ここは幻想郷にある白玉楼。
白玉楼の庭には、西行妖という桜の木が生えている。
その何も咲いていない桜の木の下で、花見をしている人…正確には、人間に似た者達。
「妖夢〜、桜餅ちょうだい」
「ダメですよ幽々子様…もう50個目ですし、そもそも幽霊なんですから食べなくてもいいのでは…」
「うるさい!人の趣味を否定するなと教わらなかったの!?」
「趣味!?食べるの以外に趣味ないんですか?」
「え、あると思ってたの?」
「…………」
「妖夢さん…気にしたら負けですよ…」
そんなのどかな話をしているのは、幽霊少女の西行寺幽々子、
その剣術指南兼白玉楼庭師の半人半霊、魂魄妖夢
そして最近よくやってくる月兎の鈴仙・優曇華院・イナバ。
もう一人、小さな体からは想像もできない程の長生きで、妖怪兎のリーダー的存在、因幡てゐがその場にはいたが、自分で薬を入れた桜餅を自分で食べ、トイレに駆け込んだのはついさっきのこと。
「にしても…てゐは何を桜餅にしかけてたんでしょう…?」
素朴な疑問をイナバが口にすると、
「きっと下痢とか尿意が止まらなくなる薬よ、桜餅を奪うために私に食べさせようとしたのよ」
「幽々子様お願いですから黙ってください」
という幽々子と妖夢の話が聞こえる。
ふふっ、と小さく笑うイナバ。
ずっと、こんな平和な日常がずっと続けばいいのに…そう思う
でも…そうはいかないのだ。
「は、はぅ…お腹が…」
なぜなら…
「れ、鈴仙…助けて…」
なぜなら、あの人が来るから…。
「お、お願いだからお師匠様呼んできて…ねぇ鈴仙…うぇっ」
あの…恐ろしい人が…ここに…
「ちょ、鈴sおぇええええええ」
「って、てゐ!?うわ、吐くなぁ!」
「む、無理…早くお師匠様呼んェッオェエエエエ」
「なんか私の回想台無しじゃない!?ねぇ!?」
「…ッ!………ッ!!」
失神し、涙目でビクンビクンと痙攣しているてゐ。
鈴仙は思った。
こいつの精神年齢、見た目とたいして変わらないんだろうなぁ、と。
そこに野次馬幽々子がやってくる
「なになにー?なにがったのー?」
「どうかしたんですか?ってうわてゐ!?」
「いや、どうにもさっきの薬の作用みたいで…」
「ほら、妖夢、やっぱり私の予想当たったじゃない!私に食べさせないようにしようとしたんだよ!」
「これは強力ですね、鈴仙さん…もうさん無しでいいや…鈴仙、これ調合できる?ちょっと食費を浮かせる方法思いついた」
「…妖夢…何をする気…?なんで私ににじりよってくるの?」
「うーん、あの人に聞いてみないと…多分てゐが勝手に持ち出した薬だろうから、これ」
「あの人?」
「…師匠ですよ」
「あぁ、これ薬膳の作った薬なの?」
幽々子が話に割り込む。
「えぇ…この薬が消えてることに気づいた瞬間、確実にてゐをちょめちょめしにきます」
「「ちょ、ちょめちょめ…」」
赤面する白玉楼の住人二人。
「えぇ、ちょめちょめ。」
「いや、でも、そんなすぐにバレはしないんじゃないんでー」
すとっ。
妖夢の言葉をさえぎるように、なにかが木に刺さる。
「なに?」
「わ、私が頑張って育ててる木に矢が…」
「……矢?紙が結んであるわね」
妖夢の悲痛なつぶやきを無視し、幽々子が木に突き刺さった矢を強引に引き抜く。(その際矢の矢尻に引っかかった木が大きくえぐれるが気にしない)
「き、木がぁぁああ!」
またも自分のご飯を作ってくれる恩人を放置し、幽々子は手紙を確認する。
【拝啓
因幡てゐ様、鈴仙・優曇華院・イナバ様。
元気ですか?体調は崩していませんか?
さて、今日このような手紙を出した理由は、少し薬の被験者になってもらいたいからです。いえなに、そんなに危ない物ではないですよ。
せいぜい麻痺してその間に体を縛って…なんでもないです。】
そんな恐ろしい文章を見ても、まるで遥か彼方で起きていることのように無関心な顔をしている幽々子。そして裏面に移る。
【大丈夫です、安心してください。
一切苦痛はありませんから。
それに、あなた達だけじゃなく、白玉楼のお二方も一緒に被験者になってもらおうと思ってます。
仲間は多い方がー】
びりっ。びりびり。
その奇妙な音は、幽々子が途中で読むのをやめ、何度も何度も手紙を破く音だった。
お久しぶりです!
今回は、少しだけシリアス混ぜようかなーなんて考えてたんですが、それはまた次回になりそうです
こんな二次創作物をお気に入り登録してくださっているみなさんに、感謝感激です!テンションギガ☆チョモランマです!
最後に、ずいぶんと投稿してなかったこと、この先も投稿に時間がかかることを、申し訳なく思ってます
…そんなに読む人いないか
くだらないことをたびたびつぶやく僕のTwitter、見てくれる人が増えてれば嬉しいな
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