ハイスクールDevil&Dragon   作:SSSS

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三話 シスター

二人の少年が居る。

一人はジル、もう一人は一誠だ。

豪雨に撃たれる中二人とも傘を差していない。

 

『分かったか?これからお前が進む道がどれだけ辛いかってことが』

 

ジルは拳銃を一誠に突き付け、指を拳銃の引き金にかけている。

通常発砲する時以外銃の引き金に指はかけない。

暴発する可能性があるからだ。

更に、ふとした拍子に撃ってしまう可能性もある。

そう言う危険性を減らすために、警官や軍人などはそういうふうに指導を受ける。

勿論ジルもそんなことは承知している。

だが、引き金に指をかける場合が二つある。

一つ目は自分に劣るド素人か、撃ってしまっても良いと思っている場合だ。

後者の場合、相手を威嚇しつつ撃ち殺すのも厭わないという意思表示と言う感じだ。

つまり、ジルは一誠を撃ち殺しても構わないと思っている。

 

『お前があんな辛い思いをしたくないって言うんだったら変わっても良いんだぜ?

何せ俺は――――』

 

 

 

「んあ……夢か……ふぁぁぁ……」

 

欠伸をしながら、身を起こす。

 

「懐かしい夢だったなぁ……」

 

そう呟いて、窓の外を向く。

雲の一つもない快晴。

『あの時』とは全くの逆の天気。

 

「いい天気だ」

 

そう呟いた瞬間だった。

 

♪~~♪♪~♪~♪~♪♪♪~~~

 

部屋の中に音楽が鳴り響く。

発信源は机の上に置いてある携帯だ。

ディスプレイにはジルの名前。

一誠はベッドから起き上がり、携帯を取り、通話ボタンを押した。

 

『よう、気分はどうだ?兄弟』

 

ジルの第一声がそれ。

一誠は不愉快そうに眉を顰める。

 

「最悪だよ……女に騙されるわ、腹を刺されるわ……普通に生きてれば絶対に経験しねぇよなそんなこと」

 

『女に騙されるのはあるかもしれねぇけどな』

 

「言うなよ……それよりさ、本当に生きてんだな。

半信半疑だったぜ」

 

正直、殺されると分かっていながらデートに行くのはかなり嫌だった。

デートに行く寸前までドタキャンでもしようかと思っていた程だ。

だが、ジルが『絶対に行け』と言うので仕方なくデートに行った。

 

『おいおい……まぁ、いいや。とりあえずまた後でな』

 

ジルがそう言ったのと同時に電話が切れる。

それと同時に同時にいつも通りの一誠の日常が始まった。

 

 

「ふふふん♪やったぜ♪」

 

軽い足取りで歩く一誠。

学校が終わった後一誠は新発売されるCDを買う為にCD屋へと足を向けたのだ。

結果その目的のCDは売り切れの為買うことができなかった。

ならば何故一誠の足取りが軽いのか。

新しいCDは買えなかったが今では絶対に入手することができないと言われているCDを買うことができたのだ。そのCDはあのジルですら持っていない。

その優越感が一誠の足取りを軽くしているのだ。

 

「はわうっ!」

 

突然の声。

後方からそんな声が聞こえるのと同時にボスンと路面に何かが転がる音がした。

音のした方を向くとそこにはシスターが転がっていた。

 

「だ、大丈夫っすか?」

 

一誠はシスターに近寄ると起き上がれるように手を差し出した。

 

「あうぅ……何で転んでしまうんでしょうか……ああ、ありがとうございます」

 

声からして若い。

一誠と同じ位の年齢だろう。

手を引いて起き上がらせる。

ふわっ。

風邪でシスターのヴェールが吹き飛んで行く。

あまり高い所まで行かない内にジャンプしてヴェールをキャッチしてシスターに渡す。

 

「旅行?」

 

俺の質問にシスターは首を横に振る。

 

「あ、いえ、違います。実はこの町の教会に赴任することになったんですけど……迷子になってしまいまして……あ、あなたもこの町の方なのですね。よろしくお願いします」

 

ペコリと頭を下げるシスター。

 

「教会なら知ってるよ」

 

確か町の外れに教会があったはずだ。

 

「本当ですか!?ありがとうございます!これも主のお導きですね!」

 

涙を浮かべながら一誠に微笑むシスター。

かなり可愛いが、彼女の胸元で光っているロザリオを見ると、拒否反応を覚えてしまう。

それも仕方のないことだと割り切って一誠はシスターを引き連れて教会へ向かった。

 

 

教会へ向かう途中、公園の前を横切る。

 

「うわぁぁぁん」

 

子供の泣き声が聞こえてきた。

 

「大丈夫、よしくん」

 

お母さんがついてるから大丈夫だろう。

だが一誠の後ろに居たシスターは突然公園の中へ歩を向けた。

 

「おいおい」

 

シスターは座り込んでいる子供の傍に近寄っていった。

一誠もシスターの後を追う。

 

「大丈夫?このくらいで男の子が泣いては駄目ですよ」

 

シスターが男の頭を撫でながらおもむろに子供が怪我を負った膝に手を翳す。

シスターの手のひらから淡い緑色の光が発せられ子供の怪我がみるみるうちに消え去っていく。

 

「これってまさか……」

 

驚愕の表情を浮かべる一誠。

 

「はい、傷はなくなりましたよ」

 

そう言ってシスターは子供の頭を撫でる。

シスターの顔が一誠に向けられた。

 

「すみません、つい」

 

舌を出して小さく笑う。

母親は頭を下げるとそそくさとその場を立ち去ってしまった。

 

「ありがとう、お姉ちゃん!」

 

子供の声。感謝の言葉だ。

 

「ありがとう、お姉ちゃんだってさ」

 

一誠が通訳すると彼女は嬉しそうに微笑んだ。

 

「……その力……」

 

「はい、治癒の力です。神様から頂いた素敵な力なんですよ」

 

微笑む彼女だが、どこか寂しげだった。

その顔を見てあまり追及してはならないことなのだろうと思う一誠。

 

会話はそこで一旦切れて俺達は再び教会へ足を向けた。

その公園から数分歩くと古ぼけた教会に着いた。

 

「あ!ここです!良かったぁ」

 

地図の書かれたメモと照らし合わせながらシスターが安堵の息を吐く。

 

「シスター、俺は用事があるからそろそろ行くな」

 

用事もないのにそんなことを言う一誠。

だが、仕方がない。

今の自分は教会に近づいてはならならい身なのだから。

 

「え?そうですか?お礼をしたかったんですけど……用事があるなら仕方ないですね……

私、アーシア・アルジェントと言います。アーシアと呼んでください」

 

「俺は兵藤一誠だ。周りからはイッセーって呼ばれてる。

また会おうぜ。シスター・アーシア」

 

「はい!イッセーさんまたお会いしましょう!」

 

ペコリと頭を下げるアーシア。

彼女は一誠の姿が見えなくなるまでずっと頭を下げていた。

 

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