」

「やられたー」

「殺されたー」

 

速攻でやられる。

 

「坊っちゃま…片付きました。これで坊っちゃまを邪魔するものは…」

 

振り返るとそこにベル坊はいなかった。

 

玉座には別の男が座り、目の前の地面にベル坊を背負った男鹿が膝をついている。

 

「坊っちゃま!男鹿!」

 

「残念だ……さよならだ、男鹿」

 

玉座の男は座ったまま、光を男鹿へと向ける。

 

そして光は男鹿とベル坊を飲み込んだ。

 

「坊っちゃま!男鹿ーー!!!」

 

そこで目を覚ます。

そこはいつもの部屋。

 

「不吉な…」

 

男鹿の部屋へ向かうとベル坊と男鹿が仲良く寝ていた。

その顔は幸せそうに寝ていた。

 

「私がさせん。あんな夢に私が絶対させん」

 

 

 

 

 

 

《男鹿の初夢》

 

 

「しゃああああああああああああああああああ!!!」

 

男鹿は指を空に向ける。

 

「一富士二鷹三茄子!!あれか!」

 

そこには鷹の身体、茄子の頭、ふじとひらがなで茄子に書かれている。

 

「見つけたぞごらぁっ!これで俺もアレだ!正月から運がいいぜっ!」

 

確かに正月の初夢に見ると縁起の良いものは一富士二鷹三茄子だ。

が、あんな化け物見たら迷わず病院に行くべきだ。

頭のどっか完全に病んでいるから。

 

その化け物はベル坊を掴み、羽ばたいていった。

 

「ちょっ…待てこら!お前っ……どこが縁起がいいんだよ!ベル坊返せ!………ベル坊ーーーーっ!!!」

 

「アーーーイッ!!!」

 

そこへ矢が飛んでくる。

それは鷹に刺さり、地に落ちる。

 

ベル坊は解放され、男鹿の元へ戻ってきた。

 

「ベル坊!なんだか知らんが助かったぜ…」

 

「親なんだから目を離すなよ…男鹿」

 

声のした方を振り返るとそこには古市がいた。

古市は和服を着ていた。

 

いつの間にかそこは市場のような活気づいた場所になっていた。

 

「古市?なんだその格好……コスプレか?」

 

古市は和装に赤い扇を仰ぎながら、現れた。

口元のタバコから煙が出ている。

 

「俺は古市だが、お前の夢の中の古市だ」

 

「また三権分立とか言うのかよ……勘弁してくれよ」

 

「現実の俺は何も言わないからな。気をつけろよ……俺が鷹を射った。そこからだ。そこから始まるんだ」

 

「何言ってんだてめー」

 

「とりあえず茄子は食えよ……後は気をつけろ」

 

「おい!古市っ!待てっ…」

 

男鹿は足元の茄子につまづき、転んでしまう。

 

世界が一転すると自分の部屋の天井だった。

 

ベッドから落ちて目を覚ましたようだ。

 

「なんだそりゃ…」

 

 

 

 

 

 

《古市の初夢》

 

「全戦力がようやく石矢魔に揃う」

 

白い空間で古市はそう呟いた。

 

古市は自身の手を見る。

震えていた。

 

「これは恐怖か武者震いか……どちらにせよもう止まらないんだ……」

 

そんな古市の前に黒い影が現れる。

手入れのしていない黒髪。

赤ん坊を背負い、向き合う。

 

顔が真っ黒に染まっているのは、どんな表情をしているのか想像つかないからだろうか…

 

そんな影に話しかける。

 

「男鹿……喧嘩しようぜ」

 

影はなんの反応を示さず、白い世界が崩れ去っていく。

 

 

「続きは現実でな…」

 

 

 

 

 

 

目を覚ます。

 

ベッドから起き上がり、外の景色を見る。

 

日差しが眩しい。

雲ひとつない晴れやかな空を眺める。

 

1度目を瞑り、開く。

 

その目には迷いはなく、真っ直ぐな瞳をしていた。

 

 

 




ラミア お菓子を取るかアクセサリーを取るかで悩む夢
パー澤 寧々さんと一緒にどこかで置いてかれる夢
寧々 夏祭りの思い出

とか考えたけど長くは書けないなと思って書かなかったりした。
いつか書くかも知れない。
多分書かない。
自分が1番信用できない。

次回は多分明日投稿。

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