ダンジョン、そこは魔物の蔓延る魑魅魍魎の場所。そこには同じ種族でも外で現れる魔物より強く強靭な魔物が溢れ変える。
そして彼等が進むのはダンジョンでも未だ未知の領域、どの様な魔物が出るのか、どの様な攻撃をしてくるのか等分からない。
「はっ!甘えんだよ!」
「あんまり前出過ぎんなよーベート」
「喧しい!テメエももっと前に出やがれ!」
「まじかよ…。」
ベートが現れた敵を拳を持って殴り飛ばしベルが間合いを取りながら剣を鞭の様にして敵を攻撃する。
「問題ない。ベルよ寧ろもっと前に出てよいぞ。」
「安心しろ後ろには私達がいる。ベートの様に馬鹿みたいに突撃してきても私達が何とかしよう。」
2人が漏らした敵をオーリとリヴェリアが魔術で吹き飛ばず。
そうして彼等はそのままダンジョンを突き進んでいく。
破竹の様な快進撃をしていきながらダンジョンを暫く進んで行くとベートが疑問を持ち始める。
「可笑しい…何で魔物が出てこねえんだ?さっきまでウンザリするくらい出てきたのに。」
彼等はさっきまで進めば進んで行くと敵がゴキブリの様に湧いて出てきたのだが今はその勢いが無くなったのかと思うくらい敵を見ない。
「確かに…さっきから魔物の一匹も見ねえな。」
「ふむ…確かにこれは不可解だ…」
「嫌な予感がする…皆警戒を怠るな。」
四人が先程より警戒しながら進んで行くと何処からか音が聞こえてくる。地の底から這い出てくるかの様な気配を感じ始め皆が警戒を最大限にして進むのを止める。
「何だこの音?何かが鳴いてやがんのか?」
「それよりこの気配は何だ…まるでずっと下から何かが這い出てくる様に感じるぞ。」
それはまるで何かの産声のように聞こえてくる。何かがここに来るなと主張しているみたいに。
「何だ…何がが下にいる…。」
4人が気配に悪寒を感じ構えをとり迎撃体勢を取る。
「…ッ!者共この場から離れよ!!」
そ瞬間オーリが皆に激を飛ばし、皆がその場を離れた瞬間、地面に亀裂が走り先程までいただい場所が崩れ始める。
そして崩れた場所から先程までの声が響き渡り何かが姿を表す。
それは一言で言うなれば手だった。自分達の何十倍もある巨大な手。
それががダンジョンの下から地面を壊しながら出て来たのだ。
恐らくそのままその場所にいたら彼等は圧倒的質量を前にひとたまりもなく肉塊に成りはてていただろう
「こっ…こいつは」
「…手か? つーことは…下に体があるってことだよな…。」
ベートとベルが冷静に敵を見定めながら着地する。
「いってる場合か! 来るぞ!!」
リヴェリアが叫んだ瞬間その腕はそのまま地面を壊しながら此方に近づいてくる。
「合わせろベル!」
「任せろ!」
二人は左右に別れながら手に向かう、ベルは手の左側にベートは右側に手に対して挟み撃ちの形を取る。
そのままベートは右側からベルは攻撃をかける
「「ぶっ潰れろ!!」」
左右からの一撃、level6たる二人の左右からの一撃は凄まじく並の魔物なら肉の一つも残らず粉砕されるだろう…だがこの魔物は違う
「んだとぉ!?」
「中々頑丈じゃねえか!」
その攻撃をもろともせずその手をベルとベートを虫をはね除けるかの様に左右に振る。
それを二人は何とか避ける。
「下がっていろ二人とも!私達で奴に魔術を放つ!」
「然り。お前達は下がっていろ、リヴェリアよあれは出来るな?」
「私を舐めるな、あの程度造作もない。」
リヴェリアとオーリの頭上にに魔方陣が現れ辺り一面に広がると二人は呪文を唱え始める。
「「ざんざんびらり、ざんざんばり、びらりやびらり、ざんだりはん
つくもふしょう、つかるるもふしょう、鬼神に王道なし、人に疑いなし 」」
二人の詠唱が辺り一面に優雅に厳かに響き渡る。
「総て一時の夢ぞかしここに天地位を定む 」
「八卦相錯って往を推し、来を知るものは神となる 」
お互いの声を交差させながら目の前の巨大な手を見据える。
そして上に展開された魔方陣から轟轟と燃え盛る巨大な岩がその姿を表す。
「天地陰陽、神に非ずんば知ること無し」
リヴェリアが言葉を続けると更に曼荼羅が光に包まれる。
「「計都・天墜」」
その言葉と共に手に向かって轟轟と燃え盛る岩が落ちていき光がそれを押していく様に岩の後ろから放たれる。
「凶に敗れし者、凶の星屑へと還るがいい」
ポツリとオーリが呟いた瞬間、世界が爆音と閃光に包まれていきその中で手が蠢いていくのがわかる。
「これなら…行けたか?」
リヴェリアが確認するかの様にポツリと呟く
「すげぇ…」
「流石はオラリオ最高峰の魔術師と言ったところか…やるじゃねえか」
確かに手が蠢いていき、恐らく下にいる何かにダメージが有るのがみて受け取れる。
「ふむ…この程度造作もない。」
「お前なぁ…一人でやった訳じゃないんだからそんな時くらいはもうちょっと謙虚にだな…。」
そして、その衝撃に堪えられないかのように下に引っ込んでいく姿を見て安堵した瞬間、下からの衝撃が走り一帯の地面が割れていく。
「不味い!跳べッ!!」
誰が発したか分からない、だが時既に遅し安心感から緊張が切れた体は即座に力は入らない。皆が重力に身を任せ地面と共に落ちていく…
「やらせるかよぉ!」
落ちながらベルは剣を鞭の様にして取っ掛かりに引っ掻ける。
偶然近くにいたベート、リヴェリアを掴まえオーリに手を伸ばす
「オーリ!手を伸ばせ!」
「いや…我はこの下にいる奴に暫し様がある。お前達はそのままこの場を脱するがいい。」
「ちっ…悪く思わないでくれよ!」
そう言いながら落ちていくオーリを無理矢理掴まえようと手を伸ばすもその手は振り払われオーリはそのまま地下に落ちていく。
「なっ…!?」
「行け。」
その言葉を最後にオーリの姿は暗闇の中に消えていった。
────────
「ふむ…これは何処まで落ちるものかな?」
一人暗闇の中を落ちていきながら思考に耽る
先程の手は我とリヴェリアの一撃ですら耐えきった。こやつこそが我の求めていた相手なのかもしれん
「ハッハッハッハッハーハッハッハッ!!」
間違いなく我の求めていた存在。この遠征では何かがあると思っていたのだ。ついに我の心踊らせる存在に出会える!これ以上に喜ばしい事はない。
一人しきり笑った後ふと下を見ると光が見え始める。
「ほう…迷宮の下には輝ける黄金の光か…」
輝く黄金の光が下から照らしており思わず目を奪われる。
そして地面に着くと頭上にあった大穴が塞がれていく。
前を見るとそこはまるで今までの迷宮とは違う世界だった。
辺り一面が光に包まれ壁を見るとまるで雲の絵が動いており地面には上から見たオラリオの風景が克明に描かれていた。
「正に天上に住まうものといった所か…この様な地下で天上の神を気取るか…たいそうな道化もいたものだな。」
思わずそんな皮肉に笑ってしまうと後ろから声が聞こえてくる。
「ようやく来たか我が主の怨敵よ、薄汚い■■の細胞よ」
「貴様が…先程の者か?」
「然り。我が貴様をここに落とした者だ。」
先程の手をも持っておりそれに見合う最早山と言える巨体。
その巨体を見上げるだけでも骨が折れる
正しくこの迷宮の主と言っても可笑しくない姿をその者はしていた。
「貴様…喋れるだけの知能を持つか…。」
「どうした?ただ喋っただけではないか、そう気にする事でもあるまい…それとも貴様的には喋らぬ低脳がお好みであったかな?」
思わず歯噛みしてしまう、こやつは話すだけの知能がある。しかも…皮肉を返すくらいには。
間違いなく物事を瞬時に把握してそれに対する行動を取れるだろう。
「(しかし…それくらいでないと面白くない)」
我の余興になるくらいなのだ、このくらいはしてもらわないと困るのだよ。
「して■■の細胞よ貴様の名はなんと言うのだ?」
「■■とやらが誰の事だか知らぬが我が名を知りたいと言うのならば冥土の土産に教えてやろう。」
すっと息を吸い高らかに自らの名を歌い上げる。
「我は世界最高峰の魔術師であり至高の存在であるオーリ・ストロンガーである!さぁ貴様の名を聞かせてもらおうか巨人よ!!」
それを聞いた巨人は不思議そうな顔をして此方を見ながら疑問を口に出す。
「貴様が至高の存在?…いったい誰が、いつどこで貴様の事を至高だと抜かしていたのだ?貴様の様な薄汚い細胞如きが。」
「貴様が自らを優れた魔術師と言うのは勝手だが我に傷ひとつ付けれぬ矮小な存在が何かを囀ずるとは片腹痛いわ。」
そう言うと巨人は先程まで我らに向けていたで有ろう腕を少し上下に振りながら此方に見せる。
その巨大な腕が少し振られるだけで突風が辺りに吹き荒れ体を吹き飛ばされそうになる。
「貴様が名乗りを挙げたのなら此方も名乗ってやるのが道理か…。 オーリとやら、聞くがいい!我が名はドシン!この地を守護する者として貴様の様な薄汚い■■の細胞を消し潰す為に作られた者なり!!」
そう名乗りを挙げると此方に向かって手を振り下ろしてくる。
それを躱しながら魔方陣を展開する。
「甘いわ!その程度!!」
印を結び呪文を発していく。
「吐菩加身依美多女――祓い給え清め給え―― 寒言神尊利根陀見 !!」
呪文を発し終わった瞬間ドシンの手がオーリの目の前まで近づいてくる。しかし圧倒的質量を持ったその手をオーリはふわりと片手で受け止めニヤリと笑う。
「貴様ッ!?一体何をしたと言うのだ!!」
「さてね…手品の種を明かす手品師がいると思うか?」
掌に具現させた時空の暇(いとま)による障壁で防御しそよ風の如しと防ぎきり、防御に成功するという次元を跨いでの防御
オーリがいかに桁違いに優秀なのかがわかる
驚愕してくるドシンに素っ気なく返すとそのまま更にオーリは呪文を唱えていく。
その詠唱は先程リヴェリアと共に放った魔術なのだがそれによって行われる結果が少し違った。
魔方陣が展開されていきながらドシンの体を鎖が捕縛していくそれをドシンが抜けようと動くもビクともせず鎖はその量を増やしていきドシンを包み込む。
「ハーハッハッハッハッハッハッハッ!!」
オーリの高笑いと共に世界が暗黒に包まれたそこはまるで星々の輝きが見えない宇宙空間の様に広い空間だということが分かる。
「消えよ、巨人」
その言葉と共にオーリの回りにぼんやりと光る曼荼羅が現れていく。その大きさはドシンをも遥か凌駕するほどに大きい。
その曼荼羅の中心からドシンをも遥かに上回る大きさの隕石が流れ星の様に落下していく、一つまた一つとそれがドシンにぶつかっていきそれが幾度と無く降った後ドシンのいた場所には彼のいたという事を照明するもの何一つ残らず消滅させた。
──────
そして世界が暗闇から先程までいた黄金の光輝く場所に戻る。
「まぁ…この程度か」
期待した割には呆気なかった物だなと一人息を吐く
「次はもっと愉しめる者が欲しい物だな。」
回りの書かれている景色を見ながらゆっくりと宙に浮く。
そして景色を見ているとドシンのいた所の後ろに扉が有るのが分かる
「ほぅ…あやつ何かを守っていたのか?」
思わず宙に浮かぶのを止めその扉の前に行く
その扉にはまるで何かを差し込むかの様な形をした穴が有るのがみて受け取れる。
「鍵が必要と…だが我にかかればその様な物必要ないわ。」
魔術により鍵を開きそのまま扉を開く
さて…せいぜい愉しめる物の一つでもあれば良いが。
ここでさよならオーリ叔父さん。貴方は別ルート直行便だ
ここで序章も終わりこれから暫く進んだ後個別ルートです