銀色の契約者   作:飛翔するシカバネ

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第七十三将 行方知れず

 

古市との邂逅の後、自宅に帰ると悪魔の肖像に書いてあったまんまの女が自宅にいた。

 

そこで家族はようやくベル坊が俺の子どもじゃない事を知った。

けれど、無理に引き離す事もなく、俺にベル坊を預ける話で纏まった。

 

ベル坊の母ちゃんは魔界に帰るそうだが、迎えとして魔界のブラックジャックことフォルカス(名前は忘れててヒルダに教えてもらった)がやって来た。

健康診断を軽く済ませると魔界の門を潜り、帰っていった。

 

しかし、帰る前にアイツはヒルダに1つ質問してきた。

 

「時にヒルデガルダよ」

 

「なんでしょう?」

 

「ラミアの居場所は知らないか?」

 

本来なら迎えにはラミアと共にやってくる予定だったらしい。

先に人間界に来ていたらしいが、連絡が取れなくなっている。

 

「ラミアが…?すみませんフォルカス様。人間界に来ていたとは知らず…」

 

「そうか……何も無ければいいが。私は大魔王様の元に王女を護送しなければならない。私の代わりに探してもらえるかな?」

 

「勿論です。ラミアは妹のような存在…必ず見つけます」

 

 

その言葉を聞き、フォルカスはベル坊の母を連れて帰った。

 

ヒルダは直ぐに家を出て探しに行った。

 

俺も行こうとしたが、古市の事もあるから学校に迎えと、ヒルダに言われた。

癪だが、その日はベッドで眠った。

 

 

 

学校に行くと教室は異様な雰囲気だった。

 

神崎、姫川、東条達は怪訝そうな顔で教室にいた。

 

そんな教室の中心には深刻な表情の邦枝葵がいた。

 

「どーした?邦枝…」

 

「男鹿、おはよう。それが…」

 

「千秋がいないんすっ!」

 

邦枝が話す前に花澤が間に入り、叫ぶ。

 

「昨日は一緒に買い物したりしてたんすけど、今日家に行ったら千秋がいなかったんです!何も言わずにいなくなるなんて……昨日はおかしな事なんて何も…」

 

「男鹿はいるか!」

 

花澤が話していると教室の扉を勢いよく開けられる。

そこには聖石矢魔の元六騎聖達がいた。

叫んだのは中心にいる三木。

 

「男鹿!何か知らないか?」

 

「三木っ…なんだよこっちも忙しいんだけどよぉ」

 

「静さんがいなくなったんだ!」

 

「何?」

 

三木の言葉に反応したのは東条だった。

幼なじみの女性が行方不明。

 

流石に聞き捨てられるものでは無かった。

 

「他の知り合いの方には聞いて回ったんです。けど、今日の朝から行方知れずで……それにいさふゆさんもいなくて…」

 

「いさふゆちゃんも!?」

 

深刻な表情の邦枝も驚き立ち上がる。

 

 

これで3人。

 

自ら離れた古市とは違い神隠しの様に消えてしまった。

 

石矢魔に住まう者……それも簡単に連れ去られる事は有り得ない3人の行方が消えた。

 

そして男鹿はラミアの行方が知れないのも知っている。

 

 

他にも気づかないウチに消えているのかも知れない……

教室に大森寧々が入ってくる。心なしか顔が青い。

 

「あ、寧々さん!千秋が連絡取れないんっす!」

 

「ち、千秋は……」

 

「寧々さん?」

 

 

そんな時だった。

 

 

「居場所なら知ってるナリよー」

 

六騎聖達が入ってきた扉とは逆の後方の扉から声がする。

 

そこには石矢魔殺六縁起三怪ぶっとび茄子(自称)こと奈須洋平がいた。

 

奈須洋平は既に男鹿に破れ、入院していたが、いつの間にやら退院していたようだ。

 

「てめぇ、ナス!知ってるってどういう意味だこらぁ!」

 

城山がやられた事もある神崎は怒鳴りつける。

 

「正確には俺たちが知ってるって話ナリ」

 

奈須の後ろには更に2人の人物がいた。

髪を下ろし不良には見えない帝王鷹宮。

そして今の今まで姿を表さなかった藤の姿だった。

 

「誰だっけ?」

 

「いや、俺はちゃんと男鹿と戦っただろ!」

 

「俺は戦ってないが、お前らをテニスコートには追いやったな」

 

「俺はまず学校にすら行ってないな」

 

奈須は怒り、鷹宮は静かに見据え、藤は高笑いしている。

 

 

「そんな事はどうでもいいわ……それより居場所を知ってるって言ったわね……千秋達はどこ?」

 

そんな3人に邦枝はドスの聞いた声で話しかける。

 

「説明はするがまず1つ安心させてやる。お前らの仲間は神隠しにあった訳だが、決して連れ去られた訳では無い。自ら決別したのだ」

 

鷹宮が告げる。

 

 

"決別"

 

この言葉には聞き覚えがあった。

つい先日に聞いた言葉。

 

それはいなくなった者達がどこへ行ったのかを指し示していた。

 

「俺も1つ聞きたいんだが、お前らは何しに来たんだ。ご丁寧に居場所を伝えに来たわけじゃないんだろ」

 

驚いている面々の中、姫川は声を出す。

 

「奈須は男鹿に敗れ、俺と藤は古市に敗れた。そして古市は1週間後にこの学園に来る。その戦いに負ければ俺のルシファーや藤のサタン、そして男鹿のベルゼブブ。その全ての悪魔をアイツは消すつもりだ」

 

 

ベル坊を………消す?

 

「そうならないために俺達はお前らと共闘しに来た」

 

 

藤達の言葉など頭に入らない。

 

古市は自分と戦いたいだけじゃ無かったのか。

 

 

 

『本気のお前と…』

 

 

10年以上の付き合いなだけあり、古市は男鹿の怒りのポイントもよく分かっていた。

 

ベル坊を消す。

 

 

その言葉は男鹿を怒らすには十分すぎる力を持っているのだから。

 

 

 

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