機動戦士ガンダム 流星のフェアレーター   作:ケンヤ

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第3話 「カムイの力」

 コロニー「レーア」を襲撃した火星解放戦線ではあるが、コロニーに隠されていたガンダムフレームを内蔵したMSエリゴールによってデモスを1機撃墜された。

 それはすぐに火星解放戦線の母艦、ヘッジホッグの知るところとなる。

 

「大佐! ハンスのデモスのエイハブウェーブの反応が消えましたぜ!」

「どういう事! 確かの?」

 

 MSに搭載しているエイハブリアクターから発せられているエイハブウェーブにはそれぞれ固有の波長を持っている。

 その固有の波長を利用して機体の識別に利用されている。

 ハンスのデモスのリアクターの反応が消えたと言う事はハンスが機体の稼動を停止させたか、撃墜されたかだ。

 戦闘中に自らリアクターを止めた可能性もあるが、状況的に撃墜されたと言う可能性もある。

 だが、レーアにMSが配備されている情報は無くMWではMSを撃墜する事はまず不可能だ。

 

「それともう一つ別のリアクターの反応があるんですけど……」

「ほう」

 

 ハンスがやられたかも知れないと言う状況でも動く事のなかったカムイが艦長席から立ち上がる。

 

「私が出よう」

「大佐自らですか?」

「ハンスはやられたと見るべきだ。ハンスは功を焦る傾向が強く、油断しがちだがパイロットとしての腕は悪くはない。そのハンスがやられたと言うのだ結月一人では荷が重いかも知れない。ラウラとザックが動けない以上、私が出るしかあるまい」

 

 現在、ラウラは先行して来たギャラルホルンのMS隊を足止めしている。

 その間に別のMSが3機ヘッジホッグに接近している為、ザックのデモスが対応している。

 ヘッジホッグに残るMSはカムイの機体のみだ。

 

「ヘッジホッグは指示があるまで現宙域で待機。敵を近づけさせないようにしておけ」

 

 カムイは指示を出して格納庫に向かう。

 格納庫ではすでにカムイの機体の発進準備が整っていた。

 

「大佐、せめてパイロットスーツくらい来て下さいっていつも言っているでしょう」

「その必要はないと毎回言っている」

 

 機体に乗り込もうとしているカムイをカミラが止める。

 カムイは毎回出撃の際にパイロットスーツを着用していない。

 他のパイロットは阿頼耶識システムとの接続に専用のパイロットスーツを着ているが、カムイは阿頼耶識システムを使わずにMSを操縦している為、パイロットスーツは必ずしも必要ではない。

 だが、パイロットスーツを着ていれば有事の際の生存率は格段に上がるがカムイはパイロットスーツを着用していない。

 カムイはカミラの苦言をいつものように返して機体に乗り込む。

 カムイの専用機は火星解放戦線が開発した物ではない。

 木星圏を拠点に活動している組織「テイワズ」が独自に開発した汎用型MS「百錬」を独自に改造した物だ。

 百錬を開発するに辺り、試作された機体を戦闘データの収集を提供する事を条件に買い取った。

 大幅な改造は頭部を脚部のみとなっている。

 頭部はメインカメラを追加し、額に大型のカメラが1つと通常サイズのカメラが4つの計5つのカメラを持ち、2門のバルカンが増設され、全体的に丸くなっている。

 脚部には固定式の大型ブレードが増設されている。

 そして、全体を黒と赤で塗装されている。

 

「システムは問題なし。これだから阿頼耶識も搭載されていない旧式は面倒で困る」

 

 カムイが愚痴りながら機体のシステムを立ち上げる。

 出撃準備はすでに完了している。

 百錬改はカタパルトに移動し、テイワズに特注した大型マシンガンとデモスと同じマシンガンを手にする。

 

「カムイ・レェリィク。百錬改、出撃する」

 

 百錬改がヘッジホッグより出撃すると、ヘッジホッグの付近で交戦しているザックのデモスの元に向かう。

 すでにアールヴァクより出撃して来たアレックス・ルーファス率いる第二小隊と交戦中だった。

 第二小隊の隊長機である指揮官仕様の高機動型グレイズはオレンジ色で塗装され、僚機の2機の高機動型グレイズはバズーカを装備している。

 3機の高機動型グレイズは数と機動力を活かして、ザックを翻弄していた。

 だが、ザックも何とか食い下がってはいる。

 

「流石に分が悪いか」

 

 百錬改はバズーカを放とうとしている高機動型グレイズに狙いを定めて大型マシンガンを撃ち込む。

 ナノラミネートアーマーのお陰で致命傷にはならないが、特注で口径の大きい大型マシンガンの直撃を受ければ無事では済まない。

 それにより相手側も増援が来た事に気が付く。

 大型マシンガンを受けたのとは別の高機動型グレイズが百錬改にバズーカを放つ。

 それをかわして大型マシンガンで反撃する。

 不意打ちだった先ほどとは違い3機の高機動型グレイズはすぐさま散開する。

 大型マシンガンを受けた高機動型グレイズも装甲に軽く傷が付いた程度で戦闘には問題はないようだ。

 

「百錬! 大佐か!」

「ザック。これを使え。高機動型ならバズーカよりもマシだろう」

 

 カムイは出撃時に持っていたマシンガンをザックに渡す。

 バズーカよりも威力は落ちるが、連射速度が高く取り回しも良いマシンガンの方が高機動型グレイズを相手にするには使い易い。

 

「助かります」

 

 ザックはバズーカの残りの弾頭を使い切ってマシンガンを受け取る。

 

「私はコロニーの方に向かう。どうやらハンスがやられたらしい」

「ハンスが? 了解」

 

 マシンガンを渡したカムイは機体をコロニーの方に向かわせようとするが、指揮官機の高機動型グレイズがランスユニットのライフルで牽制を入れる。

 

「アンタが大将なんだろ?」

 

 指揮官機はランスユニットを突き出す。

 それをかわして、頭部のバルカンで応戦する。

 

「アーニャ! モニカ! お前達は一つ目の方を任せた。俺はこいつを仕留める!」

 

 指揮官機はライフルを連射しながら、百錬改に迫る。

 残った2機の高機動型グレイズはザックのデモスを狙う。

 デモスは武器がバズーカからマシンガンに代わった事で戦いやすくはなったが、2機がかりではまだ劣勢となっている。

 

「色違いと言う事はこいつは隊長機か。余り時間をかける訳には行かないのでね」

 

 指揮官機のランスユニットの突撃を機体を反らして胴体スレスレのところで百錬改は回避する。

 回避と同時に機体を反らしながら脚部の固定式ブレードで蹴り上げる。

 その一撃を指揮官機はシールドで受け止めるが、シールドに切り込みが入る。

 指揮官機のシールドを蹴った反動で距離を取りながら大型マシンガンを撃ち込んでシールドを破壊する。

 

「隊長!」

 

 指揮官機のシールドを破壊されたのを見た高機動型グレイズの片方が百錬改の方に向かう。

 

「行かせるか」

 

 狙いを自分から百錬改に変えただけでなく、今までとは違い隙だらけとなった高機動型グレイズにデモスがマシンガンを撃ち込む。

 マシンガンが直撃し、高機動型グレイズは足を止める。

 その隙を逃す事無く、百錬改はリアアーマーの片刃式ブレードを抜いて距離を詰めていた。

 

「アーニャ!」

 

 百錬改のブレードが高機動型グレイズの肩と胴体の隙間に突き刺して、大型マシンガンのグリップで頭部を殴りつける。

 百錬改はブレードを抜いて、胴体部に大型マシンガンを突きつける。

 しかし、引き金を引く前に指揮官機がライフルで妨害し、残った高機動型グレイズ改はバズーカを放つ。

 バズーカの弾頭を回避しながら、百錬改はブレードを投げ、高機動型グレイズの頭部に突き刺さる。

 

「これがカムイ・レェリィクか……モニカ! そっちはどうだ?」

「こっちはカメラをやられただけですが……」

 

 2機の高機動型グレイズの内、アーニャ機は戦闘続行は出来そうには無い。

 片方のモニカ機も頭部をやられている。

 指揮官機はシールドをやられただけでだが、流れは完全に向こうに傾いている。

 デモスがこの機を逃すまいとマシンガンで畳み掛けて来る。

 指揮官機はライフルで応戦しながらも、アーニャ機を抱きかかえて後退を始める。

 

「モニカも後退だ」

「……了解」

 

 モニカ機もバズーカを撃ちながら後退する。

 

「流石です。大佐」

「ザックは一度ヘッジホッグで補給を受けてそのまま艦の護衛に戻れ。私はコロニーに向かう」

 

 3機の高機動型グレイズを瞬く間に退けたカムイだが、喜ぶ事無く次を考えていた。

 敵を退けた事で一先ずはヘッジホッグへの攻撃は無いと見て良い。

 カムイから受け取ったマシンガンの銃弾は余裕はあるが、シールドもボロボロで推進剤もかなり使っている為、ザックも大人しく指示に従ってヘッジホッグに戻って行く。

 カムイは今度こそ、機体をコロニーの方に向かわせた。

 

 

「まだ別働隊がいたのか」

 

 コロニーに向かう道中、コロニーに接近するMSのリアクター反応を補足した。

 リアクターの反応は先行して来た部隊の物とは違っている為、他のMS隊と言う事だろう。

 

「シュヴァルベ・グレイズが1機いるのか。これまた面倒な相手だ」

 

 モニターに映る敵MSはパールホワイトの指揮官機と通常の高機動型グレイズの他にもう1機別の機種が居た。

 グレイズを開発する際に同じフレームを使った高性能の高機動カスタム機が複数製造されている。

 それがシュヴァルベ・グレイズである。

 シュヴァルベ・グレイズはそれぞれが優秀なパイロットに渡され、独自の改造をされている事が多い。

 グレーで塗装されたシュヴァルベ・グレイズはユーマ・ムラサメ専用にカスタムされている。

 バックパックには大型ブースターと一体化されているミサイルポッドに変更され、装備はグレイズと共通しているライフル、シールド、バトルアックスが2本と汎用性を重視した機体だ。

 

「シェリー隊長! 接近するMSが!」

「あのMS……ユーマ。ジーノ。先にあのMSを叩くわ」

「了解!」

 

 カムイの百錬改を補足した敵MSは百錬改の方に向かって来る。

 

「そう来るか」

 

 百錬改は大型マシンガンで牽制し、3機のMSは散開する。

 

「僕が仕掛けます!」

 

 ユーマのシュヴァルベ・グレイズが一気に加速する。

 バックパックの大型ブースターのお陰でシュヴァルベ・グレイズの機動力は高機動型グレイズの比ではない。

 加速と同時にミサイルを一斉掃射する。

 それを百錬改はバルカンで迎撃する。

 

「ミサイルは目暗ましの囮か」

 

 爆風から指揮官機の高機動型グレイズがランスユニットを突き出して突撃して来る。

 それをかわすが、今度は上から高機動型グレイズがバトルアックスを振り下す。

 バトルアックスをかわして大型マシンガンを高機動型グレイズに向けるが、シュヴァルベ・グレイズがライフルで妨害する。

 

「良い連携だ。その連携をウチのパイロット連中にも見習って欲しい物だ」

 

 百錬改は攻撃を回避しながらコロニーの方に向かう。

 

「ユーマ! 頭を押さえて!」

「了解です!」

 

 コロニーに向かう百錬改をシュヴァルベ・グレイズが追い越して、百錬改の行く手を塞ぐ。

 しかし、百錬改は大型マシンガンを撃ちながら突撃して来る。

 

「くっ!」

 

 シュヴァルベ・グレイズはシールドで防ぎながらライフルで応戦するが、やはり百錬改は止まる様子はない。

 

「生憎と君たちとゆっくり遊んでいる暇はないのでね」

 

 勢いを保ったまま百錬改はシュヴァルベ・グレイズに突っ込んで脚部の固定式ブレードで蹴りかかる。

 シュヴァルベ・グレイズはシールドで防ぐが勢いが付いている為、体勢を崩して弾き飛ばされる。

 

「先に行かせて貰おう」

 

 シュヴァルベ・グレイズは体勢を整えている間に百錬改はコロニーに向かう。

 体勢を整え後方から2機の高機動型グレイズと合流し百錬を追う。

 3機が追いつく頃には百錬改はコロニーの宇宙港に入り込んでいた。

 

「ここなら私の方が有利であろう」

 

 百錬改は大型マシンガンを連射する。

 

「隊長!」

「やってくれるわね。ここじゃこっちは火器が使えないわ」

 

 MSに対しては火器は有効打にはなり得ないが、火器を使う事で牽制等戦いを有利に運ぶことは出来る。

 しかし、カムイは宇宙港に入り込む事で相手の火器の使用を制限する事に成功している。

 下手に火器を使えば流れ弾が宇宙港に被弾する。

 宇宙港にはコロニーの住民を乗せたシャトルが残されている。

 ギャラルホルンとしては住民の命を無視して火器を使う事は出来ない。

 一方のカムイは住民の命等どうでも良い為、火器の使用は制限されない。

 

「とにかく奴をこの場から引き離す」

「了解です!」

 

 シュヴァルベ・グレイズはバトルアックスを抜いて百錬改に切りかかる。

 それに合わせてジーノの高機動型グレイズもバトルアックスで切りかかる。

 

「懸命な判断だ。しかし」

 

 2機の攻撃をかわしながら百錬改は大型マシンガンを構える。

 だが、その銃口の先にはギャラルホルンのMSではなくシャトルがある。

 

「まさか!」

 

 その意図に気が付いたシェリーの指揮官機が銃口とシャトルの間に入り込む。

 

「自ら来てくれるとは地球のギャラルホルンは優しいな」

 

 百錬改が大型マシンガンを放ち、指揮官機はシールドを構えるが後方にシャトルがある為、動く事が出来ずに大型マシンガンの直撃を受ける。

 シールドや装甲はナノラミネートアーマーである為、致命傷とはならないが次第にナノラミネートアーマーが剥がれて行く。

 

「隊長!」

 

 シュヴァルベ・グレイズと高機動型グレイズが同時に百錬改にバトルアックスで切りかかる。

 

「良いタイミングだ」

 

 2機の攻撃に百錬改は微動だにしなかった。

 ユーマとジーノが攻撃が決まったと確信した瞬間に高機動型グレイズに上から結月のデモスがサムライブレードを振り下して来た。

 その一撃で高機動型グレイズの右腕が切り落とされる。

 コロニー内でハンスがやられたが、結月はエリゴールに無理に仕掛けずに撤退をしていた。

 宇宙港に差し掛かった時に接近するMSの反応を補足した為、やり過ごそうを身を隠していた事にカムイは気が付いていた。

 結月も高機動型グレイズ2機とシュヴァルベ・グレイズを相手に一人で切り抜けるとは思わない為、奇襲を仕掛けるタイミングを見計らっていたらしい。

 

「ジーノさん!」

「伏兵か!」

 

 それと同時に百錬改が固定式ブレードでシュヴァルベ・グレイズを蹴り飛ばす。

 シュヴァルベ・グレイズは何とかシールドで防げたがシールドは砕けて壁まで叩き付けられる。

 2機を撃退した百錬改は大型マシンガンを指揮官機に向けるて、カムイは引き金を引くが、すでに大型マシンガンの残弾は尽きていた。

 

「弾切れか。まぁ良い。状況は?」

「見た事もない奴にハンスがやられた」

「そうか。結月はこのままヘッジホッグに戻れ」

「そうさせて貰う」

 

 ハンスがやられた事を聞いたカムイは部下がやられたと言うのに気にした様子はない。

 結月もそれは分かり切っている為、気にせずに指示に従う。

 

「で、アイツ等はここで仕留めないで良いのかよ」

「問題はないさ。優先すべき事は結月がデータを持ち帰ると言う事だ。ハンスを仕留めたMSは私が対処しよう」

 

 カムイたちにとってはギャラルホルンと交戦する事は目的ではない。

 結月はハンスがやられた時の戦闘データを持ち帰る事が優先で、カムイはエリゴールの対処が優先だ。

 すでに向こうは戦闘継続は難しい為、無理に仕留めて時間を使う必要もない。

 

「精々死なないようにな」

「心得ているさ」

 

 結月のデモスがコロニーの外へ向かい、カムイの百錬改はコロニーの中へと向かう。

 

「アレは……エリゴールか。まだ残っていたとはな」

「別の奴か!」

 

 コロニー内に入り込んだカムイはエリゴールを見つけて向かう。

 それに気が付いたレオも敵か味方か分からないが警戒を強める。

 百錬改は大型マシンガンを片刃式ブレードの柄にマウントすると、サイドアーマーのナックルガードを装備する。

 そして、頭部のバルカンを連射して殴りかかる。

 

「っ! こいつも敵か!」

 

 エリゴールは後ろに下がりながら、百錬改の攻撃をかわす。

 だが、百錬改はナックルガードで連続で殴りかかる。

 

「この反応速度……成程、パイロットは阿頼耶識を使えるのか」

 

 カムイは自分の攻撃に対しての反応からそれを見抜いていた。

 

「レオ!」

「何だコイツ……」

 

 エリゴールは一度大きく飛び退く。

 距離を取ってスタビライザーソードを構える。

 

「セレナ。ちゃんと掴まってろ!」

 

 スタビライザーソードを持ち、エリゴールは百錬改に切りかかる。

 エリゴールの斬撃を百錬改はナックルガードでいなして、ジャブを撃ち込む。

 威力は小さいがエリゴールはよろけ、続けざまに殴るが、それはスタビライザーソードで防がれた。

 

「このパイロット。戦い慣れてる」

 

 これまでのやり取りで百錬改のパイロットは対MS戦においては自分以上の実力を経験を持っていると実感させられる。

 自分達に優勢な部分は機体性能と阿頼耶識システムを使っている事くらいだ。

 

「どうする……」

「その機体は本来我らが手にする筈だった物。返して貰うぞ」

 

 百錬改は一気に加速して殴りかかる。

 それをエリゴールはスタビライザーソードで守り防戦一方になる。

 

「きゃぁぁぁ!」

 

 隣でセレナが叫ぶが、レオは集中していた。

 普通に戦っても勝ち目は薄い。

 だが、一撃でも与える事が出来れば勝機は見えて来る。

 ナックルガードの打撃を防ぎながら、レオは勝機を模索していた。

 そして、それはついに訪れた。

 百錬改はエリゴールのガードを打ち崩す為か、大きく振りかぶった。

 

「今だ!」

 

 百錬改の渾身の一撃をギリギリのところでかわすと懐に飛び込むエリゴールはスタビライザーソードを振るう。

 

「思い切りの良いパイロットだ。だが、しかし」

 

 エリゴールの起死回生の一撃は、百錬改の脚部の固定式ブレードで受け止められてしまった。

 そして、そのまま百錬改の膝蹴りでエリゴールは大きく飛ばされる。

 

「私には届かない」

 

 エリゴールの一撃で百錬改の固定式ブレードにヒビが入るが、それ以上に起死回生の一撃でその程度の損傷しか与えられなかった事の方が精神的なダメージは大きい。

 

「そろそろ頃合いだな」

 

 カムイがそう言うとコロニーの地面が爆発を起こす。

 その爆発によりコロニーの地面に大穴が空いてしまう。

 それはカムイが戦闘中にヘッジホッグに指示を出して、主砲でコロニーの居住エリアに穴を開けさせた。

 

「不味い! このまま外に出されると!」

 

 空気が漏れる中、エリゴールは地面にスタビライザーソードを突き立てて外に放り出されないように踏ん張る。

 カムイがそのような指示を出した理由はエリゴールの戦い方にあった。

 エリゴールは戦闘中に一度も固定火器やスラスターを使っていない。

 そこからエリゴールには弾薬もスラスターの推進剤もないと言う事を推測した。

 宇宙に出れば推進剤が無いエリゴールには移動もまともに出来ない。

 ただでさえ、劣勢の中で動きを制限されると言う事は万が一にも勝ち目は無くなると言う事だ。

 それだけは防がなければならないが、百錬改は外に吸い出される勢いを利用して突撃して来る。

 

「ほう、流石はガンダムだ」

 

 正面から突撃して来る百錬改を避ける事も出来ない。

 エリゴールはスタビライザーソードを地面に突き立てながらも、百錬改の体当たりを受け止めた。

 

「やってくれる!」

「終わりにしよう」

 

 百錬改はエリゴールにナックルガードを押し付ける。

 それだけでは何の攻撃にもならないが、次の瞬間、レオの頭の中は真っ白になる。

 

「がっ!」

「レオ!」

 

 そして、レオは意識を失ってグッタリする。

 百錬に装備されているナックルガートは放電機能を持っている。

 密着させて放電さる事で機体のシステムをショートさせた。

 これが普通のMSなら一時的な機能障害で済むが、レオはエリゴールと阿頼耶識システムで繋がっている。

 そのせいでシステムのショートがレオにまで伝わり、レオは意識を失った。

 レオが意識を失った事でエリゴールは踏ん張る事が出来ずに百錬改と共に宇宙に投げ出される。

 

「ヘッジホッグ。ターゲットは確保した。ラウラにも帰投命令を出せ」

「流石です。大佐」

 

 動かなくなったエリゴールを抱きかかえた百錬改はヘッジホッグへと帰投して行く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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