魔法少女は大変です   作:駿駕

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魔法少女は大変ですの最終回です。

書いてる間、何度も終わりたくないと思ってました。
(まぁ次回作のプランがもう練られているのですが)
とてもありがちな終わりかたかもしれませんが、ぜひ読んでいってください。
前の話を読んでいないかたはそれを先に読んでから、これを読んでください。



最終戦線

目の前にある考えてもみなかった現状。

私の口は石膏にでもなったかのように固まってしまう。

暁美さんも言葉が出ないようだ。

「・・・黙ってれば、物事が先へ先へと進むと思う?私の顔があなた達の知っている人物、鹿目 まどかだから考えることをやめて、言葉を発することに躊躇するのね」

顔は鹿目さんそのものだ。あの目や鼻や口はあのとき見たものと同じだ。

だが、身体は全く違う。それに武器も・・・確か・・・

「・・・まさか冗談でしょ?桜髪って聞いて、まさかとは思ったけど、本当にまどかなの?」

「鹿目 まどか。本名よ」

桜髪はポケットからボロボロになった生徒手帳を投げる。

そこには見滝原の学校名と、鹿目まどかという名前が書かれていた。確かに顔写真は鹿目さんのものだった。

「嘘よ!この世界にまどかはいない!」

「えぇ!そうよ!私は・・・私は違う時間軸のまどかだから!」

前に違う時間軸からやってきたと言う暁美さんがいた。それと同じものなら、信じるものがある。生徒手帳なんて簡単に作れるものじゃない。

「その時間軸では魔法少女の数はどんどん減って、第二の災害時にはほとんどいなかった。私はそんななか、この鎌を振った。何度も、何度も・・・。あなたならわかるでしょう?」

「確かに、第二の災害、別名『Last Day Of Witch』のときの魔女の手下の数と魔女の力は数人の魔法少女では太刀打ちできない。・・・私も経験している」

「あなたならわかってくれると思ったわ。そして・・・」

 

この時間軸では、この琴美 玲華によって第二の災害が来ないの

 

暁美さんはその言葉を聞いて、さらに言葉が出なくなる。

「彼女の存在がどれだけの力を持っているか・・・」

「あのとき言った言葉は、そういうことだった・・・のか」

「えぇ。でも、それもここまで・・・」

桜髪は鎌を床に刺すと、目を閉じる。

 

なぜなら、第二の災害は私がここで起こすから・・・

 

「え・・・」

桜髪はそう言い、上に来ているコートを脱ぎ捨てる。

その下にはまるで生き物のように動く服を着ていた。蛇のような肌は彼女の呼吸にあわせて膨らんだり、しぼんだりしている。

「この服には何個ものグリーフシードが刺さっている。穢れを満タンになるまで吸収したグリーフシードがね。あのとき、あの情報屋に渡したのは綺麗なもの。そして穢れたものは私が貰っていた。あいつはすぐに穢れさせる、それもかけて腐っていると言った」

周りの景色が魔女の結界のように変わっていく・・・。部屋の壁に貼られた写真や賞状は粉々になり、桜髪の服に刺さったグリーフシードへ吸収される。

まがまがしく、どす黒いオーラを放ったそれは私たちまでも吸い込もうとしていた。

ブラックホール・・・そう言っても過言ではない。

暁美さんはそれを見て、固まっていた。

「暁美さん!」

私の部屋は少しずつ、魔女の結界へ変わり、壁には私の記憶と共に、これまでに会った魔法少女の記憶が描かれていた。

彼女らが殺されるシーンまでも繊細に・・・。

「暁美さん!・・・暁美さん!」

私は手を伸ばす。もう少しで届きそうなのに、近づこうとする度に、結界の壁から伸びた触手のようなものに身体全体を掴まれる。

「暁美さん!!」

 

ガチャン!

 

私が叫んだ瞬間、何かがはまった音が辺りに響く。

そして桜髪による吸収が止まる。

・・・というより、時が止まっているのか。

手に持っていた腕時計の針は全て止まっていた。

「これって・・・」

「私の能力。会ってなかったから忘れてた?」

時が止まった空間で、歩く暁美さんはとても美しく見えた。私にはこの能力が効いていないようだ。普通なら時を止めると暁美さん以外は完全に動かなくなるようだ。

「今のうちに息の根でも止めるかしら。彼女のソウルジェムに一発入れて終えましょう。本当はこんなことしたくないけどね」

暁美さんは彼女の胸元に光る何かに目掛けて銃弾を撃ち込む。

「本当はもっと正々堂々と、『魔法少女として』戦いたかったわ」

 

ガチャン!

暁美さんの左腕につけた円盤から音が聞こえると、銃弾は桜髪の胸元に突き刺さった。

桜髪は叫び散らすと、すぐに静かになった。

「終わったようね。警察でも呼んで家から出ましょう」

暁美さんは近くに落ちた銃弾を拾うと、円盤の中へしまい死体から離れる。

「これで・・・終わりと・・・思うな・・・」

「!!」

声と共に桜髪の近くに飛び散ったグリーフシードが少しずつ死体のもとへ動いている。

まるで釘の山に磁石を入れ、引っ張りあげたときみたいに。

「私は・・・死なない。魔女は死にたくてもしなない」

「『Last Day Of Witch』・・・この単語は魔女狩りを表すわ。魔女は狩られたの。最後の魔女、あなたはね」

「まだだ!・・・まだ終われない!」

次の瞬間、桜髪の胸元からグリーフシードがミサイルのように、勢いよく飛び出した。

それは暁美さんの横を過ぎて、私に刺さった。

「え・・・」

「琴美さん!」

「彼女を殺せば、世界はまた時間を戻して、新しい時間を作り出す!そしてこの世界に第二の災害は訪れる!」

消えかける意識のなか、暁美さんが近くに来たのはわかったが、声が出なかった。

グリーフシードは案外 深くまで刺さり、心臓まで到達しているのがわかった。

「さぁ!時よ!時よ戻れ!」

「・・・何言ってるの?」

 

私は思い出した。魔法少女はソウルジェムを壊されない限り、戦うことができる!

 

大量のビットを展開すると、一気に桜髪へ撃ち込んだ。

彼女の弱点は胸元の光じゃない。

体に刺さるグリーフシード全てだ。全てを壊せば、倒すことができる。昔、兄とやったゲームのなかに、そんな敵がいたのを思い出した。

「ビットの弾でも、グリーフシードは破壊することができるはず!・・・お願い! 」

弾は完全にグリーフシードを貫いて破壊する。

一個割れる度に、黒い煙のようなものが出ていく。

それが割れる度に、何か桜髪の記憶のようなものが溢れ出てきた。

生まれたときから、ここにいたるまでの記憶。その中には、暁美さんやマミさん、美樹さんや佐倉さん、そして・・・私がいた。

「彼女は私のことを知っていた・・・。だけど、時間軸が違う以上、性格など色々なことが違うんじゃないかと思い、葵さんに聞いたのか・・・」

「琴美・・・玲華。・・・ありがとう」

気がつくと、辺りはその記憶に包まれていて、まるで別世界のようだった。

記憶はつながり、昔パパと見たはオーロラのような景色だった。

「今、少し感謝しているわ。私が間違っていた・・・。今あなたが見ているのは私の後悔の記憶。私の本当の能力は物を造り出す、いわば創造する能力。そこで私はあなたを作り出した。あなたという存在を・・・

 

あなたはたった一人の少女だった。

そこでキュウべぇに魔法少女の契約をしてもらうよう頼んだ。そして今のあなたの能力通りの魔法少女を作り出した。その能力で、ヴァルプルギスの夜以上の力を倒して終わらせたかった。

でも、そんな都合よくいかなかった。

みんな死んで、残ったのは私だけ。そこで、私は暁美さんの円盤を奪い、違う時間軸へ移動することを決めた。

その世界を残して・・・。

そして、この時間軸に第二の災害が来ないということを知った。

 

・・・平和な世界を願っていたんだ。とにかく、平和なみんなで笑い会えるくらいの」

「・・・できるよ。鹿目さんなら、だって・・・あのとき、見た鹿目さんはいつも笑ってたから。辛いときこそ、笑って」

桜髪の目からは涙が出ていた。魔女になりかけ、魔法少女と魔女の境目のような恐怖をも抱かせるような、身体はボロボロに砕けはじめていた。

「ありがとう・・・あなたを作って本当によかった」

 

その日、鹿目さんはこの世界から消えた。

 

 

また同じように朝が始まる。

だけど、もう美樹さんやマミさんはいない・・・。

私がトボトボ歩いていると、いつもの道の先に見たことある姿が見えた。

「おはよ!玲華!ったく、遅刻するぜ!」

「もう、杏子は・・・あ、おはよ!」

「おはよう、琴美さん。もう傷は大丈夫?」

「おはよう。玲華さん。今日の帰り、またみんなでお茶会でもどう?」

四人の顔。・・・これはいったい。私は夢でも見ているのかな。

私は頬をつねってみる。・・・痛みは感じる。

「これって、現実?」

「朝から何言ってんだ?寝不足か?」

佐倉さんは私の肩を叩く。

「やっぱりこれって・・・」

私はどうしてか泣いてしまった。

とても夢のような話だが、これは現実なんだ。

「どうした?痛かったのか?」

「あーあ。泣かせちゃった」

「ごめん!本当にごめん!」

「違う・・・違うよ。ただ、こうやってみんなで学校いけるのが、ひさしぶりのようで。その・・・」

「さぁ、みんな学校行こうぜ!ほら、玲華も泣いてないで。学校まで競争だ!」

「杏子!待てー!」

「二人とも待って!」

三人は学校に向かって走っていった。

こんな日が来るとは思わなかった。とても楽しい、みんなで笑い会える日が来るなんて。

「さぁ、琴美さん行きましょう」

暁美さんはこれまで見せなかった笑顔を見せる。

「・・・うん!」

私は目を擦ると、学校の方角へ走り出した。

私たちの戦いは終わったんだ。

 

 

「まどか。これが琴美の望んだ願いなのかな?」

「・・・それは玲華ちゃんにきいた方がいいんじゃないかな。私にはわからないよ」

「まぁ、僕からすると、この世界ではエネルギーが確保できないし、魔法少女も魔女もいないんじゃ、僕は関係ないしね」

二人は近くのカフェから四人を見ていた。

キュウべぇはまどかの頼んだサンドイッチを少し貰った。

「さぁ、どうする?他の時間軸へ行くのかい?」

「・・・私はあの世界に帰って、もう一度やり直すよ。ここにほむらちゃんの円盤はあるし」

まどかはテーブルの上の円盤をチョンチョンと触る。

円盤は少し汚れていて、茶色くなっていた。

「それを見つけるのに二週間もかかったんだよ。しかも壊れかけてるから修理も必要だったしね。まぁ、それは数時間でできたからいいけど。でも、どうしてだい?違う時間軸へ行けば」

「彼女と話してわかったんだ・・・

 

能力なんてなくても、私たちは先へ進むことができる。それが成功でも、失敗でも、生きていることこそが幸せなんだとね

 

・・・キュウべぇみたいな感情の持たないものからすると、わからないと思うな」

「・・・やっぱりわからないや。僕は新しい魔法少女を探しにでもいくよ。またどこかで会おう・・・鹿目 まどか」

キュウべぇはその場から静かに消えていった。

そしてまどかはサンドイッチを食べ終えて、コーヒーを飲むと、その場から消えてしまった。

「じゃあね。琴美 玲華ちゃん」

 

 

「やっぱり、ここに戻ったか」

ヴァルプルギスの夜以上の嵐。あのとき、私が逃げる前の場所。

「どーした?まどか。さっきからポケーッとして」

目の前にはさやかちゃんが立っていた。

それ以外にも杏子ちゃんやマミさん。それに・・・

「どうしたの?鹿目さん。これから戦うってときに」

ほむらちゃんもいた。後ろから歩いてくると、私の前で髪をかきあげる。

「ほむらちゃん。・・・そうだよね」

私は我慢していた涙をついに抑えられずに、泣いてしまった。

その場だけはとても平和に感じた。これまでの絶望が無くなったくらいに・・・。

「どうした?もしかして、怖い?」

「うんうん。ただ、みんなとこうやっていられるだけで幸せなんだ」

少し間を開けると、みんなが笑う。

「この戦いが終わったら、またみんなでどこか遊びに行きましょう」

「マミさんの言う通り!みんなでこの戦いに勝とう!」

「とかいって、さやかが先にやられちゃうんじゃないのか?」

「そういうアンタこそ!」

・・・雨が強くなる。

戦闘の始める合図なのだろうか。

「じゃあ、みんなで魔女を倒すよ!」

 

「はい!」

 

マミさんの合図で私たちは攻撃を始めた。

どんな結果になっても、私たちは後悔しない。

私は生きていること自体が、幸せだったから。

みんなで困難を乗り越え、ここまで助け合ってきた。

 

 

私は後悔なんてしない。

 

 

 




ここまで12話。ありがとうございました。
次回作、また他の作品も読んでみてください。

次回からはもう少し明るくいきたいところですが、たぶん次回作も少し重たい話になってしまうと思います。

本当に最後までありがとうございました。
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