捨てられた艦娘拾ってたら鎮守府並みになってた   作:杉山杉崎杉田

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三人目

 

そんなわけで、滑ってからお昼タイム。ちょうどそのタイミングで、赤城も休憩をいただいた。

 

「と、いうわけで一航戦の赤城よ」

 

「よろしくお願いします、北本さん」

 

「ん、おお」

 

楽しみ過ぎて朝早起きした叢雲の弁当を食べながら北本はテキトーな返事を返した。

 

「で、なんで正規空母のあんたがここにいるのよ」

 

叢雲が聞くと、赤城は俯きながら答えた。

 

「それが……提督に捨てられてしまいまして……」

 

「提督に⁉︎あんた、第1艦隊だったじゃない!」

 

「……なんか、事情があるのか?」

 

北本が聞くと、赤城は深刻そうな顔になり、話そうとしなかった。

 

「大丈夫よ、赤城さん」

 

五十鈴がその赤城に声を掛けた。

 

「克己は私や叢雲のこと拾ってくれたの。一緒に住めるかはともかく、少しは力になってあげられると思うわ」

 

「……いいのですか?」

 

赤城に聞かれて、北本は小さく頷きながら、後頭部をガリガリと掻いた。赤城はようやく語り出した。

 

「その……夜中に資材をこっそり食べてたのが見つかってしまいまして……」

 

「自業自得じゃねぇか‼︎」

 

一転して怒鳴る北本。

 

「よーし、行くぞ五十鈴、叢雲」

 

「「はーい」」

 

「ま、待って下さい!助けてくれるんじゃなかったんですか⁉︎」

 

「はぁ?やむをえない事情があったとか、理不尽な理由で捨てられたならともかく、んな器の小せぇコソ泥働く奴を居候させる金はうちにはねぇよ」

 

「や、やむを得ない事情ならあります!」

 

「なんだよ」

 

「お腹が空いてたんです!」

 

「知るか」

 

「あ〜!待って下さいよ〜!」

 

涙目で脚に抱き着かれ、北本は喧しそうに下を見た。

 

「いい大人が何やってんだ。やめろ」

 

「今、私大変なんですよ!ここの店長のご好意で雇ってもらってはいるものの、住むところなんて海の近くのダンボールですよ⁉︎」

 

「ほんと、一航戦の誇りなんてあったものじゃないわね」

 

「この際、誇りなんてどうでもいいです!ティッシュに包んでゴミ箱にスリーポイントシュートです!助けて下さい!」

 

「今のこの姿を加賀さんが見たら本当にどう思うのかしら……」

 

「…………」

 

五十鈴と叢雲に「どうする?」みたいな視線を送る北本。二人とも「好きにすれば?」みたいな視線を返した。

 

「……はぁ、わーったよ。えーっと、赤城さんだっけ?」

 

「! はい!」

 

「一緒に住まわせてやる」

 

「本当ですか⁉︎」

 

「ああ、ただしちゃんと働くこと。それと来年は高校か大学生受験すること。それと、飯は一日三食お代わり無し。あと隠れてつまみ食いとかしたら速攻で追い出すからな」

 

「そんな⁉︎お代わり無し⁉︎」

 

「まだ来てもないのに出て行くかコノヤロウ」

 

「すみませんでした」

 

と、いうわけで、また居候が増えた。

 

 

数日後。今更だが今は六月、梅雨真っ盛りだ。五十鈴はバイト、赤城もプール。北本は学校で叢雲は一人で家にいた。家事を一通り終わらせ、する事もなくゴロゴロと漫画を読んでいた。

 

「………何よこいつ、ニートなの?屑ね」

 

漫画のキャラに思わずツッコミを入れてしまった。確かにそいつは屑だ。周りの弟は中卒で働いてるにも関わらず、そいつは大学まで出てニートだ。家でゴロゴロしてるだけ。家事は妹がやっていて、専業主婦ですらない。その癖、口調は上から目線だ。

だが、その時ふと思った。

 

今の自分も一緒じゃね?

 

と。

 

「………いやいやいや、違うわよ。私はちゃんと家事やってるもの。将来はちゃんと高校にも行くし。わたしは違う……大丈夫なハズ……」

 

ブツブツ呟き、言い訳を並べながらも内心は焦っていた。その時、ガチャッと玄関の開く音が聞こえた。

 

「⁉︎」

 

「たでーまー」

 

北本の声だ。一緒にいるのは隼人だった。

 

「うおお……さみぃいい……」

 

「叢雲!風呂沸かしてあるか?」

 

「って、何よ!ズブ濡れ⁉︎傘持って行かなかったの⁉︎」

 

「朝は小雨だったろうが!」

 

「降ってるなら持って行きなさいよ!」

 

言いながら慌ててタオルを二枚持って行った。北本と隼人はタオルで頭やら身体を拭き、叢雲は玄関から風呂までタオルを床に敷いていく。

 

「シャワーでいいなら今入れば?」

 

「隼人、どうする?」

 

「いいよ俺はシャワーで」

 

「じゃあそうさせてもらうわ」

 

二人して洗面所に向かい、床を拭きながらタオルを回収する叢雲。二人が脱衣中でないことを確認すると、洗面所に入って洗濯機の中にタオルを放り込んだ。

 

「ねぇ、二人とも。制服は洗っちゃっていいの⁉︎」

 

「あ、頼むわ」

 

とのことで、二人のワイシャツも洗濯機の中へ。

で、洗濯開始。今の時間だけで随分忙しくなった、と思いながら居間のソファーに座り込んだ。

 

「………ニートではないわね私」

 

どうでもいい確信を持てた。

 

 

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