古市との邂逅の後、自宅に帰ると悪魔の肖像に書いてあったまんまの女が自宅にいた。
そこで家族はようやくベル坊が俺の子どもじゃない事を知った。
けれど、無理に引き離す事もなく、俺にベル坊を預ける話で纏まった。
ベル坊の母ちゃんは魔界に帰るそうだが、迎えとして魔界のブラックジャックことフォルカス(名前は忘れててヒルダに教えてもらった)がやって来た。
健康診断を軽く済ませると魔界の門を潜り、帰っていった。
しかし、帰る前にアイツはヒルダに1つ質問してきた。
「時にヒルデガルダよ」
「なんでしょう?」
「ラミアの居場所は知らないか?」
本来なら迎えにはラミアと共にやってくる予定だったらしい。
先に人間界に来ていたらしいが、連絡が取れなくなっている。
「ラミアが…?すみませんフォルカス様。人間界に来ていたとは知らず…」
「そうか……何も無ければいいが。私は大魔王様の元に王女を護送しなければならない。私の代わりに探してもらえるかな?」
「勿論です。ラミアは妹のような存在…必ず見つけます」
その言葉を聞き、フォルカスはベル坊の母を連れて帰った。
ヒルダは直ぐに家を出て探しに行った。
俺も行こうとしたが、古市の事もあるから学校に迎えと、ヒルダに言われた。
癪だが、その日はベッドで眠った。
学校に行くと教室は異様な雰囲気だった。
神崎、姫川、東条達は怪訝そうな顔で教室にいた。
そんな教室の中心には深刻な表情の邦枝葵がいた。
「どーした?邦枝…」
「男鹿、おはよう。それが…」
「千秋がいないんすっ!」
邦枝が話す前に花澤が間に入り、叫ぶ。
「昨日は一緒に買い物したりしてたんすけど、今日家に行ったら千秋がいなかったんです!何も言わずにいなくなるなんて……昨日はおかしな事なんて何も…」
「男鹿はいるか!」
花澤が話していると教室の扉を勢いよく開けられる。
そこには聖石矢魔の元六騎聖達がいた。
叫んだのは中心にいる三木。
「男鹿!何か知らないか?」
「三木っ…なんだよこっちも忙しいんだけどよぉ」
「静さんがいなくなったんだ!」
「何?」
三木の言葉に反応したのは東条だった。
幼なじみの女性が行方不明。
流石に聞き捨てられるものでは無かった。
「他の知り合いの方には聞いて回ったんです。けど、今日の朝から行方知れずで……それにいさふゆさんもいなくて…」
「いさふゆちゃんも!?」
深刻な表情の邦枝も驚き立ち上がる。
これで3人。
自ら離れた古市とは違い神隠しの様に消えてしまった。
石矢魔に住まう者……それも簡単に連れ去られる事は有り得ない3人の行方が消えた。
そして男鹿はラミアの行方が知れないのも知っている。
他にも気づかないウチに消えているのかも知れない……
教室に大森寧々が入ってくる。心なしか顔が青い。
「あ、寧々さん!千秋が連絡取れないんっす!」
「ち、千秋は……」
「寧々さん?」
そんな時だった。
「居場所なら知ってるナリよー」
六騎聖達が入ってきた扉とは逆の後方の扉から声がする。
そこには石矢魔殺六縁起三怪ぶっとび茄子(自称)こと奈須洋平がいた。
奈須洋平は既に男鹿に破れ、入院していたが、いつの間にやら退院していたようだ。
「てめぇ、ナス!知ってるってどういう意味だこらぁ!」
城山がやられた事もある神崎は怒鳴りつける。
「正確には俺たちが知ってるって話ナリ」
奈須の後ろには更に2人の人物がいた。
髪を下ろし不良には見えない帝王鷹宮。
そして今の今まで姿を表さなかった藤の姿だった。
「誰だっけ?」
「いや、俺はちゃんと男鹿と戦っただろ!」
「俺は戦ってないが、お前らをテニスコートには追いやったな」
「俺はまず学校にすら行ってないな」
奈須は怒り、鷹宮は静かに見据え、藤は高笑いしている。
「そんな事はどうでもいいわ……それより居場所を知ってるって言ったわね……千秋達はどこ?」
そんな3人に邦枝はドスの聞いた声で話しかける。
「説明はするがまず1つ安心させてやる。お前らの仲間は神隠しにあった訳だが、決して連れ去られた訳では無い。自ら決別したのだ」
鷹宮が告げる。
"決別"
この言葉には聞き覚えがあった。
つい先日に聞いた言葉。
それはいなくなった者達がどこへ行ったのかを指し示していた。
「俺も1つ聞きたいんだが、お前らは何しに来たんだ。ご丁寧に居場所を伝えに来たわけじゃないんだろ」
驚いている面々の中、姫川は声を出す。
「奈須は男鹿に敗れ、俺と藤は古市に敗れた。そして古市は1週間後にこの学園に来る。その戦いに負ければ俺のルシファーや藤のサタン、そして男鹿のベルゼブブ。その全ての悪魔をアイツは消すつもりだ」
ベル坊を………消す?
「そうならないために俺達はお前らと共闘しに来た」
藤達の言葉など頭に入らない。
古市は自分と戦いたいだけじゃ無かったのか。
『本気のお前と…』
10年以上の付き合いなだけあり、古市は男鹿の怒りのポイントもよく分かっていた。
ベル坊を消す。
その言葉は男鹿を怒らすには十分すぎる力を持っているのだから。