GW。またまどマギがやっているので、ついつい見てしまいます。そして自分の描いたキャラの感じと違うところを見つけ、「あ、ここおかしいな」と思ってしまいます。
そんなところは・・・まぁ、大目に見てください。
マミさんと別れたあと、葵さんと夕暮れの住宅地の道を歩いていた。
「あの・・・海未はどうして魔法少女に?」
「私?私はキュゥべぇがうるさいからかなぁ。起きると、ベッド脇にいて、授業中もバッグの横で寝てて、食事中はずっと魔法少女についての話を繰り返す・・・。何かイラついてさ、そんなに言うならなってやろうって感じで」
「キュゥべぇって確か、急かすようなことはしないんだよね?」
「何だろうね。キュゥべぇからしたら契約をしてもらうための魔法少女の説明みたいなもんだけど、私からしたらただのうるさい勧誘・・・みたいな?」
葵さんのその言葉にただただ苦笑するしかなかった。
「で、願いは?」
「私、こう見えても昔は引っ込み思案で、いつもうずうずしてたわけ、だから性格を明るく、元気に、みんなと話せるようにって・・・何か小学生みたいだけど、私からしたらとても大きな願いだったね」
願いは正しい方へ。私のような欲にまみれた願いなんてちっぽけに思うほど、大きな願いだった。
私もそんな願いを叶えて欲しかったな、なんて思いながら私もキュゥべぇに叶えてもらった願いを少し小さな声で話した。
「成功への道ね・・・。まぁいいんじゃないかな。失敗の道を辿るよりはマシじゃないか?」
「そのせいで、一人死んでほしくなかった人を失ってるんだ。確かに後々、障壁にはなりそうだった。でも・・・あまりにもひどいかなって」
「それって暁美 ほむらのことかい?」
「・・・う、うん・・・」
「本当に君が殺したのかな?」
「たぶん、私の願いが反応して・・・暁美さんを」
私の何歩か前を歩く葵さんは振り返ると、少し怖い顔をする。これまで見せてきたにっこり笑顔とは違う、無表情だった。
「じゃあさ、もしも暁美さんが生きているって情報を私が握っていたら、あなたはどうする?」
次の瞬間、そんな質問が私に返ってきた。
私は暁美さんが死んだのを知っている。だけど、彼女のこれまでとは全く違う真面目な表情によって、冗談ではなく、真実味を増した一つの情報へと心のなかで変わっていた。
それが真実なら・・・。
「黙っちゃってどうしたんだい?」
葵さんは一歩、一歩と近づくと、笑顔を取り戻すが、その笑顔の奥にある力強い眼光は私をひるませた。
「知ってるよ?さぁ、買うかい?もちろん、グリーフシード一つで話してあげるよ。それとも・・・」
葵さんは私の横に来ると耳元で、
「盗み聞きするかい?」
と囁く。
どうやら私のやっていたことはバレていたらしい。
「・・・いつからそれを?」
「桜髪さんからグリーフシードをもう一つ受け取ったとき、一瞬見えたんだよね。だからアンタたちを売るようなことをしたんだ。まぁ彼女は孤独を愛するからね、情報だけ受け取ったらもうさよなら~だから」
私は唾を飲み込むと、バッグの中に入れといたビットを起動させる。
「おっと、ビットを使って何するんだい?あたしにそれを撃ち込んでも、意味ないよ」
そう言いながら、葵さんは私の顔の前に、ポケットから一枚の紙を取り出した。写真だ。
「これは一昨日撮った一枚の写真だ。ここに写る少女、どこかアンタの知ってる暁美さんに似てないか?」
確かにそこには暁美さんが写っている。だが、今の技術ならこんな写真は合成で作れる・・・はずだ。
下に写る日時は一昨日のもので、真実味はあるが・・・。
「これが合成とか思ってる?これが本当のことなんだよね。まぁ信じないなら他の写真と情報は渡さないよ~。サービスで無料にしてやろうかと思ったのにな」
私はもう一度、唾を飲む。やはりこの人には魔法少女なんてもの以上の才能がある。人の心を鷲掴みにし、引き込むような話し方と滲み出るカリスマ性。
「ごめん。やっぱり教えて・・・ください」
「毎度あり~」
それから三十分近く、私の家に着くまで話していた。
葵さんの情報によると暁美さんは生きている。
葵さんの持つ情報はあの写真一枚だけではなく、他にもたくさんあった。
写真は計三つ。
一つは最初に見せた一昨日のもの。もう一つは五日前の夜に撮られた魔女と戦う写真。そしてもう一つは暁美さんが死んだ日の夜に学校の校門前で座っているものだった。
その中の二つが葵さんが撮ったもので、最後に見せたものは情報屋仲間のものだった。
魔法少女は魂であるソウルジェムが破壊されない限り、完全に死ぬことはないようだ。そのため、暁美さんは死んでいない。そして暁美さんはその傷の回復のために出た穢れを取るために、魔女と戦っていたのかもしれない。そんな仮説が立てられていた。
私はこの話を聞いて、とにかく安心した。どんな感情よりも最優先で『安心』の二文字が出てきた。
心のなかで暁美さんは敵ではないという想いが残っていたからだろう。
「暁美さん・・・」
葵さんは私の顔を見ると、最後に
「また情報が入ったら、持ってきてやるよ」
と言い、次の角を曲がっていった。
「ありがとう!」
私は久しぶりにこんな大声で「ありがとう」と言ったと思う。それほどに感情が高まっていた。
☆
アタシは琴美と別れると、すぐに次の角を曲がって、琴美の家へ先回りした。
桜髪に頼まれたこと、それは琴美 玲華の情報である。桜髪は彼女の情報を欲しがっている。理由までは聞き出せなかったが、あの情報を渡すとき、グリーフシードに巻かれていた紙にはそう書かれていた。
「琴美 玲華。魔法少女で、能力はビットによる・・・狙撃か?または援護射撃。ソウルジェムの色は・・・何だ?」
指輪を見たとき、ソウルジェムの色が出るはずの指輪の装飾の色は、色々な色に変わっていた。というよりは感情に比例して色が変わるのか?
でもそんな前例はない。穢れて色が暗くなるのは知ってるが、感情の起伏で色が変わるものなのだろうか?
アタシはメモ帳に『感情によって変わる』と書くと、琴美の家の近くで透明になり、琴美の家に入った。
玄関の下駄箱の上の写真。父親はいなく、兄がいる。部屋は二階か。
「ただいま~」
少しすると琴美が帰ってきた。
母は仕事でいないようだし、兄もきっと今はいないのだろう。琴美の声がただただ静寂の中にこだまするだけだ。
「まだ帰ってきてないのか」
琴美は冷蔵庫に貼ってある母親からのメモを見る。いつも夕飯のことが書かれているらしい。
まぁリビングでくつろいでいる以上、こっちは彼女の部屋を探索することができる。
「誰かいるの?」
リビングからそんな声が聞こえた。恐る恐るドアから中を覗くと、テレビを観ているだけだった。どうやら、ホラー映画のようだ。琴美はどこか笑っている。
ホラー映画が好き、とメモっておいた。
そしてリビングから聞こえる悲鳴にアタシは少し驚く。彼女とは対象に、アタシはホラー系は苦手なのだ。
あれから何十分か経ったが、これといって進展はなく、彼女の部屋にいるぐらいしかすることがなくなった。
そして桜髪はどうして彼女の情報が欲しいと言ってきたのか気になり始めていた。
これまでに彼女の口から『琴美』という名が出たか・・・。アタシと話している間は無かった。
まさかアタシの知らない間に、彼女にも。
映画が終わり、琴美は一つあくびをすると、キッチンへ向かう。
その目を離した瞬間に、アタシは家の外へ出た。
「誰か帰ってきたのかな?」
琴美が玄関に出てきたときにはアタシは外に出ていた。そして何も無かったかのように玄関のベルを鳴らす。
「はーい!あ、葵さん。どうしたの?」
アタシはあらためてこの家に入った。
☆
葵さんが家に来た。
私はさっきまで見ていた映画のDVDを棚に置き、飲み物を冷蔵庫に戻し、葵さんを部屋に入れると私は窓際のソファに座らせた。
「ごめんね。お茶とかしか出せないけど。えっと・・・どうしたの?」
「暁美さんのことだけどさ。他のやつには黙っておいてくれないか?」
「マミさんにとか?」
逆にマミさん以外いないのだが・・・。
「もしも言ったなら、この話は無かったことにする。アタシとアンタのみの話だ」
「でも、いきなりどうして?私ははなからそうするつもりだったよ」
「!」
葵さんは私のいったことに呆気にとられたのか、おもわず、口元まで運んだお茶の入ったコップを床に落とす。
「どうしてだ!?アンタだけでなく、あのマミをいれれば戦力にはなるはずだ」
「なんとなくね・・・これ以上、人を巻き込むわけにはいかないと思って。暁美さんだったり、佐倉さんだったり、美樹さんだったり・・・。何か私の願いが周りの人を殺してる気がするんだ。いわば、間接的な殺人犯のような」
「杏子は死んだが、アイツらは死んでない・・・はずだ」
「・・・暁美さんを探すってやつ、私一人でやらせてくれないかな?もちろん、情報は買う。でも探すのだけは」
「確かにそんな考えを持ってるならアタシは手伝わない。でも、手伝えない分情報は渡すよ。できるだけね」
「あ、ありがとう」
「まぁ今はアタシがこぼしたこれを拭かないと」
葵さんは雑巾を借りると、すぐにこぼしたお茶を拭き始めた。
次の日から、美樹さんと暁美さんの捜索が始まった。
魔女の結界に入ることや、他人の敷地内に入ることもあった。
葵さんの情報を頼りに、魔法少女の放つエネルギーをもとに探ること一週間後、ついに私たちは美樹さんを見つけた。
だが、美樹さんはもう魔法少女ではなかった・・・
「これが・・・美樹さん・・・」
「遅かったか」
オーケストラのポスターが貼られたレンガ壁の床を進み、重たいドアを開けた先には一匹の魔女がいた。
下半身は魚のような尾びれと鱗を纏い、片手に剣を持っていた。
彼女の後ろでは指揮者が指揮棒を振っている。
彼女もまた、指揮者のように剣を振る。
「ごめん・・・なさい」
「泣くのはまだ早い。こうなってしまった以上、アイツを倒さないと、後続がでちまう」
「魔女を倒したら、中から彼女のソウルジェムが出てくるとかないの?」
「もしそうだとしても、彼女の身体はもうこいつに食われてるだろうよ」
私は泣くことを我慢できなかった。
葵さんとマミさんは私を見ると、彼女を倒すために、銃を向ける。
私は目を擦ると二人を無視して、前に出た。そして、
「戻ってきて!美樹さん!またみんなとお茶会をして、話して、遊んで、また楽しい学校生活をおくろう!」
と言った。だが、私の言葉は美樹さんの魂には届かなかった。そしてその魔女は持っていた剣を振り、車輪のようなものをとばしてきた。
「危ない!」
鉄と鉄が衝突したような音が私の耳の中で響く。
「あ、葵さん!」
私の目の前には銃を盾にして車輪を防ぐ葵さんがいた。
その威力のせいか、利き腕の右腕が折れているのがわかった。
魔法少女は骨が折れていても、魔力ですぐに回復できるとはいうが、骨折したらその分、治すのにも時間と魔力がかかる。
美樹さんは回復能力に長けていると聞いたが、他の魔法少女はどうなのか・・・。
そんなことを考えている暇はない。
「大丈夫!?」
「平気だ。ちょっと右腕を折ったくらい」
そういい、葵さんが立とうとした瞬間、マミさんは葵さんを突飛ばした。そしてバリアのようなものを四方八方に張り巡らせ、葵さんと私を囲った。
「マミ、何すんだ!」
「あなたはそこでその腕を回復していなさい。あなたたちのような情に刈られて、戦闘もろくにできない魔法少女はいても私の足を引っ張るだけだわ。おとなしくそこで見てなさい」
性格を激変させたマミさんはマスケット銃を両手に持つと、一発一発、魔女に向かって撃ち始めた。
なぜ、そんなことをしたのか私にはわからなかった。
「きっと、アタシたちに戦ってほしくないんだ。本当は泣きたいけど、先輩として先陣をきって戦わないといけない・・・マミさんはそんな気持ちで戦ってるんだ」
「マミさん。・・・私たちは足を引っ張ることなんてしません!戦います!」
「!・・・アタシも戦わせてください!」
「「マミさん!!!」」
私たちの声が届いたのか、銃撃をやめるとマミさんはこっちを振り向く。そしてニッコリと笑った。
すると私たちの周りに貼られたバリアは消えていった。
「仕方ないわね・・・。私は魔女の動きをできるだけ止めるから二人は援護射撃を頼むわ」
そう言うと、マミさんは辺りを転がる車輪に持っていたリボンを絡ませ、次々と止めていった。
「・・・はい!」
私はビットを発動すると、魔女に向かって一発目を撃ち込んだ。